宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国編   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国編」です。


白色彗星帝国編22 信頼

 ヤマトの乗組員は、全員が強制的に下艦させられ、バレラスの迎賓館に収容されていた。

 ヤマトの千人規模の乗組員を収容できるスペースも無く、会議スペースに殆どの人員が集められていた。しかし、艦の代表者は、別室に監禁されていた。

 地球連邦政府のライアン、キャッスル、アーウィンと、土方と芹沢は、同じ部屋に監禁されていた。

 古代は、自身の部屋に、島と太田、南部と加藤が入れられていた。

 雪の部屋には、西条、百合亜、そして山本が入れられていた。

 真田と新見、桐生と新米の技術科のメンバーは、どこか別の施設に連れて行かれたようだった。

 

 古代の部屋――。

 

 南部が物に当たって、行き場の無い怒りを発散していた。

「いつまで、こんなことろに閉じ込めておく気だよ!」

 あれから、地球時間で十日以上が経過しており、外の様子が全く伝わって来ない。その為、ガトランティスとの決戦が既に始まっていることも、彼らには知らされてなかった。

 南部は、尚も怒気を強めていた。

「やっぱり、奴らは信用できない。所詮、波動砲が欲しくて俺たちをここまで呼んだだけだったんだ。俺たちと仲良くなる気なんて、最初っから無かったんだよ!」

 島は、そんな南部に呆れていた。

「お前、それ何回目の話だよ。毎日同じことばかり言ってるぞ」

「島! お前、何とも思わないのかよ!」

「思っているさ。だがなぁ、こう何日も閉じ込められてると、だんだん考えるのも面倒になってくるってもんだ」

「もう、このまま一生ここで皆と、暮らしていくんですかね」

 太田がしんみりと言った。

「俺はごめんだね。こんな狭いところに男ばっか詰められてさ」

 島がぼやく。

 加藤は、そんなやり取りに参加するでもなく、下を向いて黙っていた。古代は、そんな加藤の様子に気が付いた。

「加藤、大丈夫か?」

 加藤は、手を振った。

「俺だって、このままは御免だ」

 その手には、彼の女房と子供の写真を握りしめていた。古代も、それを見て雪のことを思い浮かべた。古代は、邪念を断ち切ろうと、頭を振って立ち上がった。

「皆、聞いてくれ! 必ずここを出て、僕たちは帰れる! ガミラスの人たちは、祖国の命運を思うあまりに起こした事件だ。もう少し信じて見よう!」

 それを聞いた島が言う。

「お前さぁ、お前もそれ毎日やってるぞ」

 古代は、赤面して座り直した。

「……すまん。僕も、何かやらないと落ち着かないんだ」

 

 雪の部屋――。

 

「雪さん」

 百合亜は、部屋に一つしかないベッドに突っ伏したまま、雪に話しかけた。

「どうしたの?」

「つまんない」

 雪も少し疲れた表情で、百合亜の様子に呆れながらも言った。

「そんなこと言わないで、もう少し我慢しよ、ね」

 百合亜は、ふてくされている。

「だって、もう十日以上もこんなところに閉じ込められてるんですよ。あーあ。星名くん大丈夫かなぁ」

「大丈夫よ。きっと」

「彼氏のいる人たちはいいなぁ」と西条未来がぼやく。

 山本は、この狭い部屋の中、ストレッチをしながら話を聞いていた。話が不穏な方向に行くのを、彼女は警戒していた。

 百合亜は、それを聞いて西条に興奮して言った。

「西条さんって、そういえば北野さんと仲良いですよねー」

 西条が赤面して否定する。

「べ、別に、北野くんとは、何でもないよ?」

 雪もその話題に思わず反応する。

「言われて見れば……。本当に何も無いの? ちょっといいなぁって思ったり」

 山本は、聞くに耐えない話が、部屋中に飛び交うのを聞いた。

「ねぇ!」

 山本が急に大きな声を出したので、皆が押し黙った。

「私たち、監禁されてるんだけど。もうちょっと、緊張感持てないの!?」

 それを聞いた百合亜は、言ってはならないことを言い放った。

「いいじゃん、ちょっとぐらい。そっちこそ、毎日この狭い部屋で筋トレとかさぁ。もうちょっと楽しい話題出来ないかな。好きな人とかいないの? 山本さんは?」

「えーっと、百合亜ちゃん! ちょっと静かにしよっか? そろそろ、ガミラス兵が巡回に来る時間だし!」

 雪は、慌てて百合亜の口を押さえつけた。これ以上、喋らすともっといけないことを口走りそうだった。

 山本は、後ろを向いたまま、体が小刻みに震えていた。その耳が真っ赤になっている。

 多分、怒ってる、と雪は思って、静かにするように皆に伝えた。

 

 ライアンの部屋――。

 

「我々は、完全に放置されているようだ」

 土方は、外の様子を窓から眺めていたが、特に何の動きも見られなかった。

「普通は、このような場合、何かしらの交渉があると思ったんだがね」

 ライアンは、疲れた声を出した。

「タラン大臣が言っていた通りなんでしょうな。結局、波動砲が欲しかっただけ、ということなのでしょう」

 芹沢も、疲れきっていた。

「そうとも言えんさ。これは、軍事クーデターだ。ヒス総統を含めたガミラスの閣僚は、皆驚きを隠せなかった。彼らは、そんな風に思っていなかったと私は確信しているよ。波動砲が欲しかったのは軍部。それは当然だろう。彼らは、危機に直面して打開策を探っていたのだから。しかし、さすがにクーデターを起こすのは、想定外だった。私の失策だな」

 ライアンは、そう言って肩を落とした。

「それは、私たちも同罪です」

 アーウィンとキャッスルは、口を揃えてライアンに言った。

「私たちが、この結末を読みきれなかった。あの後、交渉をして有利な条件を引き出そうと画策したのが失敗でした。そんなことをする前に、拘束されてしまった」

 芹沢は、更にぼやいた。

「ヤマトを接収すると言っていたが、ガトランティスは、どうなったんだろうか? バレラスの様子は、特に変わって無いようだが」

 土方は、そのことについて、芹沢に言った。

「ヤマトの兵装は、乗組員の認証が無いと使えないようになっている。ヤマトを使うとしたら、その質問がそろそろ合ってもいいと思うんだが……。外の状況がわからんから、何も考えられない」

 

 同じ建物に、ヒスや、他のガミラスの閣僚も監禁されていた。

「どうして、こんなことに……」

 ヒスは、ため息をついて言った。ローレン・バレルは、ヒスを気遣った。

「悲観したものでは無いですよ。デスラー総統だったら、とっくに私たちを処刑していたでしょう。タラン大臣は、演説で言ってた通り、ガトランティスの撃退に成功したら、このクーデターを終わりにするつもりだと思いますよ」

「本当に、そう思うかね」

 バレルは、それ以上は答えなかった。

 彼も、これからどうなるのかは、予想も出来なかった。しかし、彼の省の事務次官は、監禁されずに逃げるのに、成功したようだった。バレルは、これから何が起こるのか、少し期待をしていた。

 

 その頃、既にヤマトは、宇宙港に戻っていた。ヤマトから降りたバーガーは、急ぎ兵器開発局へ向かって走っていた。

 

 真田は、兵器開発局で、ガミラスの士官に尋問されていた。

「波動砲が使えなかったと報告があった。説明して貰おうか」

ガミラスの士官は、銃を持ったままテーブルを挟んで向かい側の、手錠をはめられた真田に質問した。

「波動砲を使おうとしたのかね? と、言うことは、ガトランティスは、もうすぐ近くまで来ているのかい?」

 真田は、落ちついて逆に質問をした。

「答える必要はない! 回答をしなければ、痛い目にあってもらうしかないが」

「私たちを傷つければ、この交渉は決裂し、欲しい答えは得られないと思うよ。あまり論理的とは言えない考え方だ」

「ならば、試してみるか!」

 ガミラス士官は、真田の横にいる、新見や桐生、新米に向けて、銃を振り回した。

「ひいぃ」

 新米が、悲鳴をあげた。

「待ちなさい! まずは、私から撃ちなさい」

 新見は気丈にも、ガミラス士官に対峙していた。

 そこに突然、尋問部屋のドアが勢い良く開け放たれた。

「馬鹿野郎! お前は何をやってんだ!」

 バーガーは、部屋に入って来るなり、尋問していたガミラス士官の胸ぐらを掴んだ。バーガーの力が強く、その士官は、持っていた銃を手から放してしまった。

「バーガー少佐!?」

 新見と、桐生美影が、驚いてバーガーの名を同時に叫んだ。

「おっ、嬢ちゃん、元気だったか。不自由させてすまねぇ」

 バーガーは、笑顔を桐生に向けるが、慌てて目的を優先した。

「えーと、あんたが真田副長だな」

「あなたは、以前見かけたことがありますね。確か……」

「すまねぇが、昔話をしてる時間がねぇ! 教えてくれ。今、俺たちは、ガトランティスと戦っている。俺は、ヤマトを使ってあの彗星野郎に波動砲を撃とうとしたが、撃てなかった。何故だか今すぐ教えてくれ!」

真田は、鋭い目でバーガーを睨んだ。

「なるほど。あなたの話から推測すると、既にガトランティスは、この星系内まで侵攻していて、しかもあの大彗星が目前に迫っている。そして、ヤマトを接収したあなた方は、あなたにヤマトの指揮を任せた。そして、大彗星に波動砲を撃とうとしたが、失敗してここにやって来た。論理的に考えて出た答えですが、合っていますか?」

「何をまどろっこしいことを言ってんだ! そうだよ! その通り。一体何故なんだ。教えてくれ!」

「ヤマトには、敵の手に落ちた場合を想定して、乗員が認証しなければ、兵装を使用出来ないような仕組みがある。そのせいだと思うよ」

 冷静な真田と、バーガーの気性は、あまり噛み合っていないようだった。バーガーは苛つきを、極力抑えながら話を続けた。

「じゃぁ、今すぐ、俺と一緒に来てくれ! あんた副長だろ? 解除出来るよな?」

「残念ながら、そんなに簡単ではない。乗組員として登録されている主要なスタッフ全員が認証する必要がある。私だけでは解除出来ない」

「じゃ、じゃぁ、そいつらが誰か教えてくれ。今すぐ連れて行く!」

 桐生は、不満そうにバーガーに尋ねた。

「待ってよ、バーガー少佐。ちゃんと話をしてくれないと、皆、何がなんだかわかんないよ?」

 バーガーは、気ばかり焦っていて、道理をきちん説明出来ていないことに気が付いた。そして、皆の手錠を、まずは外すことにした。

「すまねぇ。嬢ちゃんのお陰だ。ちゃんと説明するよ」

バーガーは、現在の詳しい戦況と、ネレディアが自分を庇って被弾したのに、戦場に置いてきてしまったことを説明した。

「ネレディアのことは、俺の個人的な感情だ。それは今はいい。それよりも、今にもガトランティスの大彗星だ。あの野郎は、間もなくここまで来ちまう。そうしたら、俺たちは皆、終わりだ。何とかしなくちゃいけねぇが、それには、波動砲をあの彗星に当てなきゃならねぇ。他のガトランティス艦隊なんざどうにでもなるが、あれだけは、どうにもならねぇ。助けてくれ。この通りだ」

 バーガーは、皆の前で土下座を始めた。桐生は、そのバーガーの肩に触れて真田の方を向いた。

「真田さん。今すぐ、土方さんのところに行った方がいいと思います! 私たちで、ガトランティスを止めないと!」

 

 バーガーは、真田たちを連れて、迎賓館となっている建物に急いだ。入り口で、ガミラス兵に止められたバーガーだったが、ディッツ提督の特命だと言って、強引に、入り口を通させた。

 そして、彼らは、ライアンらが監禁されている部屋に飛び込んで行った。

「あんたが、土方提督か!」

 土方を含め、そこにいた全員がバーガーに注目した。

「何だね? 一体。君は誰だ?」

 ライアンが、皆を代表して言った。バーガーは、明らかに軍人でない地球人を見て、困惑していた。

「もしかして、あんたが、テロン政府の代表の人か?」

「クーデターでこの通り監禁されているがね。私が地球連邦政府代表のライアンだ」

 ライアンは、一介のガミラス士官に過ぎないバーガーを値踏みして言った。

「あーもうめんどくせぇ。俺じゃ話になんねぇだろうが。待ってくれ。相応しい奴に連絡を取る」

 バーガーは、携帯している通信機を操作して、ディッツ提督に連絡を取った。その間に真田は、全員に現在の状況を簡潔に説明した。

 そして、バーガーの通信にディッツではなく、ガデル・タランが応答した。

「バーガー少佐。状況は、ディッツ提督から聞いている。波動砲が使えなかった原因は突き止められたのかね?」

 バーガーは、小さい声で、マジかよ、と言っていたが、努めて真面目な声で回答した。

「原因は判明しました。ヤマトの主要な複数の乗組員の認証が必要です。ここは、地球連邦政府の方々とお話し頂いた方が良いと判断して、ここにやって来ました」

 タランのため息が、通信機越しに伝わって来た。

「……ライアン外務長官。そこにいるのかね?」

「タラン大臣。いや、今はタラン総統かね?」

 タランは、押し黙っていた。

「申し訳ないが、これから、私たちがガトランティスの撃退に協力したとして、その後、私たち全員の身の安全は保証されるのかね? いや、私たちだけではない。地球人全員の身の安全は保証されるのかね? ガトランティスを撃退した後、ガミラス軍は、再び地球を侵略するのではないかね? その懸念を、私たちは、あなた方に対して拭うのは難しいとは思わないかね?」

 タランは、ようやく重い口を開いた。

「ライアン外務長官。おっしゃる懸念はもっともだ。しかし、我々は、好き好んでクーデターを起こしたのではない。このままでは、我がガミラスが滅んでしまうということを憂慮した結果起こした行動だ。……それを信じてくれと言っても、今さら難しいだろうな」

「そうですな。非常に難しい」

 黙っていた土方が、そこまで聞いて口を開いた。

「私の意見を言ってもよろしいですか?」

 ライアンは、少し驚いた。キャッスルとアーウィンは、土方に何か言おうとしたが、ライアンがそれを制した。

「私とタラン大臣では、埒が開かないとお考えかな? いいでしょう。意見をお聞きします」

 土方は、通信機の近くに進んで来た。

「お二人とも、それぞれの立場がおありのため、引くに引けない状況と思います。ですので、一介の軍人に過ぎない私からの提案があります。そちらにディッツ提督はおいでですか?」

 通信機の向こうで、何かやり取りがあった。

「土方提督。私がガミラス帝国軍総司令官のディッツだ」

「地球連邦防衛軍極東管区総司令官の土方です。お話し頂き、ありがとうございます。時間があまり無いと思いますので、回りくどい言い方はしないのでお許しください。あなたには、可愛いお嬢さんがいらっしゃいますね。彼女は、これまで、何度もヤマトに乗艦して、ヤマトの艦長古代などとは旧知の仲で、友人と言っても良いほどの関係を築くことが出来ました。一つ提案なのですが、あなた方と私たちの信頼の証として、お嬢さんを、もう一度、ヤマトにお借り出来ませんか?」

 通信機の向こう側が、静かになった。

「娘を人質として差し出せ、というのか?」

「はっきり申し上げて、その通りです。別にお嬢さんを傷つけようなどと我々は考えていません。しかし、今、ライアン長官が言った懸念を払拭するには、十分な処置だと思いますが、いかがでしょうか?」

 通信機の向こうで、タランがディッツと口論している様子が窺えた。

「私なら、ここにいる」

 通信機の向こうから、メルダ・ディッツの声が聞こえて来た。

「問題ない。今すぐ乗艦させて頂くので、ヤマトであの大彗星を撃破するの手伝って頂きたい」

「メルダ! 勝手なことを!」

「父上。もはや、こんな議論をしている時間は無いのでは?」

 ディッツは、黙っている。自分の娘に対して、怒りと心配から、苦しい選択をしようとしていた。

「……わかった。土方総司令官。娘を丁重に扱うようにお願いする」

 土方は、ライアンの方を向いて頷いた。ライアンも頷き返した。

「私も、あなたのその信頼に答える為、バレラスに残らせてもらおう。これで、双方人質を取った状態で互いに信頼が持てるのではないかね?」

 キャッスルとアーウィンが、何か言っていたが、ライアンはそれを無視した。

 その話に、タランが回答した。

「いいだろう。交渉は、成立だ」

 それを聞いた瞬間、土方は、真田に大声で指示を出した。

「真田! 至急、乗組員をヤマトに乗艦させろ! 準備出来次第、発進させろ!」

 バーガーは、急な展開でおろおろとしていた。桐生は、そのバーガーに向かって、にかっと笑って見せた。

 

続く…

 




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開しています。
注)但し、以前pixivに連載した小説の加筆修正版です。以前のpixiv連載版とは、一部内容が異なります。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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