「も、百代!?」
いきなり現れた百代に驚愕する鉄心
「おい、ジジイ!ジジイのマジな気を感じて何事かと思って飛んできてやったぞ!」
きょろきょろと周りを見渡すと百代の顔が一瞬、歪んだがすぐににやけ出した。
「川神院の門下生が酷い有様じゃないか!しかも全員師範代クラスの実力者だ。」
まるで新しいおもちゃを見つけた子供ようであった。そんな百代の姿に鉄心は焦りを感じていた
(ヤバい。今、百代に2人を会わせるわけには行かないっちゅうに)
ここで百代に知られれば闇の存在が知られてしまう恐れがある。それだけは避けたかったのだが今からではどうしようも出来ない
「それで?こんな事をした奴はどこのどいつだ?それらしい奴は見当たらないんだが、ジジイがやっつけちゃったのか?」
「なんじゃと?」
鉄心も同じように周りを見渡す。そこには兼一によって倒された門下生と百代しかおらず、長老と兼一の姿が見当たらなかった。
(川神殿)
「っ!?」
いきなり耳に聞こえる自分を呼ぶ声。それは長老の声であるのだが姿が見えない。
(わしと兼ちゃんは今、お主の孫娘に気づかれぬよう隠れておる。適当に話をつけてくれんかのう?)
声は聞こえる。だが、その声で百代にばれるのではないかと危惧したが百代はこちらを向きはしているものの驚いた表情はない。
これは無敵超人の秘儀の一つ「肺力狙音声(ハイパワーソニックボイス)」。声を超音波ビームというごく狭い振動にすることで、周りには聞こえない波に変えて発している
そのことを理解した鉄心はすぐに百代を追い返すために動いた。
「まあ、の。お前さんと立ち合いたいとうるさくての終いには暴れ出したんでちょっと本気を出して追い払ったのじゃ」
「ええ~!ふざけんなよ!これだけの門下生を倒せる奴なら資格充分じゃん」
「馬鹿者。礼儀も知らん奴にそんな資格があるわけなかろう。ちゅうか、百代。学校はどうした?」
「うっ・・・・・・」
露骨に目を逸らそうとする百代。鉄心はすぐさま追い討ちをかけた
「ほう。学園長の前でサボりとは良い度胸してるのう」
「ち、違っ!私はジジイの気を感じたから心配して着てやったんじゃないか!」
「何が心配して着てやったじゃ。余計なお世話じゃし、満面の笑みを浮かべながら現れた奴がなにいっとるんじゃ」
「うぐっ・・・見られてたのか」
「大方、猛者と戦えると思って来たのじゃろうが残念じゃったの。わしが倒しちゃいました~」
「ぬぐぐぐっ~、このジジイぃぃぃ」
年甲斐もなく舌を出して挑発する鉄心。それをただ見ていることしか出来ない百代であった
「さあ、用も済んだじゃろ?さっさと学園に戻るんじゃ。学生は勉強が仕事なんじゃからな」
「はいはい、わかったよ。とんだ無駄骨だったよ。これだったら可愛い子ちゃんと触れ合うために英姿を養うんだったよ。まったく」
心底残念そうに百代は川神院から跳び去っていった
「まったくはこちらのセリフじゃよ」
「ほっほっほっ。川神殿も苦悩なさっているようじゃのう?」
「それがまた可愛くもあるんじゃがな?おや?」
百代が居なくなったことを確認して出てきた長老と兼一。2人を見て鉄心はあることに気づく
「白浜君。頭部に傷が出来とるようじゃが、どうしたのじゃ?」
「いや、鉄心さんが付けたんじゃないですか。あの最後の技で」
「なんと防いだのではなかったのか?」
「流石にあの形で防ぐのは無理でした。倒れないよう踏ん張るのがやっとでしたよ」
兼一の言葉に長老はやれやれといった表情。鉄心は驚きの表情を浮かべていた。
「それで川神殿。兼ちゃんは合格かの?」
「う、うむ。風林寺殿が言う通りその実力に偽りなしじゃった。白浜君、百代のことを守ってやってほしい」
「は、はい!」
「では、これからの詳細を説明しよう。付いてくるのじゃ」
兼一は鉄心に連れられて川神院の中へと入って行った。
その表情はやる気に満ちていた。しかし、兼一はあることを忘れていた。
「今日からこの学園の1年C組に転入する白浜兼一君です。みんなも仲良くしてあげてください」
「・・・・・・」
川神学園に入学することを。
しかも、何故か1年に・・・・・・
今回はいつもより短めになってしまいました。
まあ、元から短めですけど(笑)
ですが、まじこいヒロインというか女性のセリフを多くだせてました。
今まで男ばかりの会話ばかりでむさ苦しかったからよかったかな?
さりげなく前回の修正的な会話をしています。
百代の成長もですが兼一も成長していく過程にしないとつまらないですもんね。
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