宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国編   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国編」です。


白色彗星帝国編9 女神は誘う

 ビーメラ星系近傍――。

 

 ヤマトとガミラス艦隊は、天の川銀河から、マゼラン銀河へと向かう途上の銀河間空間を移動していた。もう暫く進めば、バラン星へ跳躍可能な亜空間ゲートが待っている。

 前回のイスカンダルの旅の際に、ヤマトがバラン星のエネルギープラントを破壊していたが、ガミラスは、既に応急処置を施して、利用可能な状態に修復していた。

 現在、ヤマトとガミラス艦隊は、亜空間ゲートの手前のビーメラ星系の近傍を通過していた。

 

 艦橋背面の展望室で、古代と雪は、肩を並べて遠く輝くビーメラ星系の恒星を見つめていた。

 二人は、イズモ計画派が起こした反乱事件の時、古代がビーメラ4に置き去りにされようとしていた時の思い出を話していた。

「あの時、本当に胸が張り裂けそうだった。あなたのことが、本当に好きなんだって、確信したの」

 雪は、あの時のことを懐かしそうに話していた。

「え? そうだったの?」

 驚いたような反応を見せる、相変わらず朴念仁な古代であった。

「じゃあ、あなたはどうだったの? いったいいつから、私のことが好きになったのかな?」

「うーん」

 古代は、眉をひそめて考えている。

「こら! ごまかそうとしてる。私が本当の気持ちを話してるのに。ずるいんじゃない?」

 雪は、古代の脇を肘でつついた。その古代は、頭をかきながら、苦笑いをしていた。

「うーん。実は、地球で初めて会った時から、なんだよね」

 雪は、驚いて目を丸くしていた。そして、話があまりにも胡散臭いと思い、目を細めて彼を睨んでいた。古代は、疑われていることに気づいて、慌てて取り繕おうとした。

「い、いや本当だって! あの時、僕は島と一緒に火星から地球に戻って来たところで、あの時は、君は南部と一緒にいて、ばったりと出会ったよね。覚えてる?」

 今度は言われた雪が、その時のことを思い出そうとして考え込んだ。

「うーん、ごめん。何か、すっごく不愉快になったのは覚えてる」

 それを聞いた古代は、怒ったふりをして言った。

「それは酷い。僕は一目惚れだったのに」

「ごめん、ごめん」

 雪は、笑いながら古代の腕に絡み付いた。

「ふーん。そうなんだ。その割には、その後も、ずっと感じが悪かったよね。よく、喧嘩してたよね」

「そ、それは……。照れくさかったんだ。何か、自分がそういう気持ちでいるって知られたくなかった」

 古代は、恥ずかしそうに弁解していた。そんな古代の様子を見て、雪はため息をついた。

「そのせいで、山本さんのこととか……。私がどんな思いでいたか、知らないでしょ」

 古代は、何のことかわからない、という顔をしていた。

「なんで、そこで山本のことが出てくるんだ?」

 雪は、目を細めて、古代の顔を覗き込む。

「それ、とぼけてるんじゃないのかな?」

 古代は、少し慌てて言い返した。

「そ、そんなことは無い! べ、別に山本とは何もない」

「何で、そんなに焦ってるの? ま、それこそ私には言えないよね」

 

 くしゅっ。

 山本玲は、思い切りくしゃみをしていた。彼女は、舷側の格納庫で、メルダのツヴァルケの整備を手伝っていた。

「テロンでは、そういう時は、誰かが噂してるって言うと聞いた」

 山本は、不思議そうな顔でメルダを睨んだ。

「一体誰から聞いたんだ。そんな話」

 

 古代と雪は、亜空間ゲート侵入に備えて第一艦橋に戻ると、雪は土方に呼び出されて、艦長室に向かった。

「森船務長、参りました」

「入れ」

 雪が艦長室に入ると、土方は、コーヒーを入れようとしていた。

「あら提督。それ、私がやりますよ」

「む?」

 土方は、申し出を受けるべきか躊躇していた。

「はい。座ってお待ちください」

 雪は、にこやかに土方を座らせた。彼女は、土方が途中まで行っていたコーヒー豆をコーヒーメーカーにセットし、水を注いでコーヒーを入れた。暫くして、出来上がったコーヒーをカップに注ぐと、それを土方に差し出した。土方は、カップを持ったまま、じっとその中身を見つめていた。何故か、なかなか口をつけようとしない。

 雪は、そんな土方の様子に全く気がつかずに話をした。

「それで、どうされましたか?」

「あ? う、うん。……その後、古代とは仲良くやっているのかね?」

 雪は、そんな話題をされると思っておらず、少し面食らっていた。

「は、はい。仲良くさせてもらっています。気にかけて頂いてありがとうございます」

 雪は、幸せそうな笑顔を土方に向けた。土方は、結局コーヒーに口をつけずに、そっとテーブルに上にカップを置いた。

「きてもらったのは、ここで前に起こった反乱事件のことを思い出したからだ。君は、イスカンダル人疑惑をかけられていた。そうだな?」

 雪にとっては、嫌な思い出だった。少しだけ暗い顔をしていたが、すぐに明るい笑顔になった。

「そんなこともありましたね。ユリーシャが、その後元気な姿を見せてくれたので、疑いは晴れました。私、もう気にしてませんよ」

「それならよかった。俺は、君の亡くなった父上の友人だった。君が今でも記憶を失ったままでいるし、心配をしている。俺は、君が幸せに暮らせるようにずっと気にかけさせて貰っている。嫌でなければ、今後もずっとな。結婚式には呼んでくれよ」

 雪は、土方に満面の笑顔を向けて言った。

「はい! もちろんです。ありがとうございます」

 

 雪は、艦長室を出て、岬百合亜と交替で第一艦橋の自席に着いていた。先ほどの土方の話で、両親が亡くなり、ユリーシャが生死を彷徨ったあの時の事故のことや、自身の記憶が戻らないことを考えていた。

 自身がイスカンダル人などという疑惑については、今はまったく事実ではないと確信していたが、ふと当時のことで幾つか思い出すことがあった。

 第一艦橋から去ろうとしていた百合亜は、雪の様子が少し変なのに気づいた。その雪は、少し暗い顔をしていた。

「雪さん、どうされました?」

 雪は、はっとして百合亜を見た。

「ん? どうもしないよ?」

「何か良くないことがあったみたいな顔してましたよ。何かあったら言ってくださいね?」

 一礼して、百合亜は後ろに歩き出した。

「百合亜ちゃん、ちょっと待って」

 百合亜は、怪訝な表情で振り返ると、雪の傍に戻って来た。

「あの……。あなたに、ユリーシャのことを聞いてもいい?」

「ユリーシャのこと? いいですよ」

 雪は、ひそひそと百合亜に耳打ちした。

「あなたにユリーシャが入ってた時って、どんな感じだったの?」

 百合亜は、意外な質問に少し驚いていた。

「どうしたんですか?」

「うーん。ちょっと気になることがあって。良かったら教えてくれない?」

 百合亜は、少し考え込んでいる。

「星名くんから、その時の様子を教えてもらったりもしてるけど、夢を見てるみたいな感じです。何をやってたかとか、ユリーシャが考えていることとか、あんまり覚えてないんですけど、かすかに残っているって感じです」

 雪は、それを聞いて、少し考えていた。

「あのね、今度詳しく教えてくれない? 私も、聞いてもらいたいことがあるかも」

 百合亜は、目を輝かせていた。雪のことを尊敬している彼女は、嬉しそうに言った。

「はい! お待ちしてますね」

 

「森船務長。報告を」

 古代は雪に話しかけた。彼も、様子がおかしいのに気が付いているようで、少し心配そうにしている。

「はい。レーダーが、亜空間ゲートを探知。間もなくゲートに到着します」

 彼女は、いつものように、仕事モードで返事をした。

「ありがとう」

 そう言うと、古代は艦内通信のマイクを掴んだ。

「総員、間もなく亜空間ゲートに突入する。警戒態勢に移行せよ」

 ヤマト乗組員は、慌ただしく警戒態勢の準備をおこなった。

 

 亜空間ゲートに到着すると、再び、祈る女の像がゲートの前にうっすらと浮かび上がっている。既に、何度もその像は現れており、次第に皆驚かなくなっていた。

「リッケ大佐。見て下さい」

 空母ミランガルでも、その様子を捉えていた。

「うむ。あれから何度目かな。だんだん、像がはっきり見えてきている気がするな」

 ミランガルの艦長は、像を眺めていた。

「何か訴えたいことでもあるんでしょうか?」

「さぁな。しかし、何かアクションしてこなければ、どうにもならん」

 

 ヤマトでも、その様子を捉えていた。観測結果を真田が報告していた。

「これまでに出現した時と同じだ。何か電気的な特性を持つものが前方に展開している」

 雪もレーダーの観測結果を報告した。

「レーダーには特に反応ありません」

 古代は、どうすることも出来ず、困っている様子だった。

「えっ?」

 雪が、何かに反応してつぶやいた。

「どうした?」

 古代は、雪の様子を気にして尋ねた。

「何か、声が聞こえたような……」

「うん?」

 そう話している間にも、像は消えていった。そして、暫くすると、完全に見えなくなった。

「……申し訳ありません。気のせいだと思います」

 そう雪が言ったため、古代は、一旦気にするのを止め、任務を優先した。

「よし相原、ガミラス艦隊に連絡。十分後にゲートに突入しよう」

 謎の祈る女の像は、彼らの旅を追いかけてきているようだったが、何か出来る訳でもなく、そのままガミラス星への旅を続けるしかなかった。

 

 

 数週間後――。

 

 ヤマトとガミラス艦隊は、バラン星の亜空間ゲートを抜け、一気に大マゼラン銀河目前のところまで到達していた。目前にタランチュラ星雲が広がっている。

「帰ってきたんだな」

 島は、感慨深げに言った。

「そうだな」

 古代も懐かしさで一杯だった。

「それでは、ガミラス艦隊と航路について確認しよう」

 前回のイスカンダルへの旅では、旅路を急ぐため、七色星団を抜ける航路をとったが、ガミラス側と協議した結果、今回は迂回ルートを連続ワープで進むことが決まった。あの時のように、無理に危険なルートを通る必要が無いのだ。

「遂にここまで来たか」

 外務長官のライアンらも第一艦橋に集まってタランチュラ星雲を眺めていた。芹沢と土方も同じく、第一艦橋にいた。

「沖田は、この長旅をたった一艦で、しかもガミラスと戦いながら来ていたんだな」

 土方は、沖田の戦いに思いを馳せた。

「そのお陰で、今の平和がある」

 芹沢も感慨深げだった。

「ここから、ガミラス星までは、どのぐらいかかるのかね?」

 外務次官のキャッスルが、メルダに尋ねた。

「ここからは、それほどかからない。連続ワープを十数回行えばサレザー系に到達できる」

 キャッスルは、嬉しそうにしていた。

「楽しみだ。すぐ行こう」

 島は、そんなキャッスルをたしなめた。

「それは無理ですよ。連続ワープが終わったばかりなので、しばらく通常航行で進みます。ワープは、八時間後に再開します」

 

 雪は舷側の展望室で、百合亜と二人きりで話をしていた。第一艦橋のレーダー席は、今は西条未来が担当していた。

「それじゃぁ、聞かせてくれる?」

 雪は、百合亜を見つめている。

「はい。この間話した通り、私が覚えているのは、何となくだけなんですよ。夢を見ているみたいな感じで。ユリーシャの考えていることで覚えているのは、スターシャさんのことを考えていたことですね。とても温かい感じでした。きっと、お姉さんのスターシャさんのことが大好きだったんだと思います」

 雪は、興味深そうに聞いていた。

「ユリーシャとその時のことについて話したことはあるの?」

「あります。ユリーシャは、ごめんなさいって私に謝りに来てくれました」

「ユリーシャは、逆に百合亜ちゃんの考えていることは知っていたの?」

 百合亜は、恥ずかしそうな顔をしている。

「いいえ。私と同じように、何となくしかわからないみたいでした。でも、私が星名くんのことが好きだって気持ちは伝わったみたいで……。想いが強いと、漏れ伝わってしまうみたいです」

 それを聞いて、雪は考え込んでいた。

「雪さん?」

「あ、ごめんなさい。うーん。そしたら、私も聞いて貰おうかな」

 百合亜が嬉しそうにしている。雪に相談されるのが嬉しくて仕方がないようだった。

「私も、同じような感覚があったの。時々だけど」

 百合亜は、不思議そうにしている。

「雪さんにも、ユリーシャが入ってたんですか?」

「そうなのかな? イスカンダルへの旅の地球を出る前から、時々あったの。特にユリーシャが持っていた映像カプセルを眺めている時。貴方と同じように、スターシャさんへの愛情とか尊敬みたいな感覚がね、時々、ぼうっとするとその感じがあった」

 雪は、目を伏せて、少し暗い表情をしている。

「地球を出る前からですか?」

「そう。それもあって、イスカンダル人疑惑をかけられた時も、自分に自信が無くなっちゃって。あと、イスカンダルに着いた時、ユリーシャに言われたの。『もう一人の私』って。その時は、見た目が似てるからかなって思ってたんだけど、もっと違う意味があったのかも知れない」

 百合亜は、雪の方に身体を乗り出した。

「雪さん、それ間違い無いですよ。ユリーシャは、雪さんに入ったことがあるんですよ! それなら辻褄が合いますよね?」

 雪は、百合亜の勢いに押されて苦笑いをしていた。

「そうだね。やっぱりそうなのかな。でも、それなら、貴方も『もう一人の私』だよね」

 雪は、百合亜ににっこりと微笑みかけた。百合亜は、うんうんと頷いている。

「そうするとね、あの事故の時に入ってきたとしか考えられないの。私の記憶が戻らないことと、何か関係があるのかも知れない。どうしよう、この間からずっと気になっちゃって」

 

 雪は、百合亜と別れた後、食事もとらずに自室に戻って次の勤務に備えて眠ろうとしていた。先ほどの百合亜との会話で、ユリーシャが憑依したことについて確信めいたものはあるが、真相に近づくには、もう一度、ユリーシャに会って聞くしかない。そんなことを考えながら、雪はうとうととし始めた。

 

「……」

 う……ん?誰か、いるの?

「…………」

 あの祈る女性と思われる人物が傍にいた。ベッドにいる雪をそっと見下ろしている。

 貴方は、誰……?

 

 ……ワタシハ、テレサ……テレザートのてれさ。

 

 テレサ……? テレザート? 私に何か話があるの?

 

 危機が迫ってイル……多くノ命ガ失われヨウとシテいる。

 

 どういうこと……? 私に何をして欲しいの……?

 

 テレザートにキテ……。

 

「はっ!?」

 雪は、飛び起きた。勤務時間に備えてセットしたアラームが鳴り響いている。雪はベッドから身体を起こすと、アラームを止めた。

 

 夢……?

 

 雪は、第一艦橋に向かい、西条未来と交替しようとした。

 すると、ヤマトの正面に、再びあの祈る女性の像が現れた。今までに無いほどくっきりと見えていた。

 雪は、目を見開いて、その像を見ていた。

 桐生美影が、既に何度も観測されたこの事象を冷静に報告した。

「再び像の出現を確認しました。反応が今までより強いです」

 古代は、黙ってそれを見ていた。次第に見慣れて来てしまっており、周りを見回すと乗組員も反応が薄い。危険な兆候だと考えた。

「総員、警戒体制! いつでも、戦闘配置に移行出来るよう待機せよ」

 雪が、振り向いて古代に叫んだ。

「待って! 古代くん」

 古代は、驚いた。この第一艦橋で、古代くん、などと彼女が言い出すのは、普通では無かった。

「その……、なんだ。森船務長、報告したまえ」

 雪もそう言われて、古代が困惑しているのに気づいて、はっとした。周りを見ると、他の乗組員も奇異の目で自分を見ていた。

「……し、失礼しました、艦長代理」

 そして、雪は、目を閉じて耳を塞いでいる。

「どうしたんだ。森くん」

 古代は、黙っている雪に、心配そうに声をかけた。

「あの……声が……聞こえるんです。あの女性の声が……」

 古代は、驚いて目を丸くした。そして、黙ったまま相原を見た。相原は、古代の様子に気付き、そのような音声は受信していないと静かに首を振っていた。

 古代は努めて冷静に雪に確認した。

「森くん。それはどんな声なんだ?」

 雪は、硬い表情をしていた。古代の問いに答えようとしているが、とても自信がなさそうだった。

「テレザートに来て欲しい、と呼び掛けられました」

「あの、私でよければ、医務室まで一緒に……」

 交替で第一艦橋を出ようとしていた西条未来が戻って来て、雪の傍にやって来て、気遣っていた。

「そ、そうね……。大変申し訳ありません。交替させて頂いた方が良さそうです」

 雪は、辛そうに項垂れていた。古代は、心配で居ても立っても居られなくなる自分を懸命に堪えて、出来る限り冷静に言った。

「……西条くん。すまないがお願いする」

 そんなやりとりをしている最中、メルダは第一艦橋を訪れており、一部始終を見ていた。

「古代艦長、待ってくれ」

 メルダがつかつかと歩いて来て、雪の前に立つ。

「あの像が、何と言ったのかもう一度聞かせてくれ」

 雪は、とても真剣な表情をして尋ねて来たメルダの方を見た。

「……テレザートに来て欲しいって、彼女が……。私、さっき夢の中で彼女と話したの。名前は、テレサって言っていた」

 雪の声は弱々しく、聞き取り難かった。それを聞いたメルダは、暫く考え込んでいる。

「……メルダ少尉。君は何か知っているのか?」

 メルダは顔を上げて古代の方を向いた。

「テレザートについては、覚えがある。かつて、マゼラン銀河に存在した天体だったと思う。ただ、これはテロン人が知っている可能性が低い情報だ。詳細は、私も艦隊のデータベースで確認が必要だが、そのテレサという名についても聞き覚えがある」

 古代は、その話に大いに興味を持った。雪の言っていることが、本当かも知れないからだ。

「メルダ。すまないが、ガミラス艦隊の方へ行き、事実を確認してもらえないだろうか?」

 

 メルダは、自身のツヴァルケを飛ばしてヤマトを離れ、空母ミランガルに移乗していた。ネレディアに状況を報告すると、彼女も興味を持ったようだ。

 二人は、ネレディアの居室に移動すると、艦内データベースにアクセスした。

「リッケ大佐、ありました。これです。テレザート星系第三番惑星テレザート3。かつてマゼラン銀河に存在していましたが、約千年前のイスカンダル帝国時代に惑星ごと破壊され、現在は星系内を回る小惑星帯になっています。かつて王政により統治されており、女王の名がテレサ、と言い伝えられている、と記載があります。正確な情報かは怪しいところですが、近傍の星系に伝わる伝説を文書にまとめたもののようです。この話は子供向けの寓話があり、私も子供の頃に誰かに聞いたことがあります」

 ネレディアは、腕を組んで考え込んでいる。

「なるほど。そう言われてみれば、私にもそんな覚えがあるな。もしかしたら、テロン人が言っていることは、本当かも知れない」

「そうですね」

 ネレディアは、目を細めて口元を緩めている。

「気になるな。少し、寄り道を提案してみるか?」

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開しています。
注)但し、以前pixivに連載した小説の加筆修正版です。以前のpixiv連載版とは、一部内容が異なります。
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