進撃の世界に鬼が乱入しました 作:創作の巨人
解散式の翌日、私やエレン等が在籍する固定砲整備4班は、ウォール・ローゼの南方に位置するトロスト区の固定砲の整備をしていた。お昼休みまではまだ先という時間帯で、少しばかり小腹が空いてきた頃だった。
「…エレン。オレ、どこに入るか決めた。オレも調査兵団にするよ」
「コニー…お前9番だろ!?確か、前は憲兵団に入るとか言ってたよな?」
「そりゃそっちの方が良いんだが…まぁあれだ、ジャンだ。アイツと同じ兵団には入りたくねぇ。それだけだ!」
「理由になってないような気がするぞ…」
近くで聞いていた同じ班のトーマスが、呆れたような声を漏らす。確かに理由になっていない。気まぐれで決められるのもどうかと思うが…調査兵団の人数が増えるに越したことはないだろう。
するとそこに、久しく嗅いでいないイイ匂いを漂わせたサシャがやってきた。
「あのぅ、みなさん……。上官の食料庫からお肉盗ってきました」
「「「………!! 」」」
私以外の連中は、とうとうやりやがったという目でサシャを見ている。盗みなんてどう考えても懲罰モノだからだ。
「サシャ…お前独房にブチ込まれたいのか…? 」
「お前って本当にバカなんだな…」
「バカって怖ぇ……」
しかし私は、それらの言葉が自分に向けられているような気がしていた。
「おいお前ら、それ、私に言ってるのかぁ?」
「え…お前には何も…ってオイ、そりゃ一体…」
「ジャーン!上官の食料庫から盗んできたパンと芋だぞー!あははははっ!」
「パァン!!?私に下さいそれえええええ!!」
「はいはい」
「ふおおぉああぁっ!!ありがとうございます、ありがとうございますスイカァァァァ!!!」
人数分とプラスアルファで2、3個持ってきた分をサシャに与える。腹を空かせた動物のような勢いで食べるサシャには少し引いたが、そんな私よりも私に対して引いている者が多数…。
「スイカ…お前マジか…独房モンだぞ…?しかも2番の成績が剥奪されるかもだし…」
「いーのいーのっ!どーせすぐに抜け出せるし?というか、バレなきゃ良いもん。ね、サシャ!」
「そのとーりですぅぅぅ!!…ハッ…このパンにスライスした肉と芋を挟めば…!うひょおおっ!こんな贅沢が出来るなんてっ…固定砲整備4班で良かったですっ…!!」
「いや、ゼッテー班は関係ねぇだろ……。いくらバカなオレでも引くぞ…。てか肉は返してこい、黙っててやるからさ…」
「良いんですよ、土地を奪還すれば牛も羊もまた増えるんですから!ですよね、スイカさん!!」
「そーだそーだーっ!ウォール・マリア奪還前の前祝いってやつだ!ほら、ミーナもサムエルも、こっち来いって!上官方が居ないうちにこっそり食べちゃお!」
「食べるにしてもせめてお昼の時間にしようよ。こんな時間に兵士が集まってたら、不審がられるかもしれないしさ?」
「うーん…それもそっか。じゃあサシャも間食はそこまでだね、あとはお昼ご飯のときにしよ!」
「うぐぅぅっ…あとで迎えに来ますよ、パン…!芋も肉も大人しく箱の中で待ってて下さい…!」
「食いモンは何処にも行かねぇよ!!」
同レベルのバカ者であるコニーにツッコまれる始末だ。それほどサシャの食べ物に対する執着は凄まじい。私でもここまでではない。
「しっかしまぁ…平和なもんだねぇ」
「あぁ…。だがいつ奴らが来てもおかしくねぇ、装備はいつでも使えるようにしておかねぇとな」
「エレンって真面目だよねぇ。強くなりたいから頑張るの?」
「まぁ、そんなモンだ。オレも、アイツみてぇに強くなりたいな…っていう目標があるし…」
「ははーん…ライナーか!」
「……大抵の奴はそこでミカサって言うんだよ。なんで分かった?」
「だってさ、ライナーって私らの兄貴分みたいなもんじゃん?憧れるのも分かるよぉ。うんうん」
「だよな…。そんなライナーに勝てるんだから、お前もすげぇよ、ホント。どうやったらそんなに強くなれるんだ……?」
「だーかーらー、言ってるだろぉ?私は人間じゃなくて、鬼なんだってばぁ!強いのは鬼だから!あまり怪我しないのも鬼だからなんだよ!」
「ったく、いつ聞いてもそれなんだからなぁ…」
「ホントのことだからだろぉーっ!」
刹那、橙色がかった黄色の稲妻が発生した。
それに気付いて光った方を見ると、そこには、あの「超大型巨人」が出現していた。どう見ても彼方からやってきた訳じゃない。それなら絶対に気が付くはずだ。つまりコイツは、突然現れた。
「うおっ!?」
「熱っ……な、何が………!?」
超大型巨人は熱風を放ち、壁の上にいた班員を吹き飛ばした。私は飛べるからいいが唯の人間は空を飛べない。そんな中、勇敢にも指示を出した人間が、一人。
「立体機動に移れッ!!」
エレンだった。巨人と戦いたがりの「死に急ぎ野郎」の二つ名は伊達ではない。飛んでいるのは流石に手品では誤魔化せないと判断した私も同じように立体機動に移り、壁の上に戻る。一致団結すべき今、「なんで飛べるんだ?」という余計な疑問を抱かせない為にも、ここは兵士に徹する。
一人…サムエルが頭に物をぶつけて立体機動に移れず落ちていったが、そちらはサシャが救助し事なきを得たようだ。
「…サシャ!サムエルを任せたよっ!!エレン、行こう!奴は目の前だ!!」
「そうだな!固定砲整備4班、戦闘準備!目標、目の前!超大型巨人ッ!!これは
飛び上がった私とエレンは、熱風がおさまった壁の上へと降り立つ。私達二人の存在に気付いた超大型はこちらに目を向けてくるが……やはり、見れば見るほど、ベルトルトに似ている。主に目元だが…。まさかベルトルトは私のように体のサイズを大きくできるのだろうか。いいや、厳密に言うと体のサイズではない。見ての通り巨人の見た目なので、「巨人化」と呼ぶべきか。私は、そのままの姿で大きくなるので「巨大化」だ。
「よう……5年振りだな…」
超大型はものも言わず右手を横に振りかぶる。私とエレンは即座に壁の向こう側…超大型の立つ方に身を落とし、再び立体機動に移る。
すると、奴はそのまま腕を振り下ろし固定砲を破壊し尽くし、あまつさえ扉を蹴破ろうと、足を上げ始めた。
「エレン!壁が破られるかもしれない、今の内に早く攻撃しちゃおう!私は向こうから行くから、エレンは反対に!同時攻撃で削り取る!!」
「言われなくとも…ッ!うおおおおぉっ!!!」
左右にわかれ、同時に攻めることにした。私は手ぶらな左手の方へ、エレンは固定砲を破壊した右手の方へまわる。
アンカーを刺すが、それに反応を見せる様子は見せない。知性アリだと睨んだのは早計だった…と思ったその時、私はある事に気が付いた。
奴の足元だ。奴の足元には足跡がある。だが、2、3つくらいしか見つからないのだ。やはり、急に現れたと考えるのが妥当で、それの意味するところ、超大型巨人は普通の巨人ではないということだった。誰かが、巨人に変身しているのだ。
「まずは腕から削ってやるか…!」
巨人…つまり大きくても人型だ。だから腱等を削げば動きは鈍くなるはず。左腋の下…あの辺をブチ抜ければ、左腕は少しの間だけ動かせない。エレンは右側から攻めてくるので攻撃する角度をよく考えなければ。
私はそこでスペルカードを使おうとした。が、エレンが既に接近しつつあると気付き中断した。今ここで使えば、攻撃の余波がエレンに及ぶかもしれない。
幸運にも、超大型はエレンばかり注視していて私には無警戒といった様子だ。彼を振り払おうと腕を動かしても、動きが鈍重であるが故に軽々と回避されている。ならば私は支援だ。支援に回り今はエレンを補佐しなければ。
「エレンに攻撃はさせないから!!酔夢『施餓鬼縛りの術』!!やあああぁぁっ!!」
立体機動装置のワイヤーよりも強靭で、太く、長い鎖で超大型の左腕と頭を結び付ける。これで左手は使い物にならず、奴は左手で挙手しているようなポーズになった。まずは片手を塞いだのでよしとしよう。問題は足だ。
鬼の力で足を吹き飛ばすことはできる。何しろ山すらも吹き飛ばせる力なのだ、拳の圧力だけで足を吹き飛ばすくらい容易だ。しかし、エレンのアンカーが超大型と繋がっている。そんな中で、ヤツの足を吹き飛ばせばどうなるのか。エレンは空中で体勢を崩して、地面か超大型の身体に叩きつけられる。
………いや。ダメだ。ここで躊躇っていては、トロスト区の扉が破壊されるかもしれない。足はもう、いつ振り下ろされてもおかしくないほどに高くなっている。一瞬の判断ミスが命取りだ。
私達ではなく…トロスト区の住民のだ。
「エレンなら大丈夫だよね、信じてるからね…!萃鬼『天手力男投げ』!!」
《密と疎を操る程度の能力》の内、密を操って、手元に大岩を作る。大砲の榴弾なんかよりも数段大きな岩を、山をも吹き飛ばす怪力で投げる。
狙いは少しズレてしまった。だが岩は超大型の腰をブチ抜き、上半身は左肩を下にして地面へと落下していく。一方エレンは、右肩にアンカーを刺していたらしく、一緒になって落ちている。
「なっ…超大型巨人が崩れた…一体何が…!?」
「エレン、体勢を立て直すんだッ!!落ちたら、うなじを削り取れ!!」
「任せろ!!」
これは結構昔のエピソードだが、エレンは一瞬とはいえ壊れた立体機動装置でバランスを取ったことがある。そこまでのバランス感覚を持つ者は中々居ない。そんなエレンならば、急降下中でもバランスは保てるはずだ。
そして、上半身だけの超大型は勢い良く地面に叩きつけられ、うつぶせになっている。うなじが真上に来ている。超大型の右手のそばに門の扉があるのが少し怖いが、再び腕を振りかぶるだけの隙はない。勝ち確だ。今ここで人類の仇をとる。
「いっけええええええっ、エレェェェン!!!」
「────殺った!!」
うなじに刺したアンカーを巻き取り、エレンはガスを蒸かして加速する。私もエレンも、これで勝った、と確信した。しかし次の瞬間、超大型はまたもや熱風を放ち、何故か私やエレンが刺したアンカーは抜けてしまい、空中に放り出された。
「うっ……!?クソ、これじゃ風に飛ばされ…」
だがそれは一瞬の事で、熱風はすぐに止んだ。それならもう一度アンカーを刺せばいい。今度は二人でだ。もう一度アンカーを射出しようとしたその時、超大型が動き出した。すかさず、私達はアンカーを放って、うなじを削ろうと加速する。今度は、超大型も熱風による防御をしなかった。
奴は、私達が到達する前に指を構え─────
「ッ…!?まさかコイツ、指で…!?」
「そんな…!」
─────中指を放った。アンカーを射出してうなじへ向かっている私達の目の前で、とうとうトロスト区の扉は破られてしまった。
現在公開可能な情報
超大型巨人は知性があると思われる。何故なら、固定砲を破壊し、壁(の扉)も破壊したからで、その他の通常の巨人のように人間を食わないからというのが主な根拠である。
萃香は人間が変身していると考えているがこれが当たっているかは不明。
今回から本格的にアレンジ加えます。アレンジが二次創作の醍醐味だよね。
でも、エレンの演説部分を消したから、コニーが本物のバカみたいになっちゃった。
というより、原作が完璧すぎて萃香を入れる隙が中々見当たらないのがやばい。大抵どの作品でも少しくらいは隙見つかるんだけどな…。
熱風を放ってる間は動けないけど、熱風で二人を振り払ったあとに指を構えたんですな。振り払うことによって、体勢を整えた上で再度アンカーを刺す、という動作が生まれるので、その分時間が稼げますし。
…いや、だからってデコピンで扉を破壊って…。でも、超大型巨人の手のサイズならいけるかも…とか思った次第です。
なんたって「破壊の神」ですし。
萃香とエレン、中々に気が合うと思うんですよ。萃香と頭進撃ですし。(理由になってないって)
本作を読んでる方は、進撃の巨人と東方Projectをどの程度ご存じですか?折角のクロスオーバーなので、それぞれのネタなどを使うにあたって参考にさせて頂きます。
-
進撃は知ってる/東方は知らない
-
進撃は知らない/東方は知ってる
-
どちらも知ってる(ある程度原作履修済み)
-
どちらも知らない(聞いた事がある程度)