AZUR-TYPE   作:どんぐりあ〜むず、

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お久しぶりです。あけましておめでとうございます、どんぐりです。

一年半以上ご無沙汰してしまい、申し訳ありません。

詳細については、明日の午前中に活動報告にてお伝えしたいと思いますが、生活環境が変わったり、就職活動が忙しくなったりで、体力や精神が全くついていけず、執筆がかなり難航してしまいました。誠に申し訳ございません。

代わりにといってはでございますが、リハビリ兼「R-TYPE FINAL2」及び「アズールレーン」2周年記念(とっくに過ぎましたが)、そして伏せ字作品(作中にてコラボ先を明らかにしたいので、まだ伏せ字にしておきます)を記念して本作をアップしようと思います。久々に執筆に取り組めたということもあり、初期に比べかなり拙い内容とは思いますが、ご了承の程、何卒よろしくお願いします。

では、どうぞ。


次元を漂流する"鏑矢"
E.X.A1-1 邂逅


 

 

 

 

かつて人類は、滅亡の危機に瀕していた…。

 

外宇宙の彼方より飛来した、未知の生命体によって…。

 

人々は最後の望みを、小さな次元戦闘機に託した……。

 

その戦闘機の名は……。

 

 

 

 

///////////////////////

 

 

 

 知らないはずなのに、どこか見覚えのある夏の夕暮れだった。

 

 その夕日の中を潮騒が響く。

 

 海鳥達が鳴き声を上げながら、暗くなり始めた空の彼方へと遠ざかっていく。

 

 "彼女"は、其処であることに気がついた。

 

 

 

『……"私"って、一体誰なんでしょうか?』

 

 

……思い出せない。

 

 

 気がついた時には、既にこの穏やかな海の上でゆっくりと漂っていた。

 

 

 ……分からない。

 

 

 そもそも自分がどこの誰で、何をしていたかすら覚えていないのだ。何故、そしてどうやって此処に来たのかなど、分かるはずがない。

 

 

 

 

 ……ただ、それでも分かることが一つだけ、ある。

 

 

 

…自分が、とある『使命』を帯びていること、そして其れは何より自分にしか出来ないこと。そしてもう一つは……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……自分という存在が、『"ヒト"、それも少なくとも、血の通った生命体ではない』、ということだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「……報告にあった、例の未確認機が最後に目撃されたのは此処か?」

「ええ…。"メンフィス"様を含む、ユニオン本国の"巨大生物捜索部隊"の話が正しければ、"鏡面海域"から出現したと思しき件の戦闘機、通称未確認機(アンノウン)は、未だこの付近の海域に所在している筈です。無論、"行方不明の捜索隊"の皆様も……」

「ああ……」

 

 

 

 青空が映える海の上を、アイススケートのように滑走する、模型じみた小さな砲塔や魚雷発射管などを身体中に身に付けた、数名の女性たちの姿があった。

 

 

 海上を滑走しながら、透き通るように輝く長い銀髪と紫色の瞳に、白い軍帽を被った女性が、手にした空母の艦橋のような洋弓に矢をつがえながら、隣にいる、どこか扇情的だが、全身に砲塔と煙突のようなパーツを付けたメイド服と纏う雰囲気により全くそれを感じさせない、同じく銀髪の女性に訊いた。疑問に答えた後で、そしてその軍帽の女性の、些か、何かを耐え忍ぶように押し殺すような声に、メイド服の女性は顔を少し顰めた。

 

「……"エンタープライズ"様?」

「……気にしないでくれ、"ベルファスト"。私なら平気だと、何度も言ってきたじゃないか」

 

 軍帽の女性、"エンタープライズ"は、"ベルファスト"と呼ばれたメイド服の女性にそう言うと、滑走スピードを上げて先に行ってしまう。

 

 3日前の会談で、"黒いメンタルキューブ"に触れてから、どうも様子がおかしい。最初、数日前の戦闘の疲労が、まだ残ったままの可能性も疑っていた。だが、其れにしては声に疲れが出過ぎている。

 

 

(少し、先行きが怪しいですね……)

 

 

 ベルファストは不安になった。今の今まで、自分はこのエンタープライズという歴戦の空母の監視とその世話という、"クイーン・エリザベス(陛下)"の密命を抜きにしても、まともな日常生活の送り方すら分からない彼女に、人間らしい生き方とは何かを説きながら尽くしてきたつもりだった。だが先日、あの"黒箱"に触れてからというもの、心此処にあらずという様子のエンタープライズを見て、最早嫌な予感しか感じなくなっていた。おまけにここに来て、仲間が行方不明になり、同時に付近で未確認飛行物体が目撃されたという、ある意味では厄介極まりない事態が舞い込んできたのである。ベルファストは不安を拭えなかった。

 

 

(また、戦うことに執着し続けるようなことにならなければ良いのですが…)

 

 

「おっ、見えてきた見えてきた! おーい、多分アレかもよ〜、姉ちゃ〜ん?」

「ええっ! 何処なのだ何処なのだ⁉︎」

「ちょっ、ちょっと"ハムマン"ちゃん! そんな先に行かないでよ〜‼︎」

「同感。其れにハムマン、"ホーネット"が質問したの、エンタープライズの方」

「もう。落ち着きなよ、皆〜」

 

 

 エンタープライズよりも更に前方にいた、テンガロンハットにビキニの、"ホーネット"と呼ばれた金髪の少女の、海風に負けないほどの大きな声に、ベルファストは顔を上げる。同時に、ベルファストの後方にいた、猫耳の少女"ハムマン"、ベルファストと同郷の、大きな槍を携えた紫髪の少女"ジャベリン"、眠たげな表情の白髪をツインテールにした"ラフィー"、褐色の肌と青みがかった黒髪の、スポーツブラとスパッツだけという、露出度の高い服装の少女"ノーザンプトン"が、順にホーネットを追いかけようとエンタープライズとベルファストを追い上げていく。その様子に、ベルファストは、ハッとすると言った。

 

 

「皆様、先走るのは危険です! まだ敵がいないとも限らないのですよ⁉︎」

 

 

 だが、結局彼女らはベルファストが言い終わらないうちに、目標地点に向けて遠ざかっていってしまった。既にエンタープライズも、彼女達の後を追おうと、スピードを上げていく。

 

 そんな様子の僚艦達を見て溜息をつけると、ベルファストもまたその後を追いかけようと、速度を上げた。

 

 

 

 

 

///////////////////////

 

 

 

 

 

 程なく、未確認機は見つかった。海上をゆったりと漂う其れは、どう見ても自分達の敵である、忌まわしい"海の怪物(セイレーン)"たちのものではない。

 

 まずその機体の外見からして、全く異質だった。白と赤のツートンカラーは、黒と赤を基調とするセイレーンのものではない。セイレーン艦隊の艦載機や艦船は、その殆どが鋭角的なデザインであるのに対し、この目の前の未確認機は、全体的にみても何処かずんぐりとした見た目で、機体後部のアンテナ状のパーツさえなければ、愛嬌すら感じたかもしれない。

 

 

 

「間近で見るのは私らが初めてだとは思うけど……、これは、なんていうか…。だいぶ妙ちくりんな見た目をしてるわね……。然も、思ったよりデカいし……」

 

 

 

 苦笑いを浮かべるホーネットの呟きに、一同は納得したように機体を眺める。機体前部はカプセルのような形をしている。恐らく其処がコクピットなのだろうが、キャノピーの中の様子は伺い知れなかった。端から端まで、分厚く白い装甲で覆われていたからだ。

 

 

 

「セイレーンの機体でしょうか?」

「其れを調べるのが、私たちの役目だ。本当は、もう少し安全な場所が良いんだが…。ひとまず開けられないかだけ試してみよう。ホーネット! ハムマン! ノーザンプトン! それに他のみんなも来てくれ」

「はいは〜い」

「任せるのだ!」

「いつでもOKだよ」

 

 

 

 エンタープライズの号令と共に、ホーネットとノーザンプトンが未確認機にとりつき始める。ジャベリンは、「此処でやるんですか⁉︎」と驚いた。

 

 

 

「エンタープライズ様、私からもご忠告させて頂きますが、もう少し慎重になられては如何でしょう? 此処は、この未確認機が現れたと思しき鏡面海域のあった場所から、さほど距離は離れておりません。残存艦隊が居ないと言う保証もありませんし、この未確認機にも一体どのようなリスクがあるのかも……」

「そうしたいのは分かる。分かるよ、ベルファスト。だが此処は、我々の勢力圏の、其れもかなりギリギリの場所だ。重桜や鉄血の潜水艦部隊や艦載機が、うようよいる。ただでさえリスクが高すぎるという中で、艦載機はともかく重桜の基地襲撃のせいで、配備と修理が遅れている対潜設備を、一つも持たない私達が、この未確認機を曳航して帰るなどと言う余裕が無いことくらい、分かるだろう?」

「ですが……」

 

 

 

 不安げに、ベルファストは機体を見た。

 

 機体のあちこちに、黒い煤や何かの液体などが、べったりと付いていた。恐らく現れた鏡面海域で、重桜・鉄血艦隊、あるいはセイレーンと接触し、交戦状態に陥ったのかも知れない。だからこそ不安になった。

 

 

 

 煤以外に、機体の損傷が一つも見当たらない(・・・・・・・・・・・・・・)ということに。

 

 

 

「……ん〜、多分磨けばピカピカ。あと何処も壊れてない。おねむなだけ」

「あるいはお腹が空いて動けないのかも。其れにしても、何で出来てるんだろうね? 凄い煤汚れなのに、本当に何処も壊れてない……」

「本当に煤がついただけかもしれないぞ? ただでさえ色々疑わしいのに、これ以上推測に推測は重ねるんじゃない。私がこ…、い、いや。け、決して怖いとかそう言う意味で言ってるわけではないからな‼︎」

 

 

 

 「私が怖くなるじゃないか」という言葉を飲み込んで強がるハムマンに、ホーネットがからからと笑った。

 

 

 

「ハムマンは相変わらずだねぇ〜。にしてもコイツ、去年のクリスマスに、基地や艦船中の煙突掃除をした"クリーブ"達やメイドの皆よりも汚れてるね。此処までやるとなると、報告以上にかなり大規模な戦闘になった筈だけど、いくらなんでも煤汚れ程度で済むなんて…」

「去年のって、其れは私やホーネットも参加したアレのことかい? ホーネットがうっかりロイヤルの女王陛下のスカートを、下着ごと脱がせちゃった話だろ? あの時は酷い目に遭ったよ、陛下は泣いちゃうし、駆逐好きの筈のアーク・ロイヤルが何故か鼻血を流すし、私なんて関係無いのに本当にとばっかりで……」

「おい、2人とも。今話をしている場合では……」

 

 

 エンタープライズが言い終わらないうちに、未確認機に変化が起きる。

 

 装甲キャノピーが、「カシュ」という音と共に、ゆっくりと開き始めたのだ。

 

 何かの拍子に、3人のいずれかが機体の何処かにあったスイッチに触れてしまったようだ。

 

 

 

 これに驚いたエンタープライズ達は、勢いよく未確認機から距離を取り武器を構える。同時に、ハムマンとホーネット、ジャベリンが驚きの声を上げた。

 

 

 

「なっ⁉︎ 何だ何だ、なにごとだ⁉︎」

「嘘でしょ⁉︎ 開いたぁ⁉︎ あんなに固そうだったのになんで⁉︎」

「と、というか、なんだか光が漏れてますよ⁉︎ 中身が赤いですよ⁉︎ 何故か真っ赤っかですよ⁉︎ 何ですか、何なんですか⁉︎」

 

 

 

3人の疑問に答える間もなく、エンタープライズは「落ち着け」と一喝する。その間にも、キャノピーはゆっくりと、然し完全に開ききろうとしている。その様はまるで、生き血を求めんとする生ける屍の入った棺が開けられる様子と似ていた。

 

 

 

「……一体何が入っているのでしょうか?」

「さあな。皆、落ち着いて対処しよう。何、大丈夫さ。……心配はいらない」

「それ信用していいのか⁉︎ 本当に大丈夫なのか⁉︎ エンタープライズ‼︎」

 

 

 

 エンタープライズの最後の一言は、自分にも言い聞かせるために言ったのかも知れない。だが、声に不安が隠し切れていないのか、少し震えが混じっている。ハムマンをはじめとした残りのメンバーも、不安げに顔を見合わせる。そうして全員の不安が頂点に達するうちに、遂にキャノピーが完全に開いた。

 

 

 

「……え?」

「……何も、起きない?」

 

 

 

呆然とする中で、ハムマンが何かに気がついたのか、指を指した。

 

 

「皆、アレなのだ! アレをみるのだ!」

 

 

 全員の視線が、未確認機のコクピットの中へと注がれる。内装は予想に反してかなり狭く、大半は何らかの機器を内包しているらしい分厚い装甲板で覆われている。その上パイロットシートは奥にあるらしく、装甲と機体の構造による死角のせいで、近づいてみなければ搭乗者の様子は分からない。動きが無いことから、最初から乗っていないのかもしれない。

 

 だが赤い光源に関して言えば、座席ではなく件の装甲で覆われた箇所の、其れもかなり先端から、車のヘッドライトのように赤い光が放たれている。どうやら、何らかの物体のようだ。眩しさに目を少し瞑りながら、エンタープライズが赤い光放つに恐る恐る手を伸ばす。手にした途端、赤く眩しい光は、内側に吸い込まれるように収束していき、やがて卓上ランプくらいの明るさに落ち着いた。エンタープライズは、明るさの落ち着いた状態の其れを、仲間たちの前に差し出す。赤い光を放っていた其れは、彼女達にとってはよく見慣れたものだった……、何時もと様子が違ってはいたが。

 

 

 

「……"メンタル"、キューブ"?」

「……赤い、だと? "黒"の次は、"赤"?」

「……なんていうか、ずいぶん毒々しい赤色ね。重桜の赤色よりも赤い…、てゆーか、もう赤通り越して危険度マックス血の色です、みたいな……」

「どちらかといえば、私には夕焼けの色にも見えます。然し、危険というよりは、むしろ不安と物悲しさを感じますね……」

「むー、目がチカチカする…」

「うぅ…、気色悪いのだ……」

「たまげたな……。青と黒以外に、こんな色のメンタルキューブまであるだなんて……」

 

 

 

 思い思いに、全員が目の前の「"赤い"メンタルキューブ」の感想を述べていく。

 

 

"メンタルキューブ"。

 

 

 其れは、彼女達"KAN-SEN"を生み出す為に必要な素材であり、彼女達の全身に取り付けられた艦艇型の武装、"艤装"や彼女達自身の力の源にもなるが、現在のところ多くの謎を秘めた、セイレーンから齎されたとされる物体。

 

 然し数日前、ロイヤルメイド隊による偵察活動と、その際に重桜より亡命してきたKAN-SEN、工作艦「明石」により、セイレーン「オブザーバー」と重桜のKAN-SEN「赤城」か内通していることが判明し、彼女らが推し進めるセイレーン技術による大型戦艦建造計画、通称「オロチ計画」に、その要として使用される物品の中に、これまで確認されたことのない「黒いメンタルキューブ」の存在が明らかになったばかりで、ただでさえ謎の多いメンタルキューブが、より不可解な謎を孕む事態となってしまったばかりであった。

 

 そして、黒いメンタルキューブとオロチ計画の全容の解明を急いでいた矢先に、今回の未確認機騒ぎが起き、今度は赤いメンタルキューブが彼女達の目の前に現れることとなった。エンタープライズ達の思考は、ますます混乱の渦の中に巻き込まれた。

 

 

「……とにかく、これを回収して帰ろう。明石に解析してもらえれば、きっと何か分かるはずだ」

「でも、エンタープライズさん。この未確認機はどうするんですか?」

「このままにしておくの、どのみちキケン」

 

 

 ジャベリンとラフィーの指摘に、エンタープライズは唸った。確かに、このままこの戦闘機をセイレーンは愚か、重桜・鉄血の軍事同盟「レッドアクシズ」隷下の連合艦隊が彷徨いているこの海域に置いていくわけにも、ましてや曳航中に出くわすわけにもいかない。近くに無人島の一つもない以上、曳航か自沈かの何方かしかないのだが、この未確認機に戦闘の痕跡が残っている以上、パイロットがまだ何処かにいるという現れであり、その唯一の手掛かりであるこの未確認機を沈めることが、エンタープライズにはどうしても躊躇われた。

 

 そんな状況が変わったのは、またしてもハムマンの一声であった。機体をくまなく調べていた彼女が、パイロットシートの中で何かを見つけたらしい。

 

 

 

「おい、皆! いたのだ、パイロットがまだいたのだ! 中で丸くなってるのだ! 後また変なメンタルキューブも一緒に見つけたのだ! 今度は灰色に緑色なのだ!」

 

 

 

 ハムマンの言葉に全員が驚いたことと、未確認機の機体が、エンジンのものとは明らかに異なる、謎の振動を始めた。エンタープライズは直感した、この振動は、まさか…。

 

 

 

「皆! 下がれ、下がるんだ! ハムマン!」

 

 

 

 エンタープライズの声に全員が泡を食ったように機体から離れる中、エンタープライズはハムマンの名を呼んだ。同時に、エンタープライズが呼んでいることを察知したハムマンが、エンタープライズの隣にくる。

 

 

 

「ハムマン!」

「何だ、一体どうしたのだエンタープライズ!」

「パイロットは"女性"だったか⁉︎」

「え、何だ⁉︎」

「どうなんだ!」

「…そうなのだ、女性なのだ! エンタープライズ、まさか彼女は⁉︎」

「ああ! 私の予測が正しいなら、もしかしたら彼女は…」

 

 

 

 エンタープライズが己の考えを言い終わらないうちに、未確認機の機体が光を放ち、大量のメンタルキューブとなってバラバラに分解される。その様子は、自分達とまるで変わらない。機体は青、赤、黄、緑、灰色。様々な色のメンタルキューブに変わり、エンタープライズの手の中にあった赤いキューブまで巻き込んである一点に集まっていく。

 

 

 

 収束するメンタルキューブの中心にいたもの……、其れは少女だった。銀髪をポニーテールに纏めた、中学生から高校生程度の見た目で、銀と赤を基調とした、メカニカルな装飾の施された露出度の高いレオタードとニーハイブーツを着ており、その瞳は常に閉じられていた。

 

 無数のメンタルキューブは、そんな少女の元へと集まりながら、変化していく。腰部に集まっていくものは戦闘機のスラスター部に、胸部に集まっていくものはコクピット状の装甲パーツに、そして手の中にはアサルトショットガンのような形状の武器に……。

 

 

 

「エンタープライズさん! これって、"この娘"って、まさか…!」

「間違いない…。彼女は、私たちと同じだ。彼女は…、"KAN-SEN"だ……」

 

 

 

 やがて、メンタルキューブの変形が完了した。

 

 

 

 閉じられていた彼女の目が、ゆっくりと開かれていく。今エンタープライズ達に出来るのは、ただ其れを見守ることだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 ……やがて、少女のその瞳は完全に開かれた。その目の色は、あのメンタルキューブと同じ、血の色のような赤い夕焼け色だった。少女が何かを言おうと息を吸い込む。身構えるエンタープライズ達だったが、次の瞬間、少女から発せられた一言で、拍子抜けを食らった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……すみません。あの、ここは何処ですか? 私は……、誰? ですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……此れが、全ての終わりであり、始まり。KAN-SENと、彼女達、「R」と「■■」、そして「ケダモノ」達のファーストコンタクト。そして、彼女達の運命が、永遠に変わってしまった瞬間であった。

 

 エンタープライズ達は、まだその事実に気付いてはいなかったが、そのことに気づくのは時間の問題といえた。

 

 

 

 

 ……セイレーンの艦隊が、彼方より現れたのだ。この、謎の少女を狙って。

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