サイコ・ダイバーズ 〜彼らは人類救済のため前世の歴史を改変する〜   作:多比良栄一

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第24話 我が名は惟任日向守 五宿老、藤田伝五!!。参る!。

 右側の敵に対峙するセイのうごきは実にシンプルだった。

 セイはこちらに突進してくる敵陣に正面からとびこむと、からだをぐっと沈みこませて、滑りこむようにしてまずは横に一太刀ふるった。刃をふりだす強烈なスピードに刀身がしなったかと思うと、そのまま数倍もの長さにひゅんと伸びる。十メートルはあろうかという刀身が魔物たちの足元をすくう。

 そのひと太刀目で、先鋒の一列目の魔物たちの、膝から下を断ち切った。

 前のめりで突進してきた魔物たちの膝から上だけが、その勢いのまま前に放りだされる。そのすぐうしろを走っていた部隊は、その残された足や転がったからだにつまずきそうになって、あわてて避けようとする。それだけ注意がそれれば、セイにとってあとはたやすかった。ふた太刀目は、魔物たちに首筋を狙って一閃されていた。一瞬でも足元に気をとられた者の首は、もう次の瞬間には空中に舞っていた。

 一瞬にして数個の頭が地面に転がる。

 

「うおおおー」

 信長が雄叫びのような奇声をあげる。同時進行しているマリアとエヴァの活躍を合わ見ている。信長の興奮は収まるどころか、さらに高まっていた。今度は弥助の胸ぐらにしがみついて激しく揺さぶりながら言った。

「なんという太刀筋じゃ!。一気に十人は斬り伏せおったわ」

「大変……凄うご……ざいますな、御屋形……様」

 興奮した信長にからだを揺さぶられては、弥助もなんとかことばを返すのがやっとだった。

 

 一群となって斬りかかってきた魔物を倒した先にいたのは、二体の魔物だった。

 さきほど殲滅(せんめつ)した魔物よりも一回り大きな体躯で、首回りは太く強靱そうな体つき。防具も重厚かつ強固で、臑当(すねあて)を見ただけでも、先ほどのように足や首を薙ぎ払うようなまねは難しそうだった。

 

 ラスボス前の中ボスってところか……。

 

 セイは走りながら、空中にむけて手をあげた。

 手の中に光が走って、三本の刀が空中に出現した。刀は突っ込んでいくセイの上を追従するようについてくる。

 正面の中ボスに近づくと「我が名は惟任日向守(これとうひゅうがのかみ)五宿老、藤田伝五……」と名乗りをあげてきた。

 セイはそんな武士の作法に、一切配慮なく、けさ懸けに藤田伝五に刀を振り降ろした。伝五が力強い力でその太刀を正面から受けてくる。セイはそのままその刀を押し込むと、その剣から手を離した。セイの手が離れたにもかかわらず刀は力を加え続け、藤田伝五の刀を押しとどめ続ける。

 セイは頭上に浮いている三本の刀の一本の柄に手をかけると、勢いよく引き抜き、そのまま藤田伝五の首筋むけて打ち下ろした。セイが手放した刀と(つば)ぜりあいをさせられていた伝五は、その太刀を受けるすべがなかった。刃が首の中心部分までざっくりと食い込む。

 だが、伝五のからだはまったく揺らぎもしない。首に刀が刺さったまま、ぎろりと凶悪な目をセイにむける余裕すらあった。

「そんななまくら刀では、我を斬るのはでき……」

 そう(うそぶ)いたが、矢継ぎ早にセイが頭上から二本目の刀を引き抜き、伝五ののど笛に突き立てるのは見えなかった。咽を貫かれことばが途切れた。

 二本の刀を首にさされて、さすがの魔物もうしろによろめいた。(つば)ぜりあいをしていた無人の刀が、ここぞとばかりに、ぐっと伝五のからだを押し込む。バランスをうしなって、うしろに倒れる伝五。

 その背後に三本目の刀を抜いて待ちかまえているセイがいた。倒れてくる伝五の延髄(えんずい)付近をめがけて刀を突き出す。

 どーんと派手な音をたてて倒れた時には、自重と倒れた勢いもあって、完全に刀身は首をうしろから前に貫いていた。

 すでに勝負はついていたが、セイは無人で魔物の相手をしていた剣を掴むと、魔物のうえに飛び乗り、三本もの刀が刺さった首筋にむけて、四本目の刀を突き立ててとどめをさした。

 

 セイは絶命した藤田伝五のからだから飛び降りて、マリアたちが戦っている方角をみた。

 場合によっては左の中ボスも倒さねばならない。

 

 と、ドーンとあたりの空気を震わせるようなひときわ大きな爆発音がして、左側の中ボスの上半身が吹き飛ぶのが見えた。ぱらぱらと辺りに肉片が飛び散る。

 その足元には剣を地面に突き立てたマリアが、そしてそのすぐ上にピストル・バイクに乗ったエヴァがいた。セイはすぐにふたりがどうやって倒したかわかった。

 マリアが中ボスに接近戦を挑み、足に剣を突き立てて身動きできなくしたところで、至近距離からエヴァが一発見舞った、ということだ。

 セイが見ているのに気づいて、疲れ切った顔でマリアが親指を立てて見せてきた。

 

 そのとき、ふっと空気が揺らぐのを感じた。

 セイがとっさに剣を構える。

 刃と刃の噛み合う音。

 

 襲ってきたのは斉藤利三(さいとうとしみつ)だった。

 

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