TS転生者が隠しステージのボスになる話   作:政田正彦

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6【Io/Other】

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=====《補完記録「side:X」》=========

 

 メディカルセンターで治療(修理)を受けた後、俺はハイウェイにてイレギュラーが発生し、街の人々の避難が遅れているとの報告を受けて現地に駆け付けた。

 

 ミサイル基地でのシグマの計画は阻止出来たものの……俺達が眠っている間に、シグマは次の一手を打って来た。

 

 いや、正しくは既に打ってあったというべきか。

 シグマは、イレギュラーハンターの中から自分の思想に同調する者を配下としており、計画の実行と同時に多くのイレギュラーハンターが反旗を翻したのだ。

 

 ……その中には、当然、俺が良く知る人物達や、尊敬する人、恐ろしい人……各隊長の姿があった。

 

 ――――既に、この考えに賛同してくれた同志達が、各地で行動を起こそうとしている頃だろう。

 ――――お前も()()()()()()()()()だよ、エックス。

 

「あの時のシグマのセリフは……こういう事だったのか……!」

 

 ライドチェイサーのハンドルを握る手にギリギリと力が入る。

 悔しさ、悲しみ、怒り、恐怖……様々な感情がごちゃ混ぜになって、俺の心をかき乱す。

 

「……クソッ……!」

 

 ハンドルを力いっぱい殴りつけたい衝動に駆られ……今はそんな事をしている場合じゃない、と考え直す。

 

 前方へ意識を戻すと、あちこちから爆発音が鳴り響き、黒煙が立ち込め、炎に包まれた街が広がっている。……もう少し進んだ先がイレギュラー達が暴れている地点だ。

 

『エックス! そのエリアの暴動も、イレギュラーが誘導されている可能性が高いわ!』

 

「誘導……やはり、シグマか!」

 

 ……イレギュラーが支配する理想郷を築き上げ、旧世界の生物である人類と、私に背くレプリロイド達を全て抹殺し、新たな世界を創造する事、それが目的だと奴は言った……。

 

 ……本当にこの世界を……人間や罪の無いレプリロイド達を滅ぼすつもりなのか、シグマ……!!

 

 

 

 

===DATA【破損ファイル】===

 

 

 

 前々から考えていた事だが、俺はこの事件に対し、どう動くべきなのだろうか。

 

 そもそもの話、俺がエックスやゼロの代わりを務める……すなわち第三、いや、第四の主人公となって、各ボスを破壊するムーブ……これはダメだ。

 

 何故かというと、それではエックスが成長せず、シグマに勝てないからだ。

 

 この物語は、エックスと言うヒーローが戦いの中で学習、成長し、悪の親玉であるシグマを倒すという単純明快なストーリー。

 

 その学習し成長する機会を奪うってのはつまり、ドラゴンボールで言えば先にフリーザを倒してナメック星編を終わらせた後でスーパーサイヤ人になれず宇宙船での重力修行もしていない悟空とセルを戦わせるぐらい無謀な事だ。

 

 なので、俺は当初の目的では各ボス本人達には何もせず、ゼロやエックスが動きやすいように、街を襲う雑魚共を片付け、街を守る……という予定だったが、ここで誤算が発生した。

 

 俺がシグマのミサイル発射計画を妨害した事で未来が変わったのだ。

 

 つまり、このミサイルで大量に死ぬはずだったイレギュラーハンター達がこの世界では生き延びており、街の警備等は……問題が無いと言えばウソになるが、原作よりかは若干余裕があると見て良いだろう。

 

 となると、俺には他にやるべきことがあるのではないか。

 

 

 そう考えた結果、俺は各ボスでもなく、街の警備でもなく……VAVAを追う事にした。

 

 VAVA。ロックマンXシリーズにおいて、Xのライバルキャラのようなポジションであり、イレギュラーハンターでありながら、戦闘狂ですぐにやり過ぎて事件沙汰になってしまう手の付けられない問題児。

 

 それでいて戦闘能力はピカイチであり、頭脳はと言えば、これも悪くない。実はライドアーマーという乗り込み型のメカニロイドを使用しての戦いを発案した張本人であると言うんだから、本当に厄介な事この上ない。

 

 そして、そんなライバルキャラであるVAVA……実は初代Xのリメイク作品である「イレギュラーハンターX」において、プレイアブルキャラとして操作が可能であったりする。

 

 プレイアブルキャラという事がどういうことかと言うとだ。

 

 このVAVAがエックスみたいに各所のボスを撃破し、かつ最後はエックスとゼロの二人と死闘を繰り広げる……という世界線が存在するという事だ。

 

 なおこのルートに入った場合、何故かエックスは各地のアーマーを手に入れているし、VAVAはラスボスであるシグマまで届かず、最後はエックスとゼロに撃破されて終わりだ。

 

 ……余談だがこの前シグマを出し抜くためにやった作戦もこのエンドのムービーでVAVAを倒す為にエックスがとった作戦から学び得た物だったりする。

 

 で、このルートだと何が困るって、この世界でのエックスがちゃんとアーマーを手に入れてくれるか分からないという点だ。……実際、VAVAがボスを撃破した後にそこに行く理由、全然無いしな。……いや、エックスがVAVAを追っていたからとか、VAVAが各ボスを撃破していると知らずに潜入した、というならまぁ分からないでも無いが。

 

 何にせよ、だ。

 何か運命的な力が働いて手に入る可能性もあるかもしれない。

 だが現実的な問題のせいで手に入らない可能性もあるかもしれない。

 

 だから、より確実にXに成長してもらう為、VAVAを止めさせてもらう。

 それが俺が今現状で出来るエックスとゼロへの最も効果的なサポートだろうと確信する。

 

 となると、VAVAの動向が気になる所だが……。

 

 確か、最初のステージ……ハイウェイエリアでVAVAとエックスの戦闘があった際、VAVAはエックスを追い詰めるが、ゼロの助太刀があった事でVAVAは逃亡。その逃亡手段にエアシップを使ってその場から離脱する。

 

 飛行手段をもたないエックスとゼロはVAVAを追えず……といった流れだったハズ。

 

 ……今、駆け付けて間に合うだろうか? 損傷具合からして俺の方が目覚めるのが遅かったハズ。エックスやゼロが目覚めてすぐ向かったのなら、今から向かっても間に合わないだろう。

 

 ……いや、考えている暇は無いか。

 

 そもそも、原作でVAVAがどういう動向だったのかはこれ以外だと全くの不明だ。

 つまりこのタイミングを逃したらVAVAを追う事は出来ない。

 

 間に合わなかったら……その時は……。 

 

 

 そこまで考えた後、俺はハイウェイエリアへと向かった。

 

 

 

=====《補完記録「side:X」》=========

 

 

 ハイウェイエリアのイレギュラーを掃討しながら、その中心へと突き進むと……空中のエアシップからライドアーマーに搭乗した見覚えのある人物が眼前に降り立った。

 

「……お前は、VAVA!!」

 

「よお、甘ちゃんエックスがこんな所で何をしている?」

 

 VAVA。優れたイレギュラーハンターだが、その素行に問題が有り、留置所で拘束されていたハズだが、シグマによって解放された。

 

「お前も、シグマの反乱に加わっていたんだな!?」

 

「反乱……? そんなものに興味はない。」

 

 大声で問いただした答えは、俺の予想外の物だった。

 興味が無い……? VAVAはシグマの反乱に加わり、イレギュラーを誘導していた訳じゃないというのか? だったら、何故……?

 

 そこまで考えて、偶然にもその疑問に答える形でVAVAは告げる。

 

「俺はなエックス、お前の事が気に食わなかったんだよ……だから、壊す!!」

 

「!!」

 

 

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WARNING!!! WARNING!!! WARNING!!! WARNING!!! WARNING!!!

 

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「うおおーーーっ!!」

 

「無駄だ!!」

 

 

 俺はVAVAの乗っているライドアーマーへ向かってチャージショットを放つ……が……。チャージショットはライドアーマーの装甲に弾かれ、霧散して消えてしまい、装甲には傷一つついていない。

 

「忘れたのか? ライドアーマーは元々は土木作業用のメカニロイドだ。そして……危険な地帯でも問題なく稼働できるよう、頑丈に設計されている! 更に、俺が愛用するこの機体は特別製でねえ……お前のチャージショット程度では傷一つつけられんぞ!!」

 

 そう話しながらも、VAVAの攻撃の手が緩む事は一切ない。

 岩をも砕く鋼鉄の拳、VAVA本人やライドアーマーに搭載されたランチャーからの砲撃や雷撃を避け続けながら、どこかに打開策が無いかと考え……。

 

「なら……直接お前を……!!」

 

「馬鹿が、俺がその程度の対策をしていないとでも思ったか!?」

 

「ぐああーーーッ!!」

 

 ライドアーマーに攻撃してもダメージが与えられないならば、搭乗者であるVAVAを狙えば……そう考えて照準を合わせようとしたところで、それを読んでいたとばかりに、照準を合わせるため一瞬停止した瞬間を狙われて、俺は全身にランチャーから放たれた雷撃をくらい、身体を動かせなくなってしまう。

 

「ぐあっ!!」

 

 その致命的な隙をVAVAが逃すはずもなく……。俺はライドアーマーの腕によって掴まれ、空中に吊り上げられる。どうしようもない無力感が広がる。

 

「エックス……! お前には何もできん! お前を殺し、シグマも殺し、世界を変えるのはこの俺だ!! フハハハハハ!!」

 

 

 そう言いながら、VAVAは肩につけたランチャーの砲口を俺へと向け、俺を粉みじんに破壊しようとしたその時……。

 

 強力なバスターの発射音と共に、俺を持ち上げていたライドアーマーの腕部分が突然爆発する。

 

 空中に放りだされた俺は受け身を取ろうとするも、電撃で痺れた身体がいう事をきかずにそのまま落下する。

 

「エックス! 大丈夫か!?」

 

「ゼロ!」

 

 ゼロが持つバスターは、俺の持つバスターよりも高出力だ。俺のバスターがダメでもゼロのバスターなら、あのライドアーマーにダメージを与えられる!

 

「ゼロ……どうしてお前程の者がそいつに肩入れする……? そいつは単なるB級ハンターに過ぎん!!」

 

「VAVA……。今のお前はただのイレギュラーだ。」

 

 言外に、だからお前を排除すると告げ、ゼロがバスターを向ける。

 そして、その直後にゼロが放ったチャージショットを躱す形でハイウェイの道路から跳躍し、下へと落下するライドアーマーとVAVA。

 

 この高さから落ちたらライドアーマーと言えど無傷ではいられないだろうに、何故……と考えた次の瞬間、先ほど飛び降りてくる際に使ったエアシップが現れ、その甲板にはライドアーマーに搭乗したVAVAの姿があった。

 

「ちっ!!」

 

 ゼロがもう一度チャージショットを放つ……が、距離が開き過ぎて、本来の威力と精度を発揮出来ず、エアシップの装甲に弾かれてしまい、みるみるうちに距離が離れ、ついには煙で視認できない所まで逃亡されてしまう。

 

「クソッ……。逃がしたか。」

 

「ゼロ、VAVAは……シグマの反乱に加わったわけではないと言っていた。……VAVAは一体何を……?」

 

「……目的は不明だが、分かるのは、奴は俺たちの敵だという事だ。……エックス、俺はこれからシグマの足取りを追ってみる。お前は一旦ハンターベースへ戻れ。」

 

「……分かった、後で合流しよう。」

 

 

 話した後、ゼロは踵を返し……「それと」と顔だけで振り返る。

 

 

「イオが……調整中にメディカルセンターから脱走したらしい。点検中だった愛用のガンブレードも持って、姿を消したそうだ。通信も繋がらない。」

 

「なっ……!? 一体何故……!?」

 

「分からん……だが、奴ならあるいは、シグマが今どこに居るかを知っているかもしれない。奴は一番シグマと近いレプリロイドだったからな……。」

 

 そうだ。イオはシグマによって新人の頃引き抜かれ、その後もシグマの下で数々の困難な任務をこなし、シグマに気に入られていた。俺達イレギュラーハンターの中で最もシグマの考えや思考パターンを知っているのは、彼女だ。

 

「だったら、すぐに彼女を見つけないと……。」

 

「……ああ。もしこっちで見つけたら連絡をする。」

 

「分かった、ありがとう、ゼロ!」

 

 

 そうして、今度こそゼロが立ち去る。その後、俺は回復した転送装置で転送し、ハンターベースへと戻る事にした。

 

 そのハンターベースへと戻った直後……俺は、各地で大規模なイレギュラー反応が確認された事、そして、反乱が本格化してきたという事実を知らされた。

 

 

 

=====《補完記録「side:Z」》=========

 

 

 ……イオについて、俺には、エックスには話していなかった懸念があった。

 

 というのも、何故イオは突然姿を消したのか。

 調整を受けずにメディカルセンターから出る事は、明確な規約違反だ。

 

 違反を犯してまで、行かなければいけない事情があったのか。

 

 そうでないとしたなら……イオもイレギュラー化してしまった可能性があるのではないだろうか。

 

 エックスとも話したが、イオはシグマと最も近いレプリロイドであり、優れたイレギュラーハンターだ。

 

 それはつまり、シグマの思考や思想を最も近い所で受け続けていたのではないかという可能性があるという事……イオもまた、シグマと同じようになっているのではないか……。

 

 もしそうだったとしたら、俺はイオを……。

 

 いや、俺よりも、エックス……もしお前が、イレギュラーとなったイオと相対したとしたら、その時……お前は……。イオを撃てるのか……?

 

 

「……チッ、どうしてこう世話のかかる後輩ばかりなんだ……。」

 

 

 

 

 

 

====================

 

 

 

「……なんだ、これは。」

 

「……こんにちは。」

 

「誰だ……? いや、見覚えがある……お前は確か、シグマの腰巾着……。」

 

「イオです。……初めまして、VAVAさん。」

 

 

 

 エアシップの中……コントロールルームにて、二人のレプリロイドが邂逅した。





【VAVA】

紫色のアーマーに身を包み、ヘルメットは作品内では珍しいフルフェイス型の物を使用していて素顔が明らかになっていない(もしかしたら元からそういう形状で素顔とかないのかもしれないけど。)

シグマには劣るものの充分厄介な問題児で、シリーズではちょくちょく復活したりする。
機動力と攻撃力に優れていたり、ライドアーマーを戦闘に導入したり、シンプルに強い。が、シグマ程じゃないのと、シグマ程レプリロイドの可能性について執着しておらず、ただただ自分が脅威であると世界に認めさせたいだけの狂戦士。エックスに対しては「優柔不断で甘ちゃんで弱いのにどうしてどいつ(シグマ)もこいつ(ゼロ)もお前の事ばっかり話すんだ?俺のが強いのに。腹立つわ、殺そう。」くらいに思っている(と思う)

なお、初代Xではシグマの軍門に下っているがそのリメイク作品では下っていなかったり、本編でも話した通りこのリメイク作品では彼がプレイアブルキャラとして各ボスを破壊して回るパラレルワールドが存在する。

このリメイク作品だと、ヘルメットのシンボルマークが「V」になっているが、初代Xだと「Σ」になっており、シグマの軍門に下っている事がここで分かる。

そして漫画版だとまたちょっと話が……というか全然人が違ったりするし、世界一バーボンが似合うロボとか呼ばれている、なんだかんだで人気の高いキャラである。
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