クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 Another Story   作:クロスボーンズ

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第43話 共鳴戦線

 

 

「集まったか」

 

夜も更けた頃、とある集会所には大巫女達を始め、アウラの民が集まっていた。その中には、サラマンディーネ。ナーガにカナメ。そしてラミアもいた。他にも、ロシェンやアスカ。カリン。エマ。アクアなども集まっていた。

 

「皆の者。本日集まってもらったのは他でもない。我々の意思を伝る・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んっ。んん?」

 

朝となりシルフィーが眼を覚ます。周りを見渡すとアンジュやナオミはまだ眠っていた。取り敢えず

近くの塊に腰を下ろす。

 

「ギャッ!」

 

「何!?」

 

自分の尻辺りから声がした。驚いて座ったものを

見てみる。それは簀巻きにされたタスクであった。

 

「た、タスク!?・・・一体どうしたの!?」

 

「アンジュに簀巻きにされた!助けて!!」

 

どうやらアンジュが夜襲われない為にタスクを縛りあげたらしい。アンジュ曰く。

 

「だってドラゴンでも欲求する様な、欲求不満のケダモノと寝るのはねぇ」らしい。とりあえずタスクを縛ってる縄を解く。まず上の部分が解けた。真ん中の部分も解こうとする。

 

「うわっ!シルフィー!もうちょっと丁寧に!」

 

【バタン】

 

タスクが倒れこんできた。その音にアンジュとナオミが目を覚ます。さらにそこへサラマンディーネがナーガとカナメを連れて部屋へとやってきた。

 

「おはようございま・・・」

 

皆が見たもの。それは下着姿のタスクが同じく下着姿のシルフィーに覆い被さる図である。最早それをしていると思われても致し方ない。

 

ナーガとカナメは顔を赤らめていたがサラマンディーネだけは冷静であった。

 

「あら?朝の交尾ですか?どうぞごゆっくり」

 

「な、な、な、何やってんのよタスク!!!!」

 

「ちっ!違うんだアンジュ!俺は別に彼女を襲おうとしている訳ではない!これは事故で」

 

「弁明は後にして、早くその体制をやめなさい!!!」

 

「ウワァァッ!!」

 

この後タスクはアンジュに背負い投げされ、その後徹底的にボコボコにされた事は、言うまでもなかろう。

 

タスクをボコボコにし終えた後、アンジュ達はサラマンディーネの方を向いた。

 

「それで貴女達。一体何の様なの」

 

「食事の用意が出来たのでどうぞ」

 

食堂らしき所にたどり着く。そこにはヴィヴィアンとラミアがいた。二人とも元気に食事をとっていた。

 

「お二人共、昨日はよく眠れましたか」

 

「いえ。昨日はあまり寝ておりません」

 

どうやら昨日はヴィヴィアンに色々と話を聞かせて貰っていたらしい。

 

「でね!でね!でね!」

 

「大丈夫よミィ。ゆっくり話しても」

 

「だって私、昨日途中で寝落ちしちゃったし!本来夜通し話すつもりだったのに!だから寝落ちした分いっぱいお話ししたい!」

 

「はいはい。いっぱい思い出を聞かせてくださいね」

 

その微笑ましいやりとりを聴きながら、隣のテーブルに三人ずつ向かい合う様に座る。目の前には食事があった。

 

「昨日は何も食べてないでしょう?どうぞ」

 

どうやら食事のお誘いらしい。アンジュとタスクとナオミが顔を見合わせた。食べて良いのか迷っているらしい。だがシルフィーは迷わなかった。

 

「いただきます」

 

シルフィーはそう言うと、箸を進めた。何の迷いも躊躇いもなく食べ物を口へと運んだ。それを見た後、アンジュ達も食事を始めた。

 

「ほんとだ。すごく美味しい!!」

 

「本当だ。美味しい!美味しいですよ!この料理!ほら、アンジュも」

 

「・・・ふん。まあまぁね」

 

タスクとナオミは料理の味の良さに満足している。アンジュも口では小言を言いつつも、別に悪くない表情で食べていた。

 

こうして一通り食事が済んだ七人は外へと出た。外へと出るなりアンジュがサラマンディーネを睨みつけた。

 

「さて。もう茶番はいいでしょ?そろそろ貴女達の目的を教えて・・・」

 

「・・・腹が減っては戦はできぬと申します。お腹は膨れましたか?」

 

「ええ。まぁ」

 

「では参りましょう」

 

七人はある場所へと来ていた。そこはみんな大好きラ●ンドワンである。

 

「ここどこ?」

 

「ここは、古代の決闘場です」

 

「決闘場?」

 

いえ、この場所はラ●ンドワンです。

 

「かつてここでは、数多の武士達がその身で競い合ったとされています。その身から血を流しながら闘ったとされています」

 

いやだからラ●ンドワンですから。武士もいなければ血だって流れません。

 

「まさか500年以上前の施設なのか!?すごい保存状態じゃないか」

 

「姫様自らの手で、この決闘場を復元されたのだ」

 

・・・もう決闘場でいいです。(あれ?このくだり別世界でやった様な・・・)

 

「で?ここで何をしようっていうの?」

 

アンジュが本題を聞く。

 

「・・・私達と共に戦いませんか?」

 

「ハァ!?」

 

あまりに藪から棒なその言葉に皆が気の抜けた返事をした。

 

「私達の目的。それは攫われたアウラを助け出し、この世界に安定と調和を取り戻すことです。アウラを拐い、我らの仲間をたくさん殺し、あなた方を

戦わせてきた元凶。エンブリヲを倒すことです」

 

「この者を打倒すれば、戦いは終わります。私達はアウラを。あなた方は自由を手に入れる事ができます。望みは違えど、目的は同じはずです」

 

突然アンジュが笑い出す。

 

「・・・あはははは!何よ。結局あなたも私達を利用しようとしているのね。戦力として。知って欲しかったとか、分かり合いたいとか・・・所詮は全部打算だったのね」

 

「そうです。貴方達は戦力として有能です」

 

「ふざけないで!私はもう誰かに・・・」

 

「誰かに利用されるのはうんざり。そう言うのですね。そこでこの決闘場に来た訳です」

 

「アンジュ。勝負しませんか?私が勝ったら、四人は私達の所有物となってもらいます。ですがもしあなたが勝ったらあなた達を解放します。それこそ、偽りの世界へ帰すことも」

 

「上等じゃない!やってやるわよ!」

 

こうしてアンジュとサラマンディーネの決闘が始まった。

 

・・・が。場所が場所である。決闘内容はテニスに野球。ゴーカートにゴルフ。卓球にクレーンゲーム。遂には床に描かれた模様を指定された手でペタペタ触るなど、とてもじゃないが血など流れる決闘はなかった。

 

しかし、アンジュのサラマンディーネの二人は本気でぶつかり合い、決闘していた。

 

一通りの決闘が終わり、現在アンジュとサラマンディーネはシャワーを浴びていた。

 

「感服しましたわアンジュ。まさかここまでやるとは」

 

「あなたも結構やるじゃない。サラマンデ」

 

「サラマンディーネです」

 

「それにしても・・・あの決闘の最中。昔を思い出せたわ。エアリアをやっていた頃の昔を」

 

アンジュがまだノーマだと発覚する前、ミスルギ皇国で流行ったスポーツ。アンジュはエアリア部に所属していた頃を懐かしんでいた。

 

「でしたら次はそのエアリアという競技で勝負します?」

 

「・・・無理よ。エアリアは・・・ノーマには出来ないから・・・」

 

エアリアはマナを使う競技である。アンジュはエアリア部にいた頃はモモカさんの手助けがあってエアリアをしていたのだ。もっとも、その頃のアンジュは、自分がノーマなど夢にも思っていなかったが。

 

「ノーマ。マナを持たない、人ならざる者。・・・なんて歪なんでしょう」

 

サラマンディーネがどこか悲しそうに言う。

 

「・・・本来なら、力を持つ者は力を持たざる者を守るべきはずなのに・・・我々はこれまでどんなに苦しい時もアウラと共に学び、考え、そして助け合ってを育ててきました」

 

「・・・あなたはなにも思わないのですか?そんな歪んだ世界を知りながら。知っていますよ。あなたはかつて皇女として、人々を導く立場にいた事を。世界の歪みを直すのも、本来なら指導者の使命なのでは・・・」

 

「勝手な事を言うわね。私は皇女じゃない。指導者とか姉妹とか、そんなものはもう関係ない。大体、歪んだ世界でも満足してる奴がいるんだからいいんじゃない?」

 

「結局の所。世界を変えたいのはあなた達。アウラとかエンブリヲとか、そんなものは私には関係ないわ」

 

「・・・」

 

その時だった。地震のようなものが発生した。

 

「サラマンディーネ様!大変です!」

 

シャワー室にナーガとカナメが入ってきた。慌ててシャワー室から出て服を着た。七人が屋上へと上がり出た。

 

「なに・・・あれ」

 

七人の目にはあるものに釘付けとなった。アウラの塔に謎の竜巻が発生していた。都ではヴィヴィアン達住民もそれを見ていた。

 

「あれは!エアリアのスタジアム!?」

 

その竜巻の様なものはエアリアのスタジアムであったのだ。アンジュは理解が追いつかない。

 

竜巻の様なものは徐々にだが広がっていった。それに何名かが飲み込まれていった。すると飲み込まれたものが瓦礫に取り込まれた。物理法則などあったものではない。

 

「焔龍號!」

 

サラマンディーネがそう呼ぶと額の宝石が光った。すると焔龍號がその場へと駆けつけた。どうやらあれば機体の遠隔操作可能な装置らしい。

 

「ナーガは四人を安全な場所へ!カナメは大巫女様にこの事をご報告して!アンジュ!勝負の続きはいずれ!」

 

そう言うと焔龍號は飛び立っていった。

 

残った六人はガレオン級に乗り込む。そして宮殿近くへと降り立った。

 

「カナメ!この事を大巫女様へ報告後我々も出るぞ!お前達はこちらに・・・おい!あいつらはどこへ行ったら?」

 

ナーガが少し目を離した隙に既にアンジュとタスク。ナオミとシルフィーはいなくなっていた。

 

三人は格納庫へと向かっていた。それぞれの機体へと乗り込む。

 

(そうだ。オメガはないんだった)

 

一人、機体を所持していないシルフィーだけが、

入り口に立ち止まっている。

 

「おい貴様ら!何をしている!?」

 

「あの竜巻を止めるのよ!」

 

「食い止めるって・・・どうやって!?」

 

「それを今から探しにいくのよ!!」

 

そうして三人は機体を飛ばした。竜巻は尚を勢力を広げていっている。そして時々だが、ミスルギ皇国の風景が見える。一体何故なのか理由はわからない。

 

「ここは危険です!皆は早く神殿へ!」

 

サラマンディーネが皆に避難を促す。皆神殿へと走っていく。

 

後ろからは竜巻も迫ってきていた。途中で竜巻に飲み込まれた者は例外なく瓦礫の中に身体が埋まっていた。瓦礫の下敷きなどではなく、身体が瓦礫に埋もれていた。ある人物は瓦礫から手が伸びてる状態だ。理解が追いつかない。

 

一つ、確実にわかることはそれらに巻き込まれた

人達は皆既に生きていないという事だ。

 

サラマンディーネは竜巻に攻撃を加える。しかしその攻撃は竜巻には届いていなかった。

 

「そんな・・・どうすれば・・・」

 

「サラマンディーネ。撤退するのじゃ」

 

「大巫女様!?」

 

焔龍號のコックピットに入った大巫女からの通信に驚く。

 

「龍神器はアウラ奪還の中心戦力。万一があってはならぬ」

 

「ですが・・・」

 

「既にリーブの民がそちらに向かっている。後は

彼らに任せるのじゃ」

 

「それでは間に合いません!それに!黒の部隊は!?今は一つでも多くの力が必要なのです!!」

 

「黒の部隊は例の作戦の為に出る事は出来ん。撤退せよ」

 

「ですが!民を見捨てて逃げることなど!私には!」

 

「これは命令じゃ」

 

大巫女はそう言うと通信を切った。大を活かすために小を切り捨てる。それは戦略的には正しい。だからといってそれで納得するなどサラマンディーネには出来ることではない。

 

その時サラマンディーネ目掛けて瓦礫が飛んできた。

 

だが、瓦礫が目の前で粉々に砕けちった。ヴィルキスのライフルが瓦礫を砕いたのだ。

 

「何をぼーっとしてるのよ!サラマンドリル!」

 

「アンジュ!?」

 

その後ろにはアーキバスとグレイブもいた。

 

「一体なんなの!?あれ!」

 

「エンブリヲの仕業だ!」

 

アンジュの質問にタスクが答える。

 

「エンブリヲは、時間と空間を自由に操る事ができる。俺の父さんも仲間も、あれで瓦礫や石に埋められて死んだんだ!あんな風に!」

 

「そんな事が・・・」

 

目の前の竜巻は勢力をドンドン広げていった。

 

「ねぇアンジュ!あれ!」

 

ナオミが下を指差す。そこには瓦礫の下敷きになっている人と、それを助けようとする人が見えた。

 

「ヴィヴィアン!?」

 

彼女は瓦礫の下敷きになっているラミアを助けようとしていた。

 

「どうしてこんな危ない事を!?私なら大丈夫なのに」

 

「子供を守るのが・・・母親の役目よ。貴女は逃げて」

 

「逃げない!お母さんと一緒じゃなきゃ逃げない!」

 

竜巻がすぐ近くまで迫ってきていた。

 

「私!助けに行ってくる!」

 

ナオミがグレイブで降下しようとしたその時である。

 

「ヴィヴィアン!ラミアさん!」

 

シルフィーが慌てて二人に駆け寄った。瓦礫をどかそうと触れる。すると突然瓦礫が脆く、まるで豆腐の様に崩れていった。ラミアを瓦礫の山から引きずり出す。

 

「ラミアさん!走れます!?」

 

しかし彼女は脚をやられている。とてもじゃないが歩けない。

 

「・・・背中に乗って」

 

「えっ?」

 

「おんぶするって言ってるの!!早く逃げるわよ!!」

 

彼女はラミアをおんぶし、ヴィヴィアンを抱っこすると大急ぎで来た道を引き返して来た。

 

だが、竜巻は徐々に彼女の背後へと迫ってくる。

一度振り返ったその時、彼女は足元につまづき、転びかけた。

 

(死ぬ!)

 

三人共直感でそう思い、目を閉じた。

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・!?」

 

気がつくとシルフィーは宙を浮きながら前に進んでいた。

 

「シルフィーさん!その背中・・・」

 

「シルフィー!スゲー!」

 

二人の視線の先には二つの翼があった。片方は天使の様な純白の翼。もう片方は悪魔の様な漆黒の翼。それはシルフィーの背中から生えており、二人を守っていた。

 

それは紛れもなく、ミスルギで見たあの翼であった。

 

「なんでこれが・・・いえ、今は有難く使わせて貰うわ!二人とも!しっかり捕まってて!!」

 

(理由はわからない!でも私は知ってる!飛べる!)

 

彼女は宮殿めがけて一直線に飛んで行った。

 

「シルフィーに、あの翼が・・・」

 

「どうなってるんだ・・・」

 

皆がその変化に戸惑った。だが直ぐに目の前の脅威があると言う事実を思い出し、その対策を練る。

 

「なんとかあの竜巻を掻消せ内の!?」

 

皆がその方法を考えていた。

 

「・・・そうだ!あれがあるじゃない!アルゼナルをぶっ飛ばしたあれが!」

 

収斂時空砲。アルゼナルの半分を消しとばした焔龍號の切り札兵器だ。

 

「無理です!都はおろか、神殿もろとも消し飛んでしまいます!」

 

「3割引とかで撃てばいいじゃない!」

 

「そんな調整はできません!」

 

「・・・そうだ!3割引とかで撃たなくてもいい!私があなたの撃ったそれを私ので打ち消せばいいんだわ!あの時みたいに!」

 

「打ち消しあう!?確かにあの時は出来ましたが

今回もできるかどうか!?」

 

「あなたお姫様なんでしょ!危機を止めて民を救う!それが人の上に立つものの使命よ!こうして兵士が頑張ってるのに、いつまであなたがうじうじとしてるのよ!」

 

「アンジュ・・・」

 

この世界の人間ではない。それなのにこの世界の為に今危機と立ち向かっているアンジュの姿。それが彼女の中の何かを後押しした。

 

「・・・わかりました!アンジュ!行きますよ!

 

ヴィルキスと焔龍號が向かい合う。竜巻は尚も巨大な渦を巻き続けている。

 

「風に飛ばん el ragna 運命と契り交わして」

 

「風に行かん el ragna 轟きし翼」

 

サラマンディーネが歌い始めた。

 

「始まりの光 kilari・・・kirali」

 

「終わりの光 lulala・・・lila」

 

アンジュも同じく歌う。光の歌と風の歌。

 

「今よ!」

 

二人の機体からそれぞれから光が放たれた。そして竜巻の所で衝突した。出力の差とでも言うのか、若干ヴィルキスが押されている。

 

「ヴィルキス!押されてるわよ!あなた世界を滅ぼした機体なんでしょ!気合い入れなさい!」

 

その言葉に反応するかの様に、アンジュの指輪が光った。先ほどまで押され気味だったのが直ぐに同等の力配分となった。

 

「いっけぇぇ!!!」

 

光は同じ量の力を増し、竜巻を打ち消した。

 

 

 

都はそれなりの被害を受けた。だが全滅は免れたのだ。アンジュとサラマンディーネが向かい合っている。

 

「アンジュ。あなたの協力で民は救われました。

民を代表して感謝します」

 

「別に、友達を助けただけよ」

 

「アンジュ。あなたはあの歌をどこで」

 

「・・・お母さまが教えてくれたのよ。どんな時でも、進むべき道を照らすようにって」

 

「・・・私達と同じですね。私達の歌はアウラによって教えられました・・・なんと愚かだったのでしょう・・・あなた達を私の所有物にだなんて・・・教えられました。自分の未熟さを。皆を護って危機も止める・・・指導者とは、そうあらねばならないのだと」

 

「私も貴女の友達になりたい。共に学び、共に歩く友人に」

 

「・・・長いのよね。サラマンデンデンって。私はあなたの事をサラコって呼ぶわ」

 

「でしたら貴女の事はアンコと・・・」

 

「それはダメ」

 

サラマンディーネの提案をアンジュは即座に却下した。そのやりとりに皆が笑っていた。そんな皆が笑っているサラマンディーネの元にある人物がやって来た。

 

「サラマンディーネ様。お話があります」

 

ラミアであった。

 

「・・・何でしょう」

 

「ここでは言えません。どうか裏手へ」

 

サラマンディーネとラミアは人目を気にしつつ、

人のいない箇所へと歩いって言った。

 

崩壊した瓦礫の山の裏手に、サラマンディーネとラミアの二人は来た。

 

「今日の会議ですけど、やはり私には納得できません」

 

「ラミア・・・そうですね。確かあなた達親子は・・・」

 

「私もミィも彼女に救われました。だからこそ言えます。あの者は我々の憎んでいる存在とは違うと。命の危険を顧みずに、私達を救ってくれたのです・・・やはりあの様な決定は取り下げるべきだと思います」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大巫女様達が何をお考えなのかはわかりませんが、シルフィーさんの命を奪うなど、助けられた私には出来ません」

 

「!!!!」

 

アンジュ、タスク、ナオミ、ヴィヴィアンはその話を聞いていた。

 

「ちょ・・・ちょっと、サラ子。今の話・・・

一体・・・どういう事よ・・・」

 

「!!!聞いたのですか!!?・・・今の話を」

 

「アンジュ。ここにいたの」

 

そこへ何も知らないシルフィーがやって来た。

 

「シルフィー!来ちゃダメ!」

 

【ザクッ】

 

・・・何が起きたのか、直ぐには理解が出来なかった。アンジュの言葉より先に、自分の胸に冷たい感覚が襲い、その直後に焼ける様な激痛が襲いかかる。見ると自分の胸部から何かが突き出ていた。

 

冷たいそれは鉄の刀であり、サラマンディーネの剣である。

 

その剣は彼女の身体を貫いていた。そしてサラマンディーネの顔はまるで能面のように無表情であった。

 

「魔の再来を呼ぶ者よ。大巫女の命により、その命をいただきます」

 

そう言うとサラマンディーネは刀を引き抜いた。刀を抜くと同時に血が噴き出る。

 

「ガハッ!」

 

激痛によってその場に跪く。胸を手で押さえるが、それでも溢れんばかりの鮮血が流れ出てくる。

 

「シルフィー!?」

 

「心臓を外しましたか。ですが次は外しません」

 

するとサラマンディーネは刀で斬りつけて来た。

 

突然現れたナーガとカナメをも加わった。彼女はろくな抵抗も出来ずに傷ついて行く。

 

「これでトドメです」

 

「やめなさい!!サラ子」

 

遂にアンジュがサラマンディーネに飛びかかった。飛びかかった衝撃で二人が地面に倒れこむ。

 

「離しなさいアンジュ!!」

 

「離してたまるもんですか!!離したらまた斬りかかるんでしょ!!」

 

すると彼女達の上空が突然曇った。上を見ると黒いガレオン級が数匹。そこにはいた。そしてそこから何かが降下して来た。

 

黒の部隊の女性達だ。彼女は皆、手に銃を持っており、それをシルフィーへと照準合わせをしていた。

 

「ダメー!!」

 

「ウォォッ!ヤメロォォー!!」

 

ナオミとヴィヴィアンが火縄銃の所持者にタックルする。ぶつかった事により照準はぶれ、シルフィーに弾が命中することはなかった。

 

「シルフィー!逃げて!」

 

シルフィーは胸を押さえながら、背中の翼を弱くはためかせ、何処かへと飛んで行った。その時、サラマンディーネの元に大巫女からの通信が届いた。

 

「サラマンディーネよ。対象はどうした」

 

「対象は逃走しました!ですが相当の手傷を負わせる事には成功」

 

「わかった。後の事はロシェン達黒の部隊に任せよう」

 

それを聞いた黒の部隊のメンバー達はガレオン級に戻ると、その場を後にし、シルフィーの飛んで行った方角へと進んでいった。

 

「どう言うつもりサラ子!!いきなりあんな事をするだなんて!!」

 

「・・・いいでしょう。貴女方に話します。彼女は、我々にとって脅威なのです!」

 

「どう言う事よ!なんでシルフィーが脅威なのよ!」

 

「落ち着くんだアンジュ」

 

興奮するアンジュをタスクがなだめる。

 

「サラマンディーネさん。お願いだ。ちゃんと話してほしい。何故シルフィーを襲ったのか。一体シルフィーの何が脅威なのか」

 

すると彼女はその重い口を開いた。

 

「シルフィー・・・彼女は魔人族です」

 

「魔人・・・族?」

 

聞きなれない言葉に首をかしげる。しかし次のサラマンディーネの言葉に皆が驚愕する。

 

「そして彼女は・・・第一、第二のレーテの悲劇の実行犯。つまりは、大量殺人の犯人です!!」

 

「第二のレーテの悲劇?」

 

「口で説明するより映像で見てもらった方が早いですね」

 

するとサラマンディーネの額の宝石が光り輝いた。すると空中にある映像が映し出された。

 

その映像は、ドラゴン達が一人、又一人と突然燃え上がる謎の現象を映し出していた。そしてその奥には、一人の存在がいた。背中からは白と黒の羽根の生えた一人の少女の様な存在。

 

「!!!!」

 

四人。特にアンジュとナオミ。そしてタスクには心あたりがあった。ミスルギ皇国で起きたあの出来事。あの出来事と同じなのだ。

 

映像が切り替わる。そこには再び目を疑う光景が映し出されていた。

 

とある機体がドラゴン達と戦っている映像である。それは一方的な虐殺でもあった。その機体についても、彼女達は知っていた。

 

「オメガ・・・」

 

その機体はオメガであった。いや、Ωだけではない。α、β、γ。ΔにΖ。そしてν。アンジュ達の知るZERO以外のDEMが映し出されていた。他にも、見たことのないDEMも数機映し出されている。

 

「なに・・・これ。一体、どうゆう事よ・・・」

 

だが、何より驚いたのはその映像の撮影された日付などだ。

 

これらの映像すべてが、数百年前に記録された映像であるのだ。そしてその映像にシルフィーやΩ。そしてシオン達も映し出されている。

 

「・・・とにかく今はシルフィーを追おう。彼女のあの傷口。相当深い。早く手当てしないと死んでしまう」

 

「そうだよ!その黒の部隊に発見されたら、きっと殺されちゃうよ」

 

「・・・サラ子。貴女にも来てもらうわ。言って

おくけど、ふざけた真似はしないで」

 

「・・・分かりました。今はとにかく、彼女を発見する事に専念します。ナーガ。カナメ。ついて来なさい」

 

「分かりました!姫さま」

 

「カナメ。お供します」

 

こうして七人は、シルフィーの飛び立っていった

方角、ドラゴンの里の外。荒廃した世界へと走り

出して行った。




遂に次回から本編にはオリジナルシナリオ編へと移行します。一体魔人族とは何なのか、第二レーテの悲劇とは何か。

何故Ωやシオン達の姿が数百年前の映像に残されていたのか。

何故シルフィーはは脅威と見なされたのか。

何故変身後に頭が痛むのくわぁ!(それ以上言うなぁー)

まだまだ謎は深まるばかりですねぇ。
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