TS転生者が隠しステージのボスになる話   作:政田正彦

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9【Io/Other】

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 ===DATA(※データに一部矛盾が生じています!※)===

 

 

 

 俺がイレギュラーハンターになってから早くも一週間が経過した。

 

 その間に分かった事と言えば、思いの外、シグマが暴動を起こすまでのこの世界って比較的平和だった事。 シリーズ恒例の「各地でイレギュラー反応!」なんて事はそうそう起こらないらしく、イレギュラーが発生しても規模はたかが知れてるし、その程度だったら元の現代日本でも同じような事起きてるわって程度の事件しか起きない。

 

 テロリストがどうのとか、工業用大型メカニロイドがイレギュラー化したりしてようやく大ごと扱いっていう感じで、それも相当大きな事件じゃないと苦戦もしないレベルだ。

 

 ……まぁそれでも一般のレプリロイドからしたら全部大事件なんだけども。

 

 そんな肩透かしを食らったのもあってか「これなら原作までは余裕かな」等と考えていたり……でも後ろに居るシグマ隊長が「手抜きしたら破壊すんぞ」と言っているような気がして肩から力が抜けない。

 

 任務が無いときは、被害があった街の復興に駆り出されたり、街のパトロール、警備、それも無いときは、仮想空間のトレーニングルームを借りて色々な状況に対処できるようにトレーニングを積むというのが主な活動だ。

 

 最後のは、ある程度はノルマみたいなものが決まっていて、こなす義務があるのだが、俺の場合は単に暇なのと、買おうとするとアホみたいな値段がする設備を無料で借りれるというのもあってこうして訓練している。

 

 え、休み……? ハハッ、面白い冗談だ。

 

 イレギュラーが発生していないんだから今は休んでるだろう?

 

 ……なんてのは冗談で、実際はボディのメンテナンスとかで身体を休めたり交換したりと休暇はちゃんと取れるよ。 じゃないと働き過ぎでイレギュラー化する奴とか現れそうだし、機械とはいえ無制限に動いていいって訳じゃないしね。

 

 休む間もなく動いているように見えるロボットだって休止状態になることがあるだろ? それと一緒だよ。

 

 あと、意外にもレプリロイドにもレプリロイド用の嗜好品があったり、レプリロイドなりの贅沢な暮らしがあったりする。

 

 じゃないと頑張るってだけで向上心みたいなのが芽生えないのかもしれないな。

 

 ……などと考え事をしているといつの間にか訓練が一つ終わっていた。

 評価は……まぁこんなもんか。

 

「凄まじいな、A+じゃないか。」

 

「えっ?」

 

 結果を眺めながら何が悪かったのか考えていると、横から声をかけられた。

 その声は、初めて聞くはずなのにどこか聞き覚えのある声で……振り返ると、そこにはイレギュラーハンター第17部隊に所属する特A級のハンター。主人公エックスの親友であり、そして上司でもある、第二の主人公……ゼロさんである。

 

 

「ぜ、ゼロ隊長!?」

 

 突然の第二主人公登場に困惑しつつ、咄嗟に敬礼する。

 鋭い目、赤いアーマー、金色の長髪……間違いない。 

 

「俺を知っているのか?」

 

 そりゃもう、なんなら今の貴方よりかは貴方の事を知っているまでありますよ。

 ……なんてもちろん言えないけど。

 

「はい! もちろん!」

 

 ぶっちゃけシグマ隊長の次くらいに有名な人だし、少し情報端末で「イレギュラーハンターの中で強いのって誰?」って調べればすぐに名前が出てくる位だ。 知らない人はモグリか何かだろう。

 

「ほう……ひょっとして、新入りか?」

 

「は、はい。 先日、第17精鋭部隊に配属されました、イオといいます!」

 

「そうか、新入りでここまで出来るとは大したもんだ。」

 

「恐縮です!」

 

 ……それにしても、実際に見てみると滅茶苦茶イケメンだな。

 原作でも女レプリロイドと色々あったけど……これは納得。

 心まで女だったらもう堕ちてたね、なんなら男でもカッコいいと思うもん。

 

「そのうち任務で共に戦う事もあるだろうが……その時もこの調子で頼むぞ。」

 

「は、はい!」

 

 そう言ってゼロさんはフッ、と笑うと肩を軽く叩いて踵を返していった。

 

 …………ハッ、あっぶね、メス堕ちするとこだった。

 元から女だったら絶対今のナデポ(?)で堕ちてたね、間違いない。

 

 そんな初邂逅があった後もゼロさんとはここでトレーニングしていると良く鉢合わせる事となった。

 

 というよりかは、ゼロさんがトレーニングに対して他の人より熱心に取り組んでいるんだろうな……努力を怠らない武人、みたいな感じだ。

 

 ゼロさんが居ると緊張して思考停止しそうになるんだが……まぁ本人は俺より訓練に夢中だから意識するだけ無駄だなと思ってからは普通に訓練してんだけど、不意に見るとなんかこっちを注視してたりするしでもう良くわからん。

 

 なんなら最近ほかの隊長さんだとか、他のイレギュラーハンターの人だとか、滅茶苦茶忙しいはずのシグマ隊長やエックスまで様子を見に来る始末。

 

 なんか俺、シグマ隊長の件と言いゼロといい、任務外の訓練中に主要キャラに会いがちだな……? っていうか貴方達、実は俺と同じで今暇なのかな?

 

 

「では、よろしく頼むよ。イオ君。」

 

 とか思ってたのがバレたのか、最近シグマ隊長直々に指名されて同じ任務に就く事が多い。特に、少数精鋭での活動が求められるような、隊長が行っていた任務にも頻繁に駆り出されるようになった。

 

「あの、何故新人の私がこのような重要な任務に……?」

 

「純粋に実力で判断したまでの事だ。新人だから、という理由で君のような実力者を遊ばせておくほどの余裕は無いのでね。」

 

 ……何がお気に召したのか分からんが、どうも気に入られているらしい。

 ロボットのハズだから痛いはずないのにお腹が痛い気がする。

 しかもそれを見ている人が最近……。

 

「見ろ、アレが噂のシグマ隊長のお気に入りだぜ。」

 

「隊長の懐刀って聞いたぞ。」

 

「俺は実はシグマ隊長の彼女だって聞いたけど……。」

 

 ……こんな感じだ。

 百歩譲って気に入られているのは……まぁいいけどさ、オイ最後。 誰があんなツルッパゲの後ろから見たら若干○頭みたいな頭してる奴なんか……。

 

 ……しかし、こういう時にまだ暴動を起こしていないときのシグマ隊長はほんとにカリスマ性あって部下の気遣いも出来てスペックが滅茶苦茶高いというのは事実だ。

 

 訓練や仕事終わりに悪かったポイントとかを教えてくれたりだとか、こうするともっと良いのではないか、みたいなアドバイスをくれたりだとかする……誰だこいつ?

 

 時々こいつがラスボスだって事を忘れそうになる。

 

 上手く隠しているんだろうな……任務以外だとただの厳しくて優しいホワイト上司にしか思えないんだよなあ……。

 

 でも恋人だけは例えイレギュラー化したり洗脳されたってゴメンだね。

 

 

 

=====《補完記録「side:X」》=========

 

 

「……どうしてイレギュラーは発生するんだろう?」

 

「プログラムのエラー、電子頭脳の故障……俺達レプリロイドの高度な情報処理能力の、いわばツケだな。」

 

 メカニロイドの暴走という事件は今月に入ってから7件。

 エックスとゼロは任務から戻って早々、どうしてイレギュラーが発生するのかという話をしていた。

 

 この頃、ゼロから見てエックスは優れた射撃能力と身体スペック……そして本人すらも知らない潜在能力を持つと見抜いていた。だが、どこか甘く、そして迷いがちなので、こうしてばっさりと言い切って迷いを切り捨てさせようとする事が幾度もあった。

 

 そんな時、ゼロはふとある事を思い出した。

 

「お前のとこのイオにも同じことを聞いてみたらどうだ?」

 

「えっ?イオに?」

 

「ああ、お前のそういう迷い癖に対してもそうだったが……アイツは時々俺達が思い浮かばないような答えをくれる事があるからな。」

 

 ゼロが彼女を初め見た時は「珍しい武器を使っている奴が訓練している」……ただそれだけだったが、話を聞いてみれば訓練で好成績を出せる凄腕の新人らしく、シグマ隊長から引き抜きを受けた逸材だという話だった。

 

 そういった奴は自身の能力に自惚れがちで天狗になる者も少なくないのだが、彼女は、暇さえあれば訓練をしているらしく、特A級ハンターであるゼロや他の隊長をもってして、時々「おお。」と感嘆するような動きをする事がある程である。

 

 だがイオ自身にゼロが話しかけた時の反応は凄腕のハンターというより、入りたての新人という印象を受け、同期や後輩にすらエックス、と呼び捨てしがちな所をさん付けで呼んでいるあたり礼儀正しい一面があると解釈した。

 

 だが彼女の驚くべき点は身体能力でもその性格でもなく、不意に彼女の前でエックスがこぼした言葉に対する返答があまりにも予想外だった事にある。

 

 

 事はつい先日、エックスとゼロが休暇中に訓練場に訪れていた時の事だ。

 

「はぁ、はぁ……またダメだった……。」

 

「……少し根を詰めすぎじゃないか?」

 

「……そうだね、少し休むよ。」

 

 その時のエックスは、訓練スコアが伸び悩んでいた。

 もっとも、ゼロから言わせればそれは十分な成績だったし、伸び悩んでいるとはいえ、少しずつ前進しているのだから問題は無い。

 本音を言ってしまえば悩み過ぎだと思っていた。

 

「う~ん……。」

 

 高度な情報処理能力を持つレプリロイドが唸る程思い悩むとは一体。

 他のレプリロイドから見ても、エックスは異端な存在であった。

 

「どうしたんですか?」

 

「あぁ、イオか。」

 

 そんな時、様子を見ていたのか、イオが話しかけてきた。

 ちなみにこの時点で彼女は成績でエックスよりも好成績を収めており、それがエックスの心に知らず知らずのうちに焦りを生んでしまっているのかもしれない。

 

「いつもの事だ。」

 

「いつものと言うと……悩んでいるんですね?」

 

「うっ……うん、実はそうなんだ。……はあ、ホントは自分でもこの悩み癖はどうにかしないといけないと思っているんだけど……。」

 

「え?」

 

「え?」

 

「ん?」

 

 何故そこで疑問符が出るのか?

 エックスがイオの顔を見ると、まるで「何で?」というような不思議そうな顔で、イオはこう続けた。

 

「私は、それがエックスさんの強みだと思います。」

 

「えっと……?」

 

「どういう事だ?」

 

「エックスさん……私達は情報処理で出した結論に対して、疑問を持ったりしませんが、貴方はそうでは無い。出した結論に対し、それが正しいかそうではないかを考える為の能力があるんです。

 それはつまり、エックスさんは少なくとも思考能力において私達より優れていると言えるのではないでしょうか?」

 

「確……かに……?」

 

「結論なのに、正しくない事もあるって事か……?」

 

「いえ、例えば……そうですね……これは極論なんですが、とあるレプリロイドが『私達レプリロイドは人間よりも優れている。その為、我々が人間の為に働くのはおかしい』という結論を出してしまったとしましょう。」

 

「それは……。」

 

「もしそんな事になればそいつは……イレギュラーだ。」

 

「そうですね。ですが実際にそういった歪んだ結論を出してしまった事でイレギュラー化したレプリロイドが現れているのも確かです。しかしエックスさん……貴方なら、そう思ったとしても、それが正しい事か、そうではないかを自分で判断できる。」

 

 目から鱗、とはこの事だった。

 エックスは自分が思い悩んでばかりいる事を内心では思い悩むべきではない、と思いがちだった。

 それを肯定されたのは初めての出来事だ。

 

「その……俺は、たとえイレギュラーでも、戦わずに済む方法が無いか……と思うんだけど。」

 

「そう思う事自体は良いと思います。問題は、そこから「ではどのようにして戦わずしてイレギュラー問題を解決させるのか」という事を考えてくれる人達が、現状で不足しているという事です。

 もしかすると、貴方のそういった声から、新たな切り口でイレギュラー対策について考え始める事になるかもしれませんから。もしかしたら今でもそういう人はいるかもしれませんが……。」

 

「こうして思い悩んでしまう事が原因で判断に遅れが……」

 

「悩んでしまうのは貴方が持つ優しさという感情から来るものなのでは?それは貴方の魅力でもあると私は思います。」

 

 

 聞けば聞くほど、エックスはイオが持つ答えに天啓を得たような気持ちになった。

 だからといって彼がもつ優しさゆえの悩むという機能が損なわれた訳ではないのだが……一概に、ではその機能が無ければ良いという事でも無い。

 

 それもまたエックスの持つ魅力……能力の一つなのだ。

 それがイオの持つエックスへの思いだった。

 

「……あれはビックリしたなあ。」

 

「ああ……傍で聞いていた俺も驚いたよ。」

 

「今度イレギュラーが発生する理由についてどう思うか、イオにも聞いてみようかな……。」

 

 

 

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 イレギュラーが発生する理由について、どう思うか……ですか?

 

 ……。

 

 そうですね、私は戦うのが専門なので分かりませんが……。

 

 

 変化を、望んでしまった。

 

 

 それが原因なんじゃないでしょうか。

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