言い訳ですが仕事中に小説書いてるのがバレて危うくクビになりそうになったので書くのは押さえてました。
仕事に影響出ないようにこれからも投稿頑張りたいと思いますので宜しくお願いします。
今日は川神学園の体育祭。
川神学園の体育祭は夏に行われ、場所は年によって変わる。
今年の場所は海。
生徒達、主に男子生徒のテンションが鰻登りであるのだが___
「水着だ!女子の・・・スク水だあぁぁぁ!!」
「男子以上に盛り上がってるね、姉さん・・・」
とても嬉しそうに女子達を見る百代に大和が引いた目で話しかける。
「まあ、ジジイに参加を制限されているからな。こういう時に楽しまないとやっていけないからな」
「姉さんが出ると戦力バランスが崩壊するからね。ところで朝から気になってたんだけど・・・」
「・・・・・・・・・」
大和が視線を変えるとその場所には元気で明るいのが取得な一子がいた。
百代とはまた逆のベクトルで大盛り上がりしている筈の一子がぼーっと呆けていた。
「おい、犬。さっきからどうしたんだ?犬らしくないぞ」
「うん・・・。実はね、見ちゃったのよ・・・」
「なにを?」
「我流ブルーさんの・・・あうぅぅ・・・」
何かを言おうとした一子だったが顔を赤らめて黙り込んでしまう。
しかし、大和は最初に言った言葉を聞き逃さなかった。
「ワン子!我流ブルーのなにを見たんだ?」
「え、えっと・・・」
正体不明の我流ブルーの情報が手に入るかもしれないと大和は一子に言い寄った。
「が、我流ブルーさんの・・・」
「我流ブルーの?」
「は、裸を見ちゃったのよ!」
「はぁ?えっとそれは素顔込みで?」
「ううん。顔はいつもの仮面を付けてたわ」
「・・・・・・」
赤らめた顔を手で覆い隠して喋った一子の情報に大和は思わず頭を悩ませてしまう。どうやら望んだ情報とは違っていたようだ。
「あっ!裸と言っても上半身よ!誤解しないでよね!!」
「そう言う事じゃねえし、紛らわしいわ!」
「今さら男の上半身を見たくらいで何を動じているの?川神院の人達で見慣れているじゃない?」
「そ、そうなんだけど・・・。我流ブルーさんの身体は違うのよ・・・」
京の言う通り、修行僧である男の人達で上半身の裸ぐらい何度も見てきたであろう。
しかし、一子は我流ブルーもとい兼一の上半身は違った。
ちなみに何故一子がそんな場面に出くわしたのか、それは兼一の油断であった。
夏で暑くなり、修行で汗をかいた兼一は水を浴びるため河原に入った。
その後、河原からでた兼一と日課になった修行の見学に来た一子と出くわしてしまったのだ。
上着だけじゃなく、仮面も外してなかったのは不幸中の幸いと言える。
「裸を見ちゃった私はすぐに逃げ出しちゃったんだけど、我流ブルーさんの身体が目に焼きついちゃって・・・」
「そ、それほど凄い身体だったんだね」
「ということは、この俺様並みに鍛え抜かれた身体だったんだろうな!」
岳人の言葉に一子は首を振って否定をする。
「我流ブルーさんの身体は普通に鍛えて大きくなった筋肉とは違っていたわ。なんと言うか・・・戦う為に無駄な筋肉がない、筋肉を限界まで絞りあげた筋肉・・・」
「なにそれ?一体どういう筋肉なのさ?」
「ていうか。この俺様より鍛え上げられた筋肉なんてありえねえだろ!」
「そんな事言われたって私だって分からないわよ・・・。あんな身体見たの初めてなんだから!」
言い寄るモロと岳人に一子は顔を真っ赤にしてそう答える。
そんな三人を見て大和は結局我流ブルーの情報を得る事が出来ず落胆するのであった。
「あ、暑い・・・」
「だ、大丈夫ですか兼一さん?」
大和達が盛り上がっている中、兼一は夏の暑さに参っていた
「というか、そのジャージを脱げば良いんじゃないですか?」
「いや、それは出来ないんだよ・・・」
由紀江と友達になった伊予がジャージを着た兼一にそう言うが兼一はそれを拒否した。
兼一の身体は師匠達の手によって改造もとい鍛え上げられた結果、その身体は一般人にとってひいてしまう程のものになったのだ
「僕は直射日光に弱いんだ」
「そうなんですか?それは大変ですね」
「うん・・・(今なら夏くんの気持ちがよく分かる)」
兼一は親友でライバルである谷本夏の気持ちをよく理解した瞬間であった。
「あっ!次は私達が出る競技ですね!」
「うん!行こう、まゆっち、兼一さん!」
楽しそうに歩き出す由紀江と伊予に兼一も付いて行った。
百代と同じく普通に出たら戦力バランスを崩壊させる兼一だが今から出る競技は問題なかった。
「二人三脚ならぬ三人四脚なんてよく考えたなあ」
「これならいくら片方が凄くても片方に合わせなければなりませんから平等に戦う事が出来ます」
「頑張ろうね!」
「ちょっと待ちなさい」
準備している中、兼一達に誰かが話しかけてきた。その人物とは1年S組の小杉武蔵であった。
「武蔵さん、久しぶり。会いに行っても逃げ出しちゃうから心配してたんだ」
「べ、別に逃げたりしてないわ!あなたが来た時にちょうど用事があっただけよ!」
顔を真っ赤にして怒る小杉は兼一に指さした。
「次の競技に出るのよね?そこで私と勝負しなさい!」
「勝負?」
「この競技で負けた方が勝った方の言う事を聞く。如何かしら?」
「・・・その勝負は僕と武蔵さんの話であって、ペアの子は関係ないよね?」
兼一の質問に小杉は笑みを浮かべて答えた。
「もちろん。これは私と白浜さんのみのお話。故に言う事を言うのも従うのも私か白浜さんのみ!プレミアムに安心なさい!」
「わかった」
「兼一さん!?」
勝負を了承する兼一に驚愕する由紀江
「い、良いんですか白浜さん?」
「大丈夫。さあ行こう」
心配する伊予に兼一は笑顔で答えて競技の準備へと移動する。
そんな兼一の様子を見て小杉は怪しい笑みを浮かべていた。
そして兼一達の順番が来る。
左に由紀江、右に伊予、そして真ん中に兼一という配置だった。
「2人とも、僕と武蔵さんの勝負は気にしないで楽しくやろう」
「で、ですが・・・」
「うん・・・」
『位置について~』
笑顔でそういう兼一だが由紀江と伊予は不安そうな顔で兼一を見る。何かを言いたそうだが無情にも開始の合図が出された
『スタート!』
「さあ、プレミアムに華麗な走りを見なさい!」
合図と共に素晴らしいスタートをした小杉ペア。兼一達は他のペア達よりも少し遅れて走り出した。
「1、2!1、2!」
「1、2!1、2!」
「いっ、1、2!1、2!」
兼一達は声を合わして順調に進んでいく。しかし、小杉達とはどんどん離されていく。
「これは性能の差ね!ペアが無能だと苦労するわね!!」
「むっ!1、2!!1、2!!!」
「あっ!大和田さん!いきなりペースを上げたら!?」
「きゃっ!?」
伊予が急にペースを上げたせいで態勢を崩して倒れてしまう
「・・・・・・」
「大和田さん?」
「伊予ちゃん?」
「ごめんなさい・・・」
俯きながら謝りだした伊予に戸惑う兼一。その間にも小杉や他のペア達
追い越していく
「せっかく今日の為に練習してきたのに・・・私のせいで足を引っ張っちゃって・・・。それに白浜さんにも迷惑を・・・」
「そんな、迷惑なんて・・・」
「初めての体育祭だったのにな・・・」
「!!」
涙目になっている伊予を見て兼一は衝撃を受けた。
兼一はこの体育祭にやる気を出せないでいた。二度目の高校生活に体育祭。普通の体育祭ではないがそれでもやる気は出なかった。
しかし、由紀江と伊予は違った。基本負けず嫌いな伊予。負けることは悔しい。
初めての体育祭は良い思い出にしてあげたい。兼一は徐に由紀江を見る。由紀江は微笑みながら頷いた。
「大和田さん。諦めるのはまだ早いよ」
「えっ?」
「まゆっち、大和田さん、協力お願いね?」
「はい!」
「???」
兼一は伊予を立たせて作戦を告げる。勝つための作戦を。
「後、もう少しでプレミアムにゴールよ!そして白浜さんに・・・」
『おおっと!!下位グループの選手が凄い追い上げを見せているぞ!!』
「なんですって!?一体どこが・・・っ!?」
「「うおおおおおおおっ」」
「ひゃあぁぁぁ!?」
後ろを振り向くとそこには凄い早さで小杉のすぐ後ろまで追い上げている兼一達。
その様子は異様な光景で兼一と由紀江が走り、2人に比べてひ弱な伊予は兼一に叫びながらしがみついていた。
『これは凄い!一人が走らずにしがみつく事で三人四脚ではなく二人三脚の要領で走っております!ちなみにこれは反則ではありません!なぜなら、片方に負荷が大きく掛かってしまう為、逆にお奨めしない方法です!!』
「ば、馬鹿な!?」
「「うおおおおおおおっ!!」」
『ゴール!一位は序盤で転倒した白浜、黛、大和田ペアです!まさかの大逆転勝利だ!』
「そ、そんな・・・」
兼一達の後に続いてゴールした小杉は逆転負けという事実に愕然としていた
「やりましたね、兼一さん!」
「うん!大和田さんもよく頑張ったね!」
「えっ、でも私はただ白浜さんにしがみついてただけだし・・・」
「ううん、それは違うよ。大和田さんの勝ちたいという気持ちが、あのスピードでも最後までしがみつくことが出来て、僕の気持ちをも動かした。これは大和田さんが居たからこそ勝てたんだ」
「し、白浜さん・・・ありがとうございます!」
涙目でお礼を言う伊予。
今度の涙は悔し涙ではなく嬉し涙なのは伊予の満面の笑みを見ればすぐに分かった。
「さて、僕らの勝ちな訳だけど武蔵さん。僕は別にさっきの話はなかった事にしてもいいけど?」
「ば、馬鹿にしないで!私は武士娘の端くれ。一度交わした、自分が言った約束をなかったことにするなどありえないわ!」
「そう・・・。それじゃあ早速だけど僕のお願い聞いてもらえるかな?」
「い、良いですとも!煮るなり焼くなり好きにすれば良いわ!」
一瞬、怯えた表情を見せたがすぐに胸を張って兼一を睨みつける。
兼一は小杉に内容を伝える。
「さっき言っていたペアが無能だという発言を撤回して謝って欲しい!」
「・・・なっ!?」
兼一のお願いに目を見開きながら驚く小杉。構わず兼一は言葉を続けた
「武蔵さん。君は周りを蔑んで一番になる事に執着しているみたいだけど、それじゃあ君が本当に望む一番にはなれない」
「くっ・・・」
兼一の言葉に小杉は何も言い返せず逃げ出してしまう。
その行動に兼一はただ見ている事しか出来ず、この一件で少しは変わってくれる事を願いながら
「川神戦役。第4戦を行います!!」
アナウンスと共に生徒達の大歓声が響き渡る。
その渦中の中心になぜか兼一の姿があった
「おおっ!兼一さんじゃねえか!」
「翔一くん!」
兼一の前に翔一が現れて話しかける
「兼一さんと勝負か!悪いけど手加減は出来ねえぜ!大和の命運がかかってるからな!」
現在、翔一のクラスである2年F組は2年S組と川神戦役を行なっていた。
1戦はビーチバレー、2戦は女装水着コンテスト、3戦は巨大棒倒し。
戦績は1勝2敗。
勝てば相手のクラスの生徒を引き抜くことが出来る川神戦役でS組は大和を選んでいた。
翔一は大和を救い出す為、気合いが入る。
そして4戦目は水上徒競走。海面に浮いた足場を渡って行く競技である
この競技は川神戦役とは関係ないクラスも参加する事が出来るので兼一も参加していたのだが、まさかの戦役が行われる番で当たってしまったのだ
「うん。頑張ってね、翔一くん。僕も全力で頑張るよ」
「おう!」
「ふふふっ!そんな余裕ぶっているのも今のうちだ!このS組にして陸上部の斎藤が相手だからな!」
「・・・翔一くん、お友達?」
「いや、知らん」
「そ、そうなんだ」
兼一の質問にきっぱりと答える。その反応に陸上部の斎藤の怒りを買った。
「き、貴様ら~~・・・」
「えっ?僕も!?」
その怒りは何故か兼一にも向けられてしまう。そこで準備の声がかけられる。
兼一は嫌な予感を感じながらもスタート地点に着いた
『位置について~!よーい、スタート!!』
「うらうらうらうら!行くぜ!!」
合図と共に抜け出したのは翔一だった。
まるで風のように駆け出す。
そんな光景を見て翔一のぶっちぎりの一位で決まると生徒達は思われていた。
『おおっと!風間選手の後ろを誰かが付いて行ってるぞ!!』
「なんだと!?」
翔一はちらっと後ろを見るとそこには兼一の姿があった
「言ったでしょ?僕も全力で頑張るってね!」
「へっ!良いねぇ、燃えてきた!」
翔一がさらにスピードを上げる。それと同時に兼一も付いて行く。ちなみに兼一はもちろん全力ではない。
周りを盛り上げる為、そして少しでも自分のクラスに貢献する為に百代に目につかない程度で力を出していた。
『一位はこの2人に絞られました!果たしてどちらが勝つのでしょうか!?』
「俺が一番だああああぁぁぁぁ!」
「・・・・・・!?」
ゴールまで残り1メートル。そこで何故か兼一は反転して逆方向に走り出した。
『ゴール!!激闘を制したのは2年F組、風間翔一選手だ!!』
「な、なにしてんだよ、兼一さん!?急に反転なんかし___っ!?」
「た、助けてくれ!!??」
ゴールした翔一が兼一の行動に驚いて振り向くと、選手の一人だった陸上部の斎藤が海に落ちて溺れていたのだ。
兼一と翔一の接戦に全員が目を奪われて誰も気づかなかったのだが、兼一だけが後ろの異変に気付き動き出したのだ。
「大丈夫か!この手に掴まれ!」
兼一が陸上部の斎藤に手を伸ばす。しかし、兼一は気づけなかった。
手を差し伸べる兼一を見て笑うその顔に
「落ちやがれ!この糞野郎!」
「えっ!?」
兼一の手を掴んだ陸上部の斎藤はそのまま兼一を海へと引きずり込んだ。
引きずり落とされたことによって水しぶきが舞う。
その間に陸上部の斎藤や他の選手達はゴールへと走り込む。
「ぶはっ!・・・あれ?」
海に引きずり落とされた兼一は海面から顔を出すと写った光景に唖然としてしまう。
それは兼一以外の全選手がゴールしてしまったいたのだ。
「・・・・・・」
兼一は黙り込みながら浮いた足場へと登ってゴールへと走った。
せめてゴールはしようと考えた兼一。同じ組の人達からの罵声を覚悟しながら____
「「「うおおおおぉぉぉぉ!!!!」」」
「うえっ!?」
しかし、兼一が浴びたのは罵声ではなく大歓声であった。
予想外の出来ごとに唖然とする兼一。
『今、目先のゴールよりもはるか後ろにいた溺れた人の救助を優先したヒーローがゴールしました。それは演技でしたがそれでも助けに行った白浜兼一さんに大きな拍手をお願いします!!』
「「「わああああぁぁぁ!!!!」」」
アナウンスの声と同時に再び歓声が沸いた。
「え、えっ!?なにがどうなってるの?」
「なにって、兼一さんの行動にここの生徒が感動したんだよ」
「翔一くん?感動って、何を?」
「何って・・・。兼一さん、案外面白い人なんだな!気に入ったぜ!」
「は、はあ?」
理由は分からないが翔一に気に入られた兼一。
一方、兼一を騙した陸上部の斎藤はと言うと___
「ぐはっ!?」
「この屑めが!よくも兼一くんに酷い事してくれたな!成敗してくれる!」
心が陸上部の斎藤を投げ飛ばす。心はS組の勝利なんかよりも兼一を騙した事が許せないでいた。
「あずみ!S組の誇りを忘れたこやつにお灸を据えてやれ!何より、我が友を騙し陥れた罪をつぐなってもらうぞ!」
「かしこまりました!英雄様!!」
心と同じように陸上部の斎藤の行動は英雄の怒りを買ってしまった。
心に投げ飛ばされた陸上部の斎藤の頭を鷲掴みにしたあずみは森の方へと引きずり始めた。
「テメェ、英雄様の友人に手を出したんだ。覚悟は出来てんだろうな?」
「ひ、ひい!?」
「それと・・・あれを酷い目に合わせて良いのはアタイだけだ。それをその身を持って教えてやるから覚悟しな・・・」
「ぎ、ぎゃああああぁぁぁぁ!?」
この後、陸上部の斎藤の姿を見た者は誰も居なかった。
「はあ・・・」
体育祭も終盤に入り盛り上がっている中、1人の少女が溜息を吐いている。
その少女とは、あまりの力で出場制限をされてしまった百代である。
「良いな~。みんな盛り上がってて~」
ぐてーっと百代がダラけているとある放送が流された。
『3年F組、川神百代さん。クラス対抗障害物競争が始まります。急いで来て下さい!』
「なに?」
その放送を聞いて立ち上がる百代。
クラス対抗障害物競争も百代は除外されていた筈なのに何故か呼ばれている。
どういうことだと考えていると鉄心が百代の前に現れる。
「何をしておるか、百代。早く行かんか」
「ちょっと待て、ジジイ。この競技は、私は出場出来ないはずだぞ?どういう風の吹き回しだ?」
「まあ、ハンデはもちろんある。他のクラスは全員参加じゃが、3年F組は百代1人だけと言うルールじゃ」
「おいおい、それじゃあハンデになってないじゃないか?私1人でも余裕で勝てる自信があるぞ」
「まあ、騙されたと思って行ってみんさい」
「・・・これでつまらなかったらただじゃ済まさないからな、ジジイ!」
そう言い残して百代は障害物競争のスタート地点に向かって行った。
如何でしょうか?
とりあえず、前編です。
後半は明日くらいに投稿すると思いますので宜しくお願いします。
後ついでに感想と評価を頂けたら幸いです!