言葉じゃ足りないから   作:砂原佐漠

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今回はかなり長めです。

アニメ第1期の8話辺りからスタートするイメージです。


第1話:夜明けの邂逅

俺は、どこにでもいる普通の高校生2年生だ。

 

唯一特別なことがあるとすれば、ほぼ一人暮らしであること。母は幼い頃に他界し、父は滅多に帰ってこない。

 

それ以外は、他の生徒と何も変わらなかった。

 

昼寝で変な夢を見た後は、普通の学校生活だった。放課後に色々呼び出されたりしたが何故か大きな用事などは無く、それ以外特別なことは何一つ無かった。

 

いつも通りに学校が終わったらバイトして、買い物をしたら家路につく。

 

家に着いて夕飯や風呂を済ませ、寝る前に明日の天気を確認しようとテレビを見ていた。

 

「先日発生したノイズの被害は…」

 

認定特異災害ノイズ。機械的に人間のみを対象に襲いかかり、触れた人間を炭化させ殺害する。時と場所を選ばず突然出現し、被害を撒き散らす。

 

父に聞いた話だと、母はノイズに殺されたらしい。

 

チャンネルを変え、天気を確認した。早朝まで雨が降るようなので、外干しは無しだ。

 

用は済んだので、ベッドに潜る。

 

そして朝になれば、また同じように1日が始まるはずだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…早すぎたな。」

 

学校へ行く用意を始めるには早すぎる起床。

 

二度寝したくなったが、

 

「あぁ、そういえば…朝飯買うの忘れてた。」

 

散歩がてらコンビニへ行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「〜♪」

 

コンビニを出て家に帰ろうと歩き始めたとき、視界の隅に不自然な色が映った。

 

細長い白と、暗めの赤。

 

視線を向けると、少女が横たわっていた。

 

 

 

 

助けるか、見なかったことにするか。

 

 

 

 

俺の中で2つの選択肢が揺らぐ。

 

普通に考えれば、例えばこの少女を助けたとして、意識が戻ったときに最悪の場合犯罪者認定されるかもしれない。

 

そんなのたまったもんじゃない。

 

それに、俺が助けなくても他の誰かが、もしくは公的機関の人間が保護してくれるだろう。

 

とにかく、わざわざ俺がリスクを犯す必要はないはずだ。

 

…だが、俺はどこかおかしくなったのだろうか。

 

頭で考えるより先に、少女を抱えて家に向かっていた。

 

このまま放っておいたのが原因でこの娘に何かあったら寝覚めが悪いから、であろうか。

 

とにかく助けてやらないといけない、という得体の知れない使命感のようなものが俺を突き動かしたようにも感じる。

 

こうして俺は、1人の少女を拾った。

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず、一軒家でよかった。マンションとか絶対誰かと鉢合わせして怪しまれる。

 

未明という時間帯もあり、人目に着くことは無かった。

 

全身びしょ濡れだったので、まずはドライヤーである程度乾かしてやる。

 

服が汚れていたため、ベッドの上にタオルを敷き、そこへ寝かせた。

 

ある程度落ち着いてよく観察してみると、衰弱しているように見えた。濡れてたからか、熱もある。

 

再びコンビニへ行ってスポーツ飲料水とゼリー食品を買い、薬局で冷えピタを買ってきた。

 

そこまでした時点で、もう学校には遅刻確定の時間だった。

 

仕方ない、今日くらいは休んでもいいかと携帯を握ったとき、少女が僅かに呻き声をあげた。

 

「うぅ…ハッ!?」

 

いきなり起きて飛び上がったと思ったら、警戒心剥き出しでこちらを睨んできた。

 

「お前、誰だ!?」

 

「落ち着け、俺は団扇 数多(うちは あまた)。この家に住んでる高校2年生。お前が路地裏でぶっ倒れてるのを見かけて、ちょっと介抱しただけ。といっても、ほとんど何もしてやれてないけどな、俺男だし。」

 

「…何のつもりだ?」

 

当然の疑問だ、本当にその通りなら俺にとって何のメリットもない。でも残念ながら俺も聞きたいような状態なんだよな。

 

「実は、俺も知りたい。お前を見かけて、気がついたらこうなってた。面倒臭いことしたなって思いながら学校に欠席連絡しようとしたら、お前が起きたんだよ。ほら。」

 

少女が飛び起きた拍子に弾き飛ばされた俺の携帯を指さす。そこには、俺の通う高校の名前と発信ボタンが映っていた。

 

「ハッ、訳わかんねぇな。とりあえず、助けてもらったみたいだから礼は言っておく。だが、生憎アタシは忙しいんだ。さっさとここを出させてもらう。」

 

少女がこの家を出ようと歩き出すが、その足取りは怪しい。それに、

 

「まぁそれでもいいけど、お前…どこに帰るんだ?」

 

あんな時間に路地裏で倒れてるなんて異常だ。酒に酔うような年齢でもない。ワケありなのは丸分かりだ。

 

何より歩き出してから一瞬、歩みが止まった。どこに行けばいいか分からないんだろう。

 

「お前…2課の手の奴か?」

 

一気に少女の声のトーンが低くなった。質問に質問で返してきたな、こいつ。

 

「ニカ?何だそれ。よく分からないけど、たぶん違うと思う。」

 

それを聞いて、少し雰囲気が柔らかくなった気がする。少しは信用してもらえた、のだろうか。

 

「理由は深く聞かないけどな。あんな所で倒れてたんだ、お前当分行く宛がないんだろ。少なくとももう少しマシな状態になるまでウチで休んどけ。そのまま出て行かれてくたばられても、こっちの寝覚めが悪くなる。」

 

「確かに宛はないけど…でもいいのか?アタシは…」

 

「ああ、さっきも言ったろ?2度も言わせんな。」

 

「…ありがとう…」

 

そう言うと少女は急にしおらしくなった。

 

全く、年頃の少女ってのはこんな複雑なもんなのか。って、俺もあんまり歳変わらないか。でも少なくともこいつは素直みたいだから、実はいい奴なのかもしれない。

 

とりあえず、犯罪者にはならずに済みそうだ。

 

「そういえば名前、聞いてなかったな。なんて言うんだ?」

 

 

 

 

 

「クリス。雪音(ゆきね) クリスだ。」




ここまで読んで下さり、ありがとうございました。

誤字脱字、論理等の破綻、改善点などあれば感想にて教えてください。参考にさせていただきます。

今後も文字数が変化してしまうかもしれませんが、区切りをつけて書き溜めてしまっているのでそのまま投稿します。すみません。

よろしければまた次話も覗いて下さると嬉しいです。
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