クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 Another Story   作:クロスボーンズ

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第4章 パラダイス・ロスト
第27話 外の世界へ


 

 

「ええっ!?本当なんですか!?」

 

フェスタ終了後、アルゼナルの司令部に第一中隊が急遽集められた。そしてジル司令から放たれた一言に皆が動揺していた。

 

「ああ、本当だ。アンジュとヒルダが、アルゼナルを脱走した」

 

「嘘だろおい。脱走って」

 

「しかもヒルダまで・・・」

 

「・・・」

 

唯一、シルフィーだけはヒルダの脱走を知っていた為、驚きは薄かった。

 

(そうか。ヒルダはお母さんの所に帰ったのか・・・それにしてもアンジュが脱走するとは)

 

「明日、第一中隊のメンバーから特別任務を与える者を選定する。各員。自分がそれに選出されるか可能性がある。それを心に留めておけ」

 

緊急の集まりは、その一言で解散となった。

 

風呂場にて。

 

野外風呂では解放された第一中隊全員がお湯に浸かっていた。今日のフェスタで手に入れた入浴剤を巻いて極楽中である。しかし、周りのメンバーの雰囲気から、極楽感は一切感じ取れない。

 

「・・・」

 

普段なら談笑も出来る場所なだけに、この沈黙を

痛いほど感じていた。

 

それに耐えきれなくなったのか、一人、また一人と無言で風呂から上がって行く。

 

シルフィーも風呂場から出て、脱衣所で髪を乾かしていた。普段はヘアゴムで束ねている事が多いが、こうして髪を下ろした自分を見てると、リラを連想してしまう。まるで自分自身を見ているみたいで

不愉快だ。

 

何故彼女は自分と酷似した容姿をしているのか。

何故私と同じ腕輪をつけているのか。

 

鏡の中の自分を睨みつける。鏡の中の自分も同じ風に睨みつけていた。

 

「・・・ねぇ。シルフィー。どうしたの?怖い顔

して」

 

背後からの声に驚く。鏡の自分ばかり見ていたが、右端にナオミの心配する顔が写り込んでいたのだ。

 

「なっ、なんでもない。早く部屋に戻るか」

 

ドライヤーを切り上げ、二人は部屋に帰る。唯一の窓から月明かりが部屋を淡く照らしている。昼間の騒ぎが嘘の様に外は静まり返っていた。

 

まずナオミがベットに潜り込む。同じ様にベットの

半分にシルフィーが潜り込む。

 

「それじゃあおやすみ」

 

「おやすみ」

 

「・・・」

 

「・・・スッー」

 

今日の大運動会で疲れたのか、ナオミは直ぐに眠りに落ちた。だが、シルフィーだけが中々寝付く事が出来なかった。

 

一時間程度経っただろうか。

 

(全然眠れない・・・水でも飲むか)

 

シルフィーがベットを出ようとした時。不意に背後からナオミが抱きついてきた。その手は小刻みに震えていた。

 

「どうしたの?突然」

 

「・・・夢を見たの。シルフィーがアルゼナルから出て行く夢を。それだけじゃない。その後、皆んながアルゼナルから出て行って・・・私一人だけが、アルゼナルに残されて・・・」

 

ナオミの声は何処か泣き声混じりであった。

 

「目が覚めたら、ベットから出ようとしてた。だから、このままシルフィーが戻ってこないんじゃないかって。アンジュ達みたいに、脱走しちゃうんじゃないかって・・・」

 

「・・・」

 

やがてシルフィーはナオミの抱きしめに対して、

抱きしめ返した。

 

「バカね。私は二人と違って脱走なんて事しないわよ。二人は外に島を求めたのかもしれない。けどね、私にとっては、ここが私の居場所なのよ」

 

「シルフィー・・・」

 

「ナオミはあったかいね・・・今だけ、このまま

抱きしめていたい」

 

その夜。いつもの様に一つのベットを二人で分け合う形で寝ていた二人は、お互いが向かい合う様に抱きしめながら眠りに入った。その顔には、安らぎの表情が浮かべられていた。

 

 

 

 

 

朝となった。ブリーフィングルームにはジル司令の招集の元、第一中隊のメンバーが集まっていた。

 

「全員集まったな」

 

「イエス・マム・・・もちろん、脱走した二人はいませんが」

 

「まずはじめに、二人が脱走に使用した輸送機が

発見され、その中からミスティ・ローゼンブルムが見つかった」

 

「・・・誰ですか?」

 

「まぁ偉い人だ。とりあえず彼女が無事発見された事を、エマ監察官に後で報告するか」

 

「あの、二人はどうなんですか?」

 

ナオミが質問を切り出した。

 

「実はあの後、アンジュの姿が目撃されたとの情報があった。向かった先の方角。そしてアンジュの

過去を考えると、おそらく行き先はミスルギ皇国だ」

 

「そこで極秘任務だ。それはミスルギ皇国に潜入し、アンジュを連れ戻すことだ。そしてこの任務

だが、ナオミ。お前に与える事とする」

 

「わ、私にですか!?」

 

「ナオミが?すげぇな」

 

「おめでとう。ナオミちゃん」

 

「ナオミってばスッゲェー!」

 

ジル司令の決定に周囲が騒めいた。ナオミが選ばれた事に周囲が様々な反応をする。

 

そんな中、一人だけこの決定に納得できない者がいた。サリアだ。

 

「待ってください!どうしてナオミなんですか!

納得のいく説明をしたください!!」

 

「言った通りだ。今回のこの任務。これにはナオミが一番の適任だと判断したまでだ」

 

「それなら私も行きます!二人で行った方が効率

だって・・・」

 

「サリア。お前は隊長だ。お前がいない間にドラゴンどもが現れない保証はどこにもない。お前が隊を纏めずにどうする」

 

「でも!」

 

「サリア!わかってくれ・・・」

 

ジル司令のその言葉にサリアは何も言えなくなってしまった。

 

「この任務について。何か質問はあるか?」

 

「あの、ヒルダはどうなんですか?アンジュと一緒にいるんですか?」

 

「ヒルダを発見したという情報は入っていない。

捜索は進めているが、今はアンジュの方が優先だ。他に質問は?」

 

今度は誰も何も聞かなかった。

 

「よし!確実解散!ナオミ。パラメイルの増槽処置が終わり次第、作戦行動に当たれ。なお、極秘任務の為、こちらからの通信はない。そちらも通信を控えろ」

 

「イエス・マム!」

 

こうして各自解散となった。

 

第一中隊は皆で朝食をとっていた。普段ならヒルダとロザリー。そしてクリスの三名は分かれている。だがヒルダはいない。その為二人とも、今回は食事の輪に混ざっていた。

 

「ねぇ聞いた。第一中隊のメンバーが昨日。アルゼナルから脱走したんですって」

 

「マジで?」

 

「マジマジ。大マジよ。大マジ」

 

「しかも二人も脱走したらしいよ」

 

「どうなるんだろうね。第一中隊」

 

食堂内では、既に二人が脱走したという噂話で持ちきりであった。こういうのは、誰が言わずとも噂話として知られ渡るものらしい。

 

この様な会話に第一中隊のメンバーは、皆が口に出さずとも、肩幅の狭い思いをしているのは明らかであった。

 

「今日は射撃訓練から始めるわ。各自定刻までに

集まっている様に。それまでは自由時間よ」

 

そうサリアが言うと、各自が食堂を後にした。シルフィーも時間まで寛ごうと部屋へ戻る道を歩いていた。

 

その時だった。

 

「あの、シルフィーさんですか?」

 

不意に声をかけられた。振り返るとそこには一人の少女がいた。恥ずかしがり屋なのか下を俯いており、顔はよく見えなかった。

 

「そうだけど。貴女は?」

 

「これを司令から預かりました」

 

シルフィーの質問に答えず、少女は一通の封筒を

差し出してきた。中には手紙が入っているらしい。

 

「あのっ!確かに渡しましたから!」

 

そう言い残し、少女は駆け足で廊下の曲がり角へと去っていった。訝しげにその場で開封してみると、そこには命令文章がつづられていた。

 

【シルフィー。お前にもアンジュ奪還の命を与える。速やかに行動に移れ】

 

「・・・」

 

内容に暫くは呆然としていたが、やがてため息が

一つ出た。

 

「何よ。どうせならあの場で言えばいいのに」

 

愚痴を零しつつ、手紙を持ちロッカールームへと向かった。そこでライダースーツを着込み。バイザーを装備し、発着デッキへと向かう。

 

発着デッキではナオミとメイが話し合いをしていた。ミスルギ皇国に辿り着く為の道のりでも話し合っているのだろう。二人は向かってくるシルフィーに気がついた。

 

「あれ?シルフィー。何でライダースーツ来てるの?」

 

「なんか私もナオミと同じ様に命令を受けたわけ。これがその文章」

 

「どれどれ・・・この字。確かにジルの字だ。判子だって司令の物だし。わかった。それじゃあオメガに増槽処置を施すから発進が遅れる。その事をジルに伝えてくるよ」

 

そう言いメイは近くの通信機を取った。二、三コールの後、アルゼナル司令部へと繋がった。

 

「どうしたメイ。何かあったのか?」

 

相手はジル司令であった。

 

「ああジル。シルフィーにもナオミと同じ命令を与えたんでしょ。だからオメガへの増槽作業で予定の発進時刻より少し遅れるよ」

 

「そうか。あまり遅くなるなよ」

 

そう言うと通信は切られた。

 

「二人とも少し待ってて。直ぐに終わらせるから。お前たち!朝飯の前にもう一作業するぞ!」

 

「は、はい!」

 

整備士達の作業が終わるまで、二人は地図のレクチャーなど様々な知識を叩き込まれた。

 

「ちょっと安心したよ。シルフィーも来る事になって」

 

「私としては驚いたわ。なんせ突然文書で突然来るんだし」

 

「・・・本当は心細かった。一人まだ見知らぬ場所に行く事が。でも、もう心細くないね」

 

そう言いナオミは笑った。オメガへの増槽処置は

予定の30分もかからずに終わった。

 

「よーし。増槽処置作業完了!ニ機をエレベーターに乗せて!」

 

グレイブ。そしてオメガは発進エレベーターへと

乗せられ、着々と発進準備に取り掛かっていた。

 

「ナオミ!発進します!」

 

「シルフィー!発進する!」

 

二人の機体はアルゼナルから射出され、空を舞った。

 

(待っててアンジュ。必ず迎えに行くから・・・)

 

整備士達は射出された二つの機影が見えなくなるまで見届けた。

 

「さーて。それじゃあ朝飯でも食べる・・・」

 

【ジリリリリ!ジリリリリ!!】

 

突然に発着デッキの通信機がけたたましく鳴り響いた。慌てて取ると、電話口の相手はジル司令であった。

 

「メイ!今すぐ司令部に来い!」

 

その一言で通信は叩き切られた。慌ててメイが司令部へと入っていく。すると突然ジル司令が目の前まで迫ってきた。

 

「おい!何でオメガが発進した!!」

 

「え?だってジルが命令したじゃん。シルフィーにもアンジュを連れ戻して来いって」

 

「バカを言うな。何故私がそんな事をしなければいけないんだ」

 

「だってシルフィーから命令書を受け取ったよ。それに電話越しでだって答えてたし」

 

「命令書だと!?電話だと!?バカを言うな!」

 

「何言ってるのジル!確かに通信越しで聞いた際は、シルフィーにも命令を送っている雰囲気だったよ!ほら!これが命令書!」

 

メイが慌ててポケットから受け取った命令書を取り出した。それを直ぐにひったくる。そこには確かに、シルフィー宛の命令文章の内容が書かれていた。ダメ押しとばかりに、通信履歴にも、ジル司令とメイとの先程のやり取りが記録されていた。

 

「バカな!身に覚えがないぞ!この通信内容だって知らん!」

 

「でもこの字。あんたのだろ。紙と判子だってちゃんと命令書専用の物を使用されているし。第一この声。どう聞いてもあんたの声だろ」

 

どう見ても、どう聞いてもそれはジル司令のそれである。だが、当のジル本人が全く記憶にない。

 

寝ぼけて書いたり話したりする様な内容でもない。

 

「一体何がどうなっている・・・」

 

司令室に痛い沈黙が広まった。得体の知れない

恐怖。それがこの場を支配しようとしていた。

 

「・・・とにかく。あの子はジルの命令だと思って行ったんだ。二人と違って脱走じゃない。きっと

戻ってくるだろうさ」

 

ジャスミンが落ち着いた風に言った。この一言で何とか場の空気は持ち直された。

 

「今は信じておやり。きっと帰って来るって」

 

ジャスミンが司令の肩に手を乗せ言い聞かせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな彼女達を物陰から伺う存在が一人いた。シルフィーに手紙を渡した少女である。

 

「仕込みは完璧。さて、アンジュ。彼女にはもう

一働きしてもらおうか」

 

そう言うと次の瞬間、少女はリラの姿となり、煙の如くその場から消え失せた。




今回はこの場を借りて、実施するアンケートの簡単なご説明をさせていただきます。

まず、アンケートは三択となっています。そしてゲーム、クロスアンジュ・天使と竜の輪舞trでの出来事を元として、一部手を加え変えさせていただきました。

肝心のアンケート内容。それは!

ナオミの今後について!以下の三択から選ぶがよい!(何故か上から目線)

まず①。これはドラゴンルートです。このルートの特徴はアニメの第14話がオリジナルへと変化される点です。

次に②。これはエンブリヲルートです。このルートの特徴はゲームをプレイしている方ならわかる通りです。ナオミがあぁなります。

最後に③。これはオリジナルルートです。これはこの作品のオリキャラのシオン達と共に歩くルートです。それ以外の事は伏せさせていただきます。

もし、アンケートについてのご質問がある場合、
感想欄に書くなどでご質問ください。ただし、
ネタバレになる様なご回答は出来ませんので
ご了承ください。

追記。アンケートの期間は第4章の最終話投稿後の24時間後です。その為早めの投票を済ませる事を推奨します。

今後、ナオミにどの様なルートを辿って欲しいかを以下の三つから選びなさい。

  • ①ドラゴンルート
  • ②エンブリヲルート
  • ③オリジナルルート
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