そこで出会ったのは、大量の書物を内包した大図書館。
そして、そこに住まう魔法使いであった。
第12話 魔理沙VSパチュリー
それでは、どうぞ!!
一方の魔理沙はというと、氷精との戯れの後に正面で闘っていた霊夢と門番らしき奴を囮にして、紅魔館の裏手から不法侵入を容易く成功させていた。
「首尾は上乗。潜入もうまくいった──んだけどなあ…」
魔理沙は館内の一階の廊下を歩きながら、辺りを観察していた。
「吸血鬼の館っていうぐらいだからどんな化け物が出てくるかと思ったら、随分拍子抜けだな…。さっきから使用人が一人も見当たらないのはどういう訳だ?」
普通ならそろそろ見つかっても可笑しくないはずなのだが、もぬけの殻と言っていいくらい館内は静まり返っていた。聞こえるのは魔理沙が廊下を歩く靴音だけで、窓もドアも全て閉め切られており、不気味なことこの上ない。
「まあいいや。宝があれば戴くし、妖怪が向かってきたら退治するだけだぜ…」
魔理沙は妙な緊張感に汗を一つ垂らす。無意識に左手に持つ箒を握る手が強くなり、スカートのポケットから八卦炉を取り出し警戒心を高める。
「ここは地下もあるのか…」
しばらく探索すると館の端に地下に降りる階段を見つけた。
灯りは暗く、陽の光も入らない為に、漆黒の闇がまるで何もかも飲み込まんばかりに開かれた化け物の口のように広がっている。
「…なんか、お化け屋敷って風情だな…」
意を決して暗闇の階段を降りていくが、一向に下に着く気配がなかった。
ようやく長い階段を降り切ると、巨大な本棚が無数に並ぶ図書館───それも並では無い、特大規模の図書館らしき場所へと辿り着いた。
「すっげぇ……」
圧巻の一言だった。
背丈の三倍はある巨大な本棚が背中合わせに幾つも横並びに立っており、さらに上の階も負けず劣らない数の本が並べられていた。
「……どう見ても首謀者が待ち構えてるっていう風情じゃないが、これはこれでありだな☆」
無数にある本棚の中身はどうやら魔道書らしい。蒐集家である魔理沙の知的好奇心を刺激するには十分な光景だった。
魔理沙は近くの書棚に納められていた数冊を抜き取る。ぱらぱらと捲り、中身をざっと確認した。そして満足げに笑い、拳を握り締めてあることを決意する。
「よし!後でさっくり貰っていこう!」
「勝手に入って来て、その上本まで盗んで行こうなんてとんでもない輩ね」
「───ぅおっと!?」
不意を突かれ、魔理沙は咄嗟にミニ八卦炉を声のした方向へ向けた。
少女が一人───。
大図書館の中心でフワフワと浮いている病弱そうな少女。
魔理沙は咄嗟に少女が魔法使いであると見抜く。同族を知る、謂わば
「悪いけど、うちは本の貸出はしていないわ。だから早く帰りなさい」
「…じゃあ、大人しく帰るぜ。ここの本を貸してくれたらな」
「嫌よ。だって貴女、返す気なんかないでしょう?」
「そんなことないぜ、死んだら返す!」
「ほらね……」
目の前の魔法使い被れの戯言に、軽く溜め息をつく紫の魔法使い。その仕草からは緊張感も何も感じさせない。
「それより、あんた誰だ?」
「名前を聞く時はまず自分から……って、人の部屋に土足で踏み込んできた挙句に、人のものを勝手に持ち出そうとする輩に礼儀を説いても無駄ね」
「随分な言い草だぜ…」
「事実よ」
少女が肩を竦めて言った。
「パチュリー・ノーレッジ。この大図書の主よ、白黒の泥棒さん」
「白黒って……」
「自己紹介もしてない人の名前なんて呼べないわよ」
「…私は霧雨魔理沙だ。異変解決に参上したぜ」
「巫女なら間に合ってるわ。良くてコソ泥といったところかしら」
「そりゃどうも。コソ泥の底力見せてやる」
強者の余裕を見せるパチュリーに対して、魔理沙は臆しもせずにスペルカードを突きつけた。
「はぁ…まあいいわ。この頃部屋に篭り切りで運動不足だったところだし、貴女の領分で相手をしてあげる」
パチュリーの手に、何処から飛んできたのか、一つの魔道書が収まる。魔道書はそれなりに高位のものであり、パチュリー自身が愛用する一冊でもあった。その魔道書が静かに開き、複数のカードが円を描くように浮き出る。その種類は多彩、彼女の操る多属性の魔法がスペルに反映されている。
手数の差がそのまま魔法使いとしての実力の差を示していた。
「へへ…舐め腐ったセリフを、アリガトよっ!!」
それでも尚、怯む様子すら見せない魔理沙の手から、先制の弾幕が放たれた。
「…落ち着きのないコソ泥ね。本物の魔法使いというものを教授してあげるわ」
弾幕を悠々と避け、告げるパチュリーの視線に、魔理沙のそれが重なり───交錯する。
光を反射しないその瞳。
一瞬の内に、魔理沙にも容易く理解できた。
相手の眼は敵を見ていない───。
あの紫の魔法使いにとって、魔理沙は遥か格下の存在であり、同時に『
だが、それを理解し、魔理沙の内に憤りの感情が生まれるより早く───。
その眼に映った昏い色を覗いた瞬間に、魔理沙の意識は無意識にその昏さに引き込まれる。
そして今が戦闘の際中であり敵の目前であるにも関わらず、意識は宛も深淵へと落ちていくかのような錯覚に囚われかけ───。
「スペルカード」
空間を満たす獰猛な魔力の胎動に、その意識を急速に引き戻された。
【火符「アグ二シャイン」】
俄かに閃光。
膨大な量の魔力が放出され、爆発的な発光現象が起きる。飛散した魔力が紅蓮の輝きを湛え、収束する。
そして赤く染色されたカードの中央から大火力の炎が躍り出た。紅蓮を纏った業火が渦を巻く軌道を描いて放たれ、棒立ちとなり隙だらけの魔理沙に襲い掛かった。
「っ!?………そう簡単にはやられないぜっ!!」
八卦炉ではなく、箒の方に意識を向けていたのが幸いした。魔理沙は跨る箒に魔力を込めると、爆発的な初速と共に飛翔を開始した。箒を操り渦を遡るように進むことで、魔理沙は自身に襲い来る弾幕を避けいく。
しかし本人は内心で舌を打った。
(くそっ!完全にタイミングを外した!)
自分のペースを掴み損ねた。
相手は正真正銘、遥か格上の魔法使いだ、馬鹿正直にやり合って勝てる相手じゃない。目の前の敵と闘うには、自身のペースに持ち込みそれを守り通すことが最低条件。自身のペースは決して崩されてはならない。
だから───。
「───出遅れた分は、取り戻さなきゃなっ!!」
魔力を込め、さらに速度を上げる。尚追いすがる炎弾を避けながら、狙うはパチュリーの背後上空。人間の絶対的な死角である。
対して紫色の魔女は、微動だにしない。不気味なほど静かに、ただ浮遊しているだけである。視線は既に魔理沙を追っておらず、ただ何もない空間へと向いていた。
「もらったぜ!」
完全な死角に潜り込んだ魔理沙の両脇に、発光する魔力球が位置している。
───イリュージョンレーザー。
攻撃範囲を犠牲にし、威力とスピードを高めたレーザーがパチュリーを襲う。
「…………」
だが、パチュリーは振り返ることすらしなかった。
『振り返れなかった』のではない、『振り返らなかった』のだ。
つまりは───。
「スペルカード」
「っ!?」
───振り返る必要すらないと判断した。
【水符「ジェリーフィッシュプリンセス」】
術者自身を囲むように展開された水泡の防護壁がレーザーを完全に相殺し、返す刀で弾けた水泡が魔理沙を襲う。水泡は、数は多いが鈍く、避けることはさほど難しくはない。
「ちっ!!」
問題は、数多くの水泡により視界を制限されること。
「熱いのは御嫌いみたいね。なら、今度は涼しくしてあげるわ」
飛び交う水泡の隙間から垣間見た敵の微笑。
「───いや、私は遠慮するっ…!」
魔理沙はそこに、背筋も凍る氷点下の形を見た。
【水符「プリンセスウンディネ」】
スペルカードから発せられる魔力が、まるで質量を持ったかのように魔理沙に圧力として圧し掛かる。
そして発せられる魔力は溢れんばかりの水となり、さらには大気中の水分までも吸収し、未だ尚増幅し続ける。
「おいおいおいっ……!?」
数瞬の内に、部屋一帯は先程の水泡と同じ物量の、しかし水泡とは比べ物にならないほどの威力を秘めた水弾が犇く空間へと変化した。
「冗談キツイぜ…」
「この場で冗談を言えるぐらい余裕があるのなら、これぐらい軽く越えてみなさい」
「うっせえ!」
いつもなら軽い内に部類される非難も、無慈悲な魔女の一言の前では意味を成さない。無慈悲に、魔女の弾幕が魔理沙を襲う。
(なっ!)
そうして放たれた弾幕にさらに驚愕する。
パチュリーの放った水弾は、敵に向かうと同時に何十何百もの高速の水槍へと変化したのだ。完全なる虚をつかれ、水槍が肩口を掠る。怪我は無くとも痛みはある。感じた痛みに魔理沙は顔を顰めた。
しかし、それを容易に見逃す相手ではない。
「───そこ」
「っ!」
魔理沙の付近を通過した水槍の一つが突如破裂した。発生した魔力の余波と水飛沫をまともに受けて箒が傾ぎ、バランスが崩れる。
「こ、のっ……!!」
錐揉みしながら落下するも、迫る弾幕を迎撃するため、彼女は頭上目掛けてマジックミサイルを放つ。それらの大半は弾幕と激突、爆散して煙を立ち上らせ、魔理沙の姿を覆い隠した。袖で口元を覆いながらパチュリーは小さく舌打ちする。
「……小賢しい真似をするわね」
マジックミサイル───攻撃的な外観と名前を有していながら、その実純粋な攻撃専用のものではない。爆発時にその質量とは比較にならない圧力を撒き散らすことにより、目眩ましとしての役目も果たすのである。そして今、確かにパチュリーの視界から魔理沙の姿を捉えることはできずにいた。
「さすがコソ泥、こそこそするのが好きなようだけど……」
その様子を見て、紫の魔女は周囲に魔力を収束させる。
「そんなもの、まとめて吹き飛ばして───!」
その魔力が形を成す、それよりも早く。
「───いくぜっ!!」
もうもうと立ち込める煙幕を突き破り、魔理沙の箒が飛翔する。凡そにして数十メートル以上もの距離を急速に詰める。
しかしそれだけであれば、ただの捨て身の特攻としかなり得ない行動であり、経験に勝るパチュリーに対して、それは余りにも安易で軽率な、幾つか予想できる受け攻めの内で悪手と等しい愚行であった。
ただし、箒を馳せて高速で向かいくる彼女の手に光り輝くカードがしっかり握られているのを、パチュリーは見逃さなかった。だが見逃さずとも尚、パチュリーの思考を一時狂わせるには十分であった。
「まさか、その状態で───!」
魔理沙の意図を読んだパチュリーの表情が、そのとき微かに、だが確実に驚きのそれへと初めて変化した。
「スペルカード!」
【魔符「スターダストレヴァリエ」】
星を象った煌きが、箒の描く軌跡を彩りなぞるように飛散して目前の魔法使いへと降り注ぐ。驚くべき事に、魔理沙は箒を高速で駆っている状態でスペルカードを発動させたのだ。
通常、スペルは相当の集中力を必要とするため、他の行動をとりつつスペルを操るというのは至難の技である。しかし、霧雨魔理沙はそれを成し遂げていた。箒の動き自体がスペルカードの発動に対して意味を持っていることは容易に推測出来た。魔理沙自身と弾幕、双方が双方共にスペルカードの一部であった。
紅魔館の大図書館に星の雨が降った。彩りも鮮やかに、それらはパチュリーを取り囲むように漂い、迫る。相手を追い詰めるには十分過ぎる物量であった。
「───少し、鬱陶しいかしらね」
◇
一瞬。
その顔に驚きを浮かべたのは僅かにコンマ数秒。
星海煌めく中に在りながら、なお己の存在を主張する数多の流星を前に彼女が思ったことは───。
(避けられないわね…)
弾幕───スペルカードには、ルール上必ず抜けることのできる隙間が存在する。それは敵である彼女自身も慥かに認めるところであったし、故に彼女の思考は決して弾幕そのものの根底を否定するものではない。
(運動不足が祟ったわ…)
彼女の「避けられない」とは、つまりは大きく動くことでしか避けようのないこの星屑を、今ある体力では保たないという己の身体の脆弱性を精確に理解した故の思考であり、そんな肉体しか持ち得ない自分自身への苛立ちであった。
自身のひ弱さは己自身が最も理解しうる所であったが、それを治そうとしなかったのもまた自身であり、挙句、魔法使いという種族をも理由としてこの大図書館に閉じ籠る有様である。
「喘息があった、というのも言い訳にしかならないわね」
今更ながらに己の愚挙を顧みる彼女の口から溜息が漏れるのと魔力を練り上げたのは、ほぼ同時であった。
(避けられないのなら───)
正確に、精確に為すべきことを理解した魔法使いがとった行動は至極単純である。
◆
「───スペルカード!」
【金符「シルバードラゴン」】
宣言と共に形成された陣の中心から八つの白銀に輝く竜が頭が覗く。それらは白い靄と残像を残し様々な起動を描きながら恐るべき速度で流星へと迫る。
触れた先から、存在の残滓まで。その圧倒的火力の前に、星の海は易々と蒸発させられてしまった。
「……ほんと、非常識だぜ」
半ば呆然と魔理沙が零す。百を優に超える弾幕をたった八つの弾幕で一掃である。最早『常識的な弾幕』では勝ち目がないことは一目瞭然であった。
「そろそろ終わりにしましょうか……」
あれだけの弾幕に覆われていながら、数刻前と変わらない姿で悠然と佇み、魔女はつまらなそうに呟く。
「何だよ、魔法使いのクセに気が短いな。もうちょっと遊ぼうぜ?」
パチュリーは、魔理沙の言葉に一つだけ溜息を吐いた。
「鼠を追い掛け回すのはもう飽きたのよ。それに───」
俯き気味の為、彼女の表情は見えない。
だが、唯一覗く唇。
無感情だったその形が吊り上がるのを見て、確かな身の危険を感じ取った魔理沙は大きく飛び退った。
「───いい加減疲れたわ」
直後に、それは来た───。
【土金符「エメラルドメガリス」】
スペルカード。
その名の如く
「…っ!?」
物量だけなら、先程の魔理沙のスペルカードと大差はなかった。だが、速度は段違いに速い。絶妙に進路と退路を塞ぎながら、徐々にその行動が奪われていく。そのような状態が長く続くはずもなかった。
「げ、やば……!」
妙に軽い音がして、箒の先端が壁に触れた。態勢を崩した魔理沙の目と鼻の先には、碧色の輝きが迫り来る。避ける術は彼女にはない。
「ち、くしょうっ…!!」
魔理沙の身体に触れた弾幕が爆発と共に紫電を撒き散らす。
「がっ………!」
ぼす、という鈍い音がして、地上に積み上げられた本の山に魔理沙が墜ちた。積もった埃が巻き上げられて、彼女の姿を少しだけ灰色に仕立て上げた。
「まったく、手間をかけさせてくれたわ」
墜落した敵を見下ろして、パチュリーが言う。
「まあ、人間の魔法使いにしてはよくやったわ。移動しながらの詠唱とか、面白いこともやってくれたしね。あれはなかなか興味深いものだったし───」
「───ここまで、だぜ」
墜落してからというもの、衰弱しきった様子で黙りこくっていた魔理沙であったが、ここにきてパチュリーの言葉を遮るように声を出した。それは息も切れ切れに、普段の彼女からは想像もできないほどに弱々しくおとなしい声であった。
「……そうね、貴女はここまでだわ。残念だけど───」
それでも、そこには───。
「───仕掛けはここまでだ」
その不遜な言葉には、確信の色があった。そう。他の何に対してでもない、ただ己の勝利のみを確信した響きが、彼女の言葉には感じられた。
「何を言って……」
およそ現状とはかけ離れた魔理沙の台詞に、怪訝な表情を見せるパチュリー。しかし、そんな魔女の問いには答えず、返答代わりに魔理沙が懐に手を伸ばした。
「今更何をしても無駄よ!」
敵の行動を阻止すべく翳した掌に魔法陣が浮かびあがる。
ばちん!
「っ!?」
しかし、その魔法陣が突如として砕け散る。パチュリー自身、何が起こったのかを理解するのに数秒を要した。
「ごほっ!!」
咄嗟に口元を覆う。
そこで、己の周りが極小さな光で埋めつくされていることにようやく気づいた。
これは何か、何時放ったのか。
その疑問を口にする前に、パチュリーは理解した。
(星っ!?)
この微細な光たちは全て同じ星型の形をしていた。
星、咳、魔法陣の崩壊、自身の体質───。
そこから正解を導き出すことは容易い。
光の正体、それは星屑であった。
先程、魔理沙が放ったスペル───スターダストレヴァリエ。スペル自体は、敵の攻撃により確かに跡形も無く消滅させられていた。しかし、スペルが放たれてからおよそ五秒、その間に降り注いだ流星は百を超える。そこから舞い落ちた星屑はその限りではない。魔理沙自身、普段は華やかさの為として加えたオプションでしかないものであった、ただの星屑である。しかし、それは確かに魔理沙自身の魔力で作られたものであった。
スペルによって放たれ、何を為すでもなく地に積もった無数の星屑を操作し跳ね上げることで、共に起こした風によって床に付いた埃を舞い上がらせたのだ。
あの時、マジックミサイルを放った時に見せたパチュリーの仕草を魔理沙はしっかりと覚えていた。恐らく呼吸器に疾患があるのだろう。まるで舞い上がった塵を嫌がるように、パチュリーは口元を隠していた。しかし、それは誰しも行う反射的な行動である。可能性として、信じるには余りにも不確定要素すぎた。しかし、彼女はその可能性に賭けた。
そして、彼女は賭けに勝った。
目の前の、遥か格上の相手に対して見出した活路。
彼女の決死の布石により生まれた僅かな空白の空間に、魔理沙は飛び込んだ。
「………っ!」
パチュリーの顔色が変わる。
魔理沙が懐から手を───八卦炉を取り出す。
一帯の魔力が、根こそぎ吸収されていく。常識外れの魔力量が収束し、圧縮され、ただ一点にのみ集う。
「さあ…」
魔理沙が顔を上げる。
集った魔力は加速度的に輝きを増していき、光はやがて完全なる白へと昇華する。
その、全てが頂点へと達した瞬間を迎えて彼女は立ち上がる。
力強く、そして堂々と───。
ボロボロの体で、いつもの何者にも大胆な笑みを浮かべて───。
「いくぜ、魔法使い」
魔理沙は───。
「弾幕は───」
人間の魔法使いは───。
「───パワーだぜっ!!」
その全てを───。
「マスタァァァァァァアアッ!!スパァァァァァァァァアアアアクッ!!!!!」
───ここに解き放った。
パチュリーさん、スペル多すぎですって!!?