偽盲目少女の修羅国生活   作:リーシェン

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本来は次話を後半として一緒に投稿する予定でしたが、このままだとまた長く期間が空いてしまいそうなので、ひとまずここまでで投稿させてもらいます



27・激励

□将都冒険者ギルド 【大迎撃者】水無月 火篝

 

「……さて、こんなところかの。では、嬢ちゃんにはこいつを。できる限り頭に叩き込んでおいてくれ」

 

 俺の意見も取り入れられながらの作戦の調整が終わる。

 渡されたのは、調整後の作戦計画書だ。

 説明はされたけど、あれを全部明日まで覚えていられる自信は到底ないからありがたい。

 

「藍さん、告知の方はどうなった?」

「問題なく終わりました。選抜者の内、3人はロビーで公表を待っていたので、裏に案内してます。あとの2人も、いずれギルドに訪れるかと」

「よし。本当は作戦の説明だけの予定だったが……火篝の嬢ちゃんのように、持ち主しか知らぬより良い方法があるやもしれん。そこも確認せんとな」

 

 よっこらせ、と鏡石さんが腰を上げる。

 しかしそうか。ギルドのロビーがあれだけ混雑してたのは、選抜結果の公表を待つ〈マスター〉たちがいたからもあるのか。

 

「さて、ワシは失礼する。火篝の嬢ちゃんは、作戦に向けての準備を頼むぞ。

 ……おっと、伝え忘れるとこだった。作戦の開始時間は明日の午前8時。少し前には北門まで集まってくれ。今後作戦に変更があれば、そこで伝えよう」

 

 今が正午過ぎだから、開始はだいたい20時間後。現実時間に直すと約6時間ちょっとか。

 幸いなことに戦闘の準備はほとんど終わっている。別の街へ渡る目的で揃えたものだから調整は必要だろうけど、それもそこまでの手間じゃない。

 一旦ログアウトして夕食やら風呂やらを済まして来ても、時間に余裕はありそうだ。

 

「ではまた明日にな!」

 

 手を振りながら颯爽と出ていく姿を見送って、少し首をかしげる。

 

「……鏡石さんから出向いていくんですね?」

 

 てっきり、俺がされたようにここに呼び出すものかと。

 

「自分で動かぬのは性に合わない、とのことでね。それ以外のことも、ほとんど全部ご自身でやられていて……各方面への調整とかもそうだし、報酬もほとんどはポケットマネーからなのよ?確かに主導しているのは鏡石さんだけれど、ギルドも協力しているのだから、もう少し任せて欲しいのだけれどね……」

「仕方ないですよ。あれだけの武勲をあげながらも、自分が好きに動けなくなるから、なんて理由でどこの大名家からの勧誘も断っているような人ですから。最初は火篝に対しても受付で張り込んで、自分から声をかけようとしていましたし」

 

 人に任せず自分で動こうとする、というのは付き合いの短い俺から見ても鏡石さんらしさがある、納得の理由だ。

 まあ、そのせいで周りの人間はだいぶ苦労しているようだが。いくら本人が一介の傭兵を名乗っていても、その影響力は計り知れないから当然とも言えよう。

 

 

 っと、俺もそろそろ行かなきゃか。

 

「それでは私も失礼します」

「急に呼び出してごめんなさいね。私はここから応援するくらいしかできないけど……頑張ってね」

「私からも。〈マスター〉である君にこういうのも変かもしれないが――どうか武運を」

「……っ、はい!ありがとうございます!」

 

 応援というのはすごい。

 なにせこんなたった一言二言をかけるだけで、これだけのやる気を湧かせられるのだから。

 よっし!それじゃあ、気合入れてくか!




これまで人から真摯に応援されるような経験がなかったので
それだけでとても嬉しくなっちゃうチョロイン葉月くん
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