悪魔の右腕を持つ者はこの蒼き世界で……   作:オーマジオウ良い奴説

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Mission 0 プロローグ

 

 ロイヤルの大陸、その防波堤で夕焼けに染まりきった空の下、一人の青年が海を眺めていた。銀色の髪が海から吹く潮風で揺れ、青年は青い瞳でただどこまでも続く広い水平線を見つめていた。

 

 青年の名前はネロといい、18年前とある海域の調査をしていたロイヤルとユニオンの艦船が黒い布に包まれていた赤ん坊が海に浮かんでいるのを発見、保護し赤ん坊は黒い布に包まれていたということとそこにいた艦船たちが天使のようだと言ったことからネロと名付けられた。

 

 ネロはアズールレーンの艦船達やその人間達に大切に育てられ何事もなく多少、いやかなりヤンチャにではあるがすくすくと育っていった。そんな今年で19となった彼ネロだが昨日敵組織であるレッドアクシズからの襲撃を受けた際、隣を歩いていたロイヤルの艦船を降ってきた瓦礫から庇い右腕を負傷してしまった。

 

 医者には骨折だと診断され今はアームスリングで固定し包帯がグルグルと巻かれた状態である。

 

 ネロは無言で昨日のことを思い出しながら負傷した右腕を見つめる。

 

「こんなところで何をなさっているのですか?ネロ様」

 

 と背後からそんな声が聞こえネロは別に何もしてねぇよと返事を返しながら振り返る。そこに居たのはロイヤルの艦船でメイド長を勤める自分と同じ髪色をした少女、ベルファストが立っていた。

 

「左様でございますか、それより食事の準備が整いましたので」

 

「あぁ、もうそんな時間か」

 

 ネロはベルファストの言葉を聞きながらロイヤルの時計塔を見ながらそう呟く。

 

 しばらくして家路につくネロはベルファストの隣を歩きながら昨日の襲撃の話を聞いてみた。

 

「そうですね、島の海を徘徊しているはずの護衛艦がいたにも関わらず襲撃を受けた。間違いなくレッドアクシズは着実にセイレーンの力を吸収して勢力や技術を上げています」

 

 そう言ったところでベルファストはその、と言葉を詰まらせる。ネロはそんなベルファストの珍しく何処か申し訳なさそうな姿にどうした?と声を掛ける。

 

「私がもう少し速く来ていれば……申し訳ありませんでした」

 

「あぁ、そのことか。別にベルファストが謝ることじゃねぇだろ」

 

 その言葉に反論しようとするベルファストにネロはですがも糞もねぇよと強く言って黙らせると続けて

 

「これは俺が庇って勝手に受けた物だ、誰のせいでもねぇっての。強いて言うなら襲撃かけてきたレッドアクシズの連中のせいだし」

 

 そう言うとネロはそんなことより腹へったから速く戻ろうぜとベルファストに言うと目と鼻の先まで来ていた食堂まで駆けていった。

 

 その姿にベルファストはただ母親のような微笑みを浮かべているのだった。

 

 

#

 

 

 食堂にて。カウンターから出された食事を受け取り席に着いたところでネロは

 

「自分で食えるからやめろ頼むから、おい押し付けてくるなって!」

 

「そういう訳には参りません。私はネロ様に御使いするメイドでございますゆえ、さぁ食べてください!」

 

 ベルファストに食事を食べさせてもらっていた。無論それは利き手である右腕を骨折してるからであり、奉仕や世話を基本とするメイドであるベルファストにとってそれは当たり前のこと。

 

 しばらくして、ベルファストの押しに折れたネロは渋々食事を食べさせてもらい事なきを得た。

 

 ベルファストはネロを発見したロイヤルの艦船でネロと名付けたのも彼女であり、付け加え大陸に迎え入れてからの今までネロを育ててきたのも彼女である。そのためネロにとってのベルファストは母親のような存在に近く、ベルファスト自身もネロを息子のような存在だと思っている節がある。

 

 なんとか食事を終えたネロはベルファストと別れ一人自室へと帰る、その道中人気のない路地を通った時だった。

 

「そろそろ見飽きてきたぜ、お前ら」

 

 羽織っていたコートの懐から愛銃、ブルーローズを取り出し現れた布の体を持つ異形達にその二つの銃口を向けた。異形は不気味な笑い声を上げながら腕や足に付いる大型の刃をネロに飛び付くように振りかざす。

 

 それに対し軽く横に避けると異形にブルーローズを向け、銃声が鳴ると共に頭部が吹き飛ぶ。飛ばされた頭部からは黒い何かが吹き出し、体からも同様黒い何かを吹き出し倒れ伏す。ネロはその異形の腕に付いた大型の刃を千切るとその身の丈程もある刃を襲い掛かってきた別の異形へと軽々と振るい胴体を叩き切った。

 

 そのまま駆け抜け胴体を切断された異形の背後に立っていた異形へとドロップキックをかましダウンしている所にブルーローズの銃口が向けられ、三回ほどの銃声が鳴り響いた。

 

「Huh、まだ俺のいる場所にしかでないのが幸いか」

 

 なぜかは分からないがこの異形達はネロの前にしか姿を表さず、また異例もなく未だ島の艦船や人間達の前には姿を見せたことはないとネロは聞いている。だが今はそれよりも

 

「つうかどうなってんだこれ」

 

 アームスリングで固定され包帯に包まれているネロの右腕はどういうわけだか青い光を放っていた。実は先程の異形達が出てからずっと光を放っていたのだがよそ見して怪我するわけにもいかないため気にしないようにしていた。ネロの右腕、表向きには骨折と言われているが実のところ折れてはなくただ姿形が異様なものになってしまっているため骨折と言うようになっていた。その右腕はまるで

 

「悪魔ねぇ……」

 

 ネロは光の消えた右腕を見つめながらポツリとそう呟いた。

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