ジョディは普段はトレーニングがしやすいように、トロントに住んでいるようだが別宅が田舎の湖畔にあり柔と耕作をそちらに招待した。都会での観光もいいが、東京とNYにいる二人ならそこまで驚くこともないだろうと、どうせなら大自然を見せたいとルネが提案したのだ。もちろん二人は大賛成して車に乗り込んだ。
「起きるだわね! ヤワラ」
柔は驚いて飛び起きる。車は既に止まっていて窓からジョディが顔をのぞかせていた。
「え? 着いたの?」
「よく寝てたね。飛行機では眠れなかった?」
「うそ、あたし、また?」
自己嫌悪に陥りながら車を降りる。何でこんなに気が抜けちゃうんだろう。
「寝てたっていっても1時間くらいだわさ」
それでも寝てたことに変わりない。しかも耕作の肩で。
「ジョディ、何で起こしてくれなかったの?」
「起こしたね。でも、起きなかっただわね。マツダのそばで安心したね」
「そ! そんなこともあるけど……」
チラッと耕作を見る。荷物を運び入れいているのに気付くと、柔は手伝いに行った。
「荷物これだけだよね」
「あたし、自分でやります」
「いいのいいの。トランク閉めてくれると助かるよ」
「はい……」
バタンと車のトランクを閉めて耕作のあとを追う。さっきはよく見てなかったが、耕作の背中が変わった気がする。腕も大きくなったような。
「マツダはたくましくなっただわね」
「ジョディ、わかるの?」
「ルネが言ってる。バルセロナで見かけた時よりもたくましくなってるね」
「そうかもしれないけど、理由はわからないわ」
「鈍いね。ヤワラ」
ジョディは柔を残して家に入った。
「どういうことかしら?」
ジョディの家にはゲストルームが一つあり、そこに荷物を入れるように言われたが、耕作は緊急でジョディと話をした。柔は何を話しているのかわからないので椅子に座って見ていた。耕作の必死の言葉にジョディはニヤけたりしたが最後には驚きで声を上げた。その声にルネも驚く。
「何? どうしたのジョディ?」
「何じゃないだわさ。どうしたのじゃないだわさ。こっちのセリフだわね。二人はステディだと言ったからてっきり……」
ジョディの驚きの理由を察した柔は顔を紅葉みたいに赤らめる。その反応を見てジョディも真実と知り、耕作に同情の目を見せた。それはルネも同様だ。
「ヤワラはゲストルームで私と寝るね。松田は……」
「俺はソファで十分だよ。慣れてるし」
実際耕作は取材で遠方に出かけた時に、車中泊を良くする。アパートでも椅子に座ったまま寝てしまうこともあり、そこまで苦に思わない。
「ルネと一緒に寝てもいいだわよ」
「検討するよ」