やはり俺の青春ラブコメは間違っているかもしれないが、これでいい。(のかもしれない)   作:Lv.零の素人

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すいません、いつかやってみたかったやつです。序盤っていうか、とあるキャラが登場するまではほぼ原作準拠ですので(まぁ、少しづつ違う部分もありますが)原作知らない方にも楽しんでいただけると思います。


これを機に、俺ガイルのファンが増えるといいなぁ。
…ではどうぞ!


第一話

◇◆◇

 

「高校生活を振り返って」

青春とは執拗な自己欺瞞と、唾棄すべきスクールカーストの下に成り立つ悪である。

青春を謳歌する者たちは常に自らとその周囲を偽り、欺く。 自らを取り巻く環境要因を全て、己にとって都合のいいように、肯定的に捉える。

何かしらの致命的な失敗をしても、それすら青春の証とし、思い出とやらの1ページに刻むのだ。

例を挙げよう。彼らは万引きや、集団暴走といった、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」の下らない精神で犯罪行為に手を染めてはそれを「若気の至り」と呼ぶ。

試験で赤点を取れば、学校は勉強をするためだけの場所ではないと言い出す。

彼らは青春の二文字の前ならばどんな一般的な解釈も社会通念も捻じ曲げて見せる。彼らにかかれば嘘も秘密も、罪科も失敗さえも青春のスパイスでしかないのだ。

そして彼らはその悪に、その失敗に特別なナニカを見出だす。

自分たちの失敗は全て青春の一部分であるが、他者の失敗は青春でなくただの失敗にして敗北であると断じるのだ。

仮に失敗することが青春の証であるのなら、友達作りに失敗した人間もまた青春ど真ん中でなければおかしいではないか。しかし、彼らはそれを認めないだろう。

なんのことはない。すべて彼らの「自分が良ければそれでいい」という、一種のご都合主義でしかないのだから。

なら、それはやはり欺瞞だろう。嘘も欺瞞も秘密も詐術も唾棄され、糾弾され、嫌悪されるべきものだ。

つまり、彼らは悪だ。

ということは、逆説的に青春を謳歌していない者のほうが正しく真の正義である。

結論を言おう。

リア充爆発して四肢四散しろ。

 

◇◆◇

 

基本、比企谷八幡はひねくれてそれはもう腐った魚も引くほど腐っている。

× × ×

 

国語教師の平塚静(ひらつかしずか)はその色白な(ひたい)に似合わない青筋を立てながら、俺の作文を大声で読み上げた。

 

うむ、こうして客観的に聞いてみると、やはり俺の文章力はまだまだだということに気づかされる。小難しい単語を並べれば頭が良さそうに見えるんじゃないかという、どこぞの売れない作家の考えそうな甘っちょろく、こすっからい思考が見透かされる気分だ。

さては、この未熟な文章について呼び出されたのか。

もちろん違う。え、違うよね?

平塚先生は読み終わると額に手を当てて深々と、それはもう思わず俺が同情しそうなほどのため息をついた。

 

「なぁ、比企谷(ひきがや)。私が授業で出した課題はなんだったかな?」

「………?たしか、『高校生活を振り返って』というテーマの作文だったはずですが?」

「ああ、そうだな。それでどこをどう間違えればこんな犯行声明を書き上げてるんだ?テロか?テロリストなのか?それともバカなのか?」

平塚先生は再びため息をつくと悩ましげに髪を()きあげた。

そういえば、どうでもいいけど、女教師はジョキョウシよりも、オンナキョウシとルビったほうがエロさが増すように思う。

そんなことを考えていると、紙束で頭をはたかれた。

 

真面目(まじめ)に聞け」

「はぁ」

「君の目はあれだな、腐って一週間ほどたった魚の目のようだな」

「そんなにDHA豊富そうに見えますか。賢そうっすね」

ひくっと平塚先生の口角が吊り上がった。

 

「比企谷。この()めた作文は何だ?一応言い訳くらいは聞いてやる」

先生がギロリと音がするほどにこっちを(にら)み付けてきた。なまじ美人なだけにこういう視線は異様なまでに目力が込められていて圧倒されてしまう。っつーかマジ怖ぇ。

「ひ、ひや、俺はちゃんと高校生活を振り返ってますよ?近ごろの高校生はらいたいこんな感じじゃないでしゅか!だいたい合ってますよ!」

 

………噛みまくりじゃねえか。恥ずっ。まぁ、人と話すだけで緊張するのに、それが年上の女性とくればなおさらだろう。

 

「普通こういうときは自分の生活を省みるものだろう」

「だったらそう前置きしておいてください。そしたらその通り書きますよ。これは先生のしゅ、出題ミスであってry「黙れ小僧。屁理屈を言うな」はい…」

「小僧って………。いや確かに先生の年齢からしたら俺は小僧ですけど」

風が吹いた。

グーだ。ノーモーションで繰り出されるグー。これでもかというくらいに見事な握り拳が俺の頬を掠めていった。

「次は当てるぞ」

おぅ、目がマジだ。本気と書いてマジで、真剣と書いてガチなやつである。

「すいませんでした。書き直します」

謝罪と反省の意を表すのに最適化された言葉を選択。

だが、平塚先生には満足いただけなかったご様子。いかん、これはもはや土下座しか、いや、DOGEZAしかないのか。俺のふつくしいジャンピーンDOGEZA!!を披露するしかない!(断言)俺はズボンの皺を払うようにしてぴしっと直し、襟を整えると空中に飛び上がり1.5秒ほど滞空すると、重力に引っ張られ下に落ちる前に両膝を折り、頭を地に叩きつけるように構える。

 

落下の瞬間

 

「ぐっ!申し訳ありませんでしたァ!」

 

ふつくしく、淀みのない所作だった。

 

「ぇっ、ちょっ!おい!話を聞け!」

 

え?

 

「あのなぁ、私はな、怒っているわけじゃないんだ」

………あー、出た。出たよこれ。

面倒くせぇパターンだよ。「怒らないから言ってごらん?」と同じパターンだよ。そう言って怒らなかった人を今まで見たことがない。

だが、意外にも平塚先生は本当に怒っているわけではないようだった。少なくとも年齢の話以外では。俺は床に叩きつけて若干ガクガクになっている膝を戻しながら様子を窺う。

平塚先生ははちきれそうな胸ポケットからセブンスターを取り出すと、フィルターをとんとんと机に叩きつける。おっさん臭い仕草だ。葉を詰め終わると、百円ライターでカチッと火をつける。ふぅっと煙を吐き出すと、至極真面目な顔でこちらを見据えた。

 

「君は部活をやってなかったよな?」

「はい」

「……友達とか、いるか?」

 

俺に友達がいないこと前提で聞かれていた。

 

「びょ、平等を重んじるのが俺のモットーなので、特に親しい人間は作らないことにしてるんですよ、俺は!」

「つまり、いないんだな?」

「た、端的に言えば………」

俺がそう答えると、平塚先生はやる気に満ち溢れた顔になる。

 

「そうか!やはりいないか!私の見立て通りだな。君の腐った目を見ればそれくらいすぐにわかったぞ!」

 

目を見てわかっちゃったのかよ。なら、聞くなよ。

平塚先生は納得顔でうんうん言いながら、俺の顔を遠慮がちに見る。

 

「…………彼女とか、居るのか?」

 

とかってなんだよとかって。俺が彼氏いるって言ったらどうすんだよ。

 

「今は、いないですけど」

 

一応未来への希望をこめて「今」にアクセントを置いた。

 

「そうか……」

 

先生は今度はどこか潤んだ瞳で俺を見つめる。タバコの煙が目に染みているのだと信じたい。おい、やめろください。俺に生暖かくて優しい視線を向けんな。

それにしてもなんだよこの流れ。平塚先生は熱血教師なの?そのうち腐ったミカンがどうの言い出すの?ヤンキー母校に帰んの?……マジで帰ってくんないかな。

平塚先生は何事か思案したのち、はふぅとため息混じりに煙を吐き出した。

 

「よし、こうしよう。レポートは書き直せ」

「はい」

ですよね。

よし、今度はごくごく適当に当たり障りのない文章を書こう。それこそグラビアアイドルや声優のブログくらい。『今日の晩ご飯はなんと……、カレーと見せかけたハッシュドビーフでしたっ!』みたいな。あれ、違う?

ここまでは想定の範囲内。俺の想像を越えていたのはこの後だ。

 

「だが、君の心ない言葉や態度が私の心を傷つけたことは確かだ。女性に年齢の話をするなと教わらなかったのか?なので、君には奉仕活動を命じる。罪には罰を与えないとな」

 

とても傷ついているとは思えないほどに威勢よく、むしろ普段より元気じゃねえかってくらいに平塚先生は嬉々としてそう言った。

思わず、そういえば嬉々としてと乳としては語感が似ているなぁ……と現実から目を背けてブラウスを押し上げる先生の胸元に目を向けてしまう。

けしからん……しかし人に罰を与えるのが嬉しいとかどんな性格だよ。

 

「奉仕活動って……何すればいいんですか?」

 

恐る恐る尋ねた。もうね、ドブさらいしろどころか人さらいしろとか言われかねない雰囲気。

 

「ついてきたまえ」

 

こんもりと盛られた灰皿にタバコを押し付けると平塚先生は立ち上がる。説明も前ふりもない急な提案に俺が止まっていると、扉の前で平塚先生がこちらを振り返った。

 

「おい、はやくしろ」

 

キリリとした眉根に睨み付けられて俺は慌てて後を追った。

 

◇◆◇

 




最後まで見てくださってありがとうございます。
本当に導入部分ですが、次も楽しんでいただけると嬉しいですね。


ではまた次回、お会いしましょう。

………別に、感想とか、お気に入りとか評価とかしてくれなくてもいいんだからねっ!

キモいですかそうですか。んっ、まあいいです。では!
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