0079年9月19日
昨日は泣きじゃくるアムロと久しぶりに一緒に寝た。
アムロと寝たのはいつぶりだろうか。今日はこうして落ち着いてはいるが、昨日のアムロは本当に怯えながら俺の腕の中で寝ていた。
いつもなら泣いているアムロも可愛いとちゃかすところだがそうはできなかった。それは俺も似たようなもので、兎に角疲れていた。疲れを癒すのにアムロの温もりと匂いは俺を自然と元気にしてくれる。
しかし、改めてアムロを泣かしたあのシャアという赤い彗星と呼ばれている男は、許せない。理由はわからないが、そのシャアという男は絶対に殺さなければいけない気がするのだ。
きっと実際に対面したらアムロにちょっかいを出すに決まっている。なにせアムロは可愛いから。
それと本日付けで俺達は地球連邦軍に入隊することになってしまった。
嫌なことになってしまったが、これはブライトや艦長さんができる範囲での救済措置なのかもしれない。
特に俺とアムロに拒否権などはなかった。
当然だ。ただ目撃してしまったのであれば他の民間人と同じようにどうとでもなるが、俺達はガンダムをガンキャノンを動かしてあまつさえザクを撃破してしまったのだから。
さて。ここで一つ問題となったのはアムロの制服に関してだ。
女性はタイトスカートにピンクの制服なのだがこれをアムロに着せるのを俺が断固として許さなかった。なんとか男性と同じズボンにすることに成功した。やったぜ。
だって、俺以外の男に見られたくないんだもん。
あとパイロットスーツは白で普通なのだがアムロの体のラインが出てしまい非常によくない。だが、着なければいけないというのは理解しているのでここは我慢することにする。
だけどリュウさんがアムロを見た時の目は忘れていない。なので戦場では背中に気を付けておくことをお勧めする。
追記。
アムロとリュウさんで補給中のシャアの艦隊を叩くために出撃した(ガンキャノンは足が遅いので撤参加せず撤退する際の援護役になった)。
その際アムロ曰く、「リュウさんはボクにいい所を見せようとしていて危うい行動をした」と言っていた。
これだから男ってやつは困る。
ま、これもアムロが可愛いからしょうがないのだ。
0079年9月20日
ホワイトベースは地球連邦軍の拠点であるルナツーへと寄航した。
だが、ルナツー司令ワッケイン少佐によるホワイトベース及び搭載モビルスーツは軍に没収、封印されてしまう羽目になった。
控えめに言って意味がわからなくて、重症であった艦長をいいことにワッケインの言いなりになってしまった……のはアムロ達だけで、俺は嫌な予感がしたので隠れていたのだ。
そして俺は見てしまった。司令の部下がアムロにいやらしい目を向けていたのを。
なので隠れて処分した(ちゃんと生きてる)。
処分した士官の制服を奪って閉じ込められたアムロ達を探していると、先日感じたあの気持ち悪い感覚が俺を襲った。
つまりそれは赤い彗星であるあの男が来たのだ。
ただ皮肉なことにシャアが仕掛けた騒動のどさくさに紛れてアムロ達を救出し、結果ホワイトベース及びガンダムらは無事ルナツーを出港できた。
あとルナツーのデータベースに忍び込んだ際に見たあのデータはなんだろうか。恐らく連邦のモビルスーツなのは間違いない。
ルナツー内には大型の兵器工場もある。つまりはそういうことなのだろうか。
0079年9月24日
昨日生まれた初めての大気圏内ので戦闘を行った。時間にして僅か2分。その間アムロがシャアの部隊を抑えて俺がホワイトベースで援護射撃を行っていた。
つくづくシャアという男はしつこすぎる。
特にガンダムを狙っているのはジオンからすれば当然なのだろうが、将来はガンダムというよりもアムロが狙われてしまうような予感がする。
やはり早急にシャアを始末しなければならない。
だがまあ……こんな形であるが初めて俺やフラウは地球に降りた。これが重力。コロニーとは違ってこう重さを感じる。
重さといえばただでさえ重いガンキャノンが余計に重く感じる。ビームライフルがあるとはいってもガンダムのように格闘武器がないので格闘戦ができない。拳を使おうにも補給の目途が立っていないこの状況ではナンセンスだ。
とりあえず敵のザクが来たらあの斧を奪ってやることにしよう。
0079年10月某日
どどど、どうしよう。最近の俺はちょっとおかしい。いや、これも全部セイラの所為なのはわかっている。
なんで「さん」付けじゃないのかは単に本人からそう呼んでくれと言われたからだが、だからといってそれだけで彼女を意識しはじめたわけじゃない。
まあ経緯としては、まだ宇宙にいる時に彼女と出会った際にアムロについて頼みごとをしようと話しかけた時だ。
「あ、セイラさん。ちょっといいですか」
「あらクロス。ええよくてよ」
「実はセイラさんがオペレーターをすることになったでしょ? それでなんていうかその……アムロのことを頼もうと思って」
「アムロを? でもそれは……」
「ええわかってます。だけど、俺もモビルスーツで出るから常にアムロを見ているわけにはいかないんです。オペレーターであるセイラさんならアムロとよく話すし、それにアムロはあなたみたいな美女に弱いですから」
「そうね。いくらガンダムを動かせてもアムロも女の子ですもの。その辛さと恐怖を和らげてあげたいとは思っているわ」
「お願いします」
「それとクロス。私のことはセイラでいいわ」
「い、いえ。セイラさんの方が年上ですし、そこは……」
「それと敬語もいらないわ。あなたにそんな話し方をされるのは気味が悪いもの」
と、このような感じで彼女に好意を抱くというのは変なのだが、セイラはなんていうか他の女性とは違うような気がするのだ。
身近な女といえばフラウであるものの彼女と比較するのはとても失礼にあたる。
なんていうか……気品がある。本当に庶民生まれの割には育ちがしっかりしているし、とても惹き付けられる。
カリスマがある、ということなのだろう。
実際アムロが惹かれるのもわかる。
「セイラさんってとても素敵な人だとボクは思うんだよ、クロス」とか「聞いてよクロス! 出撃する前にがんばってアムロって言ってくれたんだ!」とかすごく嬉しそうに話すのだ。
正直に言えばセイラのような美人は要注意人物なのである。もちろんアムロがそっちの方に目覚めないためにするため、つまりは教育なのだ。
そのはずだったのに、どういう訳か俺はセイラが……気になっている。
追記。
俺がセイラの方に目を向けているとアムロが足を踏んでくるようになった。頬を膨らませているその顔は可愛いが一体なぜだろうか。
0079年10月某日
最近の俺の行動は単調だ。ガンキャノンやガンダムの整備を手伝って、暇があればブリッジにいってブライトとよく話をしている。
ブライトは正直よくやってくれている。生き残った軍人の中で一番階級が高いというのもあるが、負傷したリード中尉はあまり指揮官に向いていない。いや、戦艦の艦長を務めるには役不足と言ったところだろうか。
年はほんの少ししか離れていないがまるで友のような感覚でよく彼と話をしている。ブライトも俺によく相談してくるし、俺も彼を補佐すべく意見を出している。
一言で言えばやりやすい。
俺にとってアムロの近くに男というのは敵といっても過言ではないのだがブライトは別だ。それを抜きにしても俺はブライトを信頼している。
これもはじめてシャアと戦ったときに俺を止めてくれたからだろうか。いつだって俺を止めてくれるのは誰もいない。
そんな俺を止めてくれたブライトだからこそ心を開いているのかもしれない。