進撃の世界に鬼が乱入しました   作:創作の巨人

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#3:日常

 私が本の中の世界に入って、5年が経過した。私は設定上15歳になって、とうとう訓練兵を卒業する時がきた。そこでは訓練兵団の寮に住んで、座学、格闘、腰に着ける機械……立体機動装置を扱う為の立体機動術など、多くの科目を学んだ。自分の知る限りでは、どの項目もトップクラスの成績を残せたはずだ。先日の卒業模擬戦闘試験も楽に突破できた。

 卒業式といえば長ったらしい話を聞くのがよく言われているが、この世界でもそうらしい。酒も飲めないのに長い話を聞くのは正直苦痛だった。だがこれからは、何かしらイベントが起きる度に巨人と戦える。それが楽しみだからこそ今は我慢できるのだ。

 

「…周知の通り、今から107年前…。我々以外の人類は…皆巨人に食い尽くされた。その後我々の先祖は、巨人の越えられない強固な『壁』を築くことによって、巨人の存在しない、安全な領域を確保することに成功した。が…それも5年前までの話だ。諸君らの中には、その場に居合わせた者も少なくないだろう。5年前、再び惨劇は起きた」

 

 それが、あの赤い巨人の襲撃だ。あの巨人は、一般に「超大型巨人」…と呼ばれているらしい。まぁ、見ての通りだ。

 巨人は通常、15mが最大らしく、超大型巨人の存在は異端中の異端とのことだった。それから、鎧の巨人も15mほどだそう。超大型巨人は、その4倍の60mらしい。サイズ差がえげつない。

 

「その結果…先端の壁ウォール・マリアを放棄、人類の活動領域は今我々のいるウォール・ローゼまで後退した。…今この瞬間にも、あの『超大型巨人』が壁を破壊しに来たとしても、何も不思議ではない。その時こそ、諸君らはその職務として

『生産者』に代わり自らの命を捧げて巨人という驚異に立ち向かってゆくのだ!心臓を捧げよ!」

 

「「「ハッ!!!」」」

 

 「心臓を捧げよ」という言葉は、敬礼の号令のようなものだ。または自らや仲間を鼓舞する時も使うらしい。号令の意味で使われた場合、私達は右手を拳にして小指側を左胸につけ、一方右手は背中側にもっていくポーズをとる。

 因みにこの世界の文字は、日本語のカタカナを180°回転させた文字なので、読み書きにはあまり困らなかった。ほんの稀に訛りのある人がいるがそこまでキツくはなかった。

 

「本日諸君らは『訓練兵』を卒業する。その中で最も訓練成績が良かった、上位13名を発表する。少しばかり人数が多いので今期は13名となった。名前を呼ばれた者は、前へ出てきなさい。首席、ミカサ・アッカーマン。2番、スイカ・イブキ」

 

「っしゃ!」

 

「………」

 

「あ、いや、何でもないです」

 

 ミカサは東洋人の母を持つ黒髪セミショートの少女だ。どこか陰のある面持ちだが、家族であるエレンという少年、幼馴染のアルミンという子と話しているときは、どことなく楽しげに見える。本音を言えば私が首席だと思っていたのだが…。まさか私を超えるとは。

 

「…続ける。3番、ライナー・ブラウン」

 

 筋骨隆々、金の短髪、ガタイのいい体型が特に目を引く身体の大きな男。周囲よりも群を抜いて成績が良く、3番も納得だった。髪型や顔付きがどこか鎧の巨人に似ているが、そんな事を言えば失礼に当たるだろうから、きっと言う事は無い。

 

「4番、ベルトルト・フーバー」

 

 ライナーよりも長身で、高い能力を有しているように見えるが、判断を他人に…主にライナーに委ねるくせがある。悪く言うと、腰巾着野郎だ。兵団は、ライナーと同じ兵団に入るに違いない。目元が、どこか超大型巨人に似ている。しかし、人類の仇そのものである超大型巨人に似ていると言うのはあまり良くないだろう。もし言うなら、酒の席で冗談交じりに言ってやろう。

 

「5番、アニ・レオンハート」

 

 いつも気怠げにしている鷲鼻の少女だ。格闘の成績は特に良いという訳では無いが、エレンとの演習はとても目を引いた。兵団から教え込まれる格闘術ではなく独特の格闘を使っていた。勿論、私とアニでは私の方が強い。小手先のテクニックなんて全て無視してこその鬼だ。

 

「6番、エレン・イェーガー」

 

 通称「死に急ぎ野郎」。私と同じように巨人と戦う事を目的としていて、壁の外にある「海」を見たがっている。私も大昔に見たことがあるが、久しく見ていない。あの幻想郷にも海は無いのでどこか親近感を覚える。格闘の成績は、ミカサと私に次いで3番ほど。かなりの努力家だ。ミカサとアルミンとばっかり仲良くしている印象だが、実はライナーとも親しくしているようで、かなり信頼を寄せているようだ。

 

「7番、ジャン・キルシュタイン」

 

 馬面。エレンと同じような小悪党っぽい顔で、思った事を素直に吐き出す、馬鹿正直なヤツだ。鬼の私としては割と好感の持てる男ではあるが、周囲との軋轢を顧みない所は少しNGだ。ただ、状況判断力に優れていて、指揮能力も長けているようだ。将来は、隊長や分隊長レベルにはなれるだろう。

 

「8番、マルコ・ボット」

 

 真面目さが取り柄の男子だ。王に仕えることを光栄に思うタチのため、憲兵団志望である。よくジャンと絡んでいるが、少し異色のコンビの様に見えてならない。

 

「9番、コニー・スプリンガー」

 

 バカでチビ。作戦を誤認する事がよくあるが、小柄な体を生かした小回りの利く立体機動術には目を見張るものがある。自称天才で、過去に立体機動装置に苦しんでいたエレンに、「感じろ」とどこか格言めいたアドバイスをくれてやった事があった。…あれで伝わったとは思えないが。

 

「10番、サシャ・ブラウス」

 

 片田舎から出てきた少女。大人しくしていればかなりの美形だと思うが、食い意地が張っているところがあり、パンや芋を譲ってもらう事がよくあるようだ。キースによる通過儀礼というものの最中に、彼の目の前で蒸かした芋?を食べていたあの事件は同期の連中では有名なエピソードだ。

 

「11番、クリスタ・レンズ」

 

 女神、天使と呼ばれている美少女だ。真面目なライナーでも、そこそこ頻繁に「結婚しよ…」と呟いている。彼の顔には出てこそいないがかなりデレている様子だ。彼以外にもクリスタに想いを寄せる男は多そうだ。

 

「12番、ダズ」

 

 …誰だかよく分からない。ヘタレという印象が強い。雪山の訓練で死にかけた過去があったはずだが……まさかこんなにも成績を伸ばしたとは。パッと見老けているが、もしや、エレン達よりも歳上なのだろうか?

 

「13番、フロック・フォルスター」

 

 髪の毛の上にカツラを乗せたような少し奇妙な髪型をしている。ジャンのような現実主義な所があり、お調子者な一面もある。それ以外はあまり印象に無い。

 

「──────以上、13名。本日を以て訓練兵を卒業する諸君らには、3つの選択肢がある。壁の強化に努め各街を守る『駐屯兵団』。犠牲を覚悟して壁外の巨人領域へと挑む『調査兵団』。王の元で民を統制し秩序を守る『憲兵団』。…無論、新兵から憲兵団に入団できるのは、成績上位13名だけだ。後日、配属兵科を問う。本日はこれにて第104期『訓練兵団』解散式を終える…以上!」

 

「「「ハッ!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 解散式を終えた私達は、食堂にて夕食を摂る。成績上位に入れなかった者が上位者に絡んだり、上位者が「内地に行けるぜ」と自慢していたりと様々な光景を見ることが出来る。ヘタレ野郎から成り上がったダズなんか子供のように泣きながら夕飯を食べている。

 

「まさか俺がッ…俺が13人に入れるなんてぇ…!夢、みたいだぁ…ううぅぅっ…」

 

「ハッ…ダズは相変わらずだなぁ。…で、どこに入るんだ?オレは勿論、憲兵団だが」

 

 泣いているダズに絡むのは現実主義者のジャンである。自身の動向をわざわざ付け足すのは嫌味にしか聞こえないがダズはそれどころではない。

 

「ぐすっ………俺は駐屯兵団に入るよ…。憲兵は良くない噂も聞くし…何しろ俺には合わない…。内地にも行きたいけど、駐屯兵団で過ごすほうが俺に合ってると思う」

 

「へぇ…。ま、それも良いんじゃねぇ?調査兵団なんかに入るのは、どっかの死に急ぎ野郎くらいだしな。なぁ?」

 

 ジャンは、エレンを煽るようにわざわざ言葉を投げ掛ける。しかしエレンは、これまでの経験を踏まえて、スルーすることにしたらしく、極めて冷静にしていた。

 つまらなそうに着席したジャンはどこか不完全燃焼という感じなので、少し遊んでやろう。

 

「なぁジャン?お前いつもエレンに絡んでるが、もしかして“構ってちゃん”なのかぁ?」

 

「ブフーッ」

 

「うああぁぁ」

 

 ライナーが鼻から飲み物を吹き出し、隣にいたアルミンの顔にかかる。ライナーとの身長差的にそうなるのは仕方ない。まさか笑ってくれるとは思わなかったが。

 

「構ってちゃんだと?オレがエレンと遊びたいと思ってると…そう言いたいのか、スイカ?」

 

「あははは、まぁそうなるかなぁ。だってさぁ?いっつもいっつも絡むじゃん?まるでエレンとの取っ組み合いを楽しんでるように見えてるよぉ?ミカサもそう思うだろ?」

 

「…うん。だからもう最近は止める気もない…。エレンは言うこと聞かないし」

 

「言うこと聞かないって…お前は俺の保護者か」

 

「取っ組み合いしたいんなら私に言えば?何なら相手してあげるけど」

 

「そうかよスイカ、それじゃ遠慮なくそうさせてもらうぜッ!!」

 

 椅子を飛ばして立ち上がったジャンはまだ席を立っていない私に襲いかかってくる。全く、女子相手に容赦が無さすぎる。

 

「────疎符『六里霧中』」

 

「また消えるつもりか!」

 

 座ったままスペルカードを発動させる。するとジャンの遅い拳は、疎の能力にて霧になった私を貫き、私はそのまま彼の頭上で元の姿に戻った。ちなみにこのスペルカードは、私達同期の間では

「消える手品」という事で通っている。

 …どこぞの妖怪じゃないのだから、消えたりはしないというのに。たとえ霧になっても私は存在している。これはそういう能力だ。

 

「ほいっと♪」

 

「ガッ……!!」

 

 あとは、重力に任せて落ちながら、馬面の頭を蹴り飛ばす。これで、大抵の人間はノックアウトできる。勿論、このジャンだって例外ではない。

 私に蹴られたジャンはゴチンコと音を立てながら頭から床に倒れて、決着がついた。今回は手加減したので気絶すらしていない。

 

「イッテェな…何しやがった!?」

 

「ん?いつも訓練でやってた通りに打ち負かしただけだよ?あっ、そっかぁ。ジャンと他数人は、対人格闘の訓練の時間は、過酷な訓練の骨休めに使ってたっぽいし、今の攻撃に反応できなくても仕方ないかもね~。サボりのツケが回ってきた…そんな感じかな?」

 

「クッ…!」

 

「…まぁ、私に次ぐエレンでも今の攻撃には防御出来てなかったけどさ」

 

「お前の攻撃は強いんだよ…的確に急所ばかりを狙ってくるような感じでもねぇのに、すぐに気を失っちまう…。一体、お前のその身体のどこに、そんな力があるってんだ…」

 

「んふふ~、すごいでしょー?」

 

「まぁな…」

 

 その時、扉の辺りからキースの気配を感じた。騒ぎを聞き付けて、食堂に入ってくるつもりだ。ジャンも同じ事を感じたか、急いで席に着いた。

 

「…今しがた大きな音がしたが……誰か説明してもらおうか?」

 

「サシャが放屁した音です」

 

「なっ…!?」

 

 予想通り入ってきたキースは、開口一番にそう訊ねた。しかしミカサは挙手しながら即答した。今度は誰も噴き出さなかった。もしも、キースの居るこのタイミングで噴き出せばどうなるのか。その後は、火を見るより明らかだ。

 

「また貴様か…」

 

「っ…!?」

 

「少しは慎みを覚えろ」

 

 そう言い残したキースは食堂を出た。無関係の者は安堵し、無実の罪を擦り付けられたサシャはミカサに文句を言うが、夕食のスープを与えて、どうにか宥めたようだ。そのやり方はどうなんだミカサ。

 この日含め、私達は束の間の日常を享受していた。翌日に待ち受ける残酷な未来も知らずに。




現在公開可能な情報
萃香は立体機動術は並~上位、座学、格闘、体力などはどれも並外れている。髪に重りがあるので身体のバランスをとるのが少し苦手ではあるが、装置と能力の併用でとてつもない速度での移動が可能。
その速度はミカサをも超える。ただしその速度のあまり細かい操作は出来ず、過去に何度も事故が起きた。それ以来、萃香はその方法を使うときはあくまでも直線移動に限っている。
(萃香が猛烈な速度によるGに耐えられるのも、鬼だからである。)
そんな事故が起きる度に周囲から心配されるが、いつもかすり傷程度なので、一部の者からは巨人関係ではないかと言われているが、あくまで鬼と言い張っている。勿論誰も信じてはくれないが、萃香は仕方ないと割り切っている。
しかたなかったってやつだ。





ダズもフロックも駐屯兵団行きです。ユミルは、原作通りクリスタに譲りました。
上位陣の人外感は原作通りだぁ…。
萃香が活躍するのは主に戦闘なんだよなぁ…日常だとどうにも書きにくい。

本作を読んでる方は、進撃の巨人と東方Projectをどの程度ご存じですか?折角のクロスオーバーなので、それぞれのネタなどを使うにあたって参考にさせて頂きます。

  • 進撃は知ってる/東方は知らない
  • 進撃は知らない/東方は知ってる
  • どちらも知ってる(ある程度原作履修済み)
  • どちらも知らない(聞いた事がある程度)
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