クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 Another Story   作:クロスボーンズ

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注意!今回の話の後半に、不知火とアウラの出会いについて書いていますが、内容が結構危険な線を責めています。

これ原作設定にキャラの改悪だろと思う箇所もあるかも知れません!てか書いてる本人がそれを感じてしまいました。

友人からも「なりダンXの方が原作の扱い(本家のファンタジア)的な意味でまだまし」と真顔で言われました。何より、この危険な綱渡りが確定でもう一度あります。

なので原作(特にアウラ、竜の都の議会メンバー)
ファンの方には、念のために警告しておきます。

この作品はあくまで二次創作であり、原作とは(多少とは言えないが)異なります。そして今後はこの建前でも通じない可能性も含まれます。いや、割とまじで。

もし、不快感を感じるのが嫌な人でしたら、速やかにブラウザバックを推奨します。

それでは、覚悟の出来た猛者から本編へどうぞ・・・



第55話 滅びゆく者達 後編

 

 

アンジュ達はシオンの話を黙って聞いていた。

 

「魔人族に、その様な事が・・・」

 

「だが、飛ばされた先の世界もまた、ドラグニウムで溢れていた」

 

「私達の世界のことね」

 

「あぁ。これは予想だが、向こうの地球とこっちの地球は、エンブリヲがよく行き来をしていた。その影響で時空に引っ張られ、辿り着いたと思ってる」

 

「とにかく、向こうのドラグニウムこそこちら程では無いが、いずれは致死量を超える。そこで止むを得ず最終手段として、ZERO計画を応用し自らの身体を遺伝子レベルにまで分解。そしてこのカプセルの中に保存するという手段が取られた。当時戻す技術が無かったが、最早我儘を言っていられる状況ですら無くなった」

 

「そしてこのカプセルを守る為の番人として、俺たちだけは機体と共にコールドスリープについた」

 

「不幸中の幸いか、木を隠すなら森の中らしく、

あの島は他者からすれば唯の島にしか見えなくなった。俺たち自身、島に人が立ち入れば、コールドスリープが解除される。そう設定していた。だから本来なら、俺たちは、ナオミがあの島に流れ着いた時に目覚める筈だった」

 

「筈だったって、どう言う事よ。大体シルフィーは、十年に前にあの島で目覚めたって・・・」

 

「向こうの世界で10年前。ある機体が目覚めた。オメガのメモリー内に交戦記録のある機体。その機体の影響で、これまでの眠りの平穏は一気に崩された。なんせその機体は、ドラゴンとは違い、対緊急迎撃反応の除外対象からは外されていたからな」

 

「第二のレーテ。そして私達の世界で10年前。それってやっぱ・・・」

 

「あぁ。かつて竜の都で交戦した事のあるラグナメイル。ビルキス。それが起動した。その時の反応によって眠っていたオメガも目覚めてしまった。その際に我々のコールドスリープが解除されたんだ。敵が目覚めたと反応してな」

 

「・・・とはいえ、その時は目覚めた敵自体が調査の結果では脅威でないと判断。その後機体の反応がロストした為に、大事とはならなかった」

 

「だが最悪な事に、その間にリラが島での一人の生活に順応してしまった事。そして外の世界が、我々がコールドスリープてま眠りにつくより悪化しているという事実を得た。最早忍耐も限界だったよ」

 

「だから俺たちは生き延びる為に独自で計画を練り、そして開始した。マナをなくし、向こうの世界で生きていける様に。そして、彼等の分解された遺伝子を、元に戻せる様に。・・・あいつの孤独を、10年間無視し続けて」

 

これが、魔人族の辿って来たこれまでの道なのだろう。

 

「・・・そのカプセルを、シードレコードを破壊すれば、魔人族はほぼ絶滅するのですね」

 

「アスカ?」

 

「・・・私達は確かにロシェンの行いに反発しています。ですがそれは、決して魔人族の存在を認めた訳ではありません」

 

【・・・ごくっ】

 

その目は目の前のカプセルを捉えていた。あれを壊せば、あの中の10000人分の魔人族の遺伝子も粉々に消し飛ぶ。生唾を飲んだ音が、周囲にはっきり聞こえた。

 

「まさか、やめなさい!アスカ!」

 

「殺る気か。なら相手になってやる」

 

「よせ!やめろシオン!」

 

アスカとシオンの間で見えない火花がばちばち散っている。既にお互いが武器を手にとりかけている。アンジュ達を含め、何とかこの場を収めようとする。

 

 

 

「zzzスピーッ。zzzスピーッ」

 

すると、その雰囲気に水を刺す寝息が聞こえた。見るとドミニクが呑気に寝ていた。いつから寝ていたのだろうか?

 

「・・・ふっ」

 

そしてその寝息が、この場の雰囲気を変えた。考えてみれば自分達は都での戦闘以降、碌な睡眠をとっていない。そんな中、寝ている人間の姿を見たせいか、一気にこれまでの疲れと眠気が襲ってきた。

 

「とりあえず今は眠ろうぜ。ぶっ通しだもんな」

 

ドミニクを担ぎ外へと出ると、神殿を後にした。どうせならスマートブレインのソファーで寝ようとするも、一度感じ取った睡魔には勝てず、皆、道中で続々に地面に倒れ伏した。直ぐに全員から寝息が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・んんっ?」

 

ふとナオミが目を覚ます。一体時間的にどれくらい経ったのだろうか。空を見上げても暗くてわからない。長いようで短いような・・・だが、疲労などからは回復していた。

 

「ナオミ。貴女も起きたの?」

 

隣を見るとアンジュが起きていた。どうやら同じタイミングで目覚めたらしい。周囲にはいる人といない人とでそれなりに分かれている。

 

二人は眠れない為に、島を散策する事にした。するとある洞窟の前で二人は足を止めた。

 

「ほらこの洞窟。確か初めてシルフィーと出会った場所なんだよ。ほら、この奥にオメガが置かれてた」

 

昔、初めて出会った時の頃を懐かしんでいる。あの時の出来事が鮮明に蘇る。やがて二人は、砂浜に打ち捨てられていたグレイブの元へと出向いた。するとそこには先客がいた。 そこではシオンが刀の素振りしていた。

 

「シオン」

 

「なんだお前達、眠れないのか?」

 

「まぁ、チャット目が覚めたから散策してるだけ。そっちは?」

 

「俺は先生からの稽古も終わったし、自主練してるだけだ」

 

シオンは素振りをやめ、三人がその場に腰を下ろす。何を話すでも無く、時間だけが過ぎていった。やがてそんな雰囲気も、ある一言で掻き消された。

 

「・・・いい機会だ。アンジュ。ナオミ。お前達に聞きたい事がある」

 

シオンの表情はこれまでにない程に真面目なものになっている。あまりの真面目さに少し後退りする。

 

「シルフィーがミスルギで魔人化を発動し、アルゼナルを追放された時、何故シルフィーを庇えた?」

 

「えっ?」

 

「あの場面は普通に考えれば残っていたメンバーの意見が正しい。彼女を追い出そうとするのは妥当な判断だ。なのにお前は、あいつを最後まで庇い続けた。一体何が、お前達をそうさせたんだ?」

 

「そんな、特に理由なんてないよ。ただ・・・」

 

「ただ?」

 

「もし、私とシルフィーの立場が逆だったら、きっと同じ事をしてくれたと思う。だから、私も、それと同じ事をする。ただそれだけだよ」

 

「そんな事で」

 

「正直、私自身も少し驚いてる。でも、仲間を・・・友達を助けるのは当たり前だと思ったから・・・」

 

「・・・そうか。アンジュ。ナオミ。改めて礼を言わせてくれ。あの子の側に居続けてやってくれて、ありがとう。俺たちと違ってあいつも、本当の意味での友人に、仲間に出会えたのはお前達のおかげだ」

 

それだけ言うと、シオンは黙って目を閉じた。すると目の前の空間にゲートが開かれた。

 

「ここを通り抜ければ、アルゼナルに辿り着く」

 

「えっ?」

 

「お前達がこれ以上、俺たちと関わる必要はない。お前達には待っている人が、心配してる人がいるんじゃないか?なら戻って無事を伝えてやれ。機体の方も、直ぐに送り出すつもりだ」

 

「・・・」

 

二人は顔を見合わせた。此処を通れば向こうの世界に、モモカやヒルダ達の元へと戻れるのだ。あの後アルゼナルは、他のみんなはどうしたのか。聞きたい事や疑問は色々と溢れ出てくる。

 

「今すぐに戻るべきなのかしら、私達・・・」

 

その答えに二人は考えていた。そんな時だ。

 

「おっシオン。それにアンジュとナオミ。此処で何してるん?」

 

そこに、不知火達がやってきた。これでシルフィーとカリス。ミリィ以外の魔人族が揃ったのだ。そして不知火達は、ある人物と一緒に来た。

 

「あらサラ子にアスカ。貴女達が彼等といるなんて意外ね」

 

「いえ、私達は向こうで彼の剣を見て、そこで少しばかり手解きを受けていたのですよ」

 

「俺達も同じ理由だ。先生に久しぶりに稽古をつけてもらってたよ」

 

「いやぁ。サラマンディーネは結構いい線いってるぜ。上手く鍛えればシオンを越すんじゃないか」

 

「なっ!?何を言うんです先生!」

 

「ははっ!悔しいかシオン。ならどんどん精進するんだな。それはさておき、アスカ?何か悩み事があるのかか?」

 

「何を言って!私は悩んでなどいない!」

 

「嘘つけ。技にも顔にも出てるぜ。悩み事中って」

 

「・・・本当の事を言うと、少しな。何がなんだかわからなくなってしまって・・・魔人族。別世界よりこの世界を侵略する為に現れた悪魔の集団。エンブリヲと共謀し、始祖たるアウラを拐った邪悪な存在・・・なのに、我々は偽りを教えられてきて・・・」

 

「そもそも悪ってなんだ?」

 

「えっ?」

 

余りにも予想外の質問に皆が間の抜けた声を上げた。不知火は構わず続けた。

 

「悪ってなんだ?自分の中の正義に当て嵌まらない事は全て悪なのか?」

 

「それは・・・」

 

「俺は龍魔大戦の際は腕輪の中で眠りについていた。だからその戦争については口出しをする権利は無いに等しい。でもよ、俺達魔人族を滅ぼそうとするお前達は、俺達からすれば悪に当て嵌まる。自分の行為を悪だと考えた事があるのか?」

 

「そんな事考える訳がない!私達はドラゴンの民に・・・」

 

「きっと、シオン達もほぼ同じ理由で戦ったんじゃないかしら?民の為に。自分達が正義、相手は悪だと決めつけて」

 

「・・・」

 

それにシオン達は何もいえなかった。

 

「一つだけ教えておくわ。自分の中の正義は、絶対の正義じゃない。そしてその反対は悪ではなく、他者の正義。この世に絶対の正義なんて初めから存在しない 」

 

エリスが付け加える風に言う。その言葉に周囲は何も言えなくなってしまった。これまでふざけた雰囲気を出していた二人だが、年長らしくそれなりに考えて生きてきたらしい。

 

「・・・それにしても、まさか数百年経っても、アウラがここまで信奉されてるとは、嬉しい様な哀しいような」

 

「どういう事です?」

 

すると不知火がグレイブに寄りかかり上を見上げた。その表情は何処か昔を懐かしんでいる表情であったが、その表情は時折曇っていた。やがて彼は口を開いた。

 

「俺がアウラと出会った時、あいつは自殺しようとしていた」

 

「なっ!?アウラが!?」

 

その言葉に、ドラゴン側は驚きの表情を浮かべた。

 

「あぁ。アウラと会った第一印象は、上層部の連中に利用され、人間としてボロボロになった神輿。

少なくても俺にはそう見えた・・・」

 

「・・・あの、良ければ聞かせてください。貴方とアウラの出会いについて」

 

「いいぜ、この話は娘達にも話してない話だ。この話を知ってるのは俺とアウラ。それにファントムだけだ。そしてこれから話す事は、この場にいる俺達だけの秘密だ」

 

こうして不知火は、アウラとの出会いについて語り出した。

 

 

 

 

 

今から数百年前。満月が綺麗なある夜、D.warsによって人類が消え、静寂に包まれたこの世界。そんな中を爆走する一台のバイクがあった。

 

『いやぁ、今日も大漁大量。ほんと、外の世界は面白い物で溢れてるぜ。ヒャッハー!!!いいねファントムちゃん!!!もっともっと飛ばせぇ!!』

 

『はい!ご主人様!!』

 

この男、不知火は外の世界の物を物色し、気に入ったものを収集していた。今搭乗しているファントムも、外の世界の軍基地の最深部に捨て置かれた遺物である。それに自分好みのAIを取り付けたのだ。

 

『もっと速くし・・・待て止まれぇ!!あーっ!!!』

 

急ブレーキによって身体は前のめりとなり、機体から放り出される。不知火は地面に寝そべりながら、ある一箇所見上げていた。

 

月明かりに照らされた滝壺付近の高台に、一人の女性がいた。月明かりに映し出されたそれは、透き通る様な白い肌、そしてその肌に負けないほど白くて長い髪。一言で表すなら、美人だ。

 

『やべぇ、めっちゃタイプ』

 

不知火はその女性に見惚れていた。見てると幻想の世界に吸い込まれそうであった。だが次の女性の行動が、不知火を現実へと引き戻す。

 

その女性は、なんと滝壺に身を投げ入れたのだ。

 

『ちょちょちょ、待て待て待て待て待て!!!』

 

慌てて不知火は身体を跳ね起こし、その滝壺目掛けて飛び込んだ。なんとかその女性を手に抱え、滝壺から脱出する。

 

『おいおいあんた大丈夫か?飛び込みの練習ならもっと他所でやれよ』

 

『放っておいてください!!』

 

その女性は不知火の手を跳ね除けた。

 

『私を放っておいてください!!もう私に構わないで!!』

 

『なんだなんだ?悩みか?話してみろよ』

 

『だから放っておいてください!!』

 

『無ー理ー!こんな綺麗な人を放っておくなんて。とりあえず身体暖める為に火を焚くか。何か燃やせるもの・・・ニヤリ』

 

『・・・!?』

 

この時アウラが気がついた。自身の纏っていた服が、水によって透けている事に。そして不知火は食い入る様にそれをガン見していた。

 

『・・・成る程。いい胸だ』

 

『!!!ば・・・バカァ!!!』

 

【パチーン!】

 

水に濡れた手で頬を叩く音と、男の『いいビンタだ』と言う声が、夜空に響いては、掻き消された。

 

数分後、軽く焚き火を囲みながら、二人が向かい合っている。

 

『俺様は不知火。神がこの世に与えた天才さ!』

 

天災の間違いだろう。この男は数百年前から自重という言葉を知らないらしい。

 

『・・・アウラ。私はアウラです・・・一つだけ教えてください。何故私を助けたのです?貴方は、魔人族では・・・』

 

『何言ってんだ。美しい女性を助けるのに、理由がいるか?美しさに、ドラゴンも魔人族も関係ねぇ。今度はこちらの質問だ。なんであんなバカな真似をしたんだ?見るからに発作的行動だとは思うが』

 

『・・・誰も、私を必要となんかしてないんです。だからあのまま放っておいて欲しかった』

 

彼女は幼い頃から、大人達と機械に囲まれて育ってきた。幼い頃から、大人に混じって色々な研究をしていた。

 

でも、それは只々孤独で辛かった。周囲の人達は私を変な人を見る目で見てきた。私の両親も、そんな私を養子に出す形で実質手放した。

 

『だから、最初のドラゴンになる実験の時は、本当に嬉しかった。私を必要としてくれた事に・・・でも、わかったんです。みんなが求めてるのは、私の頭脳と名声だけ。上層部は私の頭脳を天才だと言い、私を象徴的に祭り上げ、そして市民達はそれに乗じる』

 

誰も私自身を見てくれない。じゃあ、私がこの場にいる意味はあるのか?そんな考えが、頭の、思考をドロドロに溶かして行った。

 

そんな中、アウラにある話が舞い込んできた。お見合い?そんな物ではない。アウラの試験官ベビーを作る為の卵子の提供である。

 

そしてこの時の、上層部の言葉が決定打となった。

 

『アウラの子供なら、きっとアウラ以上の素晴らしい天才に育つはずです。素晴らしい頭脳が、きっと産まれるはずです』

 

あくまで上が求めてるのは頭脳だけ。私自身の事はどうでもいい。神輿が彼女から産まれてくる赤子に入れ替わるだけ。

 

『なるほど。それで思い詰めたのか・・・よし分かった!乗りな!』

 

『えっ!ちょっと!』

 

不知火はアウラの手を掴むと、自身の背後に乗せ、ファントムを走り出させていた。

 

『綺麗な女性と走り出すぅ!行き先もぉ、わからぬままぁ!!』

 

謎の歌を歌いながら、不知火はファントムを飛ばし、何処かへと走り出した。歌が終わると、不知火は急に声のトーンを変えた。

 

『なぁアウラ。少し付きあってくれ。俺の与太話にな』

 

突然不知火が語り出した。走りながらの為に顔は見えないが、先程までのふざけた雰囲気でない事は確かであった。

 

『俺がなんであの場所にいたと思う?それはな、

だーれも俺様を必要としてくれないから」

 

『何て言うのかな。周りから見たら、俺の頭のネジは数本外れてんじゃねぇか。時々弟子にまでそんな眼を向けられる時がある。あんた一人で何とかなる。俺たちいらなくね?そんな感じで疎まれちまってさ・・・なぁ、確か誰かにあんた自信を必要とされたかったんだろ?』

 

『・・・えぇっ』

 

『よし!俺はお前が必要だ!今から俺が、お前の友達だ。よろしく!』

 

『・・・風に飛ばん el ragna 運命と契り交わして、風に行かん el ragna 轟きし翼・・・』

 

急にアウラの歌う永遠語りを、不知火は黙って聞いていた。やがてその歌も終わった。

 

『いい歌だな。向こうの国の賛美歌か?』

 

『・・・似たような物ですね』

 

この後、暫くシオンばバイクを飛ばし続けていた。誰もいない外の世界。そこも今だけは、この二人だけの世界であった。やがて月が顔を沈め、太陽が顔を出そうとしていた。

 

『あっ、そろそろ戻らないといけないので』

 

そう言うとアウラは背中の翼を広げ、青空へと飛び立っていった。そしてある程度浮遊したところで、こちらを振り返った。

 

『あのっ!・・・来月の同じ日に、また同じ場所で会えますか?』

 

『・・・あぁ。喜んで』

 

その言葉を聞き届けると、アウラは笑顔を向け、都へと戻っていった。

 

「それが、貴方とアウラの初めての出会い」

 

「あぁ。その後はお互いに夜遅く、こっそり出会う様なったな。国交断絶とかそんなんはなかったし、会うこと自体は違法でもなんでもねぇ」

 

「でもそんなある日。一.二年くらいたった頃、遂にこの事が両方の一部にバレた。そして最悪な事に、その現場に両方ともばったり出会った。あのまま行けばその場で戦争待ったなしだったな」

 

不知火は弟子達を見た。気まずそうに視線を晒す

辺り、事実なのだろう。

 

「でも、ある既成事実がそれを何とか防いでくれた。その時にはな、アウラのお腹の中にはもう新たな命が宿ってたんだよ」

 

「アウラの娘。それが・・・」

 

ある予想がたった。次の言葉はその予想通りであった。

 

「あぁ。リラ・・・シルフィーの事だ。言っておくが強姦なんかしてねぇ。互いの愛の結晶だ。当然ドラゴン側からすれば大パニック。堕ろさせ様としたが、その中の一人がつい本音で語ってしまったんだ」

 

「『偶像の分際で!黙ってこちらの言う通りに従え!!』ってね。その言葉を聞いた途端、アウラの奴、烈火の如く怒ってたよ」

 

「あまりの迫力にドラゴン側は尻すぼみ。俺との駆け落ちまで交渉カードに使ってさ。周囲に散々アウラは偉大なんて吹き込んでそのトップが失踪。上層部的には笑えないな。だからやむを得ずに、この事実を知っているその場のメンバーで密約を結ぶ事にした」

 

「その結果、なんとか産み落とす事が許された。産んだ後、アウラは研究に取り組み子育てはこちらで行う事、そして子供を産み落としたが最後、アウラと俺は二度と会わない事を条件にな」

 

それを言い終わると、不知火は手元にあった水を一気に飲み干した。

 

「そんな事が昔に・・・」

 

「俺はそれを呑んだ。でもそこからも結構荒れたぜ。相変わらずドラゴン側は意地でも胎児を腹の中の内に始末しようとあの手この手を尽くしてきた。ある時は料理に工場廃液を混ぜ込み喰わせようとし、またある時は寝ている最中に強引に人工中絶を狙いにも来た」

 

「あの頃は激しかったな。俺様が24時間、側についていながら毒味なり撃退なり色々してきたな。その後、何とかアウラは無事こどもを出産。女の子ということもあるが、何よりドラグニウムによる対組織崩壊の問題があり、赤子はドラゴンの方で育てられる事になった」

 

そう言うと不知火は腰を上げ、その場を立ち去った。そして姿が見えなくなる寸前、こちらを向き言った。

 

「・・・でもよ、これだけは言っておくぜ、俺はドラゴンだの魔人族だ関係なくアウラを愛してる。それは娘達についても同じだ。あいつらは俺の家族だからな。ドラゴンだの捨て子だの、くだらない色眼鏡なんか掛けて見ねぇよ」

 

「そんな理由で・・・」

 

「親ってのは、我が子が一番可愛いもんなのさ。たとえそれがどんな大問題を抱えてようと、罪人になろうと、親だけは世界を敵に回してでも最後の最後まで、我が子の事を愛してやるもんさ」

 

それだけ言うと不知火の姿は完全に闇に溶けていき、見えなくなった。残されたメンバーは黙って先程の言葉を聞いていた。やがてアンジュが微笑を浮かべた。

 

「あの雰囲気・・・似てたわ。両親に」

 

「アンジュの、お父さんたちの事?」

 

「えぇ。両親は私がノーマだと知りながら、それを隠して育ててきてくれた。私の事を愛してくれてた。あの男からも同じ雰囲気が出てた。立場も生まれも関係なく、純粋に自分の娘を愛し続けている。なのにあんた達は・・・一体何を争っているのか」

 

アンジュがドラゴンと魔人族を一瞥する。

 

「敵を滅ぼすのに理由がいるのか?」

 

「その常識を疑う事を覚えなさい。自分の見ている世界が変わるんじゃないかしら?じゃあ、お休み」

 

アンジュがそう言うと、それから先は誰も何も言わなかった。静な空間に再び、寝息が聞こえてきただけであった。

 

(・・・常識を疑え・・・か・・・確かにドラゴン側の対応は幾らなんでも不自然だ。いくら敵国同然の血を引いてるとはいえ、仮にも自分達の大将のこどもをそこまでして殺そうとするか?)

 

(なんでドラゴン達は、そこまで魔人族を滅ぼそうとするのかしら・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからどれくらい時間が経っただろうか。皆が

スマートブレインの地下格納庫に集まっていた。

 

「アンジュ達。それがお前達の出した答えなんだな」

 

「えぇ。ここまで関わった以上、私はこの結末を最後まで見届ける。中途半端に投げ出すのは好きじゃない。みんなも、同じ覚悟よ」

 

皆の方を一度向く。皆、アンジュと同じ意志の目をしていた。皆が機体に搭乗する。機体のないヴィヴィアンはタスクの後部座席に回った。

 

「それじゃあいくぞ!いざ、海底洞窟へ!!!」

 

機体前方にゲートが開かれ、皆の機体がその中に飛び込んだ。そして穴は塞がってゆき、やがて空間は元に戻っていった。

 

 





今回の話を見ると、なんかドラゴン(議会メンバー)を悪者みたいに書いてる風な気分になってしまいました。

違うんです!私はドラゴンを悪く書きたいんじゃないんです!ただこうでも書かないと不知火とアウラの出会いに話的な印象が持たせられなかったんです!

後アンジュ達の一件に関しても、流石に原作キャラ無しだと、回想場面でも無いのにこれ必要あるの?な事態を避ける為に取った処置です。

全て私の力量不足が原因です!本当に、すいませんでした!

(謝っておいてこれと似た展開が後にもう一度あると言う事実)

なので先にどの様な内容なのか、ある言葉を出し、その意味を理解した上で今後のオリジナルシナリオ回の閲覧に臨んで下さい。そして、以下の事が出来るなら、行ってください。

・【わたしは地球人】これを調べてください。(出来るなら試聴して欲しい)今後の話はこのエピソードに私なりに手を加えた内容になります。

この時点で人によっては今後の話を察した方もいるかもしれませんね。では最後に、7章の今後の展開を知ってる友人からのありがたい言葉。

「うん。作品に君なりの改変を加えた点は良しとしよう。でも、せめてもう少し穏便なシナリオを元にしてくれ(私は地球人視聴直後)」

そして突然で申し訳ありませんが、暫く執筆活動を休ませてもらいます。この作品のモチベーションが中々上がらない為、休養期間とする為です。
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