クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 Another Story 作:クロスボーンズ
この話を読む前に、今一度、44話の前書きを読んでください。
そしてそこに書かれている内容を理解し、それでも良いと言う方はこの先にお進みください。
何故こんな事を書いたかって?この後の展開が私の予想だとトンデモになるからです。特に7章に移行してから、1つ目はまだオリジナルシナリオの設定で弁明できますが、2つ目に関しては原作ファンの神経を逆撫でる危険があります。(特にドラゴンファンの方)
その点をご留意ください。
【ガシっ!】
ヴィルキスへと蹴りが入る直前、ヴィルキスは両腕を使いそれを防いだ。真正面から脚部を掴んでいるため、引き剥がすのにも一苦労な状態である。
「受け止めたのか!」
だがこれに一番驚いたのはアンジュであった。
「私、まだ何も操作してない!」
【THREE・・・TWO・・・ONE・・・】
【TIME,OUT】
【REFORMATION】
時間切れにより、再びオメガの姿が元へと戻った。すると突然オメガの身体が崩れ落ちた。まるで糸の切れた人形の様に。
オメガを放り投げたヴァルキスの身体は金色へと変化した。かつて、サラマンディーネ達がアルゼナルを襲撃に来た際に変化した。
ヴァルキスの両肩が開かれた。そこからエネルギーがチャージされてゆく。アルゼナルを半壊させたあの兵器と同等の火力の武器が。
「ちょと待ちなさいヴァルキス!こいつ!言うこと聞きなさい!」
今回アンジュは永遠語りを歌っていない。だがチャージは止まらない。
「あれはミカエルモードだ!時空兵器、ディスコード・フェザーが来るぞ!直ぐに機体を立て直せ」
「・・・」
「人間!何をしている!!ちぃっ!!」
放たれた光は、オメガの判断によりなんとか直撃は免れた。だが機体の左半身の損壊はもはや目も当てられなかった。
「人間!なぜ避けようとしなかった!!!」
「・・・・・・・・・?」
「・・・人間?」
この時のシルフィーの表情は恐怖でも怒りでもない。ただ唖然と何かを見つめていた。それは自分の両腕であった。
「なに・・・これ・・・感覚が・・・」
右腕は動かず、血が吹き出していた。付着したなどのレベルではなく、小さいながらも水溜りを作っていた。
そして皮膚は青紫へと変色している箇所もあれば、白すぎる箇所もある。左腕はまだマシであるが、動きがぎこちない。
何より恐ろしい事に、何も感じない。痛みも、不快感も。肌や血の温もりも・・・痛くもないのに、目から血は止まらない。
「まさかお前!神経が・・・」
血は尚も垂れ流れてきた。なのに何の痛みも感じない。オメガは慌ててムラマサを投げ捨てた。
「降参だ!この勝負は中止だ!私達の負けでいい!!だから直ぐに中止だ!!」
「なっ!いきなり何を?」
突然の言葉に、アンジュ達は戸惑った。だがオメガの鬼気迫る言葉は質問を許してはくれなかった。
「いいから頼む!もし気に入らないならこの場で俺の首を差し出す!だからお願いだ!頼む!!」
コックピットが自動で開かれた。直ぐに血生臭い臭いが辺りに立ち込める。。三人とも直ぐに異常事態だと判断したらしい。タスクは慌てて緊急の医療セットの用意を始めた。
だが次の瞬間、ヴィルキスがオメガを襲撃した。
「アンジュ!何をしているんだ!」
「違う!ヴァルキスが勝手に!」
ヴィルキスはアンジュの操縦から離れ、独自の意思を晒け出した。手にした剣で、一方的にオメガを殴り倒している。コックピットからシルフィーが放り出され、地面に激突する。それでも尚、ヴィルキスはオメガに攻撃を加え続けた。
「もういいでしょう!これ以上は!」
オメガは最早手足も出ない状態であった。ナオミとタスクのパラメイルで強引に動きを静止させる。すると満足でもしたのか、ヴァルキスは元の色へと戻り、コントロールもアンジュの元に戻っていた。
パラメイルに乗っていたナオミとタスクの二人が駆けつける。
「シルフィー!!・・・!?」
彼女の皮膚は、死人の様に冷たかった。血が通ってないかのように。そして元々赤く変色していた眼は今度は白眼部分まで赤く染まっていた。
「ちょっと!シルフィー!しっかりしてよ!」
ナオミが必死に身体を揺さぶる。そこで三人は、ある疑問点を見つけた。
彼女の身体は血塗れであった。だが今の彼女の身体は何処にも出血した箇所が見られなかった。確かに血が大量に腕に付着している。なのに傷口は何処にも見られなかった。
だが、身体の冷たさから異常事態は察しがついた。背中に担ぎ、パラメイルの元へと戻ろうとした。
その時であった。
「魔人族の討伐。ご苦労であった」
入り口の方を向く。そこにはロシェンがいた。ロシェンだけでない。小さな子どもと、それを警護する集団もいた。
「別にあなた達の為にしたんじゃないわ」
「アンジュさん。失礼ですよ。こちらにおられるのは大巫女様なのですよ」
もう一度大巫女と呼ばれた方へと目を向ける。以前あったときは仕切りで見えなかったが、これが大巫女なのだろうか。もっとも、周囲の警備を考えるに偉い人なのは確実だろう。
「その娘を渡してもらおう」
「私達は彼女を連れて私達の世界に戻る!それで
十分でしょ!殺す必要があるの!?」
「それがあるのですよ。残念ですが魔人族は皆殺しにしなければなりません。もし抵抗するのなら、あなた達・・・覚悟するんだな」
護衛で来ていた竜人達がアンジュ達を包囲する。
「それが貴女達のやり方なわけ?上等よ。あなた達、無傷で済むとは思わない事ね」
皆が武器を手にした。オメガもムラマサを握っている。ここに来て一番最悪のケースが起きた。ドラゴンとの衝突。一番避けたかった事態が、今まさに始まろうとしていた。
「お待ちください!!」
衝突直前、ある叫びが両者を静止させる。
この場にサラマンディーネとヴィヴィアンが現れた。サラマンディーネは血にまみれ、ヴィヴィアンに肩を借りながらこちらへと歩いてきていた。
龍神器もボロボロであり、激戦の後ということを生々しく伝えられた。
「サラ子!」
「サラマンディーネよ。何用じゃ?」
「大巫女様。そしてロシェン様。一つ。一つだけ
教えてください」
「何をじゃ」
「その魔人族の娘についてです」
サラ子はナオミが背負うシルフィーを指さした。
「彼女の血液からは、魔人族の細胞が99%発見されました。ですが、1%だけ謎の細胞があったのです」
「調べた結果。その血液結果がここにあります。それを今から読み上げます」
「この被験体の身体は99%が魔人族の持つ特有の遺伝子である。そして残りの1%がドラゴンの遺伝子であると判明しました」
「えっ?」
「なっ!!ドラゴン!?」
周囲がざわめいた。あまりに予想外の言葉に動揺したのだろう。
「そして時間がかかりましたが、データバンクの中からその遺伝子と同じものが発見されました」
「一体、何のドラゴンの遺伝子なんだ!?」
サラマンディーネが一瞬口ごもるも、覚悟を決めて言い放った。
「この遺伝子は・・・」
「・・・アウラの遺伝子であると判明した」
「えっ?」
「あ・・・アウラの遺伝子じゃと!?」
アンジュ達は動揺した。大巫女も少なからず動揺している。。突然告げられた言葉。その言葉が指し示す答えはただ一つ。シルファーは、第一のレーテの際に死んだとされる、アウラの娘となるのだ。何よりシルフィーが、声に出さずとも激しく動揺していた。
「でも、じゃあ、あいつらの言ってた。魔人族って種族の事は」
「違う!それは違う!!」
入り口からνに乗ったシオンがやってきた。黒装束は血塗れでボロボロである。それはDEMも同じである。
「そいつは俺たちと同じ魔人族だ!ハーフなんかじゃない!ドラゴンの血なんて入ってる訳ねぇ!入ってるわけがないんだ!!」
その態度は冷静ではない。例えるならば初期のアンジュと同じ。事実を認めず、否定したがる者の口調であった。
そして大巫女達は何も語ろうとしない。いや、語れないのだろう。
「お答えください!何故この情報を、貴女達は伏せていたのです!彼女からドラゴンの遺伝子が検出した時点でそれをもみ消そうとしたのですか!?」
「・・・そんな些細なこと。ドラゴンにとってどうで良いではないですか」
「その様な言い方・・・我々は同族を殺す所だったのですよ!それを何とも思わないのですか!!」
場を沈黙が支配した。誰も何も言い出せない状況。そしてその沈黙は、場違いな言葉に破られた破られだ。
「ふふっ。ふっふっふっ。あーっはっはっは!!」
「ろっ、ロシェル・・・様?」
「貴女と言う人間は、本当に・・・馬鹿ですね」
「彼女の事をドラゴンと認めればどうなると思います?魔人族との問題が複雑になるだけです。だからこの事実をもみ消したのです。化け物を化け物として処理する為に。その方が、余計な事を考えず、平和を乱す侵略者を叩き潰すという、大義名分として立派ですから」
「なっ!?」
「なんて言い方よ」
その言葉に、その場にいた皆が不快感を覚えた。しかしロシェンは何食わぬ顔をしている。
「よかったですよ、サラマンディーネ。貴女の考えを知れて。貴女の様な偽善者的な考えの持ち主が、いずれ私の敵となるのです」
【ゴゴゴゴゴ・・・】
「何か・・・音がしません?」
「どうやら、外の片付けは終わったみたいですね」
すると突然天井が崩落し、そこに一つの巨体が現れた。
「ウヒヒヒ・・・ウヒャハハハハハハハ・・・ハハハハハハ!! 」
その存在は狂気的な笑い声を上げていた。見た目はガレオン級だが、それよりも一回り大きく、何より身体の半分以上が機械で構成されていた。
そしてそいつの足元に、5機のDEMと、2機の龍神器がいた。全て、装甲などが酷く消耗し、所々に血の様な跡も見えていた。そしてそこから、七人が放り出された。
「フリード!エセル!ドミニク!カリス!ミリィ!」
「ナーガ!カナメ!!」
「ヒャハハ!まだ生きてるから安心しな。もっとじっくり痛めつけてやるからよ!ヒャハハッ!!」
7機全てを同時に壁に叩きつけた。νで何とか受け止める。
「ん?ンンンンンッ?」
ドラゴンはシオンの顔を吟味していた。それはシオンも同じであった。
「その右目の傷・・・覚えてる。お前、あの時の人間か」
「!!!」
シオンの中にある記憶。数百年前の龍魔大戦。あの事件でボロボロになっていた俺たち。そして、帰るべき場所が完全に破壊されたあの日。
この右目に、消えぬ傷跡が付いたあの日の出来事。
「貴様ぁ!!!」
νで殴りかかったが、直ぐに返り討ちとなった。
先の焔龍號との戦いの傷は深い。そして肉体も疲労困憊していたシオンでは、勝ち目などみじんもなかった。
「ヒャーッハッハ!やっぱ右側が全然ダメだな!!」
この存在にアンジュ達は唖然とするしかなかった。だがサラ子はその正体を知っていた。
「カーネイジ級!?馬鹿な!!封印されていたはずでは!!」
「サラ子!こいつ一体何者!?」
「カーネイジ級。かつての龍魔大戦におけるドラゴン側の勝利の最大貢献人にして、最大級の戦犯ドラゴンです!」
「その通り。かつてこいつは魔人族の前線基地を潰す作戦に参加し、多大なる戦果をあげた。だが、以前からの度重なる肉体改造によって精神は破綻。殺す事だけを愉悦の喜びとし、その作戦に参加した味方ドラゴンの99%を殺した。正に狂気のドラゴンよ」
このドラゴンの存在には、さすがの大巫女達も戸惑っていた。そして首謀者と思われるロシェンに詰め寄っていた。
「どういうことだロシェン!このような内容、聞いていないぞ!!」
「当然です。貴女には言っていませんから」
「この様な横暴許されると思っているのか!」
「ではそれを!一体誰が許さないというのです!?」
その直後、突然サラマンディーネの元に通信が送られてきた。その内容に、唖然とするしかなかった。
「クーデター!!?」
「ええ。黒の部隊が突然議会に。正規軍は殆どが魔人族の撃退に向かい、総数が少なく。黒の部隊によって、議会は占拠され、中に居た議員達が・・・人質となりました」
「どうやら私の隊は命令通り行動したらしいですね」
「まさか!黒の部隊の出動が遅れたのは・・・」
「これでやっとわかったよ。都に入った時に感じた違和感。黒の部隊がいなさ過ぎたことだ。まるで何処か出払ってたみたいに」
おそらくクーデターは初めから計画されていたのだろう。黒の部隊にとって嬉しい誤算として、魔人族の進軍が起こった。これによって正規軍をそれの撃退名目で都から追い出す。つまり都は手薄になるのだ。そこを武力で占領。これがシナリオと言ったところだろう。
「確かに私の行いはクーデターと呼ばれるものです。ですがご安心を。直ぐに議会で決議が問われるはずです。このクーデターが、果たして本当にクーデターなのか」
「どういうことじゃ!」
「それはまだ大巫女様が知るべき事実ではありません。そうそう、シルフィー。貴女に会いたい人がいるんでした」
次の瞬間、ナオミの背中からシルフィーが消えた。彼女の身体は現在空中にあった。
正確に言うなら、空中に浮かんでいる生物に握られていた。白い天使のような翼と、黒い悪魔のような千葉さ。胴体などには獣のライオンに蛇、羊など。ドラゴンとは一線をかけ離れている存在。
「キマイラ!?まさかお前!!」
彼女の身体は壁に激しく擦りつけられた後、地面へと叩き落とされた。
キマイラの姿が人間へと戻る。目の前に現れた存在。会うのはこれで三度目となる。
「リラ!!」
「君たちか。おやおや。あっちの世界の人間もいるみたいじゃないか。まぁ不思議じゃないか。向こうの連中もしぶとく生き残っているし」
「向こうの連中・・・アルゼナル!モモカ達は生きてるのね!!」
「ん?まぁね。今もなお、しぶとく生き残ってるけど、まぁそんな事はどうでもいいよね。この後すぐ死んじゃうんだし」
「その前に」
リラがシルフィーの方を向いた。
「教えてあげるよ。なんで僕があなたを人形って呼ぶのか。それはね・・・」
その言葉にシオン達の顔色が青ざめる。
「やめろ!シルフィー!そんな奴の話聞くな!!全部でっち上げだ!!」
リラによって、鉄槌の一言が振り下ろされた。
「貴女はもう、死んでいるから。腕輪という電池で仮初の命を得ているだけの人形。それが貴女という存在なんだよ!!!」
9月10日は苦闘の日!(即興で思いついた)
第6章は後2話程で終了します!
現在の隊長故にモチベーションが上がりにくい状態だけど!がんばっていこう!!