昨晩の光景が頭にこびりついたまま、次の朝を迎えた。
「うわぁお兄ちゃんいつにもましてひどい顔だよ」
「ひどい顔はデフォルトなのかよ」
「そーだよ。昨日だってせっかくのクリスマスなのにご飯食べてないし……何かあったの?」
言われて気づく。昨日のことが衝撃的すぎて飯を食っていなかったのだ。しかし小町に正直に話したところで病院に進められるのは目に見えていた。
「何もねえよ。ただクリスマスの存在意義についてだな……」
「あーもう分かった。ご飯食べよ」
そう言って小町は小言を繰り返す親戚の叔父のような扱いをして支度を始めた。
あの少女に共感できる部分はあった。確かにやれクリスマスだのハロウィンだのと騒ぐのはあまり理解できなかった。しかし彼女の掲げる「全人類非リア充計画」には賛同できなかった。だいたい何だよ心のATフィールドなくなったのかしらん? 加えて彼女は人類は、そして恋愛は宇宙人の仕業によるものだと言い出した。いくら関さんでもそこまでぶっ飛んでないよ。そもそも同じ高校にあんなやつがいるわけがない。つまりあれは人工知能が生み出した夢ってことなんだよね! つまり逃げられないってこと。
俺の心の関さんが陰謀論を唱えていると
「小町もう行ってくるね」
「おう」
いつの間にやら身支度を終えた小町が家を出た。
「俺も行きますかね」
今日が今年最後の登校だ。いつもより早めに行っても罰は当たらんだろう。俺は制服に着替えた。
そう思っていた時期が僕にもありました。
最初はこんな時間に選挙演説かと思ったが昨日見た少女が校門の上に立っていた。同じく手ぬぐいを巻き、頭にはヘルメット。そしてその手に握られたメガホンから獰猛な声が飛び出す。
「おい、そこの! 『昨日は楽しかったね』『冬休みはずっと二人で朝から晩まで部屋にこもっていようね♡』とか言って手繋いでいるそこのツガイ! 爆発しろ!」
特に会話もなかった手を繋いだカップルに向け彼女は被害妄想的罵声を浴びせる。二人は驚きつつもひそひそ、クスクスと話しながら校門を抜けた。
彼女の奇抜な行動に目が留まった人は俺以外にもいたのか。十数人の生徒が校門に詰め寄っていた。随分前からしていたようで彼女の熱も周りに伝播していく。やがて野次が飛び始め、昨日と同じく「リア充爆発しろ」という合唱が一つの声としてまとまりつつあった。
「おい、これやばいんじゃないのか」
昨日と違いここは学校の目の前だ。警察でもきたら……と考えていると校門の向こうから一つの集団がやって来た。
彼らは一糸乱れず彼女を囲い込んだ。やがてその中から腕に「生徒会」の腕章を付けた女が前に踏み出した。
「負け犬の恋愛否定論者さん? 今すぐその被害妄想の演説を止めて下さるかしら」
その生徒会のリーダー格の言葉を聞くや、彼女は
「リア充の手先、大性欲賛会の傀儡たる生徒会長・
大音声でそう叫ぶと、手に持っていた大量の紙束を上空に投げ上げた。それを隠れ蓑にいつの間にか姿を消していた。忍者みたいな女だ。
「学生生徒の皆さん、ビラを拾ってはなりません! 私たちの健やかで充実した高校生活を阻害しようとする悪逆に、そそのかされぬよう充分お気をつけ下さい!」
宮前が叫ぶと周りにいたメンバーがビラの回収を始めた。
俺は巻き込まれないように後ろ手でビラを掴みそれをズボンのポケットにねじ込んだ。
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あとがきです。
最近寒くなって冬の残り香を感じますね。さて皆さんは『いでおろーぐ!』を読んだことは有るでしょうか? 私にとっては俺ガイルと並ぶ二大巨頭です。
登校頻度はちょくちょくUAを見ながらモチベーションを上げています。今回1000を超えていたので500毎に投稿しようかなと考えています。なんていいながら結局は気が向いた時にかくんだろうなぁ。
さてまた今度お会いしましょう