クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 Another Story   作:クロスボーンズ

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第1章 動きだした運命
第1話 名もなき島の名も無い少女


【ザザーン ザザーン】

 

海からの波が砂浜に打ち寄せては引いていく。

ヤドカリ達は波に揺れると貝から顔を出し、何処かへと歩いてゆく。

 

ここは名も無き島。その名の通り名前のない島だ。そしてこの島の海に面した岩場付近にて。

 

「っぷふぁ」

 

その近くの海面に、1人の少女が浮かび上がった。その手には魚が握られていた。

 

少女は岩場へと向かい泳ぎ始めた。岩場に上がると近くに置いてあったボロボロの布切れを掴み、それを自身の胸部と下半身に巻きつけた。

 

彼女は今日の夕食の為に、魚などを獲っていたのだ。そして魚が獲れた。だが彼女はどこか浮かない面持ちをしている。

 

(今日の魚は少ないわね・・・)

 

そうなのだ。ここら辺は普段からスズキやらアジやらが豊富に獲れるのだ。だが、今日は珍しく魚が二尾しか取れなかったのだ。

 

決して少女の魚獲の得技術が低いからではない。今日は根本的に海にいる魚が少ないのだ。

 

まるで何かに驚いて魚が逃げだしたかの様に。

 

彼女の生活は森で木のみを取り、そして海で魚や貝などを取って暮らしている。たまに獣などを狩る狩猟生活をしていた。

 

突然だが、ここで少女と島について軽く説明しよう。

 

まず始めに、服やズボンなどそんなものはこの島にない。

 

そしてここには少女以外、誰も住んでいない。

いや、初めから人など住んでいなかったのかも知れない。島中くまなく探しても、廃屋もなければ人の住んでいた形跡すらない。

 

少女の一番の特徴となるのは白い髪だ。長く特徴的なロングヘアーは余りにも長すぎである。その長さはなんと歩く時に地面を引き摺っているレベルである。ついでに言うと瞳の色はエメラルドグリーンであり、そして裸足だ。

 

この島には、我々の知る様な文明的なものなど何一つないのだ。外部からの交流も当然ない。まさに

孤島である。

 

余談だが名もなき島という名前は少女が付けた名だ。

 

そして少女の右腕には・・・おっと、これ以上はまだ言うべき時ではないな。本編に戻ろう。

 

少女は魚を枝で作った籠に水と共に入れると、近くの森へと入り木の枝や葉っぱなどを集め始めた。

今日手に入れた魚を焼く為には燃やすものが必要だからだ。

 

それなりの燃やすものが集まり、少女の家となっている洞穴を目指し、歩みを進めていた。

 

暫く歩いていると、ある場所でその歩みを止めた。上から鳴き声が聞こえている。空を見上げると、

渡り鳥達が島から飛び立つ姿が見えた。

 

その鳥は群れを成しながら、島を離れていった。

 

(・・・鳥は島の外に何を求めているんだろう・・・)

 

不意にこんな考えが彼女に襲いかかった。彼女はこの島で一人育っている。そして島の外の事など殆ど考えた事がない。しかし何故か今日は、そんな事を考えてみたくなった様だ。

 

(・・・変ね私。突然こんな事を考えて・・・)

 

そう思い歩こうとした時である。不意に鳴き声が聞こえた。見てみるとある場所で先程の渡り鳥達が

旋回している。

 

(どうしたの!?一体・・・)

 

妙な胸騒ぎを感じ、彼女はその場所へと歩みを進めた。そしてその場所の近くに辿り着いた時である。

 

「・・・!?」

 

少女の視界にあるものが写り込んだ。

 

「なに・・・あれ・・・」

 

少女の目に一つの塊が映され

た。その塊は砂浜に座礁していた。塊の色は白色を基調としていた。少なくてもそれは天然のものではなく、誰かによって作られた人工物である。

 

この島は色々なものがたまに流れ着いてくる。

錆びた鉈。白い骨。何かの服の布切れ。

 

普段なら放っておくのだが、今回流れ着いたそれは、完全に何か訳ありのものである。これまでの

大きさの基準を大幅にオーバーしている。

 

「・・・・・・」

 

少しの間考えていたが、やがて少女は警戒しながらもその塊へと近づいていった。

 

上空を旋回していた渡り鳥は彼女の姿を見ると、

一鳴きしてから島を離れていった。

 

その塊は傷や焦げ跡などがついていた。まるで何かと戦い、そして敗れたみたいに。

 

「これに驚いて魚達はいなくなったのか?・・・」

 

「それにしても・・・魚にやられたの・・・

いや違う。これより大きい魚なんて・・・」

 

その時だ。少女はあるものも目撃した。それは少女がこれまで島で見た事のないものだった。それは

その塊の先端部分にあった。

 

「・・・!?これって!!」

 

そこには少女が一人いた。顔にはバイザーが付けられており、瞳は閉ざされていた。髪は濃いピンク色を基調としていた癖っ毛である。

 

身体の一部からは血が流れていた。それによって

彼女が着ている服の一部が赤黒く染まっていた。

 

それは少女が始めて見た、自分以外の人間である。

 

「うっ・・・ううっ」

 

少女は唸っていた。痛みが激しいのか、顔を歪ませている。

 

「これは、血・・・生きてるの?」

 

やがて少女はその塊からその少女を出すと背負い、その場を後にした。

 

「ココ・・・ミランダ・・・帰らなきゃ、アルゼナルに・・・」

 

背中に背負った少女は譫言のようにその言葉を呟いていた。

 

 

 

 

この少女はなぜこうなったのか。それを語る為には少し前の時間に遡ろう。

 

とある空中で、少女がパラメイルに乗って飛行をしていた。

 

彼女の名はナオミ。アルゼナルのパラメイルの

メイルライダーだ。

 

簡単に説明すると、ナオミはメイルライダーになる為に、パラメイルに乗り、実機テストをしていたところだ。

 

丁度模擬戦用の敵を倒す段階が終わった。これで

テストは終了したのだ。

 

「テスト終了。お疲れさま、ナオミ。そのままアルゼナルに帰投して」

 

パラメイルの通信越しにアルゼナルの整備士であるメイが指示をだす。

 

「了解・・・あれ?」

 

帰ろうとした矢先に、異変は発生した。なんと目の前の空間に穴が空いたのだ。

 

「な、なにこれ?これもテストなの?」

 

戸惑いながらもナオミは自分を落ち着かせる為テストだと言い聞かせる。だがそれは直ぐに通信越しの会話内容で否定された。

 

「テスト空域にシンギュラー反応を確認!!」

 

「なんだと!?予兆はなかったはずだ!!」

 

通信越しに物騒な単語が飛んできた。

 

そして次の瞬間、穴の空いた空間からあるものが

現れた。

 

ドラゴンだ。

 

ドラゴン。空想上の生き物として皆が知っているあのドラゴンである。そのドラゴンがナオミの目の前に現れたのだ。

 

しかも1匹ではなくそれなりの数である。更にだ、周囲に比べて巨大なドラゴンが1匹存在している。

 

パラメイルとは、このドラゴンと戦う為の兵器である。そして、その乗り手の事をメイルライダーと呼ぶのだ。

 

「絶対に戦闘はしちゃダメ!!ナオミ!全速力でで

アルゼナルに帰還して!!」

 

「でも・・・」

 

「そのパラメイルには、模擬戦用の弾薬しか搭載

されてないんだよ!?」

 

その通りなのだ。今のナオミのパラメイルには

模擬戦用の弾薬しか搭載されていない。

 

模擬戦と実戦は砂糖と塩くらいの違いがある。

 

ドラゴン達が攻撃の為に魔法陣を展開した。それらは空中に現れ、次の瞬間には、ナオミのパラメイル目掛けて火球などが放たれた。

 

「キャァァァッ!!」

 

機体に火球などが命中した。衝撃で機体が大きく揺れる。

 

「第一中隊にスクランブルを!」

 

「間に合いません!ナオミ機!落下します!」

 

ナオミは必死になってハンドルを操作している。

しかし機体は言う事を聞かない。

 

「これ以上機体を保てない・・・ココ、ミランダ、ごめん。私、ここまで見たい・・・」

 

その言葉と共に、ナオミは機体と共に海へと落下した。次の瞬間、ナオミの意識は閉ざされた。

 

ナオミが墜落した付近の潮の流れは激しいのだ。

機体はみるみるうちに流されていった。そして長い間流され続け、そして最終的に流れ着いたのがこの名もなき島である。

 

そして意識を失ったナオミを少女が見つけたのだ。

 

少女はナオミを洞穴へと連れ帰った。そして彼女の身体を色々と触って状態を確かめる。

 

(まず身体を綺麗にしないと・・・)

 

少女は近くの水桶から水を掬うと、水をゆっくりとナオミにかけた。暫くはその行為を繰り返していた。

 

(身体の血の汚れとかは落とした。次は傷の手当てをしないと)

 

少女はナオミの身体に布を被せると、薬草を取りに森へと走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃ナオミは夢を見ていた。何処か不思議な夢である。身体が深く深く沈んでいく風な感覚である。周りは無音状態だ。

 

(私・・・死んじゃったの・・・)

 

この時ナオミは、自分が死んだと理解した。そして何故か恐怖などは全く感じなかった。それどころか何処か安心できる雰囲気もあった。

 

すると突然声が響いた。

 

「人は誰しも最後は土に還る。人の辿り着く最期の場所が地面なのだ。生きとし生けるもの全て、最後は大地で安らかに眠りにつく」

 

「それらは皆、生きて生きて生きぬいて、そして

散っていった者達だ。最後の最後まで・・・」

 

見ると目の前に黒いローブを身に纏った存在が突然現れた。顔はフードによって隠れておりよく見えない。

 

「君は今、死の瀬戸際に立たされている。このまま行けば君は死ぬ。だが君の死を望まぬ者が君を助けようとしている」

 

ナオミは少し考えた。だが直ぐに考えるのをやめた。考えるまでもないという事だ。

 

「私、アルゼナルに帰らなきゃ・・・私、まだなにもしてないから・・・」

 

「ならば君にチャンスを与えよう」

 

そう言うと男はどこから取り出したのか、謎のカードを三枚持ち出した。

 

「この三枚のカードのうち、ジョーカーを引き当てる事が出来たら君を助けよう」

 

「アルゼナルに帰れるの?」

 

「それは君次第だ。だが今、君の命を助ける事は約束しよう」

 

ナオミは慎重に選んだ。

 

しかし実はその3枚のカードはどれも白紙なのだ。そうとは知らずナオミは目を閉じて、勢いよく真ん中のカードを引いた。

 

そのカードには記号も数字も描かれてはいない。

しかし、そのカードにはある文字が記されていた。

 

【JOKER】

 

「ジョーカーだ!」

 

実はナオミがカードを引いた瞬間、何も描かれていない白紙のカードに突然ジョーカーの文字が浮かび上がったのだ。

 

「おめでとう!・・・君は運命を変える切り札なのかもしれんな・・・」

 

そう言うと男の背後に道が開かれた。しかしそれは道というよりはジャンプ台と言った方が正しいものであった。

 

「勢いよく飛び込むがよい。己の手でその先の道を切り拓く為に!」

 

ナオミは助走をつけ走りだした。そしてジャンプすると、彼女の姿はそこから消えた。その場には男だけが残された。

 

「人の運命は人の手によって決まる・・・そして

それは変えられる・・・」

 

そう言うと男はその場から姿を消した。

 

 

 

 

洞穴にて。

 

【ピチャ・・・ピチャ】

 

「んんっ・・・んっ?」

 

頬に冷たいものが触れた。雫である。それによってナオミは目を覚ました。彼女の目に映ったのは岩の天井である。

 

「私・・・一体・・・そうだ、ドラゴンに襲われて・・・じゃあ私、死んじゃったの?」

 

彼女は先程の夢の出来事を覚えていない。

 

「あ、気がついた?」

 

不意に声がした。声の方角を見る。するとナオミの目にある少女が映った。

 

「貴女は天使なの・・・私は天国に来たの?」

 

「・・・は?」

 

少女はナオミの言った言葉が理解できないでいた。この少女は一体何を言っているのか?

 

「・・・貴女・・・大丈夫?」

 

その言葉にナオミは少し冷静になった。まず自分の頬を抓った。痛い、痛いということは夢ではない。現実である。つまり自分は生きている。

 

「生きてる・・・私生きてる!」

 

ナオミは自分の生存を喜んだ。喜びで立ち上がろうとしたが、その瞬間身体に痛みが走った。どうやら怪我などは酷いらしい。

 

「怪我が激しいわ。じっとしていなさい」

 

少女はこちらを見ずにそう告げた。今、彼女は石の器で石を使い何かを磨り潰す作業をしていた。やがで作業が終わるとその器をナオミに差し出してきた。

 

中には葉っぱを擦り潰したかの様な状態となっていた。葉っぱの残骸に、緑の何かがジェル状になっていた。

 

「痛み止めと傷薬を作ったけど、塗る?」

 

彼女は島で育ってきた。その為野草などのサバイバル知識などは自然と身に付いていくのだ。

 

「え・・・じゃあ、お言葉に甘えて・・・」

 

最初、ナオミは目の前のそれを警戒したが、作ってもらって無下に扱う事は失礼だと思い、その器を受け取った。

 

人差し指でそのジェル状のものを救うと、恐る恐る自身の傷口に塗った。傷口に触れた事により、少し沁みた。それから少しして痛みが引いていくのが感じ取れた。

 

「あの。貴女が私を助けてくれたの?」

 

「えぇ」

 

「助けてくれてありがとう。私はナオミ。貴女は?」

 

その質問に少女は答えなかった。代わりにナオミに質問を投げかけた。

 

「・・・ナオミは島の外から来たの?」

 

「島の外?・・・そう言えば、ここはどこなの?」

 

ここでナオミは、自分が何処にいるのかわからない事に気がついた。少なくてもアルゼナルではない。

 

「名もなき島」

 

「名もなき島?」

 

ナオミの質問に少女は素っ気なく返した。

 

ナオミは身体をゆっくりと起こし、光が差し込んでいる洞穴の外へと出た。ナオミの目の前に広がる光景。それは砂浜が広がる綺麗な海岸であった。

 

「綺麗・・・」

 

ナオミは目の前の幻想的なその風景に心奪われていた。

 

「ねぇ。他に住んでる人はいないの?」

 

「ここには私一人だけで住んでる」

 

少女はそう言うとナオミを追うよう洞穴を出た。

 

そしてこの時、ナオミはアルゼナルの事を思い出した。

 

「ねぇ!私を見つけた場所の近くでパラメイルを

見なかった!?」

 

「パラメイル?」

 

「えーっと、なんていうか、私が乗ってた機械で・・・」

 

「あれのこと?付いてきて」

 

そう言うと少女は砂浜を歩き出した。ナオミもそれに付いて行く。

 

やがて二人はナオミのパラメイルの場所へとたどり着いた。

 

「あった!パラメイルだ!」

 

ナオミは夢中で駆け出した。その一方で少女は歩いていた。

 

コックピットに入りアルゼナルとコンタクトを取ろうとする。

 

「アルゼナル、こちらナオミ。応答してください。アルゼナル。応答してください」

 

「・・・」

 

しかし返答はなかった。どうやら通信機は故障している様だ。

 

「そんな・・・そうだ!飛べれば!」

 

パラメイルが動けるなら、アルゼナルに帰れるのでは!?そう思い、機体のエンジンをかける。

 

だがエンジンは動かなかった。この機体は機体として完全に死んでいる。

 

「そんな・・・どうしよう」

 

ナオミはコックピットの外に出ると海岸にへたり込んだ。アルゼナルに帰る希望であったパラメイル。それが全くの使い物にならない。

 

もうアルゼナルに帰る事は出来ないのだろうか。そんな深い絶望がナオミに襲いかかった。

 

「うっ・・・うっ・・・」

 

ショックのあまり、ナオミは遂に泣き出した。

 

「どうしたの?」

 

少女は、突然泣き出したナオミに困惑していた。

何故泣くのか。それが理解できないでいた。

 

だが、今のナオミにはそんな言葉届いていなかった。

 

「・・・一旦あの洞穴に帰らせて」

 

沈んだ思いのなか、ナオミは洞穴へと戻っていった。少女もナオミに続いた。

 

洞穴へと帰り、その中を一通り見回した。そこには色々なものが置かれている。少女は棚のような所から石を取り出した。外へ出ると石同士をぶつけあわせる作業を始めた。

 

「・・・何をしているの?」

 

ナオミが疑問に思い、尋ねた。

 

次の瞬間、石から僅かながら火が出た。すぐに近くの砂浜に集めた木の枝に放り込む。焚き火の完成だ。

 

少女は今日とってきた魚をその火で焼き始めた。やがて煙が立ち始めた。その煙と共に良い匂いが鼻腔をくすぐった。暫くは魚を焼いていた。

 

「食べる?」

 

少女はナオミに今日漁獲した魚のうちの一尾を差し出した。

 

「いいの?ありがとう」

 

礼を言うと、ナオミはその魚を受け取った。

 

「あちちっ」

 

持ち手の木の枝の部分が多少の熱がこもっていた。

 

「いただきます」

 

そう言い食べ始めた。焼きたて故に中身の熱さが

激しいが、その分美味しさが際立っていた。

 

それが食べ終わるとナオミはあるものに目がいった。それは食卓にある石の器。その中には野草や木の実などがある。

 

これも食事なのだ。だがその場にはあれがなかった。

 

「ねぇ。スプーンやフォークってない?」

 

「スプーン?フォーク?なにそれ?」

 

見ると少女はそれらを手で持ち、食らいついていた。スプーンはない。フォークもない。お箸もない。だがお腹は空いている。最早とるべき手段は

一つだけだ。

 

少女は思うところもなく、それらを手掴みで食べている。ナオミもそれに続く。

 

「あっ、これ、美味しい」

 

ナオミの中で、率直に出た感想だ。お腹が空いていたのか、ナオミはそれらを口に頬張った。

 

やがて一通りの食事が終わった。既に日は沈み、

月が夜空に浮かんでいた。

 

「ねぇ・・・お願いがあるんだけど・・・」

 

ナオミは気まずそうに少女に話しかけた。

 

「何?」

 

「・・・ここで寝ていいかな?」

 

ナオミにとってこの島はまだ未知の領域だ。こんな中パラメイルのコックピットで寝るのは幾ら何でも怖いものだ。

 

「いいよ」

 

意外な返事にナオミは驚く。まさか承諾してくれるとは。

 

「ありがとう!」

 

少女は横になった。ナオミもその隣で横になる。

 

だがどちらとも直ぐには眠れなかった。

 

ナオミの方は、記念すべきメイルライダーになったはずが、まさかの遭難。しかもアルゼナルに帰れる希望が見出せない。

 

(私、どうなっちゃうんだろ・・・)

 

その様な考えがナオミを苦しめた。

 

そして同じ頃、少女の方もある事を考えていた。

 

(あの塊。確かパラメイルだっけ・・・)

 

(・・・似てた。揺りかごに・・・ナオミ・・・か)

 

しかしそれも、やがて強烈疲れや眠気などが襲いかかると、それには勝てずに二人とも眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人が寝静まった洞穴。

 

この島には、人間は二人しかいない。

 

だがそれとは別に、ここに一人いるのだ。その洞穴の中を遠くから眺めている人物がここに一人。

 

「遂に点と点が出会ったか・・・」

 

黒のローブを身に纏った男は一人呟いた。この男こそ、ナオミの夢に現れた人物だ。男はフードを外した。その男の右目付近には、深い傷が付いていた。

 

「点同士が出会い、線を結び、新たな線を引く為に新たな点を探す事となる」

 

「どうやら、平穏の終わりの時が訪れた様だな・・・」

 

男はそう呟くとその場から姿を消えた。

 

 




記念すべき二作目の第1話です。
(甘い快楽に酔いしれてはノーカン)

まだまだ作品は駆け出しですけどこれもちゃんと完結を目指して走って行きます。

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