進撃の世界に鬼が乱入しました 作:創作の巨人
「成程…その地下室に行けば全てがわかると…。お主の親父さんはそう言ったんじゃの?」
「はい…。…信じてもらえますか?」
「…うーむ…」
ピクシスは唸りながら、何やら考え込んでいるようである。それもそのはず、エレンの話は全く信憑性に欠けるものだし、唯一の頼りである記憶すらもまだ少しあやふやなのだから。
「お主自身が確証を得られん以上は、とりあえず頭に入れておくといったところかの。本人すらも確証が持てんのに、何故ワシが信じられよう?」
「…はい…」
頭に入れておいてくれただけでもかなり大きく譲歩してくれたと考えるべきだ。本来だったら、あの男みたいにすぐ彼を処分しようと考えたって何もおかしくないのだから。
私は今回の一件で思い知った。同期達の反応を判断基準にしてはいけない。彼らはまだ若くて、考え方も柔軟そのものだからこそ私を受け入れてくれたのだ。あれが普通だと思ってはいけない。これからは、大人の反応を判断基準にしよう。
「じゃあさピクシス?私の事は信じてくれる?」
「む…?」
「私の『鬼の力』は確かなものだし、何だったら今ここで披露する事も出来る。確証が得られれば信じるに値するんでしょう?」
「ほ…それでは見せてもらおうか、お主の力を。ただ、証人がワシだけだと心許ない。アンカよ、来なさい。共に見物といこうではないか」
「はっ」
近くで破られた扉付近を見張っていた女兵士を呼び寄せるピクシス。私は彼らに言って少しだけ距離を置いてもらう。
「鬼の力って一口に言っても色々あるんだよね。2、3個くらいでいい?」
「よかろう。見せてみなさい」
「はーい。…符の壱『投擲の天岩戸』!」
周囲の、岩石となり得る成分を萃めに萃めて、大岩と成す。これにより生成した直径3mほどの岩は、壁の上に置く訳にはいかないので、適当な方向…巨人が居る方へと放り投げた。岩は巨人の頭を潰し、地面に埋まった。残念ながら殺せてはいないようだ。
「次は~……符の弐『坤軸の大鬼』!」
ピクシスやエレン達との距離を考えて、今回は3m級の大鬼になってみせる。こうして見ると、案外ピクシスの身長が大きいことが分かる。老人なのに180cmはありそうだ。
「ほぅ…超絶美
「し~~~れ~~~い~~~??」
「いやいや、何でもないわい」
「ほいじゃラストは…符の参『追儺返しブラックホール』!!」
白い球体を空中に放り投げると、それは奥深き黒い深淵となって、強烈な風を巻き起こしながら周囲の小道具などを吸い込み始めた。
数秒間それを披露した後は、安全の為に消す。これなら納得もしてくれるだろう。
「それと、立体機動装置が無くても飛べるよ~。ほらこの通り」
立体機動装置をその場に置いて、胡座をかいて空中浮遊する。こんなのは幻想郷の人外や一部の人間なら標準装備の技能だが、この世界の人間が誰一人としてこの能力を有していないのはよーく分かっている。だからこそこの装置に頼るのだ。
「アンカよ……信じられるか……?」
「い…いえっ……にわかには信じられません…」
「そうじゃのぅ…。しかし物事の真偽を見極める程度の事はできるつもりじゃ。こうして目の前で力を見せられた以上…信じる他あるまい。お主…いや、お主らの命は、ワシが保証しよう」
そう物腰柔らかに言うと彼は優しく微笑んだ。優しそうな印象を裏切らない。とてもではないが兵団の中の権力者とは思えない人だ。
「アルミン訓練兵…じゃったかの?」
「ハッ!!」
「お主は先程『巨人の力』と『オニの力』とやらを使えばトロスト区やウォール・マリアの奪還も可能だと申したな。…あれは、本当にそう思ったのか?それとも、苦し紛れの命乞いか?」
「それは……両方です。あの時僕が言おうとしたことは、巨人になった2人が、破壊された扉まであの大岩を運び、扉の穴を塞ぐという事でした」
破られた扉の少し遠くにある、大穴を塞ぐのに丁度いい岩を見やる。確かに扉の穴を塞ぐのには良さそうだ。それに、私の力があればあんな岩を運ぶのは楽だ。エレンの力を借りるまでもない事だ。
「……が、今のスイカの力を見て……少し考えが変わりました」
「ほぅ?というと?」
「エレンの力はまだ不確かです。『巨人の力』の影響なのか、エレンは体調を崩しています。あの強大な力を不確かな状態で行使するのは、あまり得策とは言えないかと思います。ここは、確実な力を持つスイカに頼って、彼女の『オニの力』を使うべきだと考えました。彼女は岩を生成できるので、より円滑に作業が進むかと…」
私も似たようなことを考えていたので、力強く頷いて賛成の意を示した。ただし、私の能力では扉を塞げるサイズの岩を作るのは簡単ではない。なら、アルミンの提案通り「オニの力」を使い、それで岩を運んだ方が早い。そう進言しよう。
「ふーむ…一理あるのぅ。スイカ訓練兵よ、あの扉を塞げるだけの岩は作り出せるのか?」
「穴の大きさは…8mくらいだっけ。あれだけのサイズとなると時間はそれなりに掛かるかなぁ。そもそも私の作る岩って、投げた後バラけるから扉を塞ぐのには向いてないんだ。だから、さっき言ってた通り、あの大岩をエレンと運ぶ方がまだ確実かなって思うよ。それか、私1人で運ぶか」
「そうか…。時間がかかってしまっては元も子もないからのぅ。こうしてる間にもトロスト区には次々と巨人が入ってきておる。エレン訓練兵よ、何か言いたいことはあるか?」
「オレが……オレがあの岩で塞ぎます!あんな岩くらい、オレの力だけで十分です!スイカの力は借りません!!」
…薄々、察してはいた。エレンが私にも大岩を持たせるわけがないと。彼なら自分からその役をやると言うのではないか、と。
「よう言うたの!主は男じゃ!参謀を呼ぼう!!すぐさま作戦を立てようぞ!!」
ピクシスはエレンの肩を叩いて激励し、周囲の兵を呼び集めた。するとすぐに壁の下から兵達が立体機動で召集に応じ、傍に集まった。あまりに突然の事にアルミンは困惑し、焦っている。
「そんな…!?皮算用ですらない思い付きなのにいきなり実用するなんて……」
「あぁ…オレもそうは思ったが、今はこれくらいしか策がねぇのも事実だ……。それに、さっきの駐屯兵団とのやりとりで分かったけど、敵は巨人だけじゃねぇ…」
「えっ…?」
同じ人間もだ、と言いたいのはよく分かった。私も立場としてはエレンと似たようなものだし、彼の心情を察するのは簡単だ。少し考え方が違うだけで敵になるかもしれない。この事はきっと、今だけでなく先々まで通ずることだろう。
「…時は一刻を争う。存分に活躍してもらうぞ、若き兵士達よ」
私とエレンはピクシスに連れられて壁の中央へ移動する。司令が、直々にトロスト区奪還作戦について説明するとの事だ。しかしまぁ、上の者が自ら動いてくれるというのは何とも安心感があることである。紫も隠岐奈も、その他の賢者達も、時にはこうして自ら動いてほしいものだ。
◆
ピクシスによる作戦説明を終えた後は、岩から扉までの最短ルートまでを壁の上を走って移動。下手に巨人の体で動き回るより、最短最速で行動するのが一番手っ取り早いと判断しての事だ。
まず、大多数の兵が壁の反対側へと巨人を誘き寄せる。次に、エレンは壁から飛び降り巨人化、岩を運び扉の穴を塞ぐ。その間、ミカサは精鋭班としてエレンをその他の巨人から守るという役目が与えられている。アルミンは参謀、私もエレンの護衛、そして緊急時は彼の補助役である。これがトロスト区奪還作戦だ。
「えーっと、イアン班長だったっけ?」
「何だ?スイカ訓練兵」
「私ってエレンを巨人から守る役目らしいけど、街への損害は考慮した方がいいの?あんな雑魚、皆殺しにするくらいワケないけどさ、損害を考慮するとしたら殺す方法は限られてくると思って」
「それは…考慮するに越したことはないだろう。しかし、時間が掛かれば掛かるほど、兵士の死亡確率は高くなってしまう。なら、いたずらに兵を失うよりは時間が短い方を選んでほしい」
「オッケー。今回の作戦の指揮権を託されたのはイアン班長だったよね?よろしく頼むよ」
「こちらこそよろしく頼む。お前はミカサ同様、自由に動いてくれて構わない。その方が、お前の力を発揮出来るだろう」
「さっすがぁ!よーし、巨人殺しまくるぞー!」
「…!ここだ!最短ルートに到着した!これより作戦を開始するッ!!」
とうとうトロスト区奪還作戦が始まった。私の初陣は、寧ろこれからが本番なのかもしれない。
現在公開可能な情報
イアン・ディートリッヒ:トロスト区奪還作戦の指揮権を託された男。精鋭班①の班長でもある。ミカサの力を存分に発揮させる為に、自由に行動する事を認めるなど、かなり柔軟な面もある。
リコ・ブレツェンスカ:精鋭班②の班長。堅物な面がある。理論として納得は出来ずとも、自分が正しいと思ったら素直に従うという柔軟さも併せ持っている。(前回キッツに進言していた眼鏡の女は、このリコである)
戦力:精鋭班でも、班単位で巨人1体を相手するのが通常。1人でズバズバと倒すミカサが異常。ましてや投石や素手で殺す萃香は異常中の異常。
本作では、萃香には格闘(暴力)で暴れてもらう予定ですので、弾幕ではなく、萃夢想、緋想天、非想天則のスペルを主に使います。
弾幕だと、速度も威力も榴弾や投石以下です。
進撃世界における「投石」の恐ろしさはジークが教えてくれましたし、存分に活用したいですね。強すぎるとは思いますが…。
それと、実は「鬼」の中でも「伊吹萃香」を選択したのがひとつのポイントだったりします。
単純な力だけなら、星熊勇儀の方が強いですし。
ここら辺は、東方原作(萃夢想)をプレイしてる人は想像しやすいかと思います。そのポイントは何れ明らかになります。
はよシガンシナ決戦まで書きたいーw
それではまた次回。
本作を読んでる方は、進撃の巨人と東方Projectをどの程度ご存じですか?折角のクロスオーバーなので、それぞれのネタなどを使うにあたって参考にさせて頂きます。
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進撃は知ってる/東方は知らない
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進撃は知らない/東方は知ってる
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どちらも知ってる(ある程度原作履修済み)
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どちらも知らない(聞いた事がある程度)