宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国編   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国編」です。


白色彗星帝国編3 同盟条約

 本日は、地球連邦防衛軍の新兵器を開発中の南部重工業からのレポートをお送りします――。

 

 南部重工業では、急ピッチで複数の新造宇宙戦艦を開発中です。

 地球を救った宇宙戦艦ヤマトの戦闘データを元にして、強力な火器を搭載し、あのガミラスの電子砲をものともしない防御機構を備えた新型艦です。ガミラス戦の教訓から、少なくともガミラスの艦船に負けないことが最低限の性能目標だそうです。

 ヤマトには、イスカンダルから技術供与を受けた、ワープ航法も可能にする波動エンジンが搭載されています。しかし、殆どの新造艦はエンジンだけは従来型を搭載しています。何故波動エンジンを搭載した艦を量産しないのか? ということですが、波動エンジンの起動には、波動コアという起動に必要な装置があり、現在波動コアの製造方法が明らかになっていないため、せっかく波動エンジンを開発しても、動かすことができないそうです。

 ただし、一隻を除いては――。

 

 新造戦艦アンドロメダは、現在南部重工業で開発中の宇宙艦のうち、唯一波動エンジンを搭載しています。ヤマトより強力な武装を装備しており、特徴的なのは波動砲を二門搭載していること、とのことです。

 動かない戦艦を開発してどうなるのか――。

 また、イスカンダルと地球の間で結ばれた波動砲を封印する地球イスカンダル和親条約はどうなるのか――。

 開発が始まるまで政治家による様々な議論が行われてきました。

 

 まず、波動コアの問題は、ヤマトより強力な武装を装備することで、そのヤマトの波動コアをアンドロメダで利用すればよい、という結論となっています。もとより、地球環境を回復させるコスモリバースシステムの依代となったヤマトは、地球を救った記念艦として展示する方向で話が進んでいます。

 

 次に条約の問題です。これは、沖田艦長が結んだ条約であり、地球連邦政府が調印したものではない、とする乱暴な議論がありました。しかし、遠い宇宙を旅してイスカンダルまで到達したこと、地球全体の責任を負った立場だったこと等を鑑み、当時の国連の代表と同等の権限を沖田艦長が持っていた、とする結論になりました。

 そもそも、沖田艦長が条約に調印しなければ、イスカンダルはコスモリバースシステムを渡してくれなかっただろう、というヤマト副長の話が、この議論に終止符を打ちました。

 では、この問題をどうするのか? 条約の前文には、波動砲口の封印プラグを外す行為は地球の法律で罰せられる、と記載があります。

 このことから、新造艦なら対象外である、という解釈が出来る、という声がありました。よって、アンドロメダに対してはこれは適用されない、という解釈です。しかし、これだとあまりにもイスカンダルに対して礼を失していると、再び議論になりました。

 そこで、この罰則自体が地球の法律で決めることが出来ることから、例えば緊急避難的な状況下で、防衛処置として利用する場合は、罰しないという法とすればよいのではないか、という解釈が生まれました。

 ヤマトが波動砲を装備していたことが原因で、コスモリバースシステムの引き渡しに難色を示したイスカンダル側も、ヤマトが身を守るために使用するという制限を自らに課していたことが、最終的に引き渡しを許可する決め手となった、と伝えられています。

 ならば、仮に何らかの危機的状況であれば、封印を解くだけの理由があったと説明出来る、と考えられています。

 

 波動砲――正式名、次元波動爆縮放射機――は、星を死に至らしめる程の、人類が手にした史上最も強力な兵器、と言われています。

 南部重工業の従業員にこのことをインタビューしたところ、いいじゃないか、星の一つや二つ、といった過激な意見も聞かれました。

 

 波動エンジンがもたらす様々な恩恵を軍艦では無く、平和目的で人類が自由に扱う日は来るのでしょうか。その時は、自由に、遠い星ぼしを旅することが出来るようになり、人類の生活が一変することは間違いないでしょう。それと同時に、かつてない強力な兵器への転用の問題と、どのように向き合っていくか。人類は再びイスカンダルに試されているのかも知れません。

 

 今回ご紹介した新造宇宙戦艦アンドロメダは、完成までまだ数ヶ月を要するとのことです。他国でも同様に新造宇宙艦の開発中で、間もなく米国が新たな艦を完成させるという情報もあります。

 

 以上、南部重工業からのレポートでした――。

 

 

 地球連邦防衛軍、極東管区司令本部――。

 

 ガミラスとの会合が終わった数日後、古代と真田は藤堂長官に出頭を命じられていた。

 藤堂が来るまでの間、二人は一階の広いロビーにあったソファーに座り、テレビ映像を眺めて時間を潰していた。

「今のニュース、本当なんですか?」

「聞いてないのかね?」

 古代は罰が悪そうに頭をかいた。

「はぁ。輸送船団の護衛勤務に忙殺されていましたので」

 真田は微笑を浮かべている。

「こういった政治的な動きにも興味を持つべきだ。君のような立場ならね」

 真田は、いつもこんな風に古代に接していた。彼は、古代を弟のように思っていた。科学一筋だった真田を変えたのも、古代をはじめとした若い部下たちと過ごしたあのイスカンダルの大航海であった。

「はい。申し訳ありません。勉強致します」

「今のニュースは本当だ。地球連邦政府が、ヤマトが戻ってからずっと議論を続けて、方針が固まった。地球防衛のことは、国民が皆興味を持つ話題だから、公式に情報が公開されているよ」

 いくつかの情報に、古代は複雑な思いをしていた。

「しかし、ヤマトが記念艦ですか……」

「少し気が早い情報だがね。ヤマトは、イスカンダルの条約の問題への方針が明らかになってすぐに、コスモリバースを取り外して、波動砲を再装備した。と、言っても、蓋は付けたままだがね」

「ということは?」

「先ほどの情報の通りだ。基本的には絶対に使わないが、人類の存亡に関わるような事態の場合は、使用することが出来る。国連宇宙軍の宇宙艦隊がキリシマを残して全滅した状況で、地球防衛はヤマトと波動砲無しでは不可能だ。だから一番早い段階で決定された。と、言っても波動砲が既に使用可能になっていることは、まだ国民には公表されていない。政治家は世論の動きに敏感だ。大量破壊兵器を搭載した軍艦などがあるから戦争が起きる、と、主張する者もいるからね」

「なるほど。もう一つ、新造艦のアンドロメダですが」

「完成するまでは、ヤマトは地球防衛の要として運用される。ただし、完成したら、波動コアを移設することになる。そうしたらヤマトは記念艦となるだろう」

「そうですか……。なんだか寂しいです」

 真田は、何が寂しいのかあまり理解出来なかった。不思議そうな顔で古代を見ている。

「アンドロメダの設計には私も関わったが、あらゆる面でヤマトより優れている。乗ったら君も気に入ると思うよ」

「ちょっとそれは冷たいですよ」

「そうかね?」

 

「諸君、掛けたまえ」

 藤堂と共にやって来たのは、土方、山南と森雪、そして芹沢とメルダ・ディッツ少尉であった。

 古代と真田は、やってきたメンバーを見て驚いた。

 古代は、地球帰還後、多くの時間を雪と過ごしていた為、今も土方の傍で働く彼女が来ることは事前に知っていた。そして、メルダや土方らが参加するからには、先日のガミラスとの会議に関わる話であろうことが容易にわかる。

 そうして、真田と古代は、残る謎の参加者の芹沢を不思議そうに見つめた。

「言いたいことはわかっている。なんでお前がここにいるのか、と考えているのだろう!」

 芹沢は、怒気を押し殺して言った。

「それは……」

 古代は、苦笑いで応えた。

 

 ヤマトが地球帰還後、藤堂の元へ星名がやって来て、ビーメラ星で起こったイズモ計画派の反乱事件について報告した。黒幕の芹沢以下、メンバーは全員逮捕され、軍事裁判が行われた。真田が当時の状況を証言し、メンバー全員が過ちを認めたこと、艦長沖田が、各人を許し、その後も任務につかせたこと、等が説明され情状酌量を訴えた。

 それにより、ほとんどのメンバーが軽い罰を受けることで許されることとなった。

 しかし、芹沢は、最も重い責任が問われ、一時は軍の刑務所に収監されたが、過ちを認め反省をしており、彼なりに人類行く末を案じたあまり起こした事件だったとして、数回の裁判を経て半年後に釈放された。

 それが、まさか元の職に復帰を許されるとは、真田も古代も思いもしなかったのである。

 

 全員が会議室で着席すると、藤堂が説明を始めた。

「諸君。先日のガミラスとの会合の結果、地球連邦政府は、彼らと軍事同盟を結ぶ方針で決まった」

「そうですか……。あのガミラスと同盟。なんだかとても不思議な感じです」

 古代は感慨深げだった。家族を殺された憎い敵だったはずが、いつしか交流を深め、今ここに至っている。

「もちろん、いろいろな意見があった。最終的には、外宇宙の侵略から地球防衛が可能な強力な艦がヤマト一隻しか存在しない、ということに皆、危機感を感じている。ガミラスとの同盟は、安全保障上重要な意味を持つだろう」

「しかし、新造艦を続々と作っていると先ほどニュースでやっていましたが」

 真田が、大きく首を振った。

「所詮は、従来型エンジンの艦だ。改良されて以前の国連宇宙軍の艦船よりは格段に良くなってはいるがね」

「正式に同盟関係が結ばれれば、ガミラスからの技術供与により、波動エンジンと同じ原理のゲシュタム機関で使用しているガミラス製波動コアと呼べるものが製造可能になる。これは我々にとって悲願でもある」

「それは凄い! なら、ヤマトは記念艦にする必要は無くなりますね!」

「だが」

 土方が口を挟んだ。

「ガミラスは波動砲の技術供与を受けることを交換条件にしている。結局、政府は苦渋の選択だったが、この条件を飲んだ」

「何ですって!? 本当に、波動砲の技術を渡すことが決まったんですか?」

 メルダが手を挙げた。

「先日お話しした通り、我がガミラスは、本当に困っている。その点を分かって欲しい。技術供与後の運用については、私も憂慮している。私からもガル・ディッツ提督に釘を刺すつもりだ」

 藤堂が咳払いをして、話を続けた。

「メルダ少尉、我々としても、是非お願いしたい。それから諸君、この件は、まだ正式な調印はしていないことを忘れるな。あくまでも、方針が決まっただけだ。そこで、今日集まってもらった本題だが、君たちにもう一度ガミラスに行ってもらいたい」

「もう一度、ガミラスへ……ですか?」

 古代は心底驚いていた。

「今回は、政治家や役人を何人か乗せていってもらうことになる。彼らに、実際にガミラス政府や国民と話をしてもらい、本当に独裁制から民主主義国家に変わったのか見定めてもらう。その上で、ガミラス星で調印をする手筈となった」

 ここまで黙っていた雪が口を開いた。

「藤堂長官。今のヤマトは土方総司令のもとで、新たな乗組員で運用されています。私たち元乗組員は、それぞれが別の仕事についています。その私たちが、再召集されるということですか?」

 藤堂は頷いた。

「戦争状態では無いとはいえ、さすがに危険な旅になる。インスカンダルの旅を経験した者が行くことが、この任務を完遂する必要な条件だと私が判断した」

 そこで土方が口を挟んだ。

「今回は、私も同行する。ただし、あくまでも提督としての立場でな。艦の指揮は、別の者に務めてもらう」

 古代は、真田の方を見た。当然、かつて副長を務めていた真田が艦長になるのが相応しい。しかし、その真田は、古代の方をちらりと見て微笑している。

「ヤマトがガミラスへ向かうと、往復で半年は地球を離れる事になる。地球防衛が手薄になるが、その間は、ここにいる山南に、地球防衛の責任者として担当してもらう」

 山南は、にこやかに皆に言った。

「皆さん、どーも。前回ヤマトがイスカンダルに行っている間も、土方さんと私で地球防衛を担当してました。今回は、国連宇宙軍時代の艦よりはだいぶましな艦隊があるんでね、まぁ、任せて下さい。前なんて、キリシマ一隻しかないから、随分と心細かったなぁ」

 山南のぼやきに、土方は少しだけ彼を睨みつけた。それに気付いた山南は、苦笑いしている。

「そんなに怖い顔しなくても……。地球防衛の方は、ご心配無く。私にお任せを」

 藤堂は、芹沢を紹介するように、手を差し出した。

「最後に、本当は私がヤマトに同行することも考えたが、さすがに地球を離れることは周囲が許してくれなかった。代わりに、軍の代表として、芹沢くんに行ってもらうことにした」

 古代と真田は、再び芹沢の方を見た。

「何か、問題でも?」

 彼は、手を振ってこっちを見るな、と言っているかのようだった。

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開しています。
注)但し、以前pixivに連載した小説の加筆修正版です。以前のpixiv連載版とは、一部内容が異なります。
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