クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 Another Story   作:クロスボーンズ

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何故、こんな時間に投稿したのか、愚痴ついでに順を追って説明しよう。

①午前2時47分くらい。布団の中で目が覚める。

②スマホを弄りながら水を飲みに水道へ。

③午前2時54分くらい。水飲んでトイレ行って、いざ布団に戻ろう。

④午前2時55分。布団に入る瞬間、耳障りな音が耳のすぐ横を通り過ぎる。寝ぼけ眼を強く擦り、奴の気配を感じ部屋の電気をつける。

⑤午前2時58分。机の上に蚊を発見。しかも二匹。(コンチキが!!ぶち殺してやる!!!)

⑥午前3時25分ごろ。ようやく二匹の蚊を撃破。息が荒くなる。

⑦布団に入るも眠れない。スマホのSafariを立ち上げて適当にいじる。

⑧ハーメルンのサイトのマイページを閲覧。

⑨たまにはこんな時間にも投稿してみる。愚痴を書いたら投稿ボタンをぽちっとな。

⑩予定。このまま寝落ちする。てか眠いことには眠いんだ!投稿ボタン押したら直ぐに電源消して寝てやる。おやすみー

以上。こんな時間に投稿した理由でした。ほんと、夜中に蚊の羽音を耳にすると、蚊を潰すまで眠れなくなるから困るし、潰しても荒い息遣いではぁはぁして眠れなくて、とても困ります。

あの瞬間だけ、蚊が花粉症を起こす存在と同じくらいに嫌いになりました。元々好きではなかったけど・・・奴等仲良く絶滅しないかなー

ここから先は、昨日の内に書いた本編です。上のは多分目覚めたらハイテンションが落ち着いてる頃に見て恥ずかしくなってると思うけど、あえて残しておこう。

さぁ始まりました、第7章!

とりあえずこの章でオリジナルシナリオ関係は完結させたいので多少詰め込みの駆け足気味になります。 

予め言っておきます。不知火が結構ふざけたキャラみたいになっていますが、私の考えとして、普段ふざけてるけどそれは心の中にある何かの傷を隠している。

そんなキャラで作っています。

そしてお気に入りが40人を突破しました!本当にありがとうございます!!

これからもこの様な作品を見てくださる方の為に頑張ります!


第7章 異形の花達
第51話 夢幻へのパスポート


 

 

「人間には肉体の他に精神という命があるのは知っているか?人間の脳は産まれた瞬間から記憶を始めているんだ。記憶喪失とかもの忘れというのは記憶が抜け落ちたんじゃなくて、単純に記憶が何かしらのエラーを起こしているんだ」

 

(※この理論はあくまでこの作品にのみ通じる理論です。科学的根拠も多分ありません)

 

「・・・」

 

「・・・」

 

魔人族以外のメンバー全員が困惑していた。いきなり何を言い出すかと思えば謎な事を言い出した。

皆理解できていない。

 

「まぁ平たく言えば俺たちがこれからやる行いは

幽体離脱だ。それと同じだと思えばいい。幽霊に

なって彼女の中に入り込むんだ。そこで精神体に

記憶の情報を聞き出す」

 

するとシオンはナオミの方を向いた。その顔は何処か懐かしそうであった。

 

「因みにナオミ。お前の精神世界に一度、俺が入ってお前が蘇った事があるが、覚えてないか?」

 

「えっ?」

 

「・・・これを見たら思い出すかな」

 

シオンが何かを取り出した。それはトランプであった。フードを目深に被り、顔を隠す。トランプを手にし、そして一言。

 

「さぁ。この中からジョーカーを引きたまえ」

 

「あ・・・ああっ!!」

 

この時、ナオミの中の記憶がすべて戻った。あの夢のような出来事が鮮明によみがえる。これが記憶が蘇るということなのだろうか。

 

「・・・実を言うとあの時。本当なら俺はお前を見殺しにするつもりだった。でもシルフィーはお前を助けようとした。あいつが見ず知らずの他人に興味を示すなんて、数百年前ではあり得なかった。だから俺も助けることにした」

 

「その後、お前たちをアルゼナルに行かせる為に島を沈めたよ。ドラゴンと戦うとはいえ、ドラグニウムの件は腕輪でどうにか出来る」

 

「何より、俺たちみたいな差別意識とか先入観を持たず、何も知らない者同士、自分達と何も変わらない存在。そう受け止めてやれる。そう思って、あいつをアルゼナルに送ったんだけどな。

ああなっちまって、残念だ」

 

「・・・」

 

その結果を知っている者にとって、それは辛くのしかかった。痛い沈黙が場に流れた。するとそこに場ちが・・・魔人族側のリーダーが現れた。

 

「おいお前たち。俺の工具箱知らんか?」

 

「知るわけないじゃない」

 

「知らん」

 

「知りません」

 

「そうか。困ったなぁ。あれがないとファントムの最終的なメンテが出来ないんだよ。こいつの整備も出来ないし」

 

トランクケースの様なものが机の上に置かれた。

タスクが試しに見てみたが、中身は意味がわからない程に複雑であった。

 

何より外装は埃を被っており、ちょっとヒビまで入っていた。長年放置されていた事が窺える。

 

「こいつのメンテをしないとファントムの真価が発揮できねぇんだよな」

 

「それを使うとどうなるの?」

 

素朴な疑問である。すると不知火はよくぞ聞いてくれましたと言わんばかりの笑みを浮かべた。

 

「いいかお前たち。よーく聞けよ。ファントムの

強化体。それはなんと・・・」

 

「なんと・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「数分だが空を飛べるようになるのだ!!どーだ!すげーだろ!!」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

一人はしゃぐ不知火以外に、再び痛いほどの沈黙が場に流れる。今度の沈黙は、呆れ果てて言葉も出ないものだ。

 

「・・・え?すげーだろ!!・・・すげーよな!?」

 

憐みの視線を向けつつ、シオンが現実を叩きつける。

 

「先生。今の戦場では機械が空を飛ぶなんて当たり前になっています。彼女達の機体でさえどんなに性能が悪くても空を飛ぶ事が出来るんですよ」

 

「なんだと!?普通に空を飛ぶのはかオメガと

フライングアタッカーだけではないのか!?」

 

「先生とエリスが人柱となった数年後には、魔人族は反重力エンジンの開発にまで着手してましたよ」

 

「・・・なんて事だ!!俺様が眠りについている間に、そこまで文明が発達していたとわぁ!!ここまで人間達が変わっていたのか!まるで浦島太郎ダァ!!」

 

これがジェネレーションギャップという物か。

 

不知火が頭を抱え込んでいる。余程ショックだったのか、地面を死にかけの蛇の様にのたうちまわっている。はっきり言ってキモい。

 

「こ、こんな男がアウラの伴侶・・・」

 

サラマンディーネなど想像と現実の差に失望している。今にも泡を吹いて倒れそうだ。アンジュ達も

おそらく軽蔑の眼差しを向けていると自覚していた。

 

「とにかくアンジュ達!留守を頼む。戻る目途は

ついてないけどなるべく早く戻るつもりだから」

 

するとこれまで黙っていたナオミが口を開いた。

 

「あの!私達もその、精神世界に連れて行ってもらえませんか!?」

 

「・・・えええっ!?」

 

「あんな話聞かされて、ただ待つだけなんて寝覚が悪いわ。とにかく!私達も連れて行きなさい!」

 

アンジュもそれに続いた。

 

「・・・緊急会議だよ!魔人族全員集合!」

 

エリスの掛け声の元、魔人族が集まり円陣を組みながら作戦会議を開いた。

 

「どうする?俺達魔人族は肉体と精神を一時的に

切り離すことは容易だが、違う世界の人間ではかなり難しいぞ。まず精神世界に入れるかどうか。最悪体に戻れなくなって浮遊霊として彷徨う危険もあるし」

 

「でも今の彼女達。テコでも動かない様な眼を向けてるぞ」

 

「いっそゲートの魔術でリラの精神世界の穴を開いちゃえば?それなら入る事は簡単だよ」

 

話し合いは暫く続いた。そして結論が下された。

 

「分かった。ついて来い。だがこれだけは忘れるな。精神世界というのはその人の脳と同じ、非常にデリケートな世界なんだ。単純に言えば人の心に踏み込む事になる。その結果、心が壊れてしまう事もある危険な世界なんだ。こっちの指示に従ってもらうぜ」

 

「でしたら私も、お願いします」

 

サラマンディーネも名乗りを挙げた。

 

「シルフィー、彼女は数百年前から生きていた。そして腕輪をつけていた。ならば本物の腕輪について何か知っているはずです。その記憶を、自分の眼で確かめたいのです!」

 

「姫さま一人では危険です!私達も!」

 

「お取り込み中失礼しまーす!!」

 

突然ファントムから室内通信が入ってきた。

 

「なんだファントム?」

 

「それが先程から、私の通信パルスに妙な通信が入ってきていて、それもサラマンディーネ宛なんですよ。受話器です。どうぞ」

 

「私に?」

 

レトロな通信機を受け取る。すると向こうからある声が響いてきた。

 

「こちらアスカ!サラマンディーネ様!もしご無事でしたら応答してください!サラマンディーネ様!」

 

その通信は必死さを物語っていた。

 

「彼女達を助けに・・・」

 

そこで先程まで馬鹿騒ぎしていた不知火がいないことに気がついた。

 

「あの阿呆は?」

 

「先生ならついさっき、「かわい子ちゃんだと思うから助けに行くぜフォー――!!!」って言って飛び出して行きましたよ」

 

「飛び出したって・・・いる場所わかってるのですか!?」

 

「戻ったぜ」

 

「早っ!」

 

扉の向こう側には負傷したアスカ。外には黒いドラゴン達と核龍號がいた。直ぐにアンジュ達とサラマンディーネ達の手当てが始まった。

 

「アスカ!一体何があったのです!?」

 

「姫さま。都が・・・都が・・・」

 

「都がどうしたのです!?」

 

 

 

回想シーン

 

ロシェンが集会場に皆を集めていた。やがて、大巫女が話を始めた。この大巫女が、ロシェンに脅されているなど、誰も想像もしていないだろう。

 

「皆の者。既に、魔人族が再びこの世界に現れた事は知っていると思う。だが、奴等を全滅させる事は出来なかった。だが、今回の戦いで成果は出た。なんと我々ドラゴンの中に内通者がいたのだ。それがこの者たちだ」

 

顔写真が映し出された。そこにはサラマンディーネ達だけでなく、アンジュ達の顔写真まである。

 

「そんな・・・姫さまが魔人族とグルだったなんて・・・」

 

「そ、そんなの、信じられない!!」

 

「でも!大巫女様が嘘をつくはずが・・・」

 

「じゃあ本当に、姫様が・・・」

 

「偽りの地球から来た人間達も魔人族と繋がってたのか!?」

 

「そう言えば、彼女達はあの魔人族と共に都に来ていたな」

 

市民達は皆この言葉を直ぐには理解できなかった。不安や疑念などが、この場には渦巻いていた。

 

「皆さんが大きな動揺を受けているでしょう。ですが落ち着いて話を聞いてください。この者達は必ず、再びこの都へと進軍してきます。第三のレーテの悲劇を防ぐ為に!もうレーテの悲劇を繰り返さない為に!皆さんの力を借りたいのです!」

 

不安であった市民達にとって、その言葉は正に今後の道を指し示す道標となる物であった。それだけで市民は安心の二文字を実感できる。

 

極め付けとして、大巫女様が号令をかけた。

 

「皆の者。今度こそ長きにわたる因縁、かつての龍魔大戦を終わらすのだ!!侵略者を駆逐し、アウラが戻ってきた時、何の問題もない世界とする為に!!」

 

「ウォォォォッ!!!」

 

この一言で民の士気は高潮に達した。民達は皆信じていた。これが自分達の為、アウラの為であるという事を。これが魔人族との最後の戦いになると。

 

これが私利的なロシェンの企みだとも知らずに。だがその事に唯一気付いた存在がいた。それがアスカだ。

 

「ロシェン様!一体どういうつもりですか!!これでは軍部が政治に干渉する事と同意ではないですか!!!」

 

「そうです。はっきり言いましょう。先程の言葉はあくまで建前です。これからは私がこの世界を管理するのです。最早この世界に、アウラなど不要!!」

 

その言葉に、遂に我慢ができなくなった。この部隊はアウラに対する信教的な物が薄まっていたとはいえ、ここまで軍内部の腐敗が進んでいたのか。

 

「ロシェン様・・・いやロシェン!!アウラを愚弄するその行為!!!その命で償え!!」

 

【カキンッ!】

 

振り下ろされた剣を受け止める存在がいた。自分の部下達の龍神器使い達だ。

 

「お前たち!お前たちはそっち側に!!」

 

「悪いね【元】隊長。強い者には巻かれろ主義なんだよね、おらぁ!」

 

冷たい鉄がアスカの腹部を貫いた。痛みで蹲り、そこから血が流れ出る。

 

「死ねよ」

 

「隊長!!」

 

振り下ろされた剣を、一人の部下が身体で受け止める。

 

「隊長!不満を抱いているものは貴女だけではありません!既に同志たちが機体も回収しています!!ここは撤退しましょう!くらえ!!」

 

その場に閃光弾が投げ込まれる。眩い光が収まった頃、既にアスカ達の姿はなかった。

 

「逃げたか・・・まぁいい。所詮は有象無象の集まりだ。眼前の巨大な力の前には屈するさ」

 

都から脱出したアスカ達。だが、先程の軽い戦闘で既に傷ついた者が多数いる。それは、核龍號を奪還した部隊にも出ていた。

 

「サラマンディーネを、姫様を探すのだ。きっと姫様なら、この現状を嘆き、志を同じにしてくださる筈だ・・・通信で呼びかけるのだ・・・姫様は必ず、生きている・・・」

 

こうして、20%程の黒の部隊は、その組織を離反した。

 

回想終了

 

「今や都は、完全にロシェンの手に落ちました」

 

「今の私達は犯罪者か」

 

「まさか大巫女様までも手中に治るとは・・・」

 

そしてサラマンディーネ達は得た情報をアスカに話した。すると、

 

「お願いです!私達を貴女方の仲間に加えていただきたい!!」

 

突然の申し出である。

 

「おいおい。あんたらにとって、うちらは敵だろ?これ以上、そいつらと手を組めってのか?」

 

エセルが吐き捨てる。だがその言葉は魔人族にとっては正論であった。するとアスカは語り出した。

 

「私は恥ずかしい!!かつて、アウラの親衛隊の隊長を務めていた私にとって、アウラを護衛する事。それは名誉な事だと、胸を張っていました」

 

「なのに私は!あの時、アウラを助ける事ができず!その上、第二のレーテの悲劇すら止める事が止める事が出来なかった。それ以降、私の一家は没落しました。その汚名を返上する為、私は魔人族の討伐を行う黒の部隊へと入隊した」

 

「なのにその部隊は、アウラを愚弄する部隊という事に気づかなかった!」

 

「私は、かつての家の汚名を注ぎたい!!頼みます!!」

 

「よし。わかった」

 

不知火があっさり承諾した。

 

「先生!いくらなんでもあっさり決めすぎでは!?何故了承したのか、理由だけでも」

 

「いいかみんな。特に魔人族側には、数百年前に何度も口酸っぱく言っただろ?」

 

優しく両肩に手を乗せる。そして、

 

「古今東西!俺様がいい女性と見込んだ女性に、悪い奴はいねぇんだ!!」

 

「暴論だぁ!!」

 

「まぁおふざけは置いといて。こいつは信用できるぜ。アスカ?俺の顔に覚えはないか?」

 

アスカがまじまじと不知火の顔を見つめる。すると何かを思い出したらしい。

 

「お前!あの時の!?」

 

「こいつはアスカ。アウラが一番信用していた懐刀だ。俺様も彼女と面識はある。だからこそ言える。彼女は信用できると」

 

あの日。アウラがエンブリヲによって拐われた日。実はあの日、アウラは不知火と出会うはずだった。アスカはアウラに託された伝言を伝えに、不知火の待つ場所へと赴いたのだ。

 

【ビーッ!ビーッ!ビーッ!ビーッ!】

 

その時だった。突然警告音がビル内に鳴り響いた。

 

「これって敵襲警報!?」

 

直ぐにビルの外部モニターを展開する。するとレーダーには巨大な生命反応が多数検知された。

 

「黒いドラゴン達が近づいています!それもこちらを目指して!」

 

「やられたな。アスカとか言ったな。恐らく都を飛び出した時から、後を付けられてたんだろう」

 

アスカ達が反旗したとは言え、黒の部隊との全面衝突となれば離反軍など軍隊の比にならない。ならばどこかしらの戦略と合流するだろう。それが普通の考えである。

 

「敵軍からの通信が来ています!」

 

けたたましく鳴り響く通信機を不知火が取る。

 

「はい。こちらイケメン不知火」

 

突然変なことを言い出した。電話口の相手はそれには何の反応も示さない。

 

「お前たち、魔人族だな」

 

「この通信は現在使われておりません」

 

【ガチャン。ツー、ツー、ツー、】

 

この間、僅か1秒未満。

 

「・・・ええええええっ!!!??」

 

「なんだお前たち、うるさいぞ。少し静かにしろ」

 

「いやいやいや!何サラっと敵の通信切ってるんですか!?」

 

「だって相手男じゃん。女性ならアポなしウェルカムだけど男はなぁ・・・」

 

「そういう問題じゃないでしょ!今頃敵さんカンカンですよ!!」

 

「あのーまた通信が来ましたけど」

 

「おっ。どうやら相手もわかってきたんじゃないか?はい。こちら最高に男前の不知火だ」

 

「・・・先生。昔ながらの事ですが、私は情けないですよ」

 

「お前ふざけるなよ。どこの世界に敵の通信を無視する能無しがいるんだ」

 

敵兵は案の定怒っていた。

 

「男に用はない。女性を出せ。話はそれからだ!」

 

「話が進みません!私が出ます!」

 

我慢しきれなくなり、サラマンディーネが不知火の手から通信機をもぎとった。

 

「・・・ほほう。魔人族と繋がっている逆賊が現れたか」

 

話の通じる相手が出たためか、今度は相手も少し嬉しそうである。

 

「サラマンディーネ達。それに反乱軍のアスカ共。今のお前たちは逆賊だ。だが、もし魔人族の首を持って土下座でもするなら、命だけは助ける様に取り繕ってやるぜ?」

 

「生憎でしたね。外道に落ちた者に下げる頭を、私は持っていません。仮にも、今は仲間となっているの者の首を手土産にするなど尚の事」

 

それだけ言うとサラマンディーネは通信を叩き切った。

 

「サラマンディーネ。あんた・・・」

 

「勘違いなさらないでください。貴方達の首を手土産に今の黒の部隊に降るのが、より屈辱なだけです」

 

「とはいえ奴等はこちらの居場所を把握した。先遣隊とはいえ、全力でこちらを叩き潰すのだろう」

 

「ファントム。あのオメガの亜種の機体内で使えるもんはあるか?」

 

「機体としての活動にはまだメンテが。でも武器なら使えるわ」

 

「固定砲台にはなるか・・・時間がない。エリス。防衛線だ。ここに残る部隊の指揮官をお前に任せる。どうにか奴等を退けてくれ」

 

結論からして、この場に残るのはエリス。ナーガ。カナメ。そしてアスカ率いる黒の部隊である。それに固定砲台としての武器が多数。残りのメンバーは精神世界行きだ。

 

現在の敵の兵力から見て、これならギリギリ互角で撃ち合える戦力だろう。いざとなったら、自分達の身体を機体に入れて逃走しろとの事。

 

 

 

皆がエレベーターで地下へと辿り着いた。地下格納庫。目の前にはシルフィーの眠るカプセルが安置されている。その背後には、機械でこじ開けたかの様な歪な穴が広がっていた。

 

「シオン。頼む」

 

「ああっ」

 

シオンの能力でゲードが開かれた。この穴の向こうに、精神世界があるのだ。

 

「全員近くの魔人族に触れておけ。幽体離脱後、俺たちでお前達の精神体を導く」

 

アンジュ達がシオン達の肩に手を乗せる。すると皆。何かしらの呪文を唱え始めた。それが進むにつれ、アンジュ達に倦怠感と睡魔が襲ってきた。そして意識が途切れる瞬間、不知火が一瞬サラマンディーネの耳元で小声で一言呟いた。

 

「辛い現実を見るかもしれないぞ」

 

次の瞬間、不知火達の身体は糸の切れた人形の様に倒れ伏した。後には、穴がその場にぽっかりと開き続けていた。

 

「姫様たちはその、精神世界とやらには行けたのですか」

 

「ええ。後はあの子の心を呼び戻し、説得するだけね。さて、こっちも歓迎の用意をしておかないとね・・・」

 

黒のドラゴンは数キロメートル先まで来ている。撤退は不可。絶対防衛線がここに引かれたわけだ。

 

そして、オメガはメンテナンス中でも意識ユニットで全てを聴いていた。

 

(マスター。そして人間。見せてもらうぞ。貴女が・・・お前が過去と向き合い、そして乗り越えられるか・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、都にて。

 

「何とかならないのかね?ロシェン」

 

「やはり姫様の処刑はまずいのでは・・・」

 

「姫様は、アウラ奪還の要となる龍神器、焰龍號の乗り手だろう!」

 

議会の中にも、あの決定に不服を持つものはいるらしい。

 

大巫女様が言ったとはいえ、流石に姫様を殺すとなると、アウラ奪還にも大きな影響が出てしまう。とはいえ、ロシェンの本心に気付くものは誰もいなかった。

 

そしてロシェンの放った一言で議会は見えない力で制圧された。

 

「彼女達は、真実のアカシックレコードに触れてしまった危険がある。それが何を指すか、ここにいる殆どの方には理解できる筈です。それでも・・・ですか?」

 

「・・・」

 

その言葉の後に話すものはいなくなった。数分の沈黙の後、ロシェンが口を開く。

 

「沈黙は了承と取る・・・魔人族の討伐。それは我々黒の部隊に与えられた責務です。それを全うしてきます。議会の命令という形で」

 

するとそこに通信が入った。

 

「追跡部隊が奴等の隠れ家を発見しました」

 

「よし、反乱兵をここで一掃するのだ・・・」

 

するとそこに一人の兵士が駆けつけた。

 

「たっ!大変ですロシェン様!」

 

「何事ですか?」

 

「リラが!リラが謀反を!!」

 

「何だと!?モニターに映せ!!」

 

見てみるとZEROが黒の部隊のドラゴン次々を殺しているではないか。

 

「リラ!貴様何をしている!!」

 

「殺す!ドラゴンどもを殺す!!私を産み出す元凶であるドラゴンを殺す!!」

 

「貴様!気でも狂ったか!!」

 

「黙れ!私は全てを殺す!!」

 

「なっ!」

 

その狂気ぶりは、これまで見てきた彼女の余裕の欠片もなかった。余りにも予想外の態度に、ロシェンは戦慄した。何より、ここで自軍の戦力を失う危険が大きすぎる。

 

「まっ!待て!!落ち着け!お前を産み出したのは魔人族だ!!」

 

「魔人族!!」

 

「そうだ!殺すなら、魔人族を殺すのだ!!」

 

「憎い・・・魔人族が憎い!魔人族を殺す!その後でドラゴン共を殺す!全てを殺す!!ZERO!!」

 

壁を突き破り、ZEROは飛び出した。やがて呼吸を整えたロシェンが、兵士に伝達した。

 

「全ての黒の部隊に通達しろ。攻撃目標は反乱兵だけではない、リラとZEROもだ・・・」

 

 

 

何故この様な事が起きたか、遡る事と数十分前。リラはZEROの前で苦しんでいた。あの疑問が、頭から離れない。

 

「僕は・・・私は何だ!!シルフィーは、リラは私が殺した!!リラは死んだ!!私は最強の存在である事が確立された!では私は、これからどう生きていけばいい!!私の目的は何だ!!何を目標に生きていけばいい!!この様な姿でどう生きればいい!!」

 

生きる目標を失い、リラは半ば暴走中であった。

 

「随分と苦しんでいるみたいだね」

 

ある男がリラの前に降り立った。

 

「エンブリヲ・・・」

 

「こちらの世界の反乱軍を排除する。君もこちらに戻りたまえ」

 

「笑わせないで。最強の存在である私が弱いお前の命令を聞くのは、可笑しな話ではないか?」

 

するとエンブリヲが嘲笑した。

 

「その言葉は数百年前の魔人族に言ったのと変わらないね・・・ZERO計画。人工的に最強の兵士を産み出す為の計画。様々な魔人族の細胞を投与し、君は最強の存在として生まれた。だが実態はどうかな?」

 

「君の母体であるリラ相手に横槍入りとは言え、君は敗れた。そして先日の戦闘。既に死にかけのリラを痛ぶる事で、君は倒したと言っている。全く、最強の存在が聞いて呆れる」

 

「・・・もう一度言ってみろ」

 

その声は怒りで震えている。

 

「君は最強なんかじゃない。ただの・・・産業廃棄物だよ」

 

「エンブリヲォォッ!!!!」

 

【バキャーン!】

 

「うっ!」

 

彼女が手にした銃が火を吹いた。弾丸はエンブリヲの頭部目掛けて突き進み、そして貫通した。エンブリヲはその場に倒れ伏し、そこから血の池が辺りに広がり出した。

 

これは誰がどう見ても死んでいる。

 

「憎い!私を蘇らせたエンブリヲが憎い!そしてエンブリヲは殺した!!また私は、どう生きていけばいい!ZERO計画。ドラゴンさえいなければ、私が産まれる事はなかった!!憎い!ドラゴンが憎い!!殺す!ドラゴンを殺す!!」

 

狂った怒りの矛先は、誕生の原因となったドラゴンへと向けられた。こうしてリラはZEROへと乗り込んだ。そして上記の事態に至るのだった。

 

 




◯◯を倒す事が俺の目的だキャラにあるある。実際目標を倒した後、その後をどうするかを困惑し、錯乱するタイプのキャラ。

ドラゴンボールの人造人間とか、この手のキャラって、目標倒した後はどうするつもりだったのか。少し気になります。

(まぁ人造人間の方々はリラの様にはならないでしょうね)

そして次回から遂に、レーテの悲劇。ZERO計画。そして龍魔大戦の真実に触れていきます!是非
お見逃しなく!!
(番宣風)
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