クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 Another Story 作:クロスボーンズ
まーた10000字超えちゃったよ。超えない様に前編後編で分けたはずなのに。
心の声「お前こんなぐだぐ駄文章を書いて閲覧者の貴重な時間奪ったんじゃねぇよ!!いつか本当に閲覧者さんがいなくなるぞ!」
作者「すいませんでしたぁ!!」
前回と同じくらいの長さです。本当に申し訳ない事をしました!
一同が名もなき島で向かっている場所。それは何と火山内部であった。火口の大きさの都合上、そこに向かうのはシルフィー達人間サイズであり、ドラゴンの姿を持つものは先の戦闘で傷ついた身体を休めていた。
当然だが火山内は熱気でむせかえっていた。魔人族側はシルフィーを除き平気な顔をしていた。ドラゴンの方はアンジュ達と同じで結構参っていた。
やがて最深部にたどり着く。そこには神殿の様な建造物が存在していた。それなりの大きさをしており、皆で中に突入する。
意外な事に中は快適であった。まるでここだけ別世界のような。そして神殿の中には様々な機械が置かれており、ここで生活していた感を醸し出している。
「俺たちはここを拠点として活動していた。ある物を守る為に」
シオンの視線の先には棺の様な物が安置されていた。シオンは重々しい蓋をスライドし、中の物取り出した。
棺の中には小箱があり、それを開く。そこには一つのカプセルが安置されていた。リラの母体が眠るカプセルより遥かに小さく、手のひらサイズである。
するとシオンが衝撃の一言を言い放った。
「龍魔大戦で生き残った魔人族、約10000人分の
遺伝子情報が、この中に収められてる」
「・・・え?」
言われた内容が理解できない。するとシオンが簡潔に言った。
「この中に、10000人分の魔人族の命がある!!」
「・・・ええっ!!これに!?」
皆が一斉にカプセルに注目する。サイズ的には卵みたいなこのカプセルが、10000人の命を左右するのだ。
「でも、どうして!?なんで!?」
「・・・遺伝子の分解。ZERO計画の応用ね」
エリスが何かを悟った。
「でもあの計画は技術に資材、そして倫理観の問題で永久凍結されたはずよ」
「ええ。ですが戦争終盤にゴンドウの独断で計画が再開。その結果、最悪の事態が重なり、魔人族は滅びの道を辿りました」
「不幸中の幸いだったのが、昔の人間の残したデータ。それにゴンドウの残したZERO計画の資料を得て、魔人族の根絶やしを回避することが出来た事です」
「それが、遺伝子を分解し、蘇る時が来るまで、こうして眠り続ける事か」
こうしてシオン達はこうなった原因を語り出した。そう、数百年前の、ZERO計画、そして龍魔大戦の最終盤について。
ここで閲覧者のみんなに、この時代の魔人族について、軽くおさらいと解説をしておこう。ついでにZERO計画凍結理由も触れておく。
まず、魔人族はこの世界に来たときは島ごと転移してきたことになっている。それからは外界との交流を絶って独自の生活を築き上げてきました。
事態が変わったのはD.warsによる地球の滅びである。この時地球全土で大規模な地殻変動が発生。
その結果島が近くの大陸と地続きで繋がった。当初、魔人族はドラグニウム汚染の影響で地続きになっても外の世界に行く者は誰もいなかった。
それから年月は立ち、この間外に出たのは不知火くらいである。そこでアウラと出会い、ハーフであるリラが生まれた。
すると両国の偉い人は彼女を穢れた血を引く存在として、特に魔人族はドラグニウムによる体組織崩壊の問題もある為、かなり毛嫌っていた。
そしてその怒りの矛先は、徐々にその血を産み出した相手国へとむけられ、両国の間に争いの機運が高まってきていたんだ。
この頃はまだ両国のトップのアウラや不知火が軍の暴走を何とか抑えられていられた。
だが第二のレーテが引き起こされ、遂に引き金が引かれた。魔人族は不知火とエリスを、ドラゴン側はアウラが実質死んだも同然となった。
両方の臨時トップ(ロシェンとゴンドウ)は事実を知りながらも、あえてそれを歪めて言った。
「平和を願ったアウラは卑怯な魔人族に嵌められた。謀殺だと。赦される行為ではない!!」
「争いを望まなかった不知火とエリスは、野蛮なドラゴンに殺されたのだ!!このまま黙ってる訳にはいかん!!」
弔い合戦の如く、こうして龍魔大戦が開かれた。この初戦直後、島に住んでいた魔人族は外の世界へと出ていったのだ。理由は簡単。まず外のドラグニウム汚染が即死では無く、対ドラグニウムコーティングされた黒装束によってそれなりの活動が可能だと判断したから。
もう一つ。外に世界には当時の魔人族が喉から手が出るほど欲しがっていた鉄鉱石、つまり鉄資源がゴロゴロ転がっているのだ。それらは高値で売買される。
ゴールドラッシュならぬメタルラッシュの幕開けであり、一獲千金を狙い人々は島を出て廃都市や廃工場を見つけては、そこに独自の村や町を作り、そこで生活を営み、時として機械兵器を復元。自警団などを立ち上げる者もいた。こうして、6年の月日が流れたのだ。わかったかな?
魔人族は魔術を使える。これは魔人族の先祖たちが遥か昔に自らの身体を遺伝子改造したからだ。それは時に全くの別物になりながらも、親から子へと受け継がれる。
この計画が発案されたのもD.warsが原因だ。地球がドラグニウム汚染された際、魔人族の住んでいた島にも少なからずも影響を受けた。魔人族からすれば外の人間の起こした戦争、D.warsなどとばっちりに等しい。
そしてある計画が立案された。魔人族として様々な遺伝子を組み合わせ、強い魔術持ちの配合種を造り、やがてはこの世界の人間に復讐を行う計画。
これがZERO計画だ。
だが自分の遺伝子に手を加え、自らを強化するならまだしも、ZERO計画は人間を意図的に生み出す計画である。それも子作りとは違い、明らかに人間の領分を超えた禁忌。
何より計画に必要な技術が、当時の頃は残ってなかった。この計画は永久凍結。データ資料も厳重に
管理され、禁忌の歴史と悪名だけが残された。
(補足。アニメ本編ではドラゴン達は外の世界のドラグニウムを浄化しているが、この作品の設定としてドラゴンの体そのものが浄化されていないドラグニウムを放出しているのだ。ドラゴンにとっては問題ないが、魔人族にとっては汚い足で雑巾がけをしている物であり、結果、脅威に変わりはない)
さて、ちょっと長くなったな、それでは本編、いや回想に戻ろう。
時間軸にして、前回の回想に続き、皆がビルの外へと出た時である。ふとある事に気がついた。
「そういや、連れてきた他の軍隊のメンバーどこ行った?」
「まだビルの中なんじゃないかしら?」
「・・・なぁ、今のリラと出会ったらあいつら、
逆鱗に触れて殺されるんじゃないかな?」
【ドカーーン】
一抹の不安を覚えた直後であった。突然、スマートブレインの一部が爆発、黒煙が昇り始めた。そこに二つの機影が飛び立つのが見え、少し遅れて一つの機影が飛び立つ瞬間を見た。
「なっ、なんだ!?一体、何が起こって・・・」
「人間。オメガから通信。それも緊急通信」
この頃、彼等の乗るDEMにはオメガと同じ機会生命体という名の人工知能が備わっていた。通信先の
オーガは慌てていた。
「人間、大変だ!!マスターが攫われた!!!」
「なんだって!!」
オメガから現在追跡中の機体の写真が送られてきた。
「これは・・・」
「DEM・type・
「・・・くそっ!放っとけねぇ」
この2機はやがて基地のない場所で止まり、動かなくなっていた。シオン達が機体に乗り込み、オメガと合流してそのポイントに辿り着くと、なんとそこには基地が建てられていた。
「こんなところに基地を建造するなんて話、聞いてないぞ」
DEMをその場に残し、シオン達は基地内へと侵入していった。侵入して直ぐに、この場所の異常性を感じ取った。
「おいおいこいつは、結構ヤベェとこなんじゃねえか?」
あまりにも厳重な警備体制。おかしな話だが、まるでエリートだけを集めた軍隊だ。彼等を蹴散らし進んでゆくとやがて開けた場所へと辿り着いた。
「リラ!それに・・・ゴンドウ参謀!?」
リラが捕まっていたが、様子がどうもおかしい。目の前のリラには、生気を感じないのだ。死んだ魚の様な眼をしている。
「リラ。一体お前・・・!?お前、左腕の腕輪はどうした!?」
見ると隣の空のカプセル内に、リラの付けていた月の腕輪が入れられていた。
「私は死んでたの?私が・・・ドラゴン?じゃあ私が、お父さんを・・・私が?」
ただひたすらに繰り返す譫言の様なその言葉に皆が察した。そして怒りの視線をゴンドウへと向けた。
「ゴンドウ参謀!!まさか話したのか!!彼女の事・・・腕輪の事を!!!」
「ああ。全部伝えた。不知火の事、腕輪の事。そして・・・血の出自もな。最初は生意気に否定していたが、斬り落とした左腕が生えてきたのを見てから、ずっとこの調子だ」
「ゴンドウ参謀。これはどうみても、虐待としか」
「君達は今の軍の現状をどう捉える?」
「えっ?」
突然の言葉にシオン達が動揺する。
「軍人の本職とは、市民を守り、市民の脅威となり得る存在を取り払う。それが軍人の務めであった筈だ。それが今の軍隊はどうだ!?本職を忘れ、肩書に胡坐をかき、あまつさえ非国民たる傭兵に戦いの主導権を任せる始末となった!!!」
実は以前、軍団員は大金をリラに支払い、戦線参加を要求。金を貰った以上、協力するのが傭兵のやり方であり、リラもこれを受け協力した。
だが軍はその戦線に参加せず、彼女一人でドラゴン軍とドンパチ殺り合ったことがある。狙いはリラの死。当時のリラは彼女が死ねばDEMの貸与契約も
意味がなくなり、金だって実質手元に戻ってくる。正規軍はここまで腐敗していたのだ。
「そんな事でいいのか!?化け物の力を借りなければロクに戦えない組織でいいのか!?断じて否だ!!」
「そこで私は志を同じにする者で軍団を立ち上げ、腐敗した連中を切り捨てた。そしてこれが成果だ」
スポットライトの眩い光に目が眩む。やがて目が慣れた頃、彼等は一つの機体を見た。
「これは・・・DEM」
「その通り。それも純魔人族製のDEMだ。AIも備え、固有能力は未来予測システム。ZERO計画から文字をとり、DEM.type.ZEROと名付けた」
「乗り手をどうするつもりですか?言っておきますが俺は、俺達はこんなやり方をする貴方に、協力するつもりはありません」
「ふん。いないのならば創り出せばいい。その為のZERO計画だ。機械文明を取り込んだ事で、その精度はより増した。立派な素材もここにいる。一人でドラゴン軍と殺し合える乗り手がな」
「まさか・・・やめろ!!」
【ジャキッ!】
助けに行こうとするも、超至近距離で銃を突きつけられては避ける手段もない為、大人しくするしかなかった。
次の瞬間、突然リラが悶え苦しみ始めた。
「ガアッッッッ!!」
「リラ!しっかりしろ!リラ!!」
「安心しろ。ただの情報スキャンだ。遺伝子をスキャンして、不要な遺伝子情報は捨てている。ただ、スキャンする際に激痛が身体を襲い、十中八九の人間はショック死だろう。だが仮にも先生の自己再生を引き継いだこいつなら、そう死ぬ事はないだろう」
そして空のカプセルから、遺伝子情報を元に一人の少女が創り出された。リラと同じ遺伝子。それに他の魔人族の細胞(魔術)を付け加え、最後に左腕に腕輪を移植。こうしてリラを超えたリラが誕生した。
「遂に、遂に出来たぞ!!純粋な魔人族としての
リラの誕生だ!」
「リラ!おい!しっかりしろ!!」
皆が浮かれた一瞬を付き、銃を突きつけていた兵士達を蹴散らし、シオン達はリラの拘束を解く。母体となったリラは昏睡状態であった。
「最早そいつは唯の抜け殻だ。お前達が好きにしろ。さぁ目覚めるのだ!最強の戦士、リラよ!!!」
すると先ほど誕生したリラの目が見開かれた。そして開口一番、言い放った。
「・・・私を起こすのはお前か」
「そうだ。私はゴンドウ参謀。魔人族のリーダーだ。お前の力を戦争終結の為に貸してもらう」
「貸してもらう・・・か」
【ジリリリリリリッ!】
すると突然、基地内部に警報がけたたましく鳴り響いた。
「参謀!この基地にドラゴンが進撃してきました」
モニターにはドラゴンが数十匹ほど写し出されていた。
「ふん!面白い。ZEROの性能を試す良い機会だ!リラ!お前は母体の記憶を引き継いでいる。無論、DEMの操縦法も分かるはずだ。ZEROに乗り込み、ドラゴンを皆殺しにせよ!!」
「・・・良かろう」
ZEROに乗り込み、ムラマサを取り発進する。すると数分で数十といたドラゴンの部隊は簡単に壊滅した。この戦果にゴンドウはご満悦である。
「流石は最強の兵士だ。基地に戻れ。データを取る」
「・・・」
「どうした?基地に戻るんだ!」
次の瞬間、ムラサマブラスターは此方へと向けられ、そこから粒子砲が放たれた。あまりに予想外の事態に、皆が唖然とする。
「なっ!何をするんだ!!」
「何故お前が私に命令する。何故だ?」
「なっ、何を!何を言っている!?」
「私は最強の兵士リラ。最強の私が、弱い人間の命令に従うのは可笑しな話じゃないか」
「何を言って・・・お前は、ドラゴンを皆殺しにするために、魔人族によって産み出された存在だぞ!」
「そんなものは関係ない。私にとって、力こそが絶対だ」
それは当時のリラの主義を強く象徴していた。それに彼女の中にあった僅かな情という甘さを消し、完全なる生物兵器となっていた。
「命令に従え!!お前は魔人族なんだぞ!」
「どうやらまだ立場が判っていない様だな。では、最強の証を立てる為、この場の人間を皆殺しにしよう」
次の瞬間、ムラマサブラスターが基地へと乱射された。
「ゴンドウ参謀!!」
「馬鹿な、最強の兵士が・・・」
ゴンドウは完全に放心状態であった。人間のクローンを創り出す禁忌。神の領域に足を踏み込むその行為。人の手に余るが故に封印されし計画。
だが、こうしてその封印は解かれてしまった。最早誕生したリラは、魔人族にとって、驚異以外の何者でもない。同時にそれは、リラが歩いてきた道の先にある、成れの果てなのかもしれない。力だけに固執し、追い求める。その末路が、このリラなのかも知れない。
「後を頼む!!」
そう言い残し、二人のパイロットはχとψに乗り込み迎撃の為に飛び立った。
「バーカ」
だが次の瞬間、まるで飛び立つタイミングを狙っていたかの如く、ムラマサブラスターによる砲撃が二機に加えられ、二機とも大破した。
その頃シオン達は自分達のDEMを回収しに向かっていた。幸い基地の外に置いてあるが故に、離陸直後を狙われる事はなかった。
ヴァスターの砲撃を避け、そいつは一気にムラマサでこちらの機体を貫いた。AIのある部分ごと。
「こいつ!!」
シオン達の攻撃は一向に当たらない。ゲートを生かした不意打ちさえも、ZEROは回避した。
「ミリィ!敵機へのジャミングは出来るか!?」
「無理よ!あの機体。これまでのDEMとは完全に系統が違う!」
「おいβ!しっかりしろ!!ベータ!!」
ZEROはDEMの人工知能の破壊を狙っていた。その一撃で分かる。敵との武器の差。そしてリラの殆どを引き継いでるが故に分かる、彼女の戦術。戦い方。その全てが自分達より格上であった。
ムラマサによって機体は大破する。ボロボロになりながら、全機荒地へと着陸する。幸い人工知能が破壊されただけで、何とかまだ機体としては生きていた。
リラは基地を叩き潰すかの如く、攻撃をやめない。基地の至る箇所から誘爆が引き起こる。
ゴンドウが悔しそうに地面に拳をぶつけていた。
「こんな、こんなはずでは!!純粋な魔人族となったリラは、最強の兵士として、魔人族の為に戦う筈だった!それなのに・・・我々は、全てを失った」
「違う。失ったのは、貴方がこれまで歩いて、築き上げた来た道そのものよ」
ドミニクの突き刺さる様な視線が向けられた。
「私は貴方を長い間見てきた。だから分かる。貴方の行動は確かに過激で行き過ぎな点が多かった。でも、その根底には魔人族という種を考えての行動だった。その事だけはわかってた」
その時、リラが遂に目を覚ました。
「私も、まだ終わらない・・・オメガ。来い」
その言葉に皆が驚愕する。こいつは戦うつもりだ。
「リラ!お前その身体で戦う気か!?死ぬぞ!!」
「私は既に死んでるんでしょ?見せつけられたわ。私が生贄の上に立ってるっね事をね・・・でもね、私思うの。道の途中で、倒れる事。それが一番後悔するって、だから・・・来いオメガ!!!」
「・・・わかった。いくぞマスター!!」
リラを回収し、オメガの手にしたムラマサが紅く輝く。勢いをつけてZEROへと突っ込む。向こうもムラマサでこれを受け止めた。
「貴女が私の母体ね。軽く感謝するわ。貴女のお陰で私が最強だという事を証明できる」
「貴女は私なのね。私の中にある過激な一面を全面的に押し出した存在。それが貴女」
「そうだね。そして最強は二人もいらない。だから死になよ!!!」
「そっちこそ!!最強は私一人で十分よ!!!」
両者のムラマサが激しく鍔迫り合う。バルカンなどによる簡単な威嚇も行われるも、それには両者共に怯まない。
やがて鍔迫り合いを解除し、銃撃戦へと移行した。
だが銃撃戦の場合、未来予測システムのあるZEROの方が、遥かにオメガより有利であり、どんどん圧され始めていた。
「このままでは負けるぞ!!」
「なら、アクセルで!」
右腕のアクセルメモリーに手を伸ばした。その瞬間、ムラマサの連射が機体を襲う。
アクセルモードを使えれば、まだ挽回できる可能性はある。だが起動するには、差込みの為に一瞬とは言え片腕を封じる事になる。その隙を逃す程、目の前のリラは愚かではなかった。
(一瞬、0.1秒でいい。このアクセルメモリーを差し込む時間が欲しい。それさえ自分あれば、この盤面もまだ盛り返せる!)
その頃不知火達は必死になって武器庫前の瓦礫を撤去していた。武器庫に残された最後の最終兵器を使う為に。
「このミサイル。確か核って呼ばれる兵器よね。
最終計画で竜の都に向けて撃つはずの」
「あぁそうだ。だが先程の攻撃で誘導装置が故障した。当てるには手動で操作するしかない!」
「ならこのミサイルに俺を乗せろ。ZERO目掛けて撃ち込む。今のZEROはオメガに集中していて、
未来予測システムの不意を突ける」
「馬鹿を言え。そんな事をすればお前は死ぬぞ!!」
シオンが脅す様にゴンドウに銃を突きつける。
「俺は死なない。リラにもう一度会って、謝りたい事があるから」
「・・・」
その時、基地は大きく揺れた。するとゴンドウはシオンの銃を奪いシオン達の方へと向けながら、ゆっくり後退りを始めた。
「何で!!」
「私を誰だと思っている!!魔人族、デルザー軍団対ドラゴン攻撃部隊参謀のゴンドウだぞ!!魔人族の民を脅かす存在を、野放しには出来ん!!」
「参謀!!」
「近づくな!離陸時の炎の噴出でお前達が焼け死ぬぞ!・・・せめて、一つだけ、教えてくれないか」
「・・・なんだ」
「私は何処で、道を間違えたのか・・・」
「参謀・・・」
そしてミサイルは飛び立った。人力誘導のそのミサイルをオメガに対し未来予測を集中していたZEROは反応する事ができなかった。
「何!?」
「魔人族に、栄光と繁栄を!!!」
次の瞬間、ミサイルは超至近距離から大爆発を起こした。ZEROは爆風と爆炎をモロに浴びる。オメガも多少離れたとはいえ、その威力を受けた。やがて爆炎の中から、ZEROが姿を見せた。
「ふふっ。はっはっは!そんなミサイル如きで私を倒せるとでも思ったか」
だが次の瞬間、その余裕は消しとんだ。キノコ雲の中から銀色の閃光がZERO目掛けて突き進んだ。ゴンドウが作った一瞬のチャンス。それを全力で活かしている。図らずも互いが協力した結果、この様になったのだ。
「ハアッッッ!!!」
「ガハッ!!」
ZEROへの蹴りがクリーンヒットした。完全な不意打ちとなったその一打により、戦いの主導権はオメガへと移された。
「こいつ!何て速さしてるんだ!」
「もっとだ!もっと早く!」
未来予測システムによりオメガの攻撃や行動は予測されていた。だが、アクセルモード自慢の速さでゴリ押しされては、対処が出来ない。一方的な滅多打ちとなっていた。
しかし、それも10秒の話であった。本当なら。
【THREE・・・TWO・・・ONE・・・】
「止めるな!続けろ!!」
「なっ!マスター!?」
「続けろと言った!!」
オメガは10秒を経過しながらも、アクセルモードを解除する事なく動き続けた。彼女は止まらない。このままゴリ押し続ける。それが唯一の勝利法である為。
「マスター!もうやめてください!!これ以上のアクセルは、貴女の身体にも影響が!!!」
「ガッ!ぜっ、絶対止めるな!!絶対に!!」
だが、40秒ほど経つと、遂に身体の自己再生が追いつかなくなって来た。肉が削げる嫌な音と共に全身にGと激痛が一気に襲いかかる。特に右腕がひどく痛む。
そんな高速移動による虚像と実像の入り乱れる中、遂にフォトンブラッドによる拘束がZEROを襲った。
「私が、負ける!?最強の私が!?」
「これで、終わりだぁぁ!!!」
アクセルモード起動の約1分後、ムラマサがZEROのエンジンを貫いた。遂にZEROを撃破する事に成功した。爆炎の中、それに飲まれる形でオメガも吹き飛ばされた。シオン達が慌ててオメガへと駆け寄る。
「リラ!おいリラ・・・!!」
コックピット内のリラは両腕が半分以上取れかかっていた。カリスが直ぐに応急手当を行うも、効き目など最早無いに等しい。エセルの瞬間冷却による接合を試すも、これも効果なしである。リラの目は半分閉じかけていた。
「・・・お父さん」
「!!」
「お父さん。私、強くなったよ。誰にも負けないくらい。強く・・・」
「・・・そうか。流石は俺の自慢の娘だ。父さんは嬉しく思うぜ」
シオンは嘘をついた。せめて最後のいい夢を見せる為の優しい嘘を。
「へへっ。お父さん。向こうで今度・・・レースしようよ。ファン・・・トムとオメガ・・・で・・・どっち・・・速い・・・か」
【ぼとり。ぼとり】
重力に従い、腐った果実の様に両腕が地に落ちた。心臓部分であった右腕が身体から離れた事により、リラの命は再び尽き果てた。
「リラ・・・リラァ!!」
手にした骸に対し、シオンは号泣した。
「リラ・・・赦してくれ!!赦してくれリラ!!お前を戦争に引き込み、周囲から守ってやれなかった自分を、許してくれぇ!!!」
その涙を拭う小さな手が、そこにはあった。目の前には、一人の少女がいた。その少女の右腕に、腕輪がはめ込まれていた。
「リラ!?」
「?」
腕輪が自己再生を試みて元のリラに戻ろうとしたのか、それとも本当に奇跡が起きたのか。目の前のリラは、残された生きた細胞を掻き集め長らく集結し、誕生したのだ。
(これが、本編に登場したシルフィーである)
だがその代償は大きい。記憶の欠損は激しく、右腕の生き残った細胞だけで構成したせいか、見た目も6歳の元へと退化していた。何より、脳のドラグニウムと心肺停止状態すらも、コピーしてしまっていた。
「・・・そうだ!もう一つの腕輪!!それを回収しないと!!」
その時である。
「お探しものは、これかな?」
「何者だ!」
そこには見慣れない男がいた。スーツ姿の男であり、何処か人を苛立たせる面をしている。
「私はエンブリヲ。世界の音を整える調律者だ」
「気を付けろ人間!!そいつは6年前、不知火を襲った人間だ!!」
オメガの警告に皆が身構える。
エンブリヲの手にはリラから斬り落とされた左腕が握られていた。腕輪も装備されている。更にもう片方の手には、ZERO計画の資料が握られていた。
「それにしてもZERO計画、人間のクローンを生み出す技術か。君達の技術ではその程度が関の山だろう。だが私が少し手を加えれば、ホムンクルスの製造に役立つだろう。この計画書は頂くとしよう」
次の瞬間、シオンはエンブリヲにつかみかかっていた。
「腕輪を返せ!!」
「悪いが返すわけにはいかないのだよ。これは研究サンプルだ。そんな事より、こんな場所で油を売っていていいのかい?今頃君達の基地は大変だよ」
エンブリヲはシオンを払い除けると、腕輪と死体。そしてDEMのZEROを回収し、その姿を消した。
そんな中、シオン達の判断が追いつかない。エンブリヲは何が狙いだ?それが理解できない。一番は先程の言葉のせいである。
「基地が大変。何が起きたというんだ!?」
直ぐに基地内にゲートを開いた。そして開かれると同時に煙が穴から溢れ出てきた。
「これは、ドラグニウム!!」
直ぐにゲートを閉める。ドラグニウムの煙、一体基地で何が起きているのか。今度はゲートを基地から少し離れた箇所から展開する。
「なっ!?これは・・・」
シオン達が見た光景。それは地獄であった。基地がドラゴンによって丸ごと襲撃されていた。戦場とは違いそこに抵抗の跡はなく、それは一方的な虐殺とも言えた。
基地を覆う様に巨大なドラゴンがいた。身体の半分以上が機械化されたサイボーグドラゴン。
「やっ、やめろぉ!!!」
νに乗っていたシオンが突撃する。少し考えれば無謀だということは直ぐに気づけただろう。おそらくAIが生きてれば即警告も来たはずだ。
だが彼は飛び出した。巨大なドラゴンがこちらを振り返った。右側の光が消えた直後、激痛が身体を襲った。右頬には生暖かい液体が付着している。右目を深くやられた。
「がぁぁぁっ!!右目が・・・」
「シオン!ここは離脱するぞ!」
「離脱してどうすんだよ!!」
「いいから離脱するぞ!残ったエンジン全開にしろ!!」
こうして皆はこの場から逃げるしかなかった。やがて基地が完全に壊滅した後の事。
「カーネイジ級。先程の敗残兵がいるはずだ。追いかけろ!!」
「ヒャハハ!!・・・やだねぇ!」
「何!?」
「さっきの奴等なんていつでも殺せる。そんな奴らより・・・」
次の瞬間、そのドラゴンの身体に移植された機関砲は、味方のドラゴンへと向けられた。そこからは何の躊躇いもなく砲弾が飛び出した。
「なっ!何をする!!?」
「まだまだ殺したりないんだよ!!だから量を取る事にした!精々楽しませてくれよ!!ギャハハハッ!!!」
シオン達にとって幸運だったのが、この時の相手がカーネイジ級、殺しを楽しむサイコキラーだったことだ。その為、自らの快楽の為に味方殺しを始めた点であった。
(こうして魔人族の軍隊は、ドラゴンの同時拠点潰し作戦の最中の内輪揉めにより壊滅。後で基地のあった場所に戻ったが、DEMを含むすべての兵器に人員が全滅していた)
(ゴンドウが直々にスカウトした秘密警察の様な部隊も、ZERO計画の失敗により壊滅。生き残った軍属の戦闘員は、偶然内輪揉めの中にいた俺達だけだった)
(ドラゴンの襲撃は村や町にも及んでいたらしい。殆どの町村が壊滅。生き残りも極少数しかいなかった。俺達は外の世界から退き、島まで後退するしかなかった。そして俺の右目に、消えない傷が残った・・・)
あの事件から1ヶ月が経過した。戦局は完全にひっくり返り、最早魔人族がこの戦争に勝利するのは絶望的であった。そして最後の手段をシオン達はとる事にした。
「魔人族の降伏の元、ドラゴン側と和平交渉を行いたい」
通信相手はロシェンである。
「・・・ほう、降伏か。我々が数年かけて軍事基地を叩き潰された際は、粘りに粘ってその結果逆転した。君達はしないのかね?」
「皮肉なら好きなように言ってくれ。兎に角、俺達軍人と残されたDEMの首を差し出す。それならそちらにとっても、悪い話ではないはずだ」
「生贄が必要なのだ」
「生贄?」
「この6年間の戦争で、民の怒りは爆発寸前だ。もはや軍人を消しただけではその怒りは収まらんのだ。この様な戦争を引き起こした存在である侵略者の魔人族。君達全員の死をもってしか、我々の怒りは収まらないのだよ」
「なっ!まっ、待て!!殺すならお前等に手向かった俺たち軍人だけで十分なはずだ!!民は関係ない!!!殺す理由が何処にある!?」
「この世界の侵略者たる魔人族。敵国の人間。殺す理由はそれだけで十分さ。精々、無様な命乞いを考えたまえ」
こうして通信は切られた。最悪の事態だ。自分達魔人族が生き残るには、ドラゴンを皆殺しにするしかなくなった。
現在動かせる機体はDEMが7機のみ。しかもオメガ以外はAIが破壊され、本来の力を発揮できない。この兵力で無数とも言えるドラゴン軍と戦闘しなければならない。
「・・・なんてこった」
その時であった。
「シオンさん!朗報です!例の装置が完成しました!生き延びれるかも知れません!」
「何っ!?本当か!」
あの事件の後、魔人族内ではある一つの作戦の決行が決定された。
「この世界からの転移により、ドラゴンから逃げる計画」が
それにはかつて、この世界の人間が行った時空転移実験の資料が必要だった。魔人族はかつての人間達が使っていたコンピュータなどををひたすら調べていた。そして遂に見つけたのだ。時空転移の技術資料について。
時空転移装置の資料、設計図。それに当時の魔人族の持てる全ての技術を注ぎ込み、使い捨てだが転移可能な装置が開発され、島そのものに装備された。これでかつての自分達の様に、どこかの地球に転移するはずだ。
だが、両腕を失ったリラの方はスマートブレイン地下格納庫内で生命維持装置と共に安置する事になった。彼女の場合、微妙なバランスで生死を漂っている為に動かす事が出来なかった。幸いな事に外見は何処にでもある廃ビルであり、地下に安置している為、そう簡単にはバレないだろう。
こうして実験なしのぶっつけ本番で、装置が起動した。すると島を丸ごと覆うほどの広い穴が開かれる。島は徐々にだが沈んでいった。
(一番簡単に跳べる場所に転移を・・・やれるだけの事はやった。後は跳んだ先の世界を信じるか・・・)
やがて島は、完全に姿を消し、穴もふさがれていった。
数時間後、本島襲撃の為にドラゴン軍が見た景色。それは島が丸ごと何処かに消えた跡だけであった。
こうして過去の龍魔大戦は、魔人族の絶滅と思われる結果によって終結した。この戦いの戦果が認められ、ロシェンは独自の地位を確立、議会に対しての発言力も高くなった。
そしてこの時、魔人族は知らなかった。自分達が飛んだ世界が、ドラグニウムで満たされた事。自分達はその世界ではどう足掻いても生きていけない事。その結果、コールドスリープを使い、身体を維持するしかなかった事に・・・
最後の部分を強引に持ってき過ぎた感がする。やっぱりシナリオを考える人って本当に凄いんですね。改めて実感しました。
魔人族の民が遺伝子分解する過程とか、何故コールドスリープが解除されたのかとか、書けなかった分は後編で書く予定です。てか今回人によっては元ネタわかるかもしれませんね。
はい、ここで皆さんに、超どうでもいいお知らせがあります、
実は数ヶ月の間更新を停止していた「ノーマの少女達と一人の少年が出会ったを再開、そして次話の投稿日が決まりました。向こうの作品は残り数話で最終回ですので、向こうの話に力を入れる事になりました。
もし、読んで頂けるのなら、是非御閲覧下さい!
(見て欲しいようなみて欲しくない様な・・・いや、是非見て下さい!!)
あっ、因みに投稿日は10月19日です。なんでこの日かって?(聞いてません)
まぁその理由は向こうの前書きで書くつもりなので。分かる方には分かるはずです。