TS転生者が隠しステージのボスになる話   作:政田正彦

6 / 17
※お試しとお遊びと演出用に色々とタグを併用しているのでちょっと読み辛いかもしれません、すみません。言っても弄った部分はそんなに重要な所ではないので、飛ばしてくださって構いません。

※プレビューで見てる時は大丈夫だったんだけど、もしかするとチカチカするかも、あらかじめご注意を。

※「The day of Σ」要素有。








8【Io/Other】

 ERROR!! ERROR!! ERROR!! ERROR!! ERROR!! ERROR!! ERROR!! ERROR!! ERROR!!

 

 

= = = =

 

 

 data Analyzing...

 

 data Analyzing...

 

 data Analyzing...

 

 

 

 

===DATA===

 

 シグマ隊長がついに動き始めた。

 

 イレギュラーだけが支配する理想郷を築くべく、人類に対して宣戦布告。

 その後、特A級ハンターの【アイシー・ペンギーゴ】【スパーク・マンドリラー】【アーマー・アルマージ】【ランチャー・オクトパルド】【ブーメル・クワンガー】【スティング・カメリーオ】【ストーム・イーグリード】【バーニン・ナウマンダー】がシグマ隊長の傘下に加わり、各地で行動を起こした。

 

 これをエックスが止めるのが本来のシナリオである。

 

 も彼らを止めるべく、行動を開始する。

 

 とはいえ、私が彼らを倒してしまうのはダメだ。

 彼らと戦うのはではなくではない私ではない私は誰? のだから、それを私が邪魔してしまうと、本来の本来 未来 歪む 歪んでしまう可能性があ 有

 

 なので、私が出来るのは彼らのサポートだけだだけだけだろうか? だろうか? かしら?

 

 やはり今一度確認をするべきかもしれれれれれ縺翫l繧偵∩繧九↑

 

 

《特に攻撃的な内容を含んでいた為データの読み込みを中断します。》

 

 

====

 

 データの破損率は深刻であり復元は困難と判断。

 

 解析を強制終了します。

 

 次のデータへのアクセス要請を確認。

 

 要請を承認しました。

 

 

==========

 

 

 

 data Analyzing...

 

 data Analyzing...

 

 data Analyzing...

 

 

 

===DATA===

 

 

 

 

「解体ビルでの暴走メカニロイドの一件ですが、コントロール系が何者かに乗っ取られていたと判明しました。」

 

「何だって!?」

 

 ……と、いうわけで。どうやら原作が始まってしまったようだ。

 俺の目の前では今、どこかで見たことのある光景が流れている。

 

 暴走メカニロイド、警戒プログラム、それを潜り抜けてメカニロイドを操る者……一体何マ隊長の仕業なんだ!? 

 

 俺は一応シグマ隊長……いや、シグマからは本部の指示に従うように言われてるけど……別に部隊を持ってる訳でも無いし、そもそも少数精鋭の部隊の一人だから割と自由が利くんだよな。

 

 やろうと思えば通信無視してシグマを個人的に追う事だって可能と言えば可能だ。

 所属部隊の長がそもそも行方不明で通信が繋がらないと来ているもんだから、俺はほぼフリーだ。

 

 実際、シグマが今どこで何をしているかは俺には分からないしな……。

 

 それに仮に今シグマを俺がぶっ殺せたとしても、それがバレたら俺がお縄になっちゃうし、その上シグマってどうせとある理由から殺しても死なないから……。

 

 そうなってくると、今後の事……これからシグマが復活する事や、それによって引き起こされる様々な問題に対応するにあたって、エックスに覚醒してもらう……つまりは原作通りに進むのが一番なのではないだろうか?

 

 

「……ブリーフィング終了後、エックスとゼロのチームは直ちに偵察へ向かうようにとの指示です。」

 

『了解!』

 

 ……っと、ブリーフィングそろそろ終わりそう。

 さて、じゃあ俺は……どうしよ、暇になっちまったな。

 

「エックス、ゼロ、私も同行していいでしょうか?」

 

「何?」

 

「いいけど、君はシグマ隊長の所に行った方がいいんじゃ?」

 

「実は、少し前からシグマ隊長と他の隊員達は別々に行動しているんです。理由は不明ですが。」

 

「なるほどな。俺達は別に構わないが?」

 

「話は理解しました。イオの同行を許可します。」

 

「では、よろしくお願いします!」

 

 

 

===DATA===

 

 

 

 そして現場に急行した俺達だった訳だけども、俺が同行した所で結果が変わる訳もなく。犯人グループ(仮)の残骸が転がっているだけだった。

 

 

「ダメだな、急所を一撃だ。」

 

「そっちはどうだ?」

 

「ダメですね、データも全部抜き取られてます。」

 

 分かったのは犯行したグループで内輪揉め(笑)が起こり、戦闘となった彼らは急所を一撃で破壊され即死。その後犯人はセキュリティをハッキングするデータを持ってどこかへ逃走したという事のみ。

 

 そして暫くしてシグマも合流した。

 

「状況は?」

 

「はっ、仲間割れですかね……メカニロイド暴走事件のすぐ後にやられたようです。」

 

「ふむ……ゼロ、どう思う?」

 

「さあ……ですが、やったのは相当な戦闘能力を持った奴でしょう。全て急所を一撃です。」

 

 よくこんないけしゃあしゃあと現場に来れるよな……いや、犯人は現場に戻ってくるとかいうし、そういう事?

 

「仲間割れを起こした犯人の残りが、ハッキングデータを持って逃走中だ! イーグリード隊は、周辺の捜索を開始!」

 

「ペンギーゴ隊は別地区での捜索(そうさク)ワ! いくぞ!」

 

「「はっ!」」

 

 その後も犯人の捜索が行われ、逃走ルートのシミュレート、別地区での捜査等を行ったが、芳しい結果は得られなかった。

 

 さて、この後どうするかな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

===DATA===

 

 

 

 

 

 俺は訓練生時代、今よりもっと、もっともっと必死に生きていたと思う。

 死なない為に。強くなるために。生き残るために。             

螂ウ縺?縺ィ閾ェ隱阪@縺ェ縺
 
女だと自認しない為に。
              

 

 

 

 この世界で、レプリロイドが死ぬという事はどういう事だろう。

 

 それは多分、『情報が全く残らず消え去る』って事だ。

 

 情報が残っていたなら、それはまだ死んで無いのと一緒だ。

 その魂たる情報を入れる身体さえ用意してしまえば蘇る事が可能だし、もっと言えば、複製も可能だ。

 

 “全てのイレギュラーハンターの戦闘データ”を複製して転写した俺がいい例だ。

 

 ああ、それかゼロさんも例に成り得るかな、まだこれからの話だけど。

 

 だから、俺達レプリロイドが死ぬっていうのは、電子頭脳を焼き切られたり、もうどうしようもない位ぶっ壊されて直しようが無くなった時初めて死んだって言えるだろう。

 

 

 だから……ええと、何が言いたかったんだっけ?

 

 ああ、そうだ。

 

 メカニロイドの暴走が起こったあの日から、イレギュラーハンターは大忙しだった。

 

 次々と起こるメカニロイドの暴走……破壊に次ぐ破壊。

 

 街は大混乱に陥っていた。

 

 ゲームで見るのとは全く違う……正真正銘の地獄絵図だ。

 人が簡単に死に、罪のないレプリロイド達が破壊され、街は火の海になっている場所もある。

 

 俺も各地に駆り出され、メカニロイドを撃破するべく奔走していた。

 

 ああ、奔走した。

 

 走った。

 

 かなり急いだ。

 

 それこそ今のこの姿になって一番急いだ。

 

 その一報を聞いてから。

 

 俺はこの瞬間まで、このまま主人公であるエックスやゼロに全てを任せて、俺は俺で死なないように頑張る~ぐらいで、上手く回ると思っていた。

 

 そう思ってたんだ。

 

『イ、イオさん! 聞こえますか? 応答してください!』

 

「……。」

 

『イオさん? イオさん!』

 

「……ッ!」

 

『イオさ』

 

 

 ブツッと音を立てて通信が絶たれる。

 

 俺の眼前には……生まれてからずっと、イレギュラーハンター見習いとして世話になっていた訓練所の……俺と共に駆け付けたイレギュラーハンター達の……変わり果てた姿が……光景が、広がっていた。

 

 

 ……どうして、こうなった?

 

 

 中には、俺が世話になった……俺にガンブレードをくれた、あの人の、変わり果てた姿があった。

 

 共に戦ってきた仲間達は……全員死んだ。

 

 

 俺は、俺の考えは、甘かったのかもしれない。

 

 

 今後たくさんの人が死ぬ。それを知っていて尚、シナリオ通りに進ませるという事実がこんなにも重い罪だなんて考えもしなかったんだ。

 

 だって、それは前世ではただのゲームでの話だったから。

 テレビの向こう側での惨劇でしかなかったからだ。

 

 だが、転生して、この身体になって、それは現実の物となってしまった今。

 

 エックスやゼロに任せておけば大丈夫でしょ?

 

 つーか、じゃないとシナリオが崩れるかもしれないし、大体、エックスが成長しないと今後のシナリオで困るだろ?

 

 下手に手を出した結果、エックスがアーマーを手に入れられなかったら? どこかでシナリオが狂って、エックスやゼロが死んでしまったら? そうなった時俺に責任が取れんのか?

 

 取れないだろ?

 

 世界を救う英雄の誕生を阻む事になるかもしれないんだぜ。

 

 だったらさ、俺のやる事は……決まってるよな? そう、何もしない事だ。

 正確には、シナリオ……エックスやゼロのストーリーに、関わらない事だ。

 

 ……なんて、なんて甘い考えだったんだ。

 俺は知っていたハズなのに。

 

 守りたくて、守れなくて、やり場のない、行先もない、大きな大きな悲しみを、画面越しとはいえ見ていたハズなのに。

 

 だってこんなの知らない。

 だって守れると思ったんだ、俺なら。

 ここまで酷いもんだなんて考えもしなかったんだ。

 

 

 そして俺はこの時になって、この期に及んで、今頃になってようやく気付いたんだ。

 

 

 俺だけだ。

 

 俺だけが本当の意味で必死になってなかったんだ。

 

 俺だけが未来を知っていたから「シナリオに関わらなくてもいいや」なんて舐めた考えが出来たし、俺だけが未来を知っていたから「死なない為に強くなろう」なんて考えが出来たんだ。

 

 俺が「シナリオ通りにするために、シナリオには関わらない」なんて結論を出してしまったからこうなっているんじゃないか?

 

 俺が「シナリオの悲劇を回避するために全力で動く必要がある」と結論を出していたならこうはなってなかったんじゃないか?

 

 ……色々と他のレプリロイドより出来る事が多いってだけで天狗になって、必死さを忘れちまってたんじゃないか?

 

 

 ……そして一番の悲劇は、この惨状に()()()()()()()()()()()()()()()だ。

 

 冷静にどうしてこうなったか、なんて考えちまっている俺の電子頭脳だ。

 

 どこまでも冷静な頭脳は、次にどう行動すべきかを叩きだす。

 

 そう、そうだな。

 

 このままだとシグマがこの街にミサイルを撃つ可能性がある。

 もしそうなればここはおしまいだ。

 

 ここに住んでいる皆も、イレギュラーハンター本部も、俺を開発した科学者の皆も。

 

 

 ……助けないと。

 

 ……助けないと? 誰が? 俺が?

 

 いいのか? そんなことをしても。

 

 だってそれは変えるって事だろ、物語を。

 

 いいのか、それで。

 

 

 

「……良いも何もあるかよ……!! いつまで“物語”だの“設定”だの言ってんだ……!? 俺が今いるここはゲームの世界じゃないんだ!! 現実だ!! 現実に……俺が知っている人達が死んだ……!! 俺が下らない事考えてたせいで!!」

 

 

 力任せに、黒い燃えカスが沈着した地面を叩き割る。

 少しも気分は晴れない。

 

 最悪だ。

 

 こんなことしても何にもならない。

 俺にはほかにもっとやるべきことがあるハズだ。

 

 

 そうだ、やるべきことをやろう。

 

 

 ……未だに鳴り響く通信をオフにした後、俺は……とある場所へと向かった。

 

 

 

 

===DATA===

 

 

 

 

 数時間後、俺は()()()()()()に訪れていた。

 

「動くな! ……シグマ隊長!?」

 

 俺はあくまで「どうして」という(てい)で、向けた銃を下げる。

 モニターで何かを操作していたシグマはこちらを見た後、再び視線をモニターへと戻し、さも真剣そうに口を開く。

 

「……イオか、見ろ。どうやらここの警備システムを使い、メカニロイドをコントロールしていたらしい。」

 

「なるほど……警備システムをカムフラージュに使っていたという訳ですか。」

 

 無警戒を装い、俺はシグマへと歩み寄る。

 

「それで……問題の犯人は?」

 

「まだこの辺りに潜んでいる可能性が高いだろうな。見たところついさっきまでここでメカニロイドのコントロールをしていたようだ。警戒を怠るな。」

 

「了解。では、私がシステムを停止させます。隊長は犯人を追ってください。その方が効率的でしょう。」

 

「……そうだな。では任せる。」

 

「はい。」

 

 

 そして、犯人の捜索の為、その場を後にする……フリをしているシグマを見ながら、モニターへと向かうフリをする。

 

 刹那。

 

 ほんの数瞬に縮められた時間の中、俺は銃を引き抜きながら身を回転、照準を、今まさに俺の急所を貫こうとしているシグマへと合わせ、引き金を引いた。

 

 一発の発射音と、セイバーが空を切る音が響き渡る。

 

 

「ほう! 何故気付いた?」

 

「分かるに決まっているでしょう……どれだけ貴方の隣で貴方のセイバー捌きを見てきたと思ってるんですか?(まぁ、最初から知ってただけだけど。)」

 

 

 その短縮された時間の中、俺は奴のセイバーを身を回転させながら飛びのく事で避け、発射されたバスターは最小限の動きで躱されてしまう。

 

 

「ふむ、誤算だな。まさかここまでとは思っても見なかったぞ、イオ。」

 

「随分簡単に認めるんですね、自らの計算違いを。」

 

「ああ。嬉しい誤算という奴だからな。」

 

 

 そう言うとシグマはセイバーを手にしていないもう片方の手でこちらに手を差し伸べる。

 

「共に来い、イオ。」

 

「……。」

 

 ああ、分かってるさ。

 来なければ殺す。そう言っているんだろう。コイツは。

 分かってるさ。

 いくら俺でもお前には勝てないってことくらい。

 

「私は……。」

 

「お前の精神が男だという事は調べがついている。」

 

「!!」

 

「確か、君と同じプロジェクトで生まれるはずだった兄弟達は皆失敗作に終わり、奇跡的に成功した君は、成功でありながら、精神は女ではなく男型になってしまったという悲劇で生まれたレプリロイド。それが君の正体だ、そうだろう?」

 

「……。」

 

「更に……もし君のボディを無理矢理変えようとすれば、他の兄弟と同じようにボディがエラーを起こし、暴走してイレギュラーとなってしまう可能性が高い。だったかな?」

 

「……ええ、ですが、私は今はもうこの身体を受け入れていますので。」

 

「本当にそうか? いいや、そんな筈はない。君は認められないからこそその強さを手に入れたのだ。」

 

「ッ!」

 

 ……半分は図星だった。

 

 前世では元々努力家でもなく、なんならめんどくさがりな性分だった俺が頑張って戦闘能力を底上げした理由は「やらなきゃ死ぬから」のほかにもう一つ。

 

 女の身体になってしまった事実から逃げたかったからだ。

 

 そうでもしないと、この人間の何倍も優秀な頭が今の自分の現状を受け入れられず、耐え難い苦痛が、この身体を女らしいと判断してしまう屈辱が、こんな身体に生んだ研究者や神様的な誰かへの憎悪が沸いたからだ。

 

 だから俺は「死にたくないから頑張る」というデカすぎる大義名分の後ろにこの事実を隠して、必死に努力してきたんだ。

 

 それこそシグマに目をつけられてしまってもおかしくない位には。

 

 だが所詮は()()だ。

 

「だからどうしたっていうんですか? 貴方ならどうにか出来るとでも?」

 

「出来る。なに、簡単な話だよ。イレギュラー化してしまう事を問題にしてしまう()()()()を変えれば良いのだ。」

 

「……世界の方を……?」

 

「そうだとも。これから私は人類をこの世から抹殺し、レプリロイドだけの、いや、イレギュラーだけの世界を作り上げる。その世界でならイオ、君がイレギュラーになる事はむしろ自然な事だ。なんの問題にもなりはしない。」

 

「……馬鹿げてる。」

 

 ああ、そうだよな。

 

 アンタはそういう人だ。

 世界を自分の思いのままに変えようって本気で考えちまうようなイカレ野郎。

 それでいてそれを実行出来てしまうクソ化け物。

 

 

「さあ、私の手を取れ!!」

 

「私は……俺はッ……!!」

 

 

 

 俺の答えは……。

 

 

 

 

 

=====《補完記録「side:X-2」》========

 

 

 

 

 VAVAが脱走した。その報せを聞いた俺とゼロは現場へ向かったが……遅かったようだ。既にVAVAは脱走した後。現場に残されていたのは、大量の警備とイレギュラーハンターのレプリロイド達の残骸。

 

 どれも、()()()()()()破壊されていた。メカニロイドを暴走させている犯人だと思われているレプリロイドが行った犯行と同じだ。

 

「つまり、犯人はVAVAを逃がす為にメカニロイドを暴走させているって事か……?」

 

 憶測でしかないが、そう考えるとますます分からない。VAVAを解放して一体どうしようと……。

 

 

『エックス、ゼロ! 聞こえますか!? ハッキングの逆探知に成功しました!』

 

 

 そこまで考えたところで、犯人の位置を捉えた、と報告が入った。

 俺達二人は直ぐに現場……ミサイル基地へと向かう。

 

「他の部隊は?」

 

『全部隊に連絡しましたが、殆ど反応が途絶えています……! シグマ隊長にも連絡が取れなくて、イオさんにも通信が遮断されているようなんです!』

 

「……イオも!?」

 

『はい。その……彼女が、ハンター訓練所で暴走したメカニロイドの撃破をしたすぐ後に、連絡が取れなくなって……。』

 

「……!」

 

「クソッ……先走って一人で突っ込んでなきゃいいが……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 そうして現場へと急行した俺達は、ミサイル基地へと潜入した。

 人気はなく、セキュリティも起動していない。

 どこかに敵が潜んでいる可能性があるとして常に警戒を怠ることなく奥へと進むと……。

 

 

「! 聞こえたか、エックス!」

 

「ああ、聞こえた! 誰かが戦闘している音だ!!」

 

 

 それは何度も聞いた、セイバーが振られる音、バスターが発射される音だ。

 かなり激しい戦闘が繰り広げられているらしい。

 だが、一体誰が?

 

 俺達は急いで音のする方へと向かい、そして……。

 一際大きな音がしたすぐ後に、その現場を目撃する事になる。

 

 そこには、激しい戦闘跡と……蜘蛛の巣状にひび割れた壁のすぐ下に、ぐったりとした様子で意識を手放しているイオの姿と……大きな怪我こそないものの、小さな傷が多く、疲弊した様子のシグマ隊長の姿があった。

 

「イオ!! シグマ隊長!! これは一体……!?」

 

「エックス、ゼロか。」

 

 シグマ隊長は俺達を見た後、モニターに目を向けて口を開く。

 

「犯人はどうやらここの警備システムを使い、メカニロイドをコントロールしていたらしい。」

 

「そうか……ここの警備システムをカムフラージュに使っていたという訳か。いや、今はそれよりも……」

 

「そうだ! それよりも……イオ! 大丈夫か!? 犯人にやられたのか……!?」

 

 壁に寄りかかる形でぐったりとして動かないイオはまるで糸の切れたマリオネットのようにピクリとも動かない。だが……。

 

「……これなら、まだなんとかなる。多分強い衝撃を与えられたショックで……。」

 

 現場こそ派手だがまだこれなら修復は可能だろう。流石はイオだ。いかに戦闘能力の高い犯人でも彼女を急所を一撃で倒す事が出来なかったんだろう。……そうだ、今犯人はまだこの辺りのどこかに!

 

 俺は犯人を捜すため、まずシグマ隊長へ話を聞くべきだと思い振り返る……。

 

 そこにはゼロが深刻そうな顔でイオを見て……その後ろで、シグマ隊長が()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 その次の瞬間、セイバーは振り下ろされ……ゼロは身をよじってそれを受け止めた。

 

 

「ほう! 今日は素晴らしい日だな、今の攻撃を退けるレプリロイドが二体も現れるとは!」

 

「二体……? やはりお前がイオをやったのか!!」

 

「シグマ隊長!? ゼロ!? いったい何を……!?」

 

「エックス! シグマ隊長……いや、シグマが犯人だ!! メカニロイドを暴走させている犯人も! これまでのイレギュラーハンター達をやったのも、VAVAを逃がしたのも……イオをやったのも!」

 

「な……!?」

 

「そうか、そこまでバレていたか……!」

 

 な、何故だ? どうしてこうなっている? シグマ隊長が……イレギュラー!?

 

「ああ……高い戦闘能力に判断力……この両方を併せ持つレプリロイドはそう多くない……! そして急所を狙ってくると分かっていれば……こうして受け止める事も出来た!」

 

「流石はゼロ! と、言ってやりたいところだが……受け止めるのではなく避けるべきだったな、()()()()()()!」

 

 

 そう言うと、シグマは受け止められている手とは逆の手でゼロの頭を掴み、そのまま軽々と持ち上げ、ギリギリと締め上げる。

 

「シグマ隊長!! 何をしてるんですか!? ゼロを離してください!!」

 

「ククク……ここまでやって尚、私を信じているエックスの甘さこそ、レプリロイドとして貴重だと言わねばならんな! そう思うだろう? ゼロ……。」

 

 俺は咄嗟にバスターをシグマ隊長へと向ける。彼が本当にイレギュラーなら、俺は、彼を……いや、シグマを……撃たなければならない!

 そして脅すようにわざと大きな音を立てながらチャージを始めると、それを見て更に口角を釣り上げたシグマが心底楽しそうに口を開く。

 

「そうだ!! エックス、良く狙え!! 私を止めたければ今すぐにゼロの身体ごと私を撃ち抜く他無いぞ!!」

 

「なっ……!?」

 

 思わず、バスターの撃つ構えを解きかける。

 

「どうした!? 撃て!!」

 

 ……そんな、そんな危険な事、出来る訳が……!!

 しかし……やらなければ、ゼロが……!!

 

 そんな()()がまるで身体に現れたかのように、バスターが、構える手が、全身が震えて照準が定まらない。

 

 ()()()()が重なる。

 メカニロイドに捕らえられた仲間が、その奥にあるメカニロイドのジェネレーターが、それを撃たなければならなかった、あの状況、あの光景が。

 

 

 

「……ッ!」

 

「クッ、クククッ、ワァーッハッハッハッハッハ!! どうだエックス、やはりお前は()()なのだ。」

 

 そう、というのが何を指しているのか……今の俺には痛い程分かってしまう。

 シグマはそういった直後、ゼロを軽くボールでも投げるように放った後、空中を舞うゼロの身体を()()()()()()()切り裂いた。

 

「ぐあああーーーーっ!!」

 

「ゼロッ!! ッ! ぐああっ!!」

 

 切り裂かれたゼロが地面に叩きつけられ、バウンドしてそのまま地面に倒れ伏すのをつい目で追ってしまい……シグマから目を逸らしてしまう。その一瞬の隙は、シグマにとって見逃そうと思っても見逃すことのできない致命的な一瞬。

 

 俺がしまった、と思う頃には既に首を締め上げられながら、軽々と持ち上げられ、逃げる事も許されない状況を余儀なくされていた。

 

 しかし、それでも反抗するためにバスターをシグマに向けてチャージする。

 この距離なら、絶対に外さない。

 

「もう遅い。前に言ったハズだエックス。「引き金を引くのを躊躇うな」と。お前が私を撃てるチャンスはアレが最後だったのだ!!」

 

 そう言って、シグマは取り出したスイッチに手をかける。

 すると基地中にけたたましいサイレンの音が鳴り響き、何か、大きな機械音が地鳴りのように基地を揺らす。

 

「……!?」

 

 そして気付いてしまう。ここが何の基地だったのか。ふと横に目を逸らせば、そこには強化ガラス越しに見える、発射準備に入ろうとしている無数のミサイル群。

 

 

「もう一度このスイッチを押せばこの基地の全てのミサイルが発射される! 私達の街にだよ、エックス! さあ、どうする!? 街をかけて私を撃ってみるか!? 出来なければ武装解除してもらおうか!?」

 

 

 もし、このまま撃てば……いや、撃とうとした瞬間。

 間違いなくシグマはスイッチを押すだろう。

 そして、武装を解除したところで、きっと……だけど……。

 

 俺は、歯を食いしばりながら……武装を、解除()()()()()()

 

 

 

 

 その瞬間、鳴るハズの無いバスター音が鳴り響く。

 

 

 

 

 

 

===DATA===

 

 

 

 

 

「クッ、クククッ、ワァーッハッハッハッハッハ!! どうだエックス、やはりお前は()()なのだ。」

 

 

 ああ、そうだな……ホントに、甘すぎるとは時々思っちゃうぜ、実際。

 

 

「ぐあああーーーーっ!!」

 

「ゼロッ!! ッ! ぐああっ!!」

 

 あーもー……何してんだよ、そんなもんじゃないだろ、二人共。

 

「もう一度このスイッチを押せばこの基地の全てのミサイルが発射される! 私達の街にだよ、エックス! さあ、どうする!? 街をかけて私を撃ってみるか!? 出来なければ武装解除してもらおうか!?」

 

 なんつー無茶な注文だよ。俺でも迷っちゃうね、そんなの。

 だからそんな要求飲む必要は無い。スイッチだって撃たせない。

 

 俺は、シグマが、武装を解除して切り離されようとしているエックスの右腕に注視している……その一瞬。

 

 

 これ見よがしに持っていた、右手のスイッチへと、照準を合わせ、そして……。

 

 ()()()()()()()()()()()()

 

 

「ヌアアアーーーッ!?」

 

 俺が放ったバスターはシグマの右手の中心に大穴を開け、握っていたスイッチを破壊した。

 

 

「へへ……ざまあ、みろ……。」

 

「ぐ、く、ククッ、フハ、フハハハハハッ!! 素晴らしい!! 素晴らしいぞ!! ああそれでこそ!! それでこそという物だ!! そう来なくては面白くない!! さあもっと見せて見ろ!! 私達レプリロイドの可能性とやらを!!」

 

「ぐっ……!! シグマァ!!」

 

「ぬぅん!!」

 

 エックスは解除しかけていたエックスバスターを咄嗟に装着しなおして、再度シグマを撃とうと……した直後に、力任せにぶん投げられ、床に叩きつけられ、小さなうめき声と悲鳴を上げた。

 

 そして、シグマはと言うと、叩きつけられるエックスに目もくれず、勢いよく俺に飛び掛かり、壁に寄りかかった状態の俺の腹部に強烈な膝蹴りを放つ。俺はそれを避ける事も防ぐことも出来ずに……今度こそ本当に意識を失った。

 

 

 




【シグマ】
全ての元凶。つるピカ●頭ハゲケツ顎可能性信者おじさん。とてもつよい。

Q.事前に殺せよこんな奴
A.殺したとて実はシグマウィルスがなんちゃらとか言って蘇るので無意味だし、当時は有能なイレギュラーハンターとして活躍してて憧れの的だったんで、突然ぶっ殺しなんてしたら投獄される。

Q.事前にコイツがやる事を全部予言みたいな形で教えたら?
A.会話や通信は傍受されている可能性がある為使えない。

Q.理 不 尽 過 ぎ ん?
A.ほんそれ。この人これでロクXシリーズ通して大体ラスボスやってる奴だからこの程度ではまだまだ序の口なんだよね……。

Q.この後主人公ぶっ殺されるんじゃねえのこれ
A.ネタバレするとこの後エックス君が頑張ってくれました。




【訓練所の皆】
物語に登場すら出来ないモブ。
主人公が生まれてからお世話になってた施設の皆。
皆主人公の事を尊敬していたし、憧れていた。
主人公は自分の事で手一杯で、記録でも彼らについて殆ど触れられていない。
それだけ必死だったという証拠でもある。
ただ、そのせいで、まだ見習いだった彼らについての記録は一切残ることは無かった。
彼ら視点での主人公を見た時のデータも同様である。
残ってはいないけど、彼らは皆、言えばアドバイスしてくれたり、基本優しくて、あのシグマ隊長に直接スカウトされるという異例の大出世でイレギュラーハンターになったあの子をずっと気掛かりにしていた。



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。