数多のオーバーロード二次創作で『ゲロイン』の座を射止めてきた、アルシェ・イーブ・リイル・フルト。
果たして今度は吐かずにいられるのか?

最近読んだオバロ二次がアルシェの嘔吐シーンでの更新ばっかりだったので書きました。

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全てのオーバーロード二次創作者に捧ぐ。


「逆流性食道炎です」アルシェ「ああ、やっぱり」

「貴女の症状は『逆流性食道炎』。原因は多数の嘔吐です……わん」

 

犬の覆面の僧侶、ペストーニャが少女に告げたのはそんな診断結果だった

 

「ああ……なんとなく、わかってました」

「炎症止めを出しておきます。お大事に……わん」

 

渡された薬を手に、トボトボと診療室を後にする。

彼女の名は【アルシェ・イーブ・リイル・フルト】。

 

『ゲロイン』として有名になってしまった少女である。

 

 

***

 

 

ここは『控え室』。

さまざまな作品のキャラクターが自分の出番を待つ待合所。

 

「はぁ……」

 

薬を手にため息を漏らす。

 

アルシェは『原作』特に書籍・アニメにおいて不幸な運命をたどった少女だ。

故に、オーバーロードの二次創作において救済の方向で改変がなされることが多い。

 

そこまではいい。

 

しかし、結果としてそれだけの力をもつ存在と邂逅することが必然となる。

 

例えばアインズ・ウール・ゴウンことモモンガ。

例えばウルベルト・アレイン・オードル。

例えばオリジナルギルメン。

例えばオリジナルプレイヤー。

例えばクロスオーバーキャラ。

 

魔力を圧力を伴う光として感じ取るタレントを持ったアルシェは彼らに出会い、恐れおののく。

 

そして、吐く(ゲロゲロする)

 

二次創作がされるたびに、

アルシェが救済されるたびに、

 

アルシェは吐いた(ゲロゲロした)

何度も吐いた(ゲロゲロした)

 

かくして、読者の間で一つの固定観念が完成した。

 

『アルシェは吐く(ゲロイン)』と。

 

「まあ、私が吐いてクーデとウレイが救われるならいいんですけど」

 

彼女にとってそれは何よりも大事なことだ。

場合によっては両親が改心することだってある。

 

だが、正直きつい。

 

内臓を握りつぶされるような圧力で胃液を絞り出されるのは、味わいたい感覚ではない。

それでも、この『控え室』の記憶のないアルシェは、

親切にも魔力を隠ぺいした『彼ら』に、

愚かにも力の是非を問うのだろう。

 

そして、吐く(ゲロゲロする)のだ。

 

「フールーダ師が羨ましい……」

 

同じタレントでもフールーダ・パラダインは彼らに知識をよこせと嘗め回(ペロペロ)しにかかる。

技量の差はあれど、その精神の図太さが欲しいと何度も思った。

 

「ちわーっ! 今度新しいオバロ二次のオリ主をやることになった……」

 

「うぼぉぉぉえぇぇぇぇっ!!」

 

アルシェの苦難は続く、これからも。

 

 

***

 

 

「……シェ、アルシェ!」

「っ! イミー、ナ?」

 

辺りを見回す。

馴染みの『歌う林檎亭』だ。

 

「大丈夫? うなされてたけど」

「……平気、だと思う」

 

変な夢を見ていた気がする。

けど、ただの夢だ。

 

「わりぃ、待たせた!」

「もー。何やってのよ」

「すいません、ちょっと色々ありまして」

 

「そこであった人を案内することになってさ」

 

!?

 

「どうも、初めまして……」

 

夢の、はず、なのに。

 

 

 

 

 

 

 




あなたのアルシェはどんな運命をたどりますか?


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