篠ノ之束になったので配信しながらアベンジする   作:BBBs

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くそっ、コメントが面倒だ


配信者6

 

 パソコンに無線で繋がれたマウスとキーボードを触らずに、モニター群のさらに隣の拡張現実(AR)ディスプレイを見る。

 ディスプレイの中のカーソルは視線に沿って動き回り、いくつかのSNSを開く。

 数日前にした配信の告知がバカみたいな数字を叩き出し、今も回り続けている。

 実はアベンジャーズに所属しているのではないかと、ネット上で噂が流れているやつの配信がもうすぐ始まると騒いでいる。

 私の視聴者たちは久しぶりに「ヒドラから名指しで殺害予告される世紀の大天才」の配信が久しぶりに見れると、謎の3つの数字(スリーサイズ)を並べて待機しているツイートが大量に流れてくる。

 

 それどころか私の中学生時代の写真が大量に流れてくる、盗撮と思われるものを含み10枚ほどで中学時代の誰かが流したか売ったのだろう。

 私は一切許可出していないのに、TVやネットニュースにバンバン掲載されている。

 肖像権はどうなってんだ 肖像権は! 有名税なんてあるわけねーよ。

 個人情報を嬉々として流しまくるアホどもにため息を吐きつつ、マウスを握って配信開始ボタンにカーソルを合わせる。

 

「わーお」

 

 配信枠の視聴者待機数は既に8桁に届いており、この時点で世界記録を達成している。

 この数字は世界に置けるアベンジャーズの関心の高さであり、大勢が情報を欲しがっているのが伺える。

 なにせアベンジャーズ関連の情報発信はされておらず、社長がたまにメディアに露出しても会社や自分の事を喋るだけ。

 そこにアベンジャーズの一員と思わしき人物が生配信すれば、情報に飢えた人々が群がるのは無理もない。

 私がアベンジャーズと関係があると知られてから、私のチャンネルの登録者数と過去のアーカイブが軒並み視聴回数が100倍以上に増えている。

 

 チャンネル登録者数は1000万を超えていて、これからも増え続けるのは想像に容易い。

 過去のアーカイブは最低でも120倍ほどで、1000万回から1億回を超えて見られている。

 恐るべきはアベンジャーズ人気、これで私も世界的著名人だぜ!

 配信終わったら社長に自慢しよう、私の実力じゃないと言われるだろうけど。

 

 コメント欄は動体視力検査と言われかねない速度で流れ、多種多様な言語で書き込まれている。

 その中でとくに多いのはやはり英語だ、アベンジャーズはアメリカで活動しているのだからアメリカ人からの関心が一番多い。

 キャップは世界初のスーパーヒーローで昔からアメリカ中心で人気は有ったし、社長は世界初の超高性能パワードスーツを作ったし、マイティ・ソーは北欧神話や他の神話で最強の雷霆神のオリジンとして見られて人気だ。

 ハルクもそこそこ人気ではあるが、BIG3の3人には届かない。

 残るホークアイとブラック・ウィドウも人気があるかどうかなんて微塵も興味はないだろう。

 まあ、人気であることを気にするのは社長と、多少気にしそうなソーくらいだろう。

 

 予想通りとんでもない数字が出たので配信前にお伺い立てておいて良かった、配信しますけど数千万の同時視聴者数は耐えられますかって。

 大丈夫と返事をもらっていたので、配信開始ボタンを押す。

 配信が正常に行われているのを確認して。

 

 

 

 

 

「ハロハロ〜、世紀の大天才! 束さんだよー」

 

 変に着飾らず、いつも通りに話し出す。

 その瞬間、コメントがおかしな挙動を起こす。

 一瞬止まって、一気にコメントが流れ、また一瞬止まるという挙動を繰り返す。

 サーバーが頑張って処理しているのがわかる、この配信のためにリソースを集中してくれたのだろう。

 

『スーツって本物?』

『技術は公開しないのはなぜですか?』

『未成年には見えない』

『君はトニーにアーマーを作ってもらったんだろう?』

『本当にホワイトナイトを所有しているのか? 見せてほしい』

『キャップは居ないの?』

『とんでもない数字だ』

『どこから配信している?』

『写真よりはきれいだ』

『嘘つき女』

『ハロハロー』

『待たせすぎ』

 

 とりあえず流れるコメントは予想通り、ほぼ質問だらけ。

 

「ハイハイ、皆落ち着きましょうね。 頑張ってコメントしすぎて負荷が掛かり過ぎたら配信止まっちゃうかも」

 

 一応たしなめてみるも、コメント欄の勢いは収まることを知らない。

 

「しかたねぇ、質問に答えないと落ち着かないならちゃんと答えるよ。 じゃあまずは……、私はアベンジャーズのメンバーか? これでしょ? 聞きたかったの」

 

 いちいち言語を切り替えて喋るのは面倒なので、日本語で喋って英語の同時翻訳を載せる。

 

「私、篠ノ之 束は、アベンジャーズのメンバー……」

 

 効果音としてドラムロールを流して5秒ほど焦らし。

 

「……ではありません!」

 

 シンバルの効果音とともに、アベンジャーズのメンバーではないことを告げる。

 そう言えば、数秒後から凄まじい勢いで6桁単位で視聴者数が減っていく。

 

「……せっかちすぎない? あんまり急ぎ過ぎて選別すると欲しい情報得られないよ? まあアベンジャーズのメンバーじゃないけど、社長の助手って形で活動するからアベンジャーズのサポートもするんだけどね」

 

 アベンジャーズの情報、私は得られますよ?

 そうやって告げれば減り続けていた視聴者数が数秒で横ばいに、更に数秒経って減った分以上に増えていく。

 

「アベンジャーズの皆さんと面談みたいなものをしたんですけど、未成年であることを理由にアベンジャーズ入りは無いそうで。 まあ少年兵みたいな感じになっちゃうし、キャップを筆頭に戦えても戦わせないと判断したそうです」

 

 未成年ではあるが、身体能力的には平均的一般男性どころか実践トレーニングを積んで鍛え上げられた軍人でも正面から殴り倒せる。

 能力面ではアベンジャーズとしては文句はない、ケチがつくのは年齢と信頼だ。

 

『アベンジャーズに子供はいらない』

『能力の優劣で決めるべきではない』

『書いてある通りなら相応しいだろうね』

『アジア人ってアベンジャーズに必要?』

『本当に子どもなのだろうか?』

『決めるのは我々じゃない』

『要らないでしょ』

『たった6人に背負わせるのか?』

『アベンジャーズ気取りのリスナー多すぎwww』

『必要ない』

『これで子どもは無理でしょ』

 

 内心ため息を吐く、私についての討論はSNSでいくらでも行われている。

 とくに私がアベンジャーズに必要かどうか、全く関係ない第三者が第三者に向かってやり合っている。

 まさしく暇人なのだろう、アベンジャーズのファンなのは良いがアベンジャーズの人事担当のごとく振る舞っている者すら居る。

 他人と他人が勝手のレスバして、どういう経緯でそうなったのか何故か私のSNSに暴言や誹謗中傷を書き込んでくる馬鹿も居る。

 しかも一人や二人じゃないから、勝手にホットになってる奴らの話題に触れるとアンチコメ祭りになりうる。

 

 実に面倒だが、ここでレスバしている奴らを消してもアベンジャーズファンの数的にいくらでも湧いてくるので居ない者として扱わざるを得ない。

 

「さて、コメントはこんな調子だし、SNSに流れてる疑問に答えるかな」

 

 言語問わずに思われている疑問を幾つかピックアップしておいた。

 

「まずは、スーツを作ったのは誰かってのを行きますか」

 

 シンプルな疑問、子どもがアイアンマンスーツに匹敵するものを作れるか?

 

「スーツの設計図から構成材質の全てを私が考えて作りました、ただ製造設備はスタークさんの使わせてもらいました」

 

『嘘はやめよう』

『お前に作れるわけ無いだろ』

『本当の事を言ったほうが良い』

『証拠は?』

『おこぼれを貰ったんだろう』

『すげぇ体なんだから、トニーもイチコロさ!』

『彼女の頭脳は本物だろう』

『上手く取り入ったんだ、やり方教えて』

『嘘じゃない証明は出来るの?』

 

「否定的なコメントが多いねぇ、まあそれもそうか」

 

 アジアの島国の子どもがトニー・スタークのアイアンマンと同等のスーツを作りました、なんてことを素直に信じる人はかなり少ないだろう。

 

「スタークさんに作ってもらってるって方が説得力があるって? それもそうだね、別にそれでも良いよ。 私がスーツを作っているのか作っていないのか、それを皆が気にした所で何にもならないよ? ただ、ニューヨーク侵攻の時みたいにいざとなれば私はスーツを着て戦う、それだけの話でしょ」

 

 私、あんな超ハイテクスーツなんて作れません、そんな事を言ってもスーツの現物や設計図を欲しがるやつは居なくならない。

 

「例えばさ、今ここで私がスーツを作った事を証明します、なんてやり始めたら配信はすぐに終了して、スタークさんからお前は何をしているんだって怒られるし、もし配信を続けられて設計図を書いて公開なんてしてみたらどうなると思う? 色んな国が作り始めて戦争の道具にするし、製造できる設備を持ってるわるーい秘密結社が量産して邪魔な奴らを攻撃し始めるよ? そうなると一番困るのは無関係の人たちだよ?」

 

 何も悪いことをしていない無関係な人たちが命を落とすかも知れない。

 もしそうなった時に責められるのは証拠を要求した人たちではなく、スーツを作れると証明した私になるだろう。

 

「証明するメリットなんて精々スーツを作れるんだで終わり、デメリットは何の罪のない人が命を落とすかも知れない、それってヒーローがすること? 」

 

 大きな問題が起きることなんて分かりきっているのに、態々することではない。

 

「わかった? わからないならわかる人に聞いてね。 それじゃあ次の疑問、これもスーツ関連の話ね」

 

 これも結構話題に上がっている、私がスーツを作れないことを前提としたもの。

 

「私はトニー・スタークと寝たのか? つまり、性的関係を利用してスーツを作って貰ったんじゃないかってやつね。 結果から言うとそんな関係はありません、スタークさんの信条的にも有り得ません。 かつてアイアンマンスーツを作った天才はこう言いました、『スーツと私は一体だ。 アイアンマンのスーツを渡すことは私自身を渡すことと同じで、それは奴隷労働か売春に等しい』と。 と言うか寝た程度でスーツが貰えるなら、とっくに世界中で劣化品が運用されまくってますよ」

 

 社長からすれば、性的関係を結んだ所で懐柔されないし、脅迫のネタにもならない。

 誘われたから寝た、それだけだ。

 今ではハニートラップを仕掛けられても受けない。

 殺害の可能性があるし、なにより大事な人が居る。

 スーツを作る前からハニートラップが通用しない人間に、大事なものを抱える今の社長に通じる道理はない。

 

「そもそもそんなのに引っかかるなら、スーツを作る前にお金どころか会社が持っていかれるのでは? 元からプレイボーイで有名だったのに、今更ハニートラップに引っかかるとかスーパーヒーローの姿じゃないでしょ」

 

 ハハハハハと笑いながら、あり得ないと一蹴する。

 

『それもそうか』

『何回表紙を飾ったんだ? あのプレイボーイは』

『下半身が強い男だな』

『悪い男だ』

『今はまともかも知れない』

『待って欲しい、彼女の体も凄いぞ』

『ふしだらな男だ』

『いい加減認めよう、男ならこんな生き方をしたいって』

『億万長者だからな』

『人殺しがヒーローだって?』

『股間も金属製らしい』

『持ってない物の方が少ないだろ、トニーは』

『いくらでも女が寄ってくるだろうな』

『結局口だけだろ』

 

 他のアベンジャーズメンバーと違って社長は好き嫌いがはっきり分かれている。

 軍需企業の社長だったことや立ち振舞から嫌いな人からはとことん嫌われる、今社長のことを好きでいる人達も実際に会って自然と馬鹿にされたら嫌われそうな社長。

 それでもロマンを形にした人物であるから、そっち方面にはくっそ刺さって大人気。

 

「まあ私もスーツを作れるので、信じる信じないはご自由に。 私に関しての知りたいことなんて答えた3つくらいじゃない? 視聴者の9割位はアベンジャーズの事を知りたくて配信聞いてんだろうけど」

 

『キャプテンは居ないの?』

『助手ってことはアベンジャーズタワーに居るの?』

『アイアンマンを出してよ』

『ハルクは?』

『ソーは普段何してるの?』

『本当なら誰か呼んできてよ』

『ブラック・ウィドウのあの顔は本物なの?』

『ホークアイは凄腕らしいけどどれくらい?』

『スーツ着れるなら見せてよ』

『キャップの盾持ってきてよ』

『アベンジャーズの裏話聞きたい』

『宇宙人って他にいるの?』

『ホワイトとアイアンマンのどっちが強いの?』

『ソーの雷ってどんくらい強いの?』

 

 私の話題は加速したコメントに一気に流され、ほぼアベンジャーズの質問で埋まる。

 BIG3の質問が多く、とくにキャップの話題が一番多いか。

 

「アベンジャーズのプライベートが気になってる人が多いけど、実のところ社長以外と殆ど喋ったことないんだよね」

 

 映画の内容から大体の性格かわかってはいるが、実際に話したのは面接の時が初めて。

 

「知ってても人のプライベートをべらべら喋るって信用無くすでしょ、有名人だからプライベートを晒してオッケー! なんてのは嫌いなんで、私の口からアベンジャーズメンバーのプライベートの話を一切語ることはありません、あしからず」

 

『知らないだけだろ』

『お前の価値はそれだけしかないのに』

『人気があれば知りたくなる者もいっぱいいる』

『簡単に喋ってたら追い出されるだろうな』

『役立たず』

『ヒーローにだってプライベートはある』

『時間を無駄にした』

『少し位いいじゃん、ケチだなこいつ』

『彼らは大きな力を持っている、だから我々には彼らを知る権利がある』

『怖すぎだろコメント欄www』

 

 視聴者数がどんどん減っていく、熱烈なファンなのはいいが道徳心ぐらい持っててほしいものだ。

 

「次は何にしようかなぁ」

 

 そう言いながらカメラを動かす、窓を映すように動かしてどこから配信しているかを見せる。

 

「ちなみに今いる場所はアベンジャーズタワー」

 

 カメラの視界を下に動かし、マンハッタンの街並みを映す。

 

「今望遠鏡とかでアベンジャーズタワーの上の方を見れば、私が映っているかもね」

 

 見ている人が居るかわからないが、一応窓の下に向けて手を振ってパソコンの前に戻る。

 

「そいじゃ、次の話題行ってみよっか」

 

 カメラに映るよう、左手を上げる。

 視聴者はその行為に何の意味があるかわからないだろう、何してんだこいつみたいなコメントが流れ始めたところでガチンと金属音が鳴る。

 分離飛行で飛んできた白騎士の開いたパーツが左腕に吸い付いてくるように覆い、装甲が展開してカチカチカチと音を立てて左腕を装甲化。

 

「……どうよ? 左腕だけなんだけど、スーツのパーツ」

 

 視聴者にわかるように、左腕を胸の前に置いてポーズを取る。

 

『は?』

『うおおおおおお!!』

『いきなり飛んできたぞ!!』

『凄いな、でも国が管理すべきじゃないのこれ』

『カッコイイ!!』

『それを着る資格はお前にない』

『一部分だけでも飛ばせるのか』

『全部装着して見せてくれ!』

『スタークの技術はここまで来たのか!』

『いつからSFの世界になったんだ?』

 

 驚きを表すコメントで溢れかえっている、ゴツいパワードスーツはロマンだが等身大のスーツもロマンである。

 今左腕に付いているパーツは新たに制作した白騎士三式のパーツ、未調整のアイアンマンMark.42とは違って調整してあるので装着した際の衝撃はほぼ無い。

 

「悪いことするとこいつでぶん殴っちゃうぞ~! 本当に悪いことしないでね~」

 

 握った左拳を見せつけた後、左手を最初と同じ様に上げると装甲が開いて左腕から離れて飛んでいく。

 カメラの画角外に待機していた白騎士の左腕の位置に収まって、J.A.R.V.I.S.が操作して床から数センチ浮かんだまま部屋を出ていく。

 

「それじゃ次は答えられる質問に答えるかな」

 

 この配信で送信されたコメント欄をスクロールして適当に選ぶ。

 

「え~、『ホワイトとアイアンマンのどっちが強いの?』って質問。 この答えはスタークさんも私も、自分のスーツの方が強いって思ってるよ。 自分の技術には自信持っているからね、お互い勝てる算段があるって話」

 

 スーツの強化合戦、技術競争は戦闘能力の強化を促す。

 アイアンマンはカル・オブシディアンを一対一で倒せるぐらいにはならないと、吹っ飛ばせるが伸縮アームで拘束されたし圧倒しろとは言わないが危なげなく勝ってほしい。

 

「次は~、『束さんとキャップの組手や模擬戦。 リアルに戦ったらどっちが勝つ?』。 組手だとキャップの勝ちだねぇ、単純に経験が違いすぎる。 私がキャップに勝つには私が経験を積まないと無理だね、今やっても普通に負けるかな」

 

 スーツありなら勝率は高いだろうが、スーツなしだと今は無理そう。

 経験を積んだプロの格闘家とかなら身体能力で圧倒できるが、同じような超人かつ幾つもの格闘技に精通して経験をガッツリ積んでるキャップに勝つのはクソむずい。

 キャップが暇な時、訓練付けてもらうのもありかな。

 

『キャップに勝てるわけねぇだろ』

『調子乗りすぎ』

『あー、次の目標はキャップなんだ?』

『超人の可能性があるって書いてあるけど、本当?』

『実戦を乗り越えてきたヒーローに簡単に勝てるなら、キャップはとっくに居なくなっていただろう』

『覚えたての格闘技じゃどうにもならないだろう』

『プレイボーイだから通じたんだろう』

『何とか追い出さないと』

『超人のキャプテンに勝てる可能性があるだけでもヤバいぞ』

『比べるような質問は答えないほうが……』

 

「次~、『たばねんのスリーサイズと身長と体重教えて、ダメならソーとハルクの体重身長体脂肪率でいいよ、それもダメならトニーのカード番号で』。 私の昔の身体データならS.H.I.E.L.D.の公開された情報に載ってるからそれ見なよ、今のは教えない。 ソーとハルクの情報も知らない、予想だけど身長ならソーは190超えで、ハルクは250位はあるんじゃない? 他は知らないよ。 スタークさんのカード番号? もし教えても使えないでしょ、十中八九良い所のカード会社だから勝手に使ってもスタークさんに連絡が行って決済拒否されるだけよ」

 

 スリーサイズは下心丸見えで、ソーとハルクのはよくわからない、下心か?

 社長のカードは教えたとしても勝手に使えない、J.A.R.V.I.S.が管理してるだろう。

 

「他には~、なんか巨大ロボットを欲しがってる人居るね。 ガンダムサイズも行けるだろうけど、整備が地獄になるだろうなぁ。 あとデカすぎて使い所がない、でかいと当てやすくなるから多分戦車や戦闘機にボコられる。 現実は非情だよ、アニメじゃない! からねぇ」

 

 実際にガンダムサイズの巨大ロボットを作れるし、最近の話で言えば去年公開された映画のパシフィック・リムに登場する巨大ロボット、80m前後のイェーガーも作れる。

 こういう巨大ロボットで現実的な問題として挙がるのは重量、2乗3乗の法則というものがあり大きくなればなるほど自重を支えきれなくなるという問題だ。

 だがそれを解決する技術を持っているので、ガンダムもイェーガーも作れる。

 でも作ったところであんまり意味がない、特撮で出てくる巨大怪獣とか居るなら作っても良いかも知れないけど、この世界なら巨大ロボットに使う材料で量産型アイアンマンや白騎士を何着も作ったほうが良い。

 

「なので、作れても作らないってのが回答、笑えないほど建造費も掛かるだろうしね。 あっ、巨大ロボット物と言えば去年公開されたパシフィック・リム、個人的に面白かったから巨大ロボット物に興味あるなら一見の価値あり!」

 

 アメリカではそこそこの評価だったが、ガンダムを筆頭としたロボットアニメがある日本のほうがぶっ刺さってるようだ。

 もし私がパシフィック・リムの世界に居たら、イェーガーに手を加えまくってるだろうなぁ。

 操縦方法は一人乗りにして人を選びまくるドリフトは使わせないし、動力源は放射能とか心配いらない便利な大型アーク・リアクターを載せるだろう。

 何らかの武器を持たせるだろうが、手のひらや胸にリパルサーを付けて、全周囲をAIに監視させて……ただのでかいアイアンマンだこれ!

 アーク・リアクターやらリパルサーやら、便利すぎんでしょアイアンマン。

 

「次は~、『アイアンマンにしてもホワイトにしても、性能と価格下げたら体が不自由な人の生活補助用品として普及しそうだよね』。 私もねぇ、そうなって不自由さに苦しんでる人を助けられると思ってるんだけど、絶対に兵器利用する組織や国が出てくるからスーツの販売とか出来ないんだよねぇ。 だからスタークさんや私にあれこれ言ってもどうにもなんないんだよね、期待している人が居るかも知れないけどごめんねぇ」

 

 スーツ技術は残念ながら軍事転用されまくるぐらいに有益な技術だから、パワードスーツを作らなくても何らかの兵器に技術転用から高性能化で頭がおかしい奴が悪用し始めそうだから売り出せない。

 もし出せるなら墜落で下半身不随になったローズさんが付けていた歩行補助器具の簡略版ぐらいか。

 あとどっかの組織のトップになると、碌な捜査をせずにヒーロー側を殴ってくるの何とかならねぇかなぁ。

 ヒーロー側に危機感持つのは理解できるが、民間の思い込みの発表を鵜呑みにして尋問や襲ってくるとかお前行政機関の資格無いから船から降りろ、国民の税金で自我出すな。

 ヴィランだけでも面倒くさいのに、一応味方の組織まで監視しないといけないとか私を過労死させたいようだ。

 

「次は~、……スタスタークはやめなさい、面白いと思うけど日本人しかわかんないでしょこれ。 他は、『社長と普段何話しているの?』。 殆ど技術の話しかしてないね、新しいコンセプトの技術でああだこうだ言い合ってる。 世間話とかはあんまりしないね、プライベートに踏み込むのは違うし」

 

 社長と世間話は殆どしたことがない、新技術のあれこれはよく話していたがプライベートに口出しはちょっとぐらいしかしてない。

 その内容はしっかり寝ろ、しっかり休め、アメリカの治安悪すぎ、そのくらい。

 社長もプライベートのことなんて切り出さないし、J.A.R.V.I.S.も教えてくれるわけもない。

 J.A.R.V.I.S.と話しても、ちゃんと社長は休んでる? そんだけ。

 ……J.A.R.V.I.S.と言えばちーちゃんと対話させるのも興味深いな、お互いにAIだし音声言語じゃなくても情報のやり取りできるけど、敢えて音声言語でのやり取りさせてみても良いかも知れない。

 いつか社長にやってみていいか聞いてみるか。

 

「……まあ質問回答はこんなもんか、まだあるだろうけど流れすぎて見つけられそうにないや」

 

 コメント欄をざっと見て、めちゃくちゃ細くなったスクロールバーを見てホイールを回すのを諦める。

 ちらりと現在の視聴者数を見ると1億を超えている、ピークからそこそこ減っているがまだこれだけの人たちが見ている。

 

「おー、まだまだ一杯見てくれてんねー。 じゃあここで、お知らせを一つ」

 

 そう言って画面を切り替えて、ゲームのティザームービーを流す。

 最初は線の細い男が不格好な野戦服を着て運動場を走る後ろ姿と、薄暗い洞窟で汗を流しながらハンマーを振り下ろす男の後ろ姿と、飛来するハンマーを掴み取って雷を全身から迸らせる男の後ろ姿が順番に切り替わる。

 キャプテン・アメリカとアイアンマンとマイティ・ソーのストーリーをバラバラに繋ぎ合わせた映像を音楽で盛り上げていく。

 最後にはスタークタワーとその上空に空いたワームホールを中心に捉え、アベンジャーズの六人がスタークタワーに向かっていく後ろ姿で映像が終了する。

 勿論ゲームは全く出来ていないので、サクッと3Dのキャラクターモデルを作ってストーリーの一場面を切り取ったような映像と音楽をくっつけてそれっぽく作ったティザームービー。

 数日で作った物ではあるが中々盛り上がる感じで、それぞれのファンなら興奮できそうだし考察も捗りそうな映像。

 

「……はい、今ご覧いただいた映像は今年度中に発売するアベンジャーズ公式のアクションゲームです。 このゲームはアベンジャーズの監修が入っており、可能な限り史実をなぞる物となっているため公開しても問題ない未公開の情報が含まれてます。 ファンなら垂涎の品だろうねぇ、結構情報が出回っているキャプテン・アメリカがWW1で実際は何をしていたのか、アイアンマンがどうやって生まれたのか、マイティ・ソーの故郷であるアスガルドの映像化とか」

 

『これマジ? 公式でゲーム出すとか予測できなかった』

『ゲームなんか作ってないで悪い奴らぶっ飛ばせよ』

『天才がロマンを作り上げるシーンとか期待しか出来ないだろ!』

『嘘だろ!?』

『アスガルド!? 本当にあるのか!!』

『キャップ! 英雄の誕生が見られるのか!』

『逆に公開できないヤバいこともあるってことか?』

『ワクワクしてきたな』

『何で急にゲーム?』

『見た限り、アベンジャーズ全員出るのか?』

 

「映像には載せていませんでしたが、このゲームはチャリティーであり売上金は全て災害支援等に寄付させていただきます。 つまりこのゲームを買っていただいた方々は、ゲームを遊べる上に寄付出来て困っている人に手助けできるものとなっております。 寄付できるのはいいけどゲームがつまんなかった、なんてならないよう最高級の品質でお届けできるよう製作させていただきます。 また、気になるけどゲームは苦手という方のために、シアターモードも搭載しますので映画感覚でストーリーを楽しむことが出来ます」

 

 色々載せるこのゲームの製作は提案者として関わるが、クリエイター集めなどは全部社長が主導する。

 製作費用も全部社長持ちで、利益なども全部社長が扱うので私には1円足りとも入らないし動かせない。

 私はどの制作箇所でも口出しできるが、変な思想があると判断されたらJ.A.R.V.I.S.から拒否される。

 等々、一部制限がある。

 

 アベンジャーズの面々に提示したチャリティゲームはある程度の承諾を得た。

 ストーリーラインは4つ、キャプテン・アメリカ編、アイアンマン編、マイティ・ソー編、そしてその3つの内のどれかをクリアしたら解放されるアベンジャーズ編の4つ。

 残る他の3人はストーリー化を拒否、可能な限り実際に起きたことをゲーム化するので問題になる情報がある3人はしょうがない。

 ハルクのストーリーはロス将軍が情報隠蔽とかやっちゃってるから、全力で潰しに来ることが予測できるので無し。

 ブラック・ウィドウも碌でもない情報が出てくるので無し、一番情報が少なそうなホークアイはステルスアクション的な要素を期待できたが本人が嫌がったので無し。

 なのでハルク、ブラック・ウィドウ、ホークアイはストーリー無しのプレイアブルキャラクターになる。

 

 ジャンルは当然アクション、アベンジャーズでアドベンチャーとかやってどうすんのよって話。

 操作性が良い軽快なアクションで敵をなぎ倒し、事件の黒幕を追いかけてぶっ飛ばす形式。

 現実にあった内容をアクションゲームに落とし込む、ただやばい情報は置き換えるので実際の出来事に基づいたフィクションになる。

 他にもシアターモードも付け加える、これはゲーム中のムービーシーンを再生するためのものではなく、ゲームデータで作る3DCG映画を見るためのモード。

 つまり話は気になるがゲームが苦手な人に向けたモード、このためにゲーム制作なのにそれぞれのストーリーに最適だと思われる映画監督にオファーを出した。

 

 基本的にアクションシーンが出来て、キャプテン・アメリカ編ならWW1時代に強くて。

 アイアンマン編は現代的SFを、マイティ・ソー編はファンタジーを、それぞれに強みがある映画監督に声を掛けた。

 まあ当然、史実をベースにするので勝手にアレンジしまくる監督は事前に弾くし、契約書にもしっかり記載しているので勝手に変えるとどでかい違約金が監督にのしかかることになる。

 ゲームスタジオが有って映画スタジオが併設される、中々奇妙なスタジオである。

 ちなみにプログラマーやら3Dモデラーなどは殆ど居ない、なぜかと言えばJ.A.R.V.I.S.やちーちゃんが居るのでデザイン画があれば制作に数カ月掛かる3Dオブジェクトなどが数秒で出来上がるので居る意味がない。

 

 ゲームに関わらず制作費用の中で大きな割合を占めるのは大体人件費だ、社長がバックに居るので1億ドル位は使えるが無駄遣いする気はない。

 史実をなぞるのでシナリオはすでに出来上がっているし、コンセプトアートとかも少し上がってきている。

 省ける所は省くが、力を入れる所は入れる。

 年内発売を目標としているので、既存のゲーム開発速度に慣れている人は慌てふためくだろう。

 

「まあなんでアベンジャーズがゲーム出すんだよって思ってる人は結構いるけど、これってアベンジャーズの知名度活用って話なんだよね。 知っての通り超人やらパワードスーツやらエージェントやらで、アベンジャーズは戦うことしか出来ないって思ってる人は結構いるけど、こうやって沢山の人がアベンジャーズを知っているって事で、これまでのアベンジャーズの戦いの軌跡をゲームだったり映画だったりに落とし込んでエンターテイメントにすれば経済活動につなげることが出来る。 アベンジャーズのことを知りたいから皆がゲームを買ってくれれば、そのお金で苦しんでいる人を助けることが出来る。 何ならゲームを出さないことだって出来るよ、これまでの活動を秘密にして戦いだけに従事する。 でもそれじゃあ助けられる人はその時の戦いの被害者だけで、こうやって過去の活動を何らかのエンターテイメントに落とし込んでお金を得られれば、そのお金で戦いとは関係ない人も助けられるって。 秘密にして助けられる人を減らすのか、それともこれまでの活動をお金に変えて助けた人を増やすのか。 だからアベンジャーズは戦いとは関係ない人を助けるための選択をしたって話」

 

 好感度獲得の活動ではあるが、アベンジャーズの活動をゲームにして売り出してお金を得られれば災害支援などの寄付で困っている人を助けることが出来る。

 言い方は悪いがアベンジャーズの世界的知名度はお金になる、だったらその世界的知名度をお金に変えて苦しんでいる人を助けようと言う行い。

 中には偽善だと罵るアホもいるだろうが、じゃあお前が語る善はアベンジャーズの偽善よりも困っている人を助けられるのかって話にもなる。

 

「ゲームの情報は出来上がってきたらちょくちょく配信で出すから、気になる人はアンテナを張っといてねー。 結構時間が経ったし、今回はここまでにしとくか。 そいじゃあまたねー」

 

 配信を見ている1億人以上の視聴者に向かって、手を振って配信を終わらせた。

 




質問ネタを書いていただいた方々、ありがとうございました。
採用しなかった分も以降の配信回で採用するかも知れません。
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仲間の敵は、私の敵。▼単独BLACK★ROCKSHOOTER編終了▼AVENGERS編終了▼フェーズ2編終了▼フェーズ3に入ります▼BLACK★ROCKSHOOTER:INSANE編終了▼AVENGERS: INFINITY WAR編終了▼AVENGERS: ENDGAME編終了▼本編完結▼おまけ編、ファーフロムホーム終了▼フェーズ3終了▼不定期になります▼…


総合評価:6829/評価:9.02/完結:98話/更新日時:2026年08月28日(金) 21:00 小説情報

サムライミ版のピーターに憑依した男っ!!(作者:紅乃 晴@小説アカ)(原作:スパイダーマン)

目が覚めたらサム・ライミ版のスパイダーマンこと、ピーター・パーカーになってました。


総合評価:20737/評価:8.92/完結:31話/更新日時:2026年08月21日(金) 07:58 小説情報

私、スパイダーマンになりました。(作者:毛糸くん345)(原作:スパイダーマン)

 普通の女子高生、飛騨 遥の毎日は放課後に一匹の蜘蛛に噛まれたことで一変した。▼ 怪力。驚異的な身体能力。壁に張り付く力。そして、手首から放たれる蜘蛛の糸―。▼「……本当にスパイダーマンになっちゃった」▼ 最初は戸惑いながらも映画や漫画のスパイダーマンを参考に能力を試し、やがて街を糸で飛び回り、事故や災害の現場で人々を救うようになる。▼ 正体不明の少女ヒーロ…


総合評価:2346/評価:8.88/連載:18話/更新日時:2026年10月14日(水) 00:03 小説情報

スパイディのことが大大大好きなマッドサイエンティスト幼女(作者:サイリウム)(原作:MARVEL)

スパイダーマン。カッコよくて可愛くて素敵だなぁ……、せや!


総合評価:5478/評価:8.78/完結:14話/更新日時:2026年10月13日(火) 13:00 小説情報


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