真剣で最強の弟子に恋しなさい!   作:TE
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久しぶりに投稿致しました。

楽しく読んで頂けたら幸いです。


BATTLE.20 義を持つ騎士

水上体育祭が終わって翌日、兼一はいつも通り我流ブルーの姿で修行を行っていた。

「我流ブルーさん!おはようございます!」

そしていつも通りにタイヤを引いた一子が元気よく挨拶をしてくる

「おはよう、一子ちゃん。良かった、今日は元気だね」

「えっ?私はいつも元気よ?」

「いや、昨日はすぐに帰っちゃったから心配してたんだ」

「・・・あっ!」

我流ブルーこと兼一がそう言って一子は上半身裸を見て逃げ出してしまった事を思い出した

「あ、あれは気にしないで!ちょっと急用を思い出してすぐに帰らなきゃいけなかったの!」

「そうなんだ。宿題でもやり忘れてたのかい?」

「うっ・・・それはまあ・・・」

確かによく宿題を忘れて怒られる事が多かったりするの強く否定ができない。

「修行も良いが勉強も頑張らないとダメだぞ?」

「わ、わかってるわよ、もう・・・。それよりも今日は何を手伝えば良いかしら?」

「ふむ。今日は___いやその前に一子ちゃんに聞きたい事があるのだがいいかな?」

「なあに?」

「昨日の体育祭で私と百代さんが戦っただろ。その事について何か話していなかったか?」

兼一は水上体育祭で百代にしたことを後悔はしていないが反省はしていた。

逃げる為とは言え、脱がす必要はなかったのではないかと。

「うーん。最初は顔を真っ赤にするほど怒っていたけれど、久々に本気で戦えて楽しかったって嬉しそうにしてたわ!」

「そ、そうか・・・」

「それと今日のお姉様はいつも以上に修行を真剣に行っていたわ。主に技の鍛錬」

「ふむ・・・」

一子の話に一安心したが、その後の百代の話を聞いて考え込む兼一。

兼一としては技よりも力の鍛錬をして欲しかったのだが上手く伝わらかったようだ。

「我流ブルーさん?」

「いや・・・百代さんが嬉しそうにしていたのならば私も出た甲斐があったよ。では一子ちゃん修行を手伝ってもらおうかな」

「うん!宜しくお願いします!」

一子は笑顔で兼一の修行のお手伝いをするのであった。

「ふう・・・今日も学校が終わった・・・」

学校が終わり下校時間。昨日の水上体育祭の活躍もあってか周りから色々と質問攻めされてお疲れな兼一

いつもなら由紀江と帰っているのだが、今回は一人である。

なぜならば、由紀江は伊予とお買い物をするとの事で兼一も誘われたが今回はお断りしたのだ

「帰ったら何をしようかな・・・。ん?」

考えていると前方に見知った人がいた。

「おーい!クリスさーん!」

「むっ?おおっ、兼一殿じゃないか!」

その人物とはドイツからの留学生クリスだった。兼一とクリスは同じ寮なので一緒帰らないかと誘ってみた

「もちろん、構わない。一緒に帰ろう」

お誘いに快く承諾してくれたクリスは兼一と一緒に歩き出す。

「そういえば兼一殿は何かスポーツか、武術をしているのか?」

「えっ・・・?いきなりどうしたの?」

「いや、昨日の体育祭で兼一殿は凄まじい身体能力であったのでな。少し気になったのだ」

「な、なるほど・・・」

クリスの言葉に兼一は少し頑張りすぎたと反省。

これからは感づかれないように気をつけようと心に決める。

「それに徒競走の時に見せたあの救出活動!私はとても感動した。兼一殿は立派な義の心の持ち主なのだな!」

「はははっ、ありがとう。でも結局は演技に騙されたわけだし」

「確かに演技ではあったが私は兼一殿のその行動に感動したんだ。結果など今は関係ない。それに兼一殿は助けに言った事に後悔はしていないのだろう?」

「それはもちろん」

クリスの質問に迷い無く答える兼一。

そんな兼一を見てクリスは笑みを浮かべた。

「うむうむ。兼一殿は大和丸みたいに真っ直ぐな義を持ったお人だ!私はそれがとても嬉しい」

「大和丸って確かクリスさんがよく見ている時代劇の?」

「そうだ!大和丸は素晴らしい義を持っている。しかし、ここに来て大和丸みたいな日本人は少ない。私はその事を残念に思っていたのだが兼一殿みたいな人に出会えてよかった」

クリスは熱中している『大和丸夢日記』の事となると話が止まらない。しかし、楽しそうに話しているのを止めるわけにもいかないので黙って聞いているとあることに気づいた

「名前や声が似ている大和は大和丸とは全く逆の考えて仕方の無い奴___って兼一殿?」

「おばあちゃん、大丈夫ですか?」

話に夢中になりすぎて隣に兼一が居ない事に気づいたクリスは周りを見渡して兼一を探すとなにやら重たそうな荷物を背負った老人に話しかけていた

「もしよろしければ家までお運びいたしますが?」

「本当かい?それじゃあ、お願いしようかね」

「任して下さい。あっ、クリスさん。すみませんが、一人で帰っててください。僕はおばあちゃんの荷物を家まで運んでから帰りますので」

「・・・いや、私も手伝おう。これを運べば良いんだな?」

「えっ、でも・・・」

クリスは置いてある荷物を持ち始める。

しかし、兼一としては手を患わせたくなかった

「気にするな。私がしたくてしている事だ」

「・・・そうですか、ありがとうございます。これとあれは僕が持ちますんでクリスさんはこれを」

「うむ。了解した」

兼一とクリスはおばあちゃんの荷物を持って歩き出した

「ここがお家ですか?」

「ええ。そうですよ」

「おおっ!ここは!」

おばあちゃんの荷物を持ち歩き始めて数分。

辿り着いたのは年季の入った建物の駄菓子屋だった

「荷物はここに置いておけばいいですか?」

「はいはい。そうですよ。ありがとうございます」

「ここがジャパニーズ駄菓子屋!商店街にもあったけどここはまた違った雰囲気だ!」

クリスは子供のようにはしゃいで周りを見渡している。そんなクリスに兼一が話しかける

「クリスさん。おばあちゃんが荷物を運んでくれたお礼に好きな物を何個か持って行っていいって」

「本当か!!」

兼一の言葉に今度は目を輝かして喜ぶクリスはどのお菓子を貰おうか選び出した。

「なんか懐かしいな。昔住んでた近所にもこんな駄菓子屋があったっけ・・・」

それは武術を始めるきっかけとなる女の子との出会い。そして親友とぶつかりあった。そんな思い出のある場所

「なあなあ、兼一殿。稲荷寿司はないのか?」

「流石に駄菓子屋には稲荷寿司はないでしょ。って、クリスさん、それは貰いすぎでは!?」

苦笑しながらクリスの方を向くとクリスの両手には沢山のお菓子があった。

「構わないよ。持っていきなされ」

「あ、ありがとうございます」

「なあなあ!この綺麗なお菓子はどうやって食べるんだ?」

「水飴だね?これは割り箸でこねるようにして___」

「おおっ!甘くてとても美味いぞ!」

お菓子を美味しそうに食べるクリス。兼一もお菓子を何個か貰って食べ始めた。

「お二人さん。お茶でもいかが?」

「おおっ!頂きます!」

「お嬢さん。良い彼氏を持ってるねえ。大事にしなさいな」

「ぶふっ!?い、いや、私と兼一殿はそんな仲では・・・」

少し動揺しながらそう答えるとクリスの反応が微笑ましかったのか優しい笑顔で言った

「そうなのかい?でもあのお兄さん。最近じゃ見ないくらいの好青年じゃよ。何も思わないのかい?」

「それはまあ・・・」

クリスはお菓子を食べている兼一を見る。

容姿はカッコいい系よりかは可愛い系で親しみやすい。

性格もクリスが好きな大和丸みたいに真っ直ぐな義を持っている。

総合すればかなり理想的な人である事が分かる。

それを自覚すると何故だか顔が熱くなって心臓の鼓動も早くなっていくのが分かった。

「ん?クリスさん、どうしたの?」

「い、いや、なんでもない!?」

「?」

慌てるクリスに首を傾げる兼一。

とても初々しい光景におばあちゃんは微笑んでいた。

しかし、その光景をぶち壊す者達が現れた

「おうおう!邪魔するぜ!」

「ん?」

店に入ってきたのは3人組みの男達。雰囲気からしてお客ではなさそうだと兼一は思った

「よう、ばあちゃん。ここを立退く気になったか?」

「またあんた達かい。あたしゃここを去る気はないよ。商品を買う気が無いんならとっと帰りな」

「商品?こんなもん誰が買うんだよ!」

「あいつ!」

男達は並べてある商品を蹴ったり、ひっくり返したりして店を荒らしていく。

この男達は地上げ屋で相当たちの悪い部類であった。

「テメェもこんな風に荒らされたくなけりゃ、大人しくここを引き渡すんだな」

「止めないか、お前達!!」

「ああ?」

「これ以上の横暴は許さないぞ!!」

地上げ屋の行動に我慢の限界に達したクリスが怒声を上げて静止させる。

地上げ屋達はクリスを見てにやにや笑い出す。

「おいおい。邪魔しねえでくれねえかお嬢ちゃん。あんたの相手は後でじっくりしてやるよ」

「黙れ、下衆。荒らした商品を綺麗に直してとっとと立ち去れ!」

「ああ?調子に乗ってんじゃねえぞ、糞餓鬼!お前らこいつを大人しくさせろ」

そういうと2人の男がクリスを捕まえようと手を伸ばす。

しかし、クリスはその手を払いのけ、すかさず懐に潜り込んだ

「せいっ!」

「うおおっ!?」

男の襟を掴んだクリスはそのまま店の外へと投げ飛ばす

「この女!」

「はあっ!やあっ!!」

「ぐっ!?うあああっ!?」

味方がやられたのを見てもう一人の男が怒りのままにクリスの後ろから襲い掛かる。

しかし、クリスは顔面に当身を喰らわして怯んだ所をさっきの男と同じように店の外へと投げ飛ばした

「こ、この女ただの餓鬼じゃねえ!?」

「大人しくここから消えろ。そして二度とこんな事はしないと約束しろ」

クリスは常備しているレイピアを抜いて男を脅す。

しかし、男はあまり動じていなかった。

「ふ、ふざけんな!お前こそ俺達にこんな事してただで済むと思うなよ!俺達には凄く強え用心棒様がいるんだからな!!」

「用心棒だと?」

「そうだ!俺達の組が束になっても敵わない程の強さだ。お前みたいな餓鬼なんて目じゃねえ!」

「・・・ふん!こけおどしを!では今からその用心棒が居るお前達のアジトを潰しにいく!場所はどこだ?」

「クリスさん!?」

クリスの言葉に驚く兼一。地上げ屋の男はクリスの言葉ににやけ始めた

「いいぜ。場所は___だ。お前が用心棒様に屈する姿を拝めるのが楽しみだぜ。ぐおっ!?」

「そんな日は一生来ない。来るのはお前達の組の滅亡だ。気絶している奴らを連れて、ボスとその強い用心棒とやらにそう伝えろ」

「ちっ!」

クリスに投げ飛ばされた男は悔しそうにその場から気絶した仲間を連れて逃げ出した

それを確認したクリスは地上げ屋のアジトを潰すべく部屋の外へと歩き出す。

だが、兼一がそれを許さなかった。

「待つんだ、クリスさん!本当に行くつもりなのか?」

「当たり前だ!このような横暴を放っておけない!私が成敗してくれる!」

「落ち着いて!単独で動くのは危険だ。ここは他の人にも相談してからでも遅くはない」

頭に血が上っているクリスを止める為声を掛け続けるがクリスが止まる事はない。

「うるさい!兼一殿も直江大和と同じように言うのか!?私は策やらを何やら考える間に民が苦しんでいるのをただ見ていなければならないのか?私は・・・私はそんなのは嫌だ!」

「あっ、クリスさん!すみません、お婆ちゃん。後で片付けを手伝いに行きますので!」

兼一も店から飛び出してしまうクリスを追いかける為に走り出す。

地上げ屋達の言葉がこけおどしならばクリスの実力でも問題ない。

しかし、本当であれば流石のクリスでも危険である。

「ここがアジトだな」

「えっ、近い!?」

追いかけている内にアジトに到着してしまう。と言っても駄菓子屋から1キロも離れていなかったのだ。

まさに目と鼻の先。到着するまでに説得しようと考えていた兼一は愕然としてしまう。

そして、アジトの入口には沢山の部下らしき男達が武器を持って立ち構えていた。

「クリスさん!危険だから止めよう!お婆ちゃんも心配しているし!」

「そのお婆ちゃんの平安の為に今戦うのだ!いくぞ!」

「「「うおおおおぉぉぉ!!」」」

クリスがレイピアを持って突撃する。それと同時に部下達もクリスに向かって襲い掛かる。

「やああああああぁぁぁ!!」

「「「ぎゃああああぁぁぁ!!??」」」

「もう!蓮華さん以上に話を聞かない人だな・・・」

クリスは部下達を紙のように吹き飛ばしながらアジトへと乗り込んでいく。

兼一は溜息を付きながらその後を付いて行った。

「クリスさん、もう止めましょう!この人達も反省してますって」

「ここで最後の部屋だ!行くぞ!」

「少しは僕の声に耳を傾けて!?」

部屋のドアを叩き切って突入するクリス

その部屋にいたのはスキンヘッドっで顔には無数の傷がある男が一人。

クリスはその男にレイピアを向けながら質問した。

「お前がこのアジトの親玉か?」

「・・・いかにもこの俺こそがここの頭だ」

「これ以上の乱暴な地上げをするのは止めると約束しろ。そうすればお仕置きはここまでにしておいてやる」

「くくくっ!ここまで荒しておきながらよく言うお嬢さんだ。だが、その約束は守れねえな」

笑いながら言う頭にクリスは睨み付ける。

この絶対絶命の状態に何故笑っていられるのかクリスには理解出来なかった。

しかし、兼一にはその笑っていられる理由を知っていた。

「クリスさん、下だ!」

「なに?っ!?」

兼一に言われて下を向くとそこから微かな殺気を感じ取れた。クリスはすぐにその場から退くとすぐ後に地面が割れ、その割れ目から槍が飛び出してくる。

そして、その槍を持った男が現れる。クリスはその男にレイピアを向けて警戒する。

「貴様、何者だ?」

「俺か?俺はここの用心棒をやっている勘瞑(かんべい)というものだ」

「貴様が用心棒だと?だがここにくるまでに全ての部屋を回ったが見かけなかったぞ」

「隠れていたのだよ。気配を消してな」

「・・・なるほど。あの男の話は嘘ではなかったみたいだな」

勘瞑がかなりの実力者であると判断したクリスは気を引き締めて対峙する。

「そういう貴様は何者だ?ただの女ではあるまい?」

「私は川神学園2年F組、クリスティアーネ・フリードリヒ。誇り高き騎士だ!」

「ほう・・・」

「(やばいな。あの勘瞑って人『妙手』の域まで達している。クリスさん一人じゃ荷が重い)」

兼一は2人が名乗っている間に二人の実力差を測っていた。

兼一の見立てではクリス以外に一子、眼帯状態のマルギッテの3人がかりで漸く倒せるくらい。

つまり、クリス一人では倒せないという事だ。

それはクリス自身も承知していた。

「(力の差は歴然。ならば!)はあああぁぁぁ!!」

先に仕掛けたのはクリスであった。

レイピアの長所でクリスが得意とする突きの連続攻撃。初見でかつ突きならば交わす事は難しい

「確かに初見で突きを交わすのは難しいが、残念ながら初見ではないのだよ」

「なに!?」

クリスの突きの連続攻撃は勘瞑の槍による突きによって全て防がれてしまう。

「さっき言ったであろう。気配を消して隠れていたともちろんお前の動きを観察しながらな」

「くっ・・・」

一気に形成が逆転するのがわかったクリスはせめて兼一だけでも逃がそうと考える。

「おおっ!勘瞑の旦那が女と戦っているぞ!」

「勘瞑の旦那!頼みますぜ!」

「ちっ・・・」

その考えも復活した部下達によって無駄になる。勘瞑を相手にしてしながら他の部下を相手にして兼一を逃がすのは不可能だった。

クリスは兼一にしか聞こえないような声で話しだした。

「兼一殿。私が出口に居る奴らを吹き飛ばして逃げ道を作る。その逃げ道からこのアジトを抜け出して風間ファミリーの誰かに応援を呼んでくれ」

「クリスさん!?そんなの無茶だ!」

「無茶なのはわかっている。しかしそうするしか___」

「何がそうするしかないんだ?」

「っ!?はあっ!」

勘瞑に急接近されてしまったクリスはレイピアを横薙ぎに振るって距離を取る。

そしてすぐに反転して出口にいる部下に斬りかかろうとする

「おいおい。騎士様が敵に背を向けんなよ?」

「っ!?かはっ!?」

しかし、勘瞑に回り込まれてしまい失敗に終わる

しかも、槍の刃が無いほうを腹部に叩き込まれる。部下に斬りかかろうと突撃した勢いを利用された為威力は倍増されている。

「おい、お前らこの女を拘束しておけ。餓鬼だが中々楽しめそうだからな」

「了解です。勘瞑の旦那!」

勘瞑は槍に刺さっているクリスを放り投げて部下達に渡す。

しかし、それを兼一が許す筈がなかった。

「おおっ?」

「・・・・・・」

「け、兼一殿・・・」

意識が朦朧としているクリスは兼一に視線を向けた。

「クリスさん。大丈夫だから安心して眠ってて」

「兼一ど・・・の・・・」

力尽きたクリスはそのまま気絶してしまう。

兼一は気絶したクリスを近くにあったソファーに寝かした。

「・・・お前ら何をぼさっとしてやがる!あの男から女を奪い返せ!」

「「「応!!」」」

「チェストぉぉぉぉぉぉ!!」

「「「ぎゃあああああぁぁぁ!!??」」」

「何だと!?」

部下達が兼一に襲い掛かるも連続の正拳突きによって吹き飛ばされる。

「・・・貴様、一体・・・?」

「僕かい?僕はただの平和と植物と読書が好きな普通の学生だよ」

「・・・ちっ、ふざけてんじゃねえぞ!この糞餓鬼!!」

勘瞑は渾身の突きを兼一に喰らわす。しかし、兼一に難なくと掴まれてしまう。

「くっ、この!う、動かない!?」

押しても引いてもびくともしない槍。

そして、勘瞑は漸く理解した。

自分と兼一には大きな差があることに

「この気当り・・・貴様、まさか、達人級(マスタークラス)!?」

「山突き!カウ・ロイ!烏牛擺頭!朽木倒し!最強コンボ1号!!」

「ぎゃあああぁぁぁ!!??」

兼一が最強コンボ1号を勘瞑に喰らわして撃沈する。

「さて・・・」

「ひいっ!?」

兼一は椅子に座っていた頭の目の前へと移動した。

頭は今の兼一の事をまるで悪魔のように感じているだろう。

「僕と約束してくれないかな?」

「は、はい!なんなりとお申し付けください!」

今の頭は兼一の笑顔でも恐ろしく感じている。

なぜならば兼一と頭の間にある机には勘瞑の槍が突き刺さっていて、兼一が近づく際に投げつけたものであるからだ。

兼一は机に刺さった槍を持て横に曲げる事で刃部分を折る。

その際になった音で頭をさらなる恐怖に駆り立てた。

「もう二度と乱暴な地上げはしない。あのお婆ちゃんには迷惑をかけない。この約束を守らないと・・・」

兼一は頭の目の前で見えるように槍だった棒を向けると握力だけでその棒を折った。

まるで、約束を破るとこうなるぞと言わんばかりに

「わ、わわわわわっ、わかりました!!」

体中冷や汗を流し号泣しながら兼一と約束をする頭。

兼一はそれを確認すると気絶したクリスを背負ってアジトから出て行った。

「・・・ふう」

「・・・良かった。逆鬼師匠風の交渉術が上手くできて」

内心びびりまくりだった兼一。アジトを出て本音を思わず呟いてしまう。

交渉術と聞いて教わったがこれは交渉ではなく脅しであるのは兼一自身も承知しているのであった。

「う、ううん・・・」

クリスが薄っすらと目を開いて起きはじめる。

その目から最初に写ったのは広い誰かの背中であった。

「お、お父様・・・?」

「ん?あっ、クリスさん。目が覚めましたか?」

「ふぇ?」

自分の父とはまるで違う声。そして首を振り向かせて見えた顔はいつも頬に絆創膏をつけている兼一であった。

「・・・・・・・・・・・・け、兼一殿!?」

かなりの時間を要したが自分がどういう状態であるのかを理解した。

「お、降ろしてくれ!恥ずかしい!」

「ダメですよ。クリスさん、怪我をしているんですから無理しちゃダメです」

「・・・あっ!あの後どうなったんだ?もしかして兼一殿が倒したのか?」

自分が勘瞑によって気絶させられた事を思い出す。

兼一におんぶされていると言うことは全て解決したという事。

アジトに残されたのは兼一のみなのでそう結論に至っても仕方の無いことであった。

「違いますよ。我流ブルーが助けてくれたんです」

「我流ブルーが・・・そうか・・・。兼一殿、今日は本当にすまなかった」

「・・・何がですか?」

急に謝り出すクリス。理由は分かっているがあえて聞き返す兼一

「私は兼一殿の話を全く自分の考えだけで行動してしまい危険な目に合わせてしまった。本当に申し訳ない・・・」

「・・・そういえば我流ブルーが言ってたよ」

「え・・・?」

「『自分の義を信念を貫く事はとても良い事だ。しかし、義を貫き通し仲間が不幸になる事は悪と同じ。その義は本当に仲間にも幸せがあるのかをよく考えて行動すべし』だって」

「・・・なるほど。確かにその通りだ。自分だけでなく仲間の為にもなる義。それこそが私が目指さなければならないもの・・・。今度・・・我流ブルーに・・・会ったらお礼を・・・言わなければ・・・」

「クリスさん?・・・眠っちゃったか・・・」

どうやら兼一のおんぶがおんぶが心地よかったのか再び眠りの中へと行ってしまうクリス。

本当に気持ち良さそうに眠るクリスを見て思わず微笑んでしまう兼一。

今後クリスは我流ブルーの兼一の言葉を心に刻み本当の義を果たしていく事ができるだろう。

「史上最強の弟子・・・。貴様、クリスお嬢様に何をしている・・・?」

しかし、兼一はマルギッテとの約束を果たす事は出来なかったようだ。

「クリスお嬢様がいつもの時間になっても帰って来られなかったから血眼になって探していたというのに・・・。貴様は眠っているお嬢様をおんぶして・・・一体何をしていた?」

「ま、マルギッテさん?これには深い事情というものがありまして」

「ああ、聞いてやる。貴様を私のトンファーの錆びとしてからな!!」

マルギッテは兼一に攻撃を仕掛ける。

兼一は大慌てその攻撃を避けつつ、逃げ出した。

「待てええええええぇぇぇぇぇぇ!!!!」

「嫌あああああぁぁぁぁぁ!?」

結局、クリスが目を覚ましマルギッテを説得してくれるまで(捕まったら撲殺される)鬼ごっこをする羽目になった兼一。

しかも兼一は無意識に、おぶっているクリスを起こさないように動いていた為かなりの長時間、鬼ごっこをしていたのであった。




如何でしょうか?

明日にも投稿する予定です。

感想・評価してくれたら嬉しいです。




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