真剣で最強の弟子に恋しなさい!   作:TE
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明けましておめでとうございます!

今年もよろしくお願いします!

今年こそは早く更新出来るように頑張りたいと思います。


BATTLE.21 夢は崩れ、新たな夢へ

太陽が沈み始めて景色が赤く染まり始めた頃。

河原に、我流ブルーに変身した兼一と一子の姿があった。

「・・・・・・・・・」

一子の目からは涙が溢れ出しており、その表情もいつもの元気なものではなく悲しそうな表情であった。

そんな中、兼一が一子に向けて話しかけた。

「それでも一子ちゃんは強くなりたいかい?」

兼一の言葉に一子の心臓が脈動する。

何故このような状況になっているのか。

それは今日一日を振り返ってみよう。

今日の川神学園は良くも悪くも大盛り上がりである。

その理由の一つである決闘が今日も行われていた。

どの決闘者は、川神一子と川神戦役によって2年S組からF組へと転入してしまった榊原小雪であった。

「頑張れ、ワン子!!」

「絶対、勝てよ!!」

F組からの応援が凄い。主に男子が血眼になって一子を応援している。

この決闘では小雪が勝てばF組からS組に帰る事が出来る。

逆に一子が勝てば、エレガンテ・クアットロの一人葵冬馬とおまけに不死川心がF組に転入する事になっているのだ。

一子が負けたら天使(小雪)は居なくなり、勝てばイケメン(冬馬)と奴隷(心)が入ってくる。

F組にとっては是非とも勝って欲しいのだろう。

「相変わらず騒がしいな・・・。あれ?一子ちゃんが決闘しているね」

「そうですね。相手はあの白髪の方でしょうか?」

偶然通りかかった兼一と由紀江が決闘を始めようとしているのを発見した

「そうみたいだね。見ていこうか?」

「はい。決闘内容は1対1の組手みたいですね」

「武器もありみたいだ。一子ちゃんはいつも通り薙刀であの子は小刀」

「剣の心得でもあるのでしょうか?」

小刀を手にした小雪がその感覚を確かめるように振り回している。

「いや・・・多分違う」

「ではあの小刀は___あっ!決闘が始まりましたね」

話している間に決闘が始まると最初に仕掛けたのは一子であった。

「薙刀の長いリーチを生かした攻撃だけど、やけに単調だ」

「あれでは簡単に避けられてしまいます。どうしたんでしょう?いつもの一子さんではないようですが?」

「うん・・・。心に乱れが生じているね。もしかしたら今回の決闘になった原因が影響しているのかも」

冷静に分析している兼一と由紀江。大和など一般人から見たら一子が怒涛の攻めで優勢に見える

「あっ!凄いですね!あの攻めを掻い潜って蹴りを当てました!」

「うん。それにダメージも大きい。彼女はどうやら蹴り主体のテコンドーをやっているとみた」

「テコンドー・・・。と言うことはあの小刀は一子さんの注意を向かせる為の囮?」

「そうだろうね。あの攻めの中、小刀で防いだ様子もなかった。一子ちゃんも小刀を意識するあまり上半身を集中的に狙っていたからほぼ思い通りの展開だろうね」

「なるほど。一子さんも彼女の狙いも気づけたと思いますし、少しは冷静に対処するのでは?」

「いや・・・一子ちゃんが気づくまで攻撃を見られすぎた。冷静になっても彼女に攻撃を当てるのは難しいね」

「・・・確かに一子さんの攻撃が一向に当りませんね。お相手の方は余裕が見られるようになりました」

「でもただ避けているわけじゃない。分かるかな?合間合間に足を伸ばして一子ちゃんの急所に触れているよ」

兼一に言われて見てみると由紀江もその事が確認できた

「素晴らしい技術です。でもそれはいつでも攻撃は当てられると言うこと。何故仕掛けないのでしょうか?」

「それは分からないけど・・・僕、この学園に来てから驚かされてばかりだったけど。一番驚いているのは武に関して才能豊かな人が沢山居る事だよ。全くもって羨ましい」

「ははは・・・」

兼一の溜息に苦笑する由紀江。

そんな羨ましく思っている兼一がこの学園で一番強いわけなのだが、由紀江はあえてその事はつっこまないようにした

「・・・あんた!さっきからどういうつもりよ!なんで攻撃しないの!?なめてんの!?」

攻撃の合間に触れられている事に気づいた一子が激怒しながら小雪に質問した

「えー?なめてないよー。・・・ただ痛いのは嫌かなって思ってー」

「っ!!ふざけんじゃないわよ!手加減されるくらいなら大怪我した方がましよ!!」

「!」

「てりゃあああぁぁぁぁ!!!!」

「・・・っ!」

一子の今日一番の連撃を放つ。

流石の小雪もその攻撃を捌ききれず、掠り始めた。

「好機!!はああああああああぁぁっ!!」

「・・・・・・・・・」

流れを掴んだ一子は薙刀を頭上で振り回し始めた。

その様子に小雪は警戒して防御の構えをとる

さっきまで盛り上がっていた生徒達も黙り込んでその戦いを見守っている。

もうすぐ決着がつくのだと感じたのだろう。

「やああああぁぁぁぁぁ!!」

一子の上段が小雪に目掛けて一直線。

小雪は今まで使っていなかった小刀で防御の姿勢を取った。

「と見せかけて!!」

「!?」

上段の攻撃は小雪の手前で通り過ぎ、一子はすかさず下段の構えへと変わった。

「これでお終いよ!!」

上段から下段への切り返しで、がら空きになった顎下目掛けて降り抜いた。

だが、一子は気づけなかった小雪の顔には笑みを浮かべていた事に

「なっ!?」

一子の視線から小雪の姿が消えてしまう。

そして、当った手ごたえのない薙刀で一子は避けられた事が分かる。

「っ!上!?」

一子が上を見るとそこには小雪の姿があった。

小雪は持ち前の脚を生かした跳躍力と瞬発力で一子の薙刀よりも早く跳び、避ける事に成功したのだ。

そして、一子が気づいて上を向いた時には小雪が既に足を降りぬいていた。

「ぎゃふっ!?」

小雪の蹴りが一子の顔面に炸裂し、吹き飛ばされた。

「勝者、榊原小雪!!」

「「「おおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!??」」」

吹き飛ばされた一子はその蹴りによって気絶。

小雪の勝利が宣言された。

小雪の大技返しに生徒達は大盛り上がりである。

「一子さん、負けてしまいましたね・・・」

「うん。一子ちゃんは攻め急ぎすぎた。冷静に戦いに臨んでいれば、勝つのは難しいだろうけど、違う結果だったと思う」

「そうですね・・・」

「むっ?おおっ、まゆまゆに白浜さんじゃないか」

「モモ先輩!」

話していると百代が2人の前に歩いてきていた。

「2人も見ていたのか?」

「はい。一子さん、残念でしたね。いつも修行を頑張っていますから頑張ってほしかったのですけど・・・」

「ああ・・・。よく頑張る自慢の妹だ。でも性能の差が出た」

少し残念そうな表情を見せる百代は続けて話した。

「いくら頑張っても、武の頂に行けるのはほんの一握りの選ばれた者だけだ。私やまゆまゆのようにな」

「・・・そうでしょうか?」

「ん?」

「才があってもなくても関係ないです。私は武で頂に行けるのは最後まで諦めずに頑張り続けた人だと思っています。いくら才があろうと努力がなければ実りませんから」

「・・・そうか」

由紀江の百代とは正反対の意見を言われても何も言い返さずそのまま立ち去ってしまう。

百代は何を思ったのか笑みを浮かべていた。

その笑みが何を意味しているのかは分からない。

しかし、兼一は百代より一子の方が気になっていた。

「一子ちゃん・・・」

兼一には見えていた。

一子がその場から立ち去る時には明るく振舞っていたが誰も見ていない角度ではとても悲しい表情をしていた事に。

授業が終わって一子は師匠であるルーに指導を受けた後、走り込みをしようと準備をしていた。

「一子。今日はモウ止めたほうがイイヨ。学園では決闘もしてたし、ダメージがまだ残ってルかもダヨ」

「大丈夫ですよ、ルー師範代!あれくらいいつもの事ですから!」

「しかし・・・」

「それじゃあ、いってきまーす!!」

強引に走りこみに出かける一子。

ルーは心配そうに数この背中を見つめていた。

「勇・往・邁・進!勇・往・邁・進!勇・往・邁・進!」

掛け声を上げながら一子は河原まで到着。

そして、疲れが出たのか足を止めて休憩する。

そして河原を見てぼーっとしていると水面に、自分を倒した小雪とその小雪に嬉しそうに抱きつく百代の姿が映って見えた。

「はっ!?ダメダメダメダメダメ!!休憩終わり!」

何かを振り払うかのように頭を振った後、一子は再び走り始めた。

「・・・・・・・・・」

さっきまでの掛け声はなくなり、一子は無心で走り続ける。そうでなければ嫌な事が頭の中を過ぎってしまう。

「はあ、はあ、はあっ・・・」

走って走って走り続けて、一子の体力が限界に達した。

それでも走ろうと足を動かす一子だったが上手く動かす事が出来ない。

「あっ、へぶっ・・・」

最後には石に躓いてしまい転んでしまった。

「・・・・・・・・・」

一子は転んだまま動かない。

今の転倒で怪我をした訳ではない。体力の限界で指一本動かせない訳でもない。

「う、ううっ・・・」

痛い訳でもないのに涙が溢れ出す一子。

心の奥底から溢れ出す感情を抑え切れずにいた。

それは今まで何度も体験してきた悔しさという負の感情。

楽しい時には笑い、悲しい時には泣く。一子はそんな感情を包み隠さずオープンにしてきた。

しかし、武に対してのそれは違っていた。

もちろん、勝ったときは全力で喜ぶし、負けたときは全力で悔しがる。

しかし、全部を吐き出した訳ではなかった。

勝って嬉しい。

でも、百代お姉様だったらルー師範代だったらもっと綺麗に勝てた。

負けて悔しい。

どうして負けたのだろう。応援してくれる家族やみんなに申し訳ない。

小さい頃から約数年。

吐き出すも残ってしまい、溜まってしまった負の感情が抑えきれなくなった。

「ううっ、ひっぐっ・・・」

涙によって負の感情が流れていく。後数分すればいつもの一子に戻るだろう。

しかし、それを許さない男がいた。

「大丈夫かい?川神一子ちゃん」

「・・・えっ?」

急に話しかけられて涙が止まった一子は地面に向けていた顔を起こす。

そこには我流ブルーの仮面を被った兼一の姿があった。

「立てるかい?」

「あっ、はい。ありがとうございます」

兼一が差し伸べた手を掴んで立ち上がる一子。

兼一は土手に座ると一子にも座るように言った。

「それでどうして泣いていたのかな?」

「・・・・・・」

兼一は一子に泣いていた理由を聞いてみる。

だが、返事はなく唯俯いていた

「無理にとは言わないが恐らく今日の決闘で君が溜め込んでいた何かが崩壊したって所かな?」

「っ!?」

兼一の的を得た言葉に一子は顔を上げて兼一を見る。

その顔はどうしてわかったのかと言いたげなものだった。

「私はそういうことには敏感なのだよ。それにずっと前から君の瞳は迷いや不安が宿っていたからね」

「・・・私は今日、榊原さんに決闘で負けた。とても悔しかったけど、一番悔しかったのは興味津々でお姉様に話しかけられる榊原さんの姿だったの。

私は今日まで武を一生懸命やってきたけど一度も私と戦いたい言われた事はなかったわ。私が妹だからって事もあるだろうけど一番の理由はそれじゃないと私は思うの。

私が弱いから、戦っても楽しくないからなんだろうなって・・・。

お姉様と私は血は繋がってないけど本当の妹のように可愛がってくれる。私はそれがとても嬉しい

でもお姉様と本当の意味で姉妹になるためには、武でお姉様を支えられるような妹に私はなりたいの。

その為には私はもっともっと強くならないといけないわ。それも、川神院の師範代くらいの強さじゃないと・・・

だから、私の夢は川神院の師範代になる事。でも、それを榊原さんには無理だって、才能がないから努力しても無駄だって言われて・・・

悔しかった。でも負けて、心の奥底で本当に無理なんじゃないか?努力した数年間は無駄だったんじゃないかって、お姉様の隣には立てないんじゃないかって、そんな気持ちがどんどん大きくなって怖くなって・・・」

話している間にも涙が溢れてくる一子の姿に兼一はただ見守っている。

一子は涙を腕で拭って兼一のほうへ向いた。

「我流ブルーさん。私は川神院の師範代になる事が出来ますか?」

「・・・・・・・・・」

一子の質問に答えない兼一。

仮面を被っているため、兼一がどういう表情をしているのかがわからなくて不安になってくる一子。

そして兼一は一子の質問に答えた

「・・・無理だ。

今のままではね」

「えっ?」

兼一の最初の言葉に俯いた一子だったが続けて言った言葉を聞いて俯いた顔をすぐに向かせた。

「今の修行内容では一子ちゃんが師範代になるのは無理だろう。でも、私の修行を受ければ可能性はぐんっと上がる」

「ほ、本当ですか!?」

「唯、半端な覚悟では途中で死んでしまうかもしれないよ?」

「死!?」

修行で死ぬ、という考えは全くなかった一子は驚愕を隠せない。

「才能のない一子ちゃんが百代さんを支えたいと言うのならばそのくらいの覚悟が必要なんだ」

「・・・・・・」

「それでも一子ちゃんは強くなりたいかい?」

「強くなりたい!!」

「!?」

即答だった。

一子は大きな声でそう答えたのだ。

「正直、私は死ぬ覚悟なんて全くしたことがなかったわ。でも、お姉様に近づく為、私の夢を叶えるために必要ならば私は死ぬ覚悟を持つ!!」

「その覚悟に偽りはないか?」

「ないわ!」

「死ぬほど辛い修行だ。怖くないのか?」

「私の座右の銘は『勇往邁進』!どんな修行でも恐れず前へ進み続けるわ!」

「・・・・・・素晴らしい!」

一子の答えに兼一は拍手を贈った。

いきなりの拍手に一子は戸惑うが兼一は言葉を続けた。

「君の覚悟・信念は確かに受け取った。私はそれに応えたいと思う」

「じゃ、じゃあ!」

「私が一子ちゃんに修行をつけてあげるよ」

「や、やったーー!!」

言葉通り跳ねながら喜ぶ一子。今までの悲しい表情はどこに行ってしまったのだろうか。

「それじゃあ、我流ブルー師匠!さっそく今からやりましょう!」

「それでも良かったけど、修行は明日からにしよう。今日はある目標を決めようと思う」

「目標?それはもちろん、川神院の師範代になれるくらい___」

「それじゃあダメなんだよ、一子ちゃん」

「えっ?」

兼一の言葉に首を傾げる一子

「百代さんは一子ちゃんが師範代クラスまで強くなっても今の関係は変わらない。百代さんが君に一人の武術家として見てもらうにはそれ以上の強さでないといけないんだ」

「し、師範代以上の強さ?」

「そう。簡単に言えば百代さんのライバル。川神流次期総代候補!」

「え、ええっ!?」

兼一は一子の夢であった師範代は通過点であって、目標は百代と次期総代を争う程に強くしようと考えていた

「そ、そんなに私が強くなれるのかしら・・・?」

「なれる!それに君なら私以上に強くなれる可能性だってあるんだ」

「師匠以上に!?それこそ無理よ!?」

兼一より強くなれる。そんな事など想像できない一子はついつい弱音を吐いてしまう

「そんな事はない。私は一子ちゃん以上に才能がないにも関わらず、今の強さなのだから。しかも、私は今二十歳だが、高校一年生の時なんて今の君よりも弱かったんだぞ」

「嘘っ!?経った五年で今の強さを手に入れたの!?ていうか師匠ってそんなに若かったの!?」

兼一の驚くべき真実に驚愕する一子。

「信じられないのも分かる。だが、事実だ。一子ちゃんは私と同じ強い信念を持ち、私以上の才能を持っている!自信を持ちたまえ!」

「は、はい!私、お姉様みたいに、師匠みたいに強くなるように頑張ります!」

こうして今日、新たな師弟が誕生した。

それは、かつて師匠達全員から武の才能はないと呼ばれた達人と武の才能がないと言われても諦めない少女の師弟であった。




一子の強化フラグが漸く立てれました。

タイトル詐欺と思いました?

残念、夢が師範代から次期総代=百夜のライバルに変更になっただけでした。

前から一子の夢が師範代というのが納得出来なかったんですよね。

師範代は確かに凄いけどそれ以上は目指さないのか?って

ケンイチの弟子になるのだったらそれくらいになってもらわないとダメですよね?

これからこ一子にご期待下さい。

感想・評価を頂けたら嬉しいです。
宜しくお願い致します!







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