YAWARA!~2020 LOVE/WISH   作:いろいと

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vol.7 懲りない男

 柔は大きくため息をつく。こんな危ないことを計画して、3人もいて誰も事前に止めないなんて恐ろしい。思い込みは確認を怠るのだ。

 

「僕だってバカじゃない。誰かが仕組んだかもしれないこの状況の中、相手の思うつぼになると思いますか? 誰が見てるかもわからないのに。あなた方のように、乗り込んでくるかもわからないのに。いくら目の前に柔さんがいても、僕は理性ある大人ですよ」

「そう思ったわ。でも、このホテルなら警戒も緩むと思ったの」

「なおさら警戒しますよ。ここを知ってる人は限られた人だ。僕を調べて突き止めたか、一緒に来たことがあるか。そのどちらも警戒すべき人物となります」

「でも、柔に投げられたのはどうして? 変なことしようとしたんでしょ」

「ええ。それで柔さんが逃げ帰ってくれればいいと思ったんです。しかし、3人とも。僕が類まれなる紳士だったこと、柔さんが柔道の達人だということで危険な事態は免れましたが、一歩間違えばとんでもないことになりかねないですよ」

「はい……」

 

 3人は風祭の言葉にしゅんとしている。本当に浅はかで危険な行為だ。

 

「で、でも、みんなあたしのことを心配してくれたんでしょ。それは、うれしいわ。やり方には賛成できないけど」

「ごめん、柔」

「ごめんね」

「ごめんなさい」

 

 かおり、清水、和美の順であらためてかぶりを下げる。すると、風祭は立ち上がりジャケットを羽織って鞄を持った。

 

「そろそろ僕は帰るよ。ここにいても邪魔になりそうだし」

「あの、風祭さん。お気持ちは嬉しかったです。それから、バルセロナでのことは本当にすみませんでした。お返事もしないままは、失礼でした」

「こちらこそ、お気を悪くなさらないでください。バルセロナの件にしても、僕の方があまりに急で自分勝手でしたから、気になさらないでください」

 

 柔はそう言われて、肩の荷が下りた。気にしてなかったわけじゃないのだ。ただ、話を蒸し返すのも気まずいし、電話で話す内容でもない。会わないでいたのをいいことに何も言わないでいたのが、心に引っかかってた。

 部屋からドアまでの短い廊下で、風祭とかおりは対峙していた。

 

「信じられないよ。君があのかおりだなんて」

「別にどうでもいいじゃない。あたしは進ちゃんと少しの間でも付き合えて幸せだった。女癖悪いけど優しいもの。でも、あたしが一番じゃないことくらい直ぐ分ったわ。だから気を付けなさいよ」

「何を?」

「奥さんにもばれてるかもしれないわよ」

「な、何を言ってるんだい。そんなことあるわけ……」

「女の勘は思ってる以上に鋭いわよ。それから、あたしに呼び出されてノコノコここに来て、未練でもあるのかしら?」

「そりゃ、君ほどの女はそうはいない。番号は変わってないかい?」

「どうかしら?」

「そう。また電話するよ」

 

 かおりは出ていく風祭を手で払うような仕草で見送ると、ドアを閉めた。部屋に戻ると3人とも無言で座っていた。

 

 

 

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