TS転生者が隠しステージのボスになる話   作:政田正彦

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3【other/Io】

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=====《補完記録「side:X」》=========

 

 あれから俺はイオの助言に従った結果、俺は確かに隠された力を手に入れた。

 いつからそこにあったのか。誰がそこに設置したのか。何故今までその存在に誰も気づかなかったのか……それは、Dr.ライトと名乗る老人……どこか懐かしいその人が俺の為に遺したカプセルだったのだ。

 

 博士は俺に「このような力が必要ない、平和な世界が来ることを祈っている」と遺して消えてしまった。

 

 そのカプセルの中には、俺をアップグレードさせる強力なアーマーが入っていた。

 

 イオが言っていた「隠された力が貴方を待っている」というのはこの事だったのだ。

 

 全部で4つあるその全てが、今までの性能とは段違いで……それでいて、どういう訳か一瞬で使いこなすことが出来るほど最適化された規格外の力。

 

 俺は、俺自身とこのようなアーマーを作る事が出来るライト博士の科学力に驚愕し……そして、この事を知っていたと思われるイオが余計に分からなくなった。

 

 だが、お陰で俺は各地で暴動を起こしていたイレギュラー達を全員掃討する事に成功し、事態を収束させることが出来た。現場にはもうイレギュラーの残党と暴走したメカニロイドしか残されていない。

 

 油断はできないが、今動ける他のイレギュラーハンター達だけでもどうにかなるだろう。

 

 残った問題は行方不明のイオと、今回の黒幕であるシグマだけだ。

 

 そしてその決戦の時は間を開けることなく訪れる事となる。

 事態の収束とほぼ同時に、ゼロから通信が入ったのだ。

 

『エックス、手短に話す……。シグマの基地を発見した。座標データを送る……。』

 

「ゼロ! ……座標を確認した! すぐにそちらへ向かう!」

 

『ああ、だが思った以上に守りが堅そうだ……。敵を分散させよう。別ルートで侵入だ……!』

 

「了解!」

 

 こうして、俺達はシグマとの最終決戦に挑む事となった。

 

 待っていろ、シグマ……! 必ずお前の野望を食い止めて見せる!

 

 

= = = = = =

 

 

「……おかしい、敵の数が少なすぎる……?」

 

 ゼロと別行動で侵入したその経路から慎重に奥部へと進む俺は、隠しきれない違和感を感じて嫌な予感がしていた。

 

 こんなに警備が手薄な訳が無い。

 

 罠か、あるいは誘い込まれている可能性……。

 しかし、それならそれでその罠ごと障害となる敵を叩き切るまでだ。

 

 俺はそう考え、罠や敵の強襲に注意しつつ進む。

 

 しばらく進んでいると、不意に前方から戦闘音が響く。

 

 ゼロか!? ……いや、まったくの逆方向から挟み撃ちになる形で侵入している俺達がこんな所で邂逅するハズは無い。

 

 だとしたら……俺よりも先に俺やゼロとはまた別の経路からこの基地に侵入している者が居る……?

 

 そんな人物が居るとしたら……心当たりは一人だけ。

 

 

 俺は扉を開き、戦闘音がする部屋へ入る。すると、そこに居たのはやはり思っていた通りの人物と……既に死んでいると考えていた奴が立っていた。

 

 

「ッ! エックス、か……!!」

 

「エックスさん……そうか、もうそんな時間でしたか。」

 

「イオッ……! それに、VAVAだと……!?」

 

 俺はバスターを構えて警戒度を最大まで引き上げる。

 すると、イオが少し考える素振りをした後、俺に背を向けてVAVAに向き合う。

 

「エックスさん……今は何も聞かずに協力してくれませんか?」

 

「……後で全て聞かせてもらうからね。」

 

 

 

===DATA【m47/wh;――数時間前】===

 

 

 今から思えば、最初からこうしていればエックスの動向を知る上で一番楽だったのではないだろうかと思う。

 

 エックスのストーカーになってからというもの、追手がピタリと止んだのだ。

 

 それもそのはず、追手であるイレギュラーハンター達も、まさか俺がエックスの傍でストーカーしているとは思っていないのだろう。

 

 そもそもエックスが単独で潜入しなければならないのだから、エックスの周辺に注意の目が向かず手薄になるのは明白だったのだ。

 

 灯台下暗しというか、もっと早く気付きたかった。

 

 そして、後を付けていた甲斐があって、エックスが8体のボスを倒し、シグマの基地へと向かう事になるその瞬間をも確認する事に成功した。

 

 これで念のために確認しておいたシグマの基地の座標データはあんまり意味は無くなった。

 

 繝エ繧。繝エ繧。は既に倒したはずなので、原作通りに進めば後はシグマだけ。

 

 ……と言っても、これが終わったとしてもシグマとの闘いは少なく見積もってもあと7回は残ってるんだけどね。

 

 ハァ~……やってらんねえ。

 

 1回倒すだけでこんなに苦労すんのにこれを何回も繰り返さないといけないなんて……あ、この事これ以上考えるのやめよう、機能停止したくなってきた。

 

 それより今は目先の問題を片付けないと……と思ったけど、繝エ繧。繝エ繧。が居ない以上、ゼロがいなくなる事も無いんだし、流石のシグマも成長したエックスと万全な状態のゼロの二人を相手に生き残れるとは思えない。

 

 

 勝ったな、風呂入ってくる。入らないけど。

 

 

 ……しかし、もしもって事もある。念の為、シグマの所までちゃんとたどり着けるかを見届けておこうかな? ボスラッシュとかで死なれちゃ困るし、もし見つかったらその時は……3対1でシグマをぶっ倒そう。

 

 卑怯とは言うまいな……。

 

 

 こうして俺はエックスとゼロの後を追ってシグマ基地へと別経路から侵入。

 エックスがちゃんとシグマの下まで辿り着けるかを確認しようとして……。

 

 

 まんまと罠に引っかかった。

 

 

 エックスとは別の経路で移動してたら突然ドアにロックかけられて出られなくされた挙句、そこがモンスターハウスならぬイレギュラーハウスになったのだ……。

 

 どうやら俺の侵入がシグマに気取られたらしい。

 それ自体は別に不思議なことじゃない。

 こういう時の潜入のノウハウを俺に教えたのは何を隠そうシグマ本人だし、俺の癖とかそういうのをきちんと把握していたら対処だって簡単だっただろう。

 

 その上でこうして分断するって事は……重要なのはゼロとエックスであって俺はお呼びじゃないよってか……?

 

 あの野郎、舐めやがって……!!

 

 ……てか、これヤバくないか……? このまま閉じ込められたままだと、俺この基地やシグマと一緒に海の藻屑になっちゃうんだけど。

 

 いや、どうせ崩壊するならそれに乗じて逃げられる……か? 流石に崩壊していく基地からの脱出はそれなりに骨が折れそうだが……いや、まあやるしかないか。そもそもエックス達がシグマの所までちゃんとたどり着けるか、シグマに勝てるかが心配で来たのだが、今となってはその可能性を信じるしかないようだ。

 

 そうして俺がしばらく無心で無双していたら、突然ドアのロックが解除された。

 

 ……どういうつもりだ? 足止めがしたいならあのままロックされた部屋で適度にイレギュラーを投入していれば良かったハズ……。

 

 考えられる可能性は、まぁほぼ間違いなく罠だろうけれど。

 

 だからといってこのままこの部屋でじっとしているのも得策とは言いづらい……。

 俺はどうするか少しの間迷った挙句……やはりこの部屋から出ることに決めた。

 

 そして俺はその決断を後に英断だったと賞賛を送る。

 

 

 何故ならそこで俺を待っていたのは……見覚えのある特殊な改造が施されたライドアーマーと、それに搭乗してこちらを睨み付ける……既に俺が破壊したハズの繝エ繧。繝エ繧。だった。

 

 ……って、おいおい、嘘だろ……。

 

 

「流石だな、雑魚とはいえあれだけ用意した駒を全て叩き切るとは。」

 

「何故、お前が……。」

 

「ククッ、地獄から蘇った……とでも言っておこうか?」

 

 

 ……奴はそう言うが、そんな訳は無い。

 

 恐らくは、奴はシグマによってボディをそっくりそのままコピーして作った入れ物と、シグマの配下によって回収されたデータによって蘇ったのだろう。

 

 ああ、しまった……これは俺の失態だ。

 あの時、トドメを刺したあの瞬間。

 もっとちゃんと破壊し尽くすべきだったのだ。

 

 ただでさえボスラッシュとしてボディだけコピーした偽物が現れるのは知っていたのだから、こういう可能性も考えておくべきだった……。

 

 だが、まあ……。

 

 

「……可哀想に。」

 

「あ?」

 

「いや……蘇らなければ、もう一度死ななくても済んだのにと思ってな。」

 

「……どいつも、こいつもっ……!! この俺を、VAVAを見下しやがって……!! 見せてやる、俺の本当の力を……!! 前と同じだと思うなよ!?」

 

「来いよ、VAVA……もう一度……いや、今度こそお前を殺してやる。」

 

 

 しばし睨み合った後……ほぼ同時に俺達は駆ける。

 

 VAVAのライドアーマーが俺に向かって高速で拳を振り抜き、俺はその拳に飛び乗り、そのまま跳ね、空中で回転しながらVAVAに向かって引き金を引く。

 

 VAVAは舌打ちをしながらライドアーマーのブースターを吹かせてそれを回避。方向転換して俺の着地地点を中心にナパーム弾をばら撒く。

 

 俺はあえてそれをVAVAの方向へ接近する事で回避し、低姿勢のダッシュ状態からブレードを持ち替えその勢いを殺さないまま上へ切り上げる。

 

 ブレードはライドアーマーの強固なアーマーに弾かれ殆どダメージを与えられなかったが、そのまま飛び上がって空中に躍り出ている俺はランチャーを放った直後のVAVAを攻撃範囲に捉える。

 

 空中でブレードを持ち替え、下へ刺突を放つ。

 

 VAVAはライドアーマーを跳ねさせ、手で俺の手にナックルする事でブレードを弾いて防ぎ、空中でライドアーマーで俺を殴り飛ばした後大きな音を立てながら着地。

 

 俺は殴られたと見せかけて、ライドアーマーの拳をタイミング良く蹴り上げて衝撃から逃げ、少し飛ばされるものの、バク転しながら危なげなく着地。

 

「(前より強くなっているし、装備も充実している。思った通り、厄介だな。)」

 

 そう思っているのは相手も同じようで、明らかに決まったと思うような一撃を躱されていらだちが募っているようで、傷一つ負っていない俺に舌打ちを飛ばした。

 ……俺だって舌打ちしてえよ、折角倒したはずのお前がこんなに早く復活するとは思ってなかったからな。

 

 その後も何度か切迫した斬り合い、殴り合い、撃ち合いを繰り返しながら、これといった決め手がないまま時間が過ぎていき……そして。

 

 

「ハッ!!」

 

「チィッ!」

 

 

 再びチャンスを手繰り寄せてVAVA本体にブレードを振り下ろすと、避けられないと見たVAVAは、ライドアーマーを捨てて飛び退く。俺のブレードはVAVAが搭乗していたライドアーマーの制御装置に突き刺さる。

 

 俺は直ぐにそこから飛び去り、ライドアーマーは一瞬スパークした後、火花を散らし、そして爆発した。

 

 さて、第一関門クリアってとこか? ここで諦めてくれればやりやすいんだが……。

 

「クソが……、なんだ、その目は? まだだ……まだ終わっていないぞ……何も終わっちゃいない! お前如き、ライドアーマーなんぞ無くても充分だ!」

 

 そうだよな、知ってた。

 

 俺は今まさに飛び掛かろうとするVAVAに構え直し……その直後、背後のロックされた扉が開閉する音が聞こえ、次に見覚えのある人物が姿を現す。

 

「ッ! エックス、か……!!」

 

「エックスさん……そうか、もうそんな時間でしたか。」

 

 そこに居たのは、通路を通って追いついてきたらしい青いアーマーのレプリロイド……エックスだった。

 

「イオッ……! それに、VAVAだと……!?」

 

 エックスさんは一気に警戒した様子で奴に殺気を飛ばす。

 なんにしても好都合だ。

 

「エックスさん……今は何も聞かずに協力してくれませんか?」

 

 そう言って俺はエックスさんに背を向けてVAVAに向き直る。

 敵ジャナイヨー、後デ全部ハナスヨー、何モ企ンデナイヨー。

 

「……後で全て聞かせてもらうからね。」

 

 ……勝ったな。

 

 

 

= = = = = =

 

 

 

 

 ……まあ、悪い奴だったよ、あいつは。

 

 特筆すべき点は無く、二人がかりでの戦闘に奴が生き残れる要素は無く、今度こそ俺は《削除済み》を葬る事に成功した。

 

 そう、成功したのだ、これでこの世界線においてゼロさんが戦線を離脱するような事にはもうならないと考えて間違いないだろう。

 

 俺は未来を変える事に成功したのだ。

 未来を変える事は可能だった。

 

 この事実が俺の中でじわじわと歓喜の気持ちが湧き出てつい笑顔になりそうになる。

 

 だがまだ笑うな。敵の居城、最前線、未だ全てが終わった訳ではない、今後俺の知らない不確定要素が現れないとも限らないのだから。

 

 それに、今は他の問題もある。

 

「……さて、それじゃあ答えてもらうよ。」

 

「もちろん。……その為に来たのですから。」

 

 そして、俺は全て(全てとは言ってない)を話し始めた。

 

「まず何から話しましょうか……とりあえず、私が基地の場所やシグマの目的を知っていながら黙っていた事にしましょうか?」

 

「ああ。」

 

 というか、エックスやゼロさんの中じゃこれが一番の疑惑になっている要素だろうね。話しててなんだけど、ぶっちゃけ今後の事を色々と知っていなかったら俺でもこんな決断はしなかったと確信できるレベル。

 

「エックスさんの成長の為……ひいては、シグマを倒す為ですよ。」

 

「何だって……?」

 

「私、そしてシグマ、そしてゼロさんは、貴方の潜在的な能力に気付いたんです。もしその力が完全に目覚めたなら、貴方はシグマに勝てる。」

 

 それを聞いてエックスさんはハッとした顔になり、更に目つきを鋭くしながら問いただす。

 

「……じゃあ、シグマは俺を成長させるためにあんなことをしたって言うのか……?自分を倒させるために?」

 

「自分を倒させるため、というのは違いますね……正しくは、貴方の潜在能力を覚醒させる事で、レプリロイドが持つ無限の可能性を目覚めさせたかったのだと思いますよ。」

 

「そんな……。」

 

 そう聞いて、エックスは少なからずショックを受けているみたいだ。

 一連の騒動の全てが、自分の潜在能力のせいだと言っているのと同じだからな。

 

「……だったら、君がその事を黙っていたのは……。」

 

「もし私が貴方に見つかったあの時、全てを、この基地の位置や知っていること全てを話していたとしたら……貴方はどうしていましたか?」

 

「そ、それは……。」

 

「私が思うに、8人の刺客を倒し成長を遂げる前に、シグマの下へと駆けだしていたのではないでしょうか? そして……その潜在能力に気付けぬまま、シグマに敗北してしまう。違いますか?」

 

「……。」

 

 苦虫を嚙み潰したような顔になるものの、帰って来たのは沈黙。否定は来ない。他でもない自分自身の事だからこそ、今俺が言ったことと同じ事を予測してしまい、そして同じ結論に至ったからだろう。

 

「ですが、結果として、エックスさんは各地に眠っていた強化パーツと、刺客との闘いから得た力を得て、強くなってここに来ました。……その為、私はエックスさんやゼロさんに、この場所を教える事は出来なかったのです。」

 

「……君は最初から、俺が奴らに打ち勝ち、成長してここに来る可能性に賭けていたと?」

 

 俺は黙って頷く。

 

「……本当に、シグマはそんな事の為に、『レプリロイドだけの世界を創造する』なんて野望まで打ち立てて、俺と自分の配下を戦わせたって言うのか……?」

 

「ええ。」 

 

 俺が迷いなく肯定すると、エックスさんはしばし沈黙した後、目を閉じてため息をつく(レプリロイドなのでため息をつく必要は無いが、気分的にそうしたくなったのだろう)。

 

 そして、次に歯をギリッと喰いしばり……わなわなと震えながら激昂した。

 

「……そんな事で、こんな大事件を引き起こし、関係の無い人々を大勢殺したというのか!?」

 

 

 

「その通りだ。」

 

 そのエックスの激昂した叫びに応えたのは俺ではなく……俺の後ろに降り立つようにして突然現れた人物……。

 

「シグマ……!!」

 




『VAVA』
実は生き延びてシグマによってボディを再生されていた。
VAVA編ではシグマによるボディの再生ではなく、純粋にイオから逃げ延びたことになり、この後ゼロ&エックスとの闘いとなっていた。
が、エックス編でイオとの出会いを開放しているとここで
VSイオ(ノーマル)→VS駆け付けてきたエックス&ゼロの連戦になる。
なお、結末に大差はない(無慈悲)

『ボスラッシュ』
ロックマンシリーズでは大体ラストステージで今までのボス全員と戦わないと先に勧めない展開があり、それらを総じてボスラッシュと呼ぶ。





うんんまたしてもポンをやらかしてしまったぞ~~~!!!
修正およびご指摘ありがとうございました。
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