貴使「どうも、今作品の主人公の神山貴使です。それにしても……どうしてこの作品を書いてみようと思ったんだ?」
政実「そうだね……強いて言うなら、今までに無い題材で面白そうだと思ったからかな」
貴使「そっか。さてと……それじゃあそろそろ始めていくか」
政実「うん」
政実・貴使「それでは、第1話を始めていきます」
「……よし、とりあえずこんなところかな」
ある春の日の事、小さな声で独り言ちながら俺は手を止めた後、掴んでいた
「……うん、これでバッチリだな。ここ、『
うんうんと頷きながら境内を再び軽く見回していたその時、
「
「そうだな……それじゃあ今度は
「うん、了解!」
神主である
「それにしても……いつも手伝ってもらって本当に悪いね、貴使君。今日も学校があるのに、朝から大変じゃないかい?」
「ううん……これは俺が好きでやってる事だから、全く大変だと思ってないよ」
「貴使君……」
「それに、この神社は祖父ちゃんが大好きだった神社だから、神社が綺麗じゃなくなったら、たぶん祖父ちゃんも悲しむと思うんだ。祖父ちゃん、毎朝欠かさずにこの神社に参拝してたし、この神社の神様──
「……そうだったなぁ。前に、神主の俺ですらお目に掛かった事が無いのに、お前が会った事があるわけ無いだろ、なんて言ったら、アイツはそれは信心深さが足りないからだって笑いながら言ってたよ。まあ、アイツが亡くなった今となってはその真偽の程は分からないがね」
「……そうだね」
道雄さんの哀しそうな顔を見ながら俺は昨年亡くなった
……そういえば、父さんもこの神社の話は祖父ちゃんから聞いてたみたいだけど、俺ほど興味は無いみたいだったし、神様と茶飲み友達だっていうのも信じてないようだったな。まあ、俺も正直半信半疑ではあるけど、あの祖父ちゃんが嘘をつくとも思えないし……もしかしたら、本当に祖父ちゃんはこの神社の神様と会った事があって、時々一緒に茶飲み話をしてたのかもしれないな……。
水の入ったバケツの重みを感じながら俺が空を仰ぎつつそんな事を思っていると、「それにしても……」と道雄さんは少し哀しそうに溜息交じりでポツリと呟き、拝殿の方にゆっくりと視線を向けた。
「どうしてウチの孫は昔ほどこの神社に興味を示してくれなくなったんだろうか。小さい頃は、貴使君のように手伝いをしてくれたというのに……」
「……仕方ないよ。アイツは……
「そうか……まあ、人生を楽しんでいるのは良い事だが、それでも少し寂しい物があるな……。ところで、貴使君にはそういうガールフレンドとかはいないのかい?」
「あはは、残念ながらいないよ。まあ、こんな風に頼まれてもいないのに、幼馴染みのお祖父さんが神主の神社を好き好んで掃除しに来る奴を好きになってくれる女子なんていないと思うけどさ」
「そうかい? 実は、そんな貴使君の事を想っているけど、恥ずかしくてそれを口に出せずに心に秘めてるだけかもしれないよ?」
「うーん……まあ、それだったら嬉しい……かな?」
「ふふ……もしそういう子が出来たら、大切にしてあげるんだよ?」
「うん、もちろん!」
俺の返事に道雄さんはニコリと笑いながら頷くと、そのまま拝殿の方へ歩いていき、俺も手水舎の方へ歩いていった。
彼女、か……まあ、出来るならそれはそれで嬉しいけど、俺は今時の若者が好むような物よりもこういう神社とか伝統工芸みたいな昔ながらの物や妖とか神獣のような人ならざるモノ達が好きだし、同じような物が好きな子との出会いが無い限りは、たぶん出来そうに無いな。
「……まあ、今はそんな事よりも掃除だ、掃除。神様達が今日も一日を気持ち良く過ごせるように頑張らないとな!」
そう言いながら手水舎の傍にバケツを置いた後、奥からやる気が満ち溢れてくるのを感じながら俺は軽く腕まくりをした。そして、バケツの縁に掛けていた布巾を水に浸した後、力を込めてしっかりと布巾を絞り、手水舎の水拭きを始めた。
その日の夕方、授業も部活動も終えて、さっさと帰ろうと下駄箱に向かおうとしたその時、下駄箱のところに楽しそうに話すある二人組の姿が見え、俺はその仲睦まじそうな様子にどこか安心感を覚えながら息をついた。
「……アイツら、本当に仲が良いよな」
そんな事を独り言ちてからゆっくりと近付いていくと、その内の黒いポニーテールの女子が俺の姿にニコニコと笑いながら手を振ってきた。
「おーい、貴使ー! お疲れさまー!」
「ああ、ありがとうな、詩織。
「おう、サンキューな!」
俺の言葉に俺の親友であり詩織の彼氏でもある
そういえば……二人はさっきから何を話してたんだろう?
二人の会話の内容に疑問を持ち、俺は首を傾げながらそれについて問い掛けた。
「ところで、さっき何か話してたみたいだけど、何を話してたんだ?」
「えへへ……部活が終わった時に祝玖が学校帰りにちょっと寄り道しないかって言ってきたから、どこに行こうかって二人で話し合ってたんだ」
「へえ、そうだったのか。それで、どこに行くのかは決まったのか?」
「うーん……実はまだなんだ。ねえ、貴使だったら学校帰りにどこに寄っていく?」
「え、そうだな……それじゃあじん──」
「神社とか古道具屋さん以外で!」
「それ以外か……それ以外なら、駅前にこの前出来たっていう色んな和スイーツが楽しめるらしい喫茶店なんてどうだ? 噂によると、その店には店主が現地まで赴いて集めたっていう伝統工芸品が店内に飾られていて、それを眺めながら和スイーツと美味いお茶を堪能できるらしいぜ?」
「和スイーツかぁ……たしかにちょっと甘い物が欲しいところだったし、夜ご飯を食べる事も考えるなら、そのくらいが良いかも」
「そうだろ?」
「うん! まあ……伝統工芸品のくだりはいらなかったけどね」
「え、そうか?」
「……そうだよ。まったく……貴使は本当に相変わらずだよね……」
詩織が溜息交じりに言うと、それを聞いていた祝玖が苦笑いを浮かべた。
「あはは……まあ、そうだな。そういえば……小学校の頃からこんな感じなんだっけ?」
「うん……夏休みにウチのお祖父ちゃんのところに話を聞きに来たと思ったら、休み明けの自由研究の発表の時に神道の歴史について発表したり、妖怪に会うには幽霊みたいに怪談を話していれば良いんじゃないかって言い始めたと思ったら、他のクラスの友達まで巻き込んでウチの神社での怪談大会を企画しちゃったりね……」
「あはは、あったな。それで、同じクラスの奴から俺と詩織は実は親公認で付き合ってるんじゃないかって言われてたっけな」
「うん……まあ、その誤解は何とか解けたけど、それを聞いた時は本当にビックリしたし、誤解を解くのは結構苦労したんだからね?」
「あー……うん、それに関しては本当にすまなかった」
「……はあ、まったく……。でも、さっきの和スイーツのお店の案はスゴく良いと思うし、今から行ってみようかな」
「そうだな。あ、そうだ……貴使、せっかくだからお前も案内がてら一緒にどうだ?」
「ん……この後は予定も無いから別に良いけど、お前達こそ良いのか? 」
「うん、もちろん大丈夫だよ。ね、祝玖」
「ああ。まあ、他の奴なら二人きりが良いなんて言うだろうけどな」
「そっか。それなら、俺もついてこうかな」
「うん! よーし、それじゃあ早速行こっ、二人とも!」
「ああ」
「おう!」
詩織の言葉に返事をした後、俺達は詩織の後に続いて昇降口を出た後、他愛ない話をしながら件の店を目指した。そしてその道中、楽しそうに話をする親友と幼馴染みの姿を見て、俺はこんな何の変哲もない日常を送れる事に感謝を抱きつつ、これからも続いていってほしいと願った。しかし、この時の俺は現実とは小説や物語なんかよりも
あの日から数日後、二人がそれぞれの部活動で忙しく、俺が雨の中を一人で帰っていた時、ふと神薙神社の事が気になり、その場に立ち止まった。
「……この雨だし、流石に掃除までは出来ないけど、少しだけ様子を見に行ってみようかな」
雨の中の神薙神社を思い浮かべながら俺は傘の中から黒い雲で覆われた空を見上げた。雷もゴロゴロと音を立てながら鳴り、風も少し強くなっている事から、本当なら行かない方が良いのかもしれないが、俺は何故か神薙神社に行かないといけないような気がしていた。
「……とりあえず、行ってみよう。なんだか嫌な予感がするし……」
独り言ちながらコクリと頷いた後、まるで早く行けと急かすように鳴り始めた心臓の鼓動を感じながら、俺は跳ねた水で靴が濡れるのを気にすること無く神薙神社へ向けて走り出した。走る事数分、俺は神薙神社の鳥居の前に着くと、走ってきた事で更に速く打っていた心臓の鼓動を抑える事もせずに鳥居の前で一礼をした。
「……すみません。今から石段を駆け上がらせてもらいます……!」
そう一言断り、俺は足が滑らせない事だけを気をつけながら急いで石段を駆け上がった。そして石段の最後の段に足を掛けたその時、遥か前方にある賽銭箱の辺りに明らかに不審な人物の姿があった。
「おい! そこで何をしてる!」
賽銭箱へ駆け寄りながら声を掛けると、その人物はゆっくりとこちらへ顔を向け、俺の事を認めると同時に懐から何かを取り出した。そして、それの先がキラリと煌めいた瞬間、俺はそれの正体に予想がつき、急いで不審な人物から少し距離を離して立ち止まった。
「……それ、
「……だとしたら、どうする?」
俺の様子を見たその人物──醜悪な顔をした男性は悪意に満ちた笑みを浮かべながらそう問い掛けてきた瞬間、俺は自分の目の前にいるのが誰なのかが分かった。
コイツ……この前、この近くで連続殺人事件を起こしたって言われてる指名手配犯じゃないか……! それに、どうするって言われても……正直な事を言うなら、ナイフを持った相手に対して何も武器を持たずに立ち向かうのは流石に分が悪い。でも、目の前に指名手配犯がいるのにこのまま逃がすなんていう選択肢も俺には無い。だったら──。
「……そんなの決まってるだろ。今、警察に通報して、アンタを逮捕してもらう」
「そうか……なら、そう出来ないようにさせてもらおうか……!」
指名手配犯は手に持ったナイフを再び煌めかせると、俺へ向けてダッと走り出した。それに対して俺は、相手の動きに注意を払いながら近くにあった木の下へと移動した。木の下へと移動した理由は至って単純。相手がナイフを使うなら、何らかの手段を用いてナイフを使えなくしてしまえば良い。その考えから俺は相手がナイフで攻撃してこようとした時に上手く避け、ナイフを木に刺さらせる事で、相手の凶器を使えなくしてしまおうとしたのだった。
……さて、この考えが上手く行くかは分からないけど、とりあえず今の内に警察に通報を──。
そう考えながら通報をするためにポケットから携帯電話を取り出そうとしていたその時、雷で空がピカッと光ったのに驚き、俺は思わず携帯電話を落としてしまった。
「あ……しまった……!」
そして、急いで携帯電話を取ろうと屈み込んだその時、再び雷で空がピカッと光ったかと思うと、体が急にカーッと熱くなりながら手足が痺れだし、それと同時に意識が急に遠退いていった。
「ま、まさか……」
俺……雷に打たれ、て……。
手足の痺れを感じながら体がゆっくりと倒れていく中、指名手配犯がゆっくりと俺に向けて近付いてくるのが見えたのを最後に、俺の意識はプツンと切れた。
政実「第1話、いかがでしたでしょうか」
貴使「そういえば……他の作品に比べたら、この作品は結構短めなんだな」
政実「うん。この作品は一話一話を短めにして、簡単に読めるようにしていこうと思ってね」
貴使「わかった。そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので、書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします」
政実「さて……それじゃあそろそろ締めていこうか」
貴使「ああ」
政実・貴使「それでは、また次回」