とある吹雪が総理大臣(既婚者)の『秘書官』になり、年末年始に家族と共に過ごさないかと誘われた…だけです。

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明けましておめでとうございます。
旧年中は読者の皆様に大変お世話になりました。
今回はオリジナル短編です。
吹雪以外は全員オリキャラ。戦後設定です。
では、今年もよろしくお願いします。



とある吹雪の年末年始

12月31日 午後5時頃 帝都東京 某所

 

 

「こんにちは〜、吹雪です」

 

 

「あらあら、吹雪ちゃん。随分早く来たわね」

 

帝都東京都内の福本伊吹総理大臣(兼元海軍大将)自宅にやって来た『秘書官』吹雪。

玄関先で総理大臣夫人(ファーストレディ)の福本麻希(元海軍中将)が来訪を気付いて声をかける。

 

 

「はい! せっかくなんで、準備のお手伝いをと…」

 

 

「まあまあ、でも、ウチには『義理の娘』が来てるから、手は足りてるけど…まあ、いいでしょう。アナタ〜、吹雪ちゃん来ましたよ〜」

 

 

麻希がそう言うと家の主とも言える福本伊吹がラフな格好(着物)で奥から出てきた。

 

 

「聞こえてるよ〜。やあ、吹雪君、いらっしゃい。にしても、わざわざ年末に上司の所に来なくても…」

 

 

「誘ったのは親父だろう…吹雪くん、いらっしゃい」

 

父親に対して平気顔でツッコミを入れる息子の福本勇気海軍中将(艦隊司令長官)。

 

 

「上がっていいよ。年末だし、バタバタしてるけど、それでもよければね」

 

 

「し、失礼します」

 

既に何度か来訪している『首相の自宅』。

だが、完全プライベートでは今回で初めて。しかも、『義理の娘』が居るとなると穏やかでは無い…顔見知りだが。

 

 

「あら、吹雪ちゃん、いらっしゃい」

 

吹雪の来訪に気付いて声を掛けてきたのは勇気の嫁であるセルベリア(海軍少将兼艦隊副司令官兼『皇族』)。

 

 

「あぁ、吹雪か。いらっしゃい」

 

そのセルベリアの声に気付いて覗きに来たのはセイバー(海軍少将兼陸戦隊司令官兼『元王族』)。

 

ドタドタドタ!

 

 

「あら〜! 吹雪ちゃん、いらっしゃ〜い! さあ、上がっ(ゴン)っぅ〜〜〜、い、痛い、セイバー!」

 

 

「お目当てが来たからと言ってはっちゃけるな、バカ」

 

廊下の奥から現れ、更に同期生のセイバーに1発もらったのは水城五十鈴(海軍中佐兼空母艦長・別名『神戸のゲッペルス』)。

 

 

「はいはい、騒がないの。さて、吹雪ちゃん。いま、夕飯と御節の用意をしてるから手伝って」

 

 

「は、はい! お手伝いします!」

 

こうして、吹雪も女性陣の中に入って行った。

 

 

 

午後8時半頃

 

 

御節の用意を終え、夕飯で年越し蕎麦を食べた後、吹雪は皆と一緒に炬燵でテレビを観ていた。

 

 

「…やれやれ、知ったフリをするコメンテイターは辞めてくれないかね。あの有識者なんて、偉そうな事を言う割には現場にも言った事の無いデスクワーカーの類なのにな」

 

 

「親父、それ言ってもしゃーない」

 

年末恒例とも言うべき『今年1年のニュースを振り返って』の番組に福本伊吹は躊躇わずに苦言を漏らし、息子勇気は苦笑いを浮かべながらツッコミを入れる。

 

 

「そうよ、そうよ。あの隅に居るにいる奴なんて、ウチらのイベント妨害未遂犯して恥かいた事をツイートして炎上したのに出てるわ!」

 

 

「あー、これ、また炎上しますね〜」

 

水城の毒吐きに当事者(末端末席)だった吹雪も苦笑いで同意する。

 

 

「あのイベント自体最初から受けは良かったからね。正に『文化は壁を越える』だな」

 

 

「それで『失敗した』と追及した野党はますます見捨てられたわね」

 

セイバーの言葉にセルベリアが付け足す。

 

 

「おいおい、年末なんだから、政治ネタはやめようぜ」

 

 

「うふふ、そうね。勇気の言う通り。チャンネル変えて、話題を変えましょう」

 

 

「あ、私がやります」

 

勇気の言葉に母親の麻希が同意し、リモコンを取ろうとするのを吹雪が代わりに操作する。

 

 

「まったく、平和過ごしたいのに…まあ、相手が居るし、自然なんてどうにもならんわな」

 

 

「あのー、首相がそれを言ってしまうと…藪蛇です」

 

 

「うん、間違い無いな」

 

伊吹の言い様に吹雪が困り顔で呟き、その『被害者』の1人である勇気は同意する。

そんな会話に周りが笑い、伊吹は苦笑いを浮かべた。

 

 

 

1月1日 午前1時20分

 

 

「おーい、準備出来たか?」

 

 

「はいはい、大丈夫ですよ、アナタ」

 

カウントダウンを終え、初詣に向かう為に待っていた伊吹が腕時計を見ながら麻希に訊いた。

すると、麻希を筆頭に女性陣は綺麗に着物で着飾っていた。

 

 

「やれやれ、水城の好事はこんな時に役に立つんだよな」

 

 

「当たり前よ。それを目指してたんだから」

 

勇気の言葉に胸を張って答える水城。

 

 

「吹雪ちゃんも綺麗に着飾りましたよ」

 

 

「は、恥ずかしいですよ〜」

 

 

「社会人なんだから、慣れなさい」

 

 

「いや、この場合はメンバーの事もあるだろう」

 

セルベリアの言葉に吹雪は恥ずかしがる。

それにセイバーが一言言うが、勇気は苦笑いを浮かべながら二重の意味と理解させる。

 

 

「うん、別嬪さんの出来上がりだな」

 

 

「アナタ、少しデリカシーが足りて無いわ」

 

 

「母さん、それを言うと、水城も問題あるから」

 

 

「写真撮ったのがいけない訳!?」

 

 

「「いや、水城だからよ」」

 

伊吹の言葉に少し困り顔で麻希が言い、勇気がツッコミ、水城が反論するが、セルベリアとセイバーがバッサリと切って捨てた。

 

 

「あ、あのー、タクシーの人達を待たせてしまいますので…」

 

控え目に言う吹雪に伊吹は答えた。

 

「おっと、そうだった。じゃあ、みんな乗ってくれ。年始早々に働いてくれている人達に少しでも助けてあげようじゃないか」

 

 

 

終わり




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