TSロリが逝くダンまちゲーRTA   作:原子番号16

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一万文字を超えたので初投稿です。
書いてて楽しかった(小並感)


鳥瑠様から誤字報告をいただきました。ありがとうございます

追記
zodiac様から誤字報告をいただきました。タスカルッ!
佐藤東沙様から添削をいただきました。お気遣いありがとうございます。
鳥瑠様から誤字報告をいただきました。ありがとうございます。
kuzuchi様から誤字報告をいただきました。ありがとうございます。


幕間『(あまね)くを照らす太陽よ』

 結果として。

 少年の淡い決意は、早々に叩き壊されたのだった。

 

 「ごめんなさいでした」

 

 そう、ぺたんと頭を下げたのである。

 ぺたん、だ。

 つまり、地面にくっつくほどに下げたのだ。

 

 「……ドゲザまでしなくても」

 「ごめんなさいでした」

 「……は、い」

 

 狼狽(うろた)えるずだ袋の幼女。

 今日はこの子の意外な一面をよく見るなあ、と三歩離れた所から二人を見守る僕は(ひと)りごちる。

 

 そもそも、坊っちゃん───ヒュアキントスから例の宣言をくらう前から、フリューちゃんは挙動不審だったのだ。

 椅子の上で体が微振動していたし、ずだ袋の裾から伸びる紐を弄くってたし。食事の量も多かったし、あろうことか『早く行きたいです』と迷宮探索の催促さえしてきたのだ。団長(ぼく)と正式にパーティを組むっていうのになんの気負いも感じてないのは大変結構なのだけれど、そう、確かに挙動不審だった。

 それが、ヒュアキントスの宣言を聞いたら、ぴたっ、と止まったのだ。

 いつも通り、ではない。

 ただでさえ少ない口数が減った。

 逆に言えばそれだけのことだったのだけれど───いわゆる〝嫌な(アイ・ハブ・ア)予感が(・バッド・フィーリング・)する(アバウト・ディス)〟ってやつだったのかな。

 はたして、迷宮に押し入った湾刀使いの小人族は、モンスターを相手にえげつない剣舞を披露したのだ。

 

 悉く、一刀両断、である。

 

 ……()()

 

 目の前でウォーシャドウがすっぱり二等分されて、少年はわかりやすく限界を迎えたらしかった。

 

 「坊っちゃん」

 「は、はいっ」

 「冒険者は見かけによらない。そう教えたでしょう」

 「はいぃ……!」

 「またひとつ、賢くなりましたね?」

 「小さくても、侮りません……!」

 

 そう、冒険者は見かけによらない。

 Lv.1の大男がLv.2の少女に力負けするなんて常識だ。

 外見と中身は一致しない。それが【恩恵(ファルナ)】のもたらす恩恵なのだ。

 

 「そして、フリューくん」

 

 ぐるん、と矛先を変えた僕に、フリューちゃんはこれまたわかりやすく狼狽えた。

 

 「確かに僕も意地悪だったけど、いつも通りって言ったよね?」

 「……」

 「年下の子の恐怖心を煽るのはどうかと思うな」

 「……ごめんなさいでした」

 「よろしい」

 

 まあ、こんなものでいいだろう。

 ヒュアキントスには、冒険者としての常識を。

 フリューちゃんには、年長者としての良識を。

 それぞれに教えることは山積みで、これはその一歩に過ぎない。

 

 現在、ダンジョン第7階層。

 新品ぴかぴかの一党は、極めて順調に探索を進めていた。

 

 『───ォォォッ』

 「遭遇(エンカウント)。数は七かな」

 「行きます」

 「が、頑張ってください……!」

 

 そんなやり取りをして、とてとてズバンギャアギャアブシャアッ、で戦闘終了。

 相も変わらず《鉄刀》一本で血の路を作ったフリューちゃんが刀身に血振りをくれ、刃こぼれの有無を検めている間、ヒュアキントスにサポーターとしての経験を積ませつつ、周辺の警戒。

 相手方に『ゴブリン』や『コボルト』といった難度の低い敵が現れた時は、ヒュアキントスにも前衛をさせる。

 それを繰り返して、気がつけば僕とヒュアキントスの背負っているバックパックは満杯になっていた。

 

 「一旦帰還しようか」

 

 魔石及び戦利品(ドロップアイテム)の収集具合と、一党の消耗度合いを考慮しての判断。

 それに、ヒュアキントスは素直に返事をして、フリューちゃんはほんの少し間を置いて首肯した。

 

 「わぁ、これ、おいしいです、オルフェさん」

 

 そんで、まあ。

 

 「そうでしょうそうでしょう、一党の結成記念にいいとこのヤツを持ってきましたからね。フリューくんはどう? 口に合えばいいのだけど」

 

 自然な流れで、小休止をとっていた。

 なにせ、Lv.の都合上過剰戦力となる僕も、単純に力量の足りないヒュアキントスもあまり前衛として機能出来ていないので、自然、疲労(経験値)はフリューちゃんひとりに集積される。

 そもそも【ステイタス】自体はヒュアキントス以下で、エルフ程ではないとはいえ体力貧弱な傾向のある小人族(パルゥム)なのだから、そりゃあもう存分に休ませるべきだ。

 

 「うわぁ、本当においしい……アポロンさまにも差し上げたいくらいっ」

 

 わいわいと、喜色の滲む声を発しているのは、自費(ポケットマネー)から奮発した焼き菓子を頬張るヒュアキントスだ。

 かわいいやつだ、と、素直に思う。

 甘いものを口にして頬を薔薇色に染める様は、男色(そっち)()のないやつにも生唾を飲ませるものがある。

 いやまあ、僕は愛しいあの娘(エウリュディケー)一筋だけれど。

 

 「……おいしいです」

 

 と、ずだ袋を被ったまま、もそもそと焼き菓子を咀嚼するフリューちゃん。

 広間(ルーム)の隅っこに陣取って、小さな身を抱えていると、迷子の子供と見紛いそうになる。年齢はともかく体格は子供なこともあって、路地裏に放置していたら誘拐されてしまいそうだ。

 今まで遭遇してきたモンスターの全てを斬り伏せてきた彼女だけど、人を斬れるか、というのは未知数である。

 美少年といって差し支えないヒュアキントスともども、よく目を光らせておかなければならないだろう。

 

 ───二人とも、勝手に何処かに歩いてくような性格じゃないのが救いかな。

 

 ヒュアキントスはびびりだし───事情が事情だけに茶化すような真似は死んでもできないが───フリューちゃんは、まあ、フリューちゃんだし。

 素直、健気、冷静、体力の限界を知っていて、物怖じせず意見を具申してくる。

 これで十三歳だっていうんだから、もう、全く。

 

 「我が王我が王、ボクにもひとつちょうだい」

 「……」

 「わあい」

 

 ……。

 

 「坊っちゃん」

 「んむっ、なんですかオルフェさん?」

 「……や、もうひとつ食べます?」

 「いいんですかッ!?」

 

 くっきりとした瞳を輝かせる少年に、どうやら見られてはいなかったらしい、と心の内で安堵する。

 

 ───頼むから自重しやがれファッキン妖精野郎。

 

 恨みを込めて視線を送ってやれば、ケラケラという笑い声が耳朶を叩いてくる。

 ずだ袋の隙間から顔だけ出してきた妖精が、可憐な相貌を邪悪に歪めて哄笑(こうしょう)していた。

 〝悪戯〟の妖精パック。

 ビンに入れられる程の矮躯に、蜂蜜を糸にしたような頭髪。なるほどその姿は幻想物語(フェアリーテール)を読んだ子供が夢想する妖精そのものだけれど、頭の中に詰まった悪辣さもそのままなのは、なんとも度しがたい。

 今だって、姿を見られてはいけないヒュアキントスのすぐ近くであえて姿を晒し、僕の狼狽(ろうばい)っぷりを眺めて爆笑しているのだ。

 控えめに言ってクズい。

 五年の歳月をかけて培ってきた『団長』のガワが外れかける程度に、この妖精はクズい。

 正直に告白してしまえば、どこかから適当なビンを見繕ってきて、突っ込んで密封した上で海に流してやりたいと思ったのも一度や二度ではない。なんなら今まさに思ってる。

 

 何より救えないのは、パックと名乗るこの妖精が、不確定名称他人に決してその存在を感知させていないことだ。

 創作の妖精よろしく知性皆無の微笑ましい(やから)ではない。こいつは、自分の姿が余人に晒された場合、(あるじ)であるフリューちゃんが被る不利益をよく理解している。

 顔を()()()()のは、アポロン様と、僕を含む幹部、それとフリューちゃんだけ。

 そういう約束を持ちかけたのは僕達だが、持ちかけた側が困惑してしまうぐらい、この妖精は上手くやっている。

 それが、フリューちゃんの不利益に繋がる物事だから、というのは、流石に察している。

 

 認めたくはないが。

 悪戯妖精のパックは、(あるじ)に関連する物事に対して、際限なく誠実に、聡明になれるらしかった。

 それはつまり、主に不利益が及ばない限り、この悪戯野郎は叡知の限りを尽くして僕達を弄くってくるということで、【アポロン・ファミリア】が誇る精鋭は揃って胃を痛めている訳だ。

 切実に自重してほしい。

 

 「団長」

 「うん」

 

 彼女が()()に気づいたのは、くそやろうもといパックの進言か、あるいは修めているらしい『占星術』とやらの結果か。

 術士にその術理を問うのは禁句(NG)、というのは幹部の一人である小人術師(トランベリオ)の一言だが、いつかは踏み込まなければならない事柄だ。

 まあ、妖精の助言にしても、修めた術にしても、それらは彼女自身の力だ。第二級冒険者と遜色ない初動を可能とする総合戦力(スペック)は驚嘆すべきだろう。

 ゆっくりと立ち上がり、取り出しておいた小型の竪琴(キタラ)を構える。()()有効射程(レンジ)に入ったところで演奏開始。

 幾多もの弦をつま弾き、音色を奏でながら、迫る戦場を見据える湾刀使いと会話する。

 

 「逃走か、防衛か、と愚考します」

 「迎え撃とう。ここは正規ルートに近い。先に進まれたら惨劇になりかねない」

 「では通路へ。……クリオくんは」

 「後方の警戒と、治療の準備かな。《演奏(バフ)》かければここの相手でも十秒はもつからね、うちの坊っちゃんは」

 「ではそのように」

 

 優秀だ。

 本当に、心の底から、嘘偽りなくそう思う。

 打てば響き、剣に優れ、戦闘を恐れず、己を過信することなく、血に酔わない。

 この状況を把握した上で、『逃走』と『防衛』を提言出来るのだから、文句なしに満点だ。

 あと数年も経てば、太陽万歳娘(ソラール)と共に【アポロン・ファミリア】不動の双矛(ツートップ)となるに違いないと、一冒険者としても、団長としても、そう思わされるし、そうするに足る少女である。

 

 「───よし、《駆ける韋駄天》は演奏完了。あともう一曲……速弾きしなきゃだな。フリューくん───」

 「クリオくん、バックパックから高等回復薬(ハイポ)を取り出して、並べておいてください。予備の武具はその横に纏めて、清潔な布を───」

 「えっ? あ、は、はい……!」

 「……はぁ」

 

 気がつけば、息が出ていっていた。

 我ながら褒めっぱなしでどうかと思うけれど、素直に感嘆してしまった。

 彼女が準備をしてくれるなら、接敵(エンゲージ)までの数秒を、本業に専念できる。

 

 「……この、音───」

 

 ようやく事態に気づいたらしいヒュアキントスが、頬から色を失くす。

 それでも手は止めていない辺り、やはりこの子も才能溢れる新米だと思う。

 叶うなら、この傑物の側で、見事な花を咲かせてほしいし、そうさせるのが団長の役目だ。

 ふう、と深く息を吸い、深く吐いて、最後の《演奏》を完成させ、近接用の武装《太陽のフランベルジュ》を抜剣する。

 

 僕達の見据える先、通路の向こう。

 そこから、音が響き、近づいてくる。

 おびただしい量の足音。

 氾濫するモンスターの殺意。

 むせかえるほどに濃厚な血の香り。

 人々の───冒険者(どうぎょうしゃ)の叫喚。

 

 「とりあえず作戦はもう立ててるから、安心してくれていい。簡単な仕事(ミルクラン)さ」

 

 軽口をひとつ。

 深刻(シリアス)になって勝てるのなら、まあ、構わないけれど。

 これはダンジョンではよくある事で、最終決戦でもなんでもないのだから、彼等が気負う必要などないのだ。

 なにせ、命を支払ってでも『何か』(君達を生きて帰す)をしなければならないのは、団長の僕だけなんだから。

 

 何より、恐怖でがちがちの頭目より、不敵な笑みを浮かべている頭目の方が、安心するだろう?

 

 「───以上で作戦説明終わり。どう、出来そう?」

 「問題なく」

 「がんばりますッ!」

 「よぉし! じゃあ、やろうか……!」

 

 はたして、それはすぐに現れた。

 

 

 通路を埋め尽くす大量のモンスターと、全身を血塗れにしてひた走る、冒険者───!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『魔眼は、大きく分けて二つに分けられる』

 

 懐かしい声が(よみがえ)る。

 それはいかなる暗澹に在ろうと絶えることのない月明かり。女性らしい、されど芯の通った声音。私の手を引き、星々の神秘へと(いざな)う女神の言葉。

 ツクヨミ。我が魔術の師。

 

 『一方は【付与】。それを視た者、或いは視られた者に直接作用する神秘。これはまあ、古代の女怪メドゥーサの石化の魔眼が有名だろう。視た者に石化を与える。そう、〝与える〟ことを本質とするのが付与型の魔眼だ。

 ───対し、フリュー、お前の妖精眼(グラムサイト)は【観測】の神秘だ』

 

 朗々とした響き。

 聡明とは言えない私の頭に浸透し、咀嚼(そしゃく)させ、行き渡らせる、月女神の特別講義。

 

 『この部類の魔眼は、〝受け取る〟ことを本質とする。千里、未来、生存、痕跡、失せ物、()()()の差異はあるが結局どれも同じだ。この世界に在る何かを、それぞれのやり方で受け止め、理解する神秘。

 ───では、妖精眼は何を、どのように観測するか』

 

 あの(ひと)の瞳に射抜かれる。

 蒼い瞳は、密やかな夜に浮かぶ月を思わせる。

 

 『妖精可視による魔力の観測。それが妖精眼(グラムサイト)だ。特に()()()()()()()になると、上の森人(ハイエルフ)の聖域、そこに鎮座する聖木に匹敵する〝妖精の宿り木〟の機能を兼ねる。

 そして、性質上、この魔眼は他の魔術との併用に適している。元々魔眼保有者(カラットホルダー)は高い魔術適性を持つが、中でも妖精眼持ちは顕著だ』

 

 フリュー、と呼ばれるのは、好きだった。

 ……いっそ、ツクヨミ様が男神だったなら、生涯をこの御方に費やしてもいいかと思える程に、心地よい。

 

 『その瞳は星の術理をより広げ、星の術理はその瞳をより十全に運営させるだろう。……フリューが星に惹かれたのは、《宿命》だったのかもしれないね』

 

 故に与えられた起動鍵(スペル)は《観測》。

 星を観るだけしか能のなかった私が、月の神から賜った、星を知る(すべ)

 その一言をもって、魔力を観測する魔眼を起動する。

 

 

 「───観測(スコープ)開始(イン)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 濁流のように迫りくるモンスター達の先頭に、彼等の姿はあった。

 全身を鮮血で汚した冒険者。只人(ヒューマン)。男。どこにでもいるような無名戦士( H F O )

 いつものように迷宮に潜り、異常事態(イレギュラー)に直面し、敗走した。そんな、どこにでもいるような二人は、それぞれ負傷者という荷物を抱えていた。

 

 「っ……ぁ……」

 「セインっ、頑張れっ死ぬなっ!」

 「くそ、追い付かれるぞ……! どっちか捨てろガイル! いくらお前でも二人は無理だ!」

 「なっ───馬鹿野郎ッ、何言って……!?」

 「()()()()()()()()()、俺達は!?」

 

 その言葉には、怒りがあった。

 殿(しんがり)という名の人柱を許容した諦観と、どこまでも無力な己への悔恨があった。

 それでも、否、だからこそ、無名戦士は吠える。

 

 「だから、生きなきゃいけないだろうっ!? 一人でも多くの仲間とっ! 地上に帰らなきゃいけないんだろうっ!?」

 

 その、鮮血を撒き散らすような言葉に、常に隣で戦ってきた戦友の言葉に、ガイルと呼ばれた男の相貌が悲壮に染まる。

 わかっている。わかっているとも。

 だから、武器を置き去りにした。

 戦闘の継続を捨てて、武器を捨てて、仲間を捨てて、冒険者であることを捨てて、腕の中にある命を守るために、走っているのだ。

 けれど、だから、どうしても、躊躇う。

 あらゆるモノを捨てても救いたいと願ったものを、自ら手放すなんて、残酷すぎて、とても耐えられない。

 

 「私を、捨てろ」

 「───」

 

 涙腺が崩壊しかける男の耳に、典雅な響きが囁かれる。

 彼に背負われているエルフの魔導士が、気力を振り絞って、口を開く。

 

 「私を、捨てろ、ヒューマン……!」

 

 気障(きざ)ったらしいエルフが、潔癖な癖して娼婦街に興味津々だった男が、常に勝利をもたらしてきた魔導士が、友人たる戦士に懇願する。

 お前の足手まといになどなってたまるか、と。

 どうか、自分を捨てて生存してくれ、と。

 

 「ああああああっ、ああああああっ……!?」

 「……っ、ううううっ……!?」

 

 彼等の判断が正しかったかといえば、意見が分かれるだろう。

 後方、すぐ近くまで迫っているモンスターの群れ。

 武器のない戦士では、いや、武器があったとしても、数の差で一手番(ターン)ももたず引き千切られるだろう死の波に、二人の戦士は突撃する覚悟を決めた。

 友人の願い通りに、友人を捨てて、死ぬよりも。

 友人の願いを捨て、友人を捨てずに死ぬことを選んだのだ。

 

 迷宮の闇が迫る。

 二人の戦士の背を撫でて、死の道へと引きずり込もうとしている。

 そうして。

 どこにでもいるような二人の戦士が振り返り、ありふれた結末を迎えようとした間際である。

 

 

 ───。

 

 

 音色が、聞こえた。

 美しい音色だった。

 勇壮な音色だった。

 古の戦場、地上を流星のごとく駆け抜けた、俊足の英雄を思わせる調べ。

 暗澹(あんたん)とした迷宮にはまるで相応しくないそれに、錯聴を疑う戦士達が、その異変に気づくのに時間はかからなかった。

 

 ()()()()()()()()()()()()

 

 「───っっ! 走れっ! 走れええええええええっ!!」

 「うおおおおおおおおおおっ……!!」

 

 文字通り死力を尽くして走る。

 視界の隅を千切れ飛んでいく迷宮の壁面。

 羽のように軽く鳥のように俊敏な両脚。

 その全てを頭からすっ飛ばして、ただひたすらに走り抜ける……!

 

 「───近くなっていってるぞ……!」

 

 理性を焼きかけている戦士に、荷物が一人なぶん幾分か余裕のある───それでも息絶え絶えだが───戦士が、音色の根源に接近していることを察知する。

 正規ルートへと続く道だ。

 そこに陣取って、見ず知らずの自分達を支援するような真似をしているやつと、かち合う。

 ───ちょうどいいカモじゃないか。

 随分と昔に捨て去ったはずの悪性が笑う。

 仲間を犠牲にせずに済むぞ、と。

 この音色の奏者をモンスターにけしかけて時間を稼ごう、と。

 【怪物進呈(パス・パレード)】してやれ、と。

 その提案は極めて現実的で、飛び付きたいほどに魅力的だった。

 だから、かつて路地裏にたむろっていた盗人は、

 

 「───くそったれがよおおおッッ!!!」

 

 ただ、理性を燃やした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「止まれええええええええええっ(STOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOP)!」

 

 詩人として鍛え上げた喉から、大音声を放つ。

 

 「───、っ!?」

 「う、おおおっ……!?」

 

 威圧の声(ウォークライ)。専門外の技術。肺活量にものを言わせてごり押す。

 戦士らしき装備の男二人が、疾走の勢いを削がれるのを確認し、間髪を容れずに囁く。

 

 「やれ、()()()

 「えっ嫌だけど───」

 「頼む、パック」

 「───お任せあれ我が王(イエス、マイロード)!」

 

 はたして、フリューちゃんの服の中に隠れているらしい悪戯の妖精が、悪辣な術を発動した。

 見るがいい。

 目の前の人間を喰い殺さんと猛っていた、雲霞(うんか)のごときモンスター共が、ある境界(ライン)を越えた瞬間、無様に()()するではないか!

 

 文字通り《転倒》の術に嵌まったモンスターが体勢を整えるまでの数秒を、熟練の湾刀使いは逃さない。

 小さな体をめいっぱい駆動させ、次々と怪物の首を撥ね飛ばす。

 そして、手を止めることなく、こう呟くのだ。

 

 「……やっぱり、『キラーアント』」

 

 それは、堅牢な甲殻を持つ巨大蟻のモンスターの名前。

 『ウォーシャドウ』と同じく【新米殺し】の異名を与えられているこのモンスターは、ぶっちゃけでかくて堅い蟻だ。体色は赤黒いけれど体型(フォルム)はそのまんま。四足二腕に大きな双眼、腕先の鉤爪の威力は高く、新米冒険者の斬撃を容易く無効化する甲殻と合わさって、厄介な怪物だ。

 ウォーシャドウが静かな武道家なら、キラーアントは鎧具足を着込んだ戦士だろうか。

 特筆すべきは、窮地に陥った際、独特なフェロモンを発散させることで、周囲の同種モンスターを呼び寄せる性質だ。

 

 ───だから、本当に、よくある事なんだ。

 

 「キラーアントの大群! わかってはいたけど、なんともありきたりだな!」

 

 瀕死になったら仲間を呼ぶのがキラーアントだ。

 止めを刺し損ねるだけで大群になる怪物だ。

 本当に、よくある事なのだ。

 だからこそ、対処法も判然としている。

 

 「防衛重視! 絶対に後ろに通すな! 確実に殺せ!」

 「行きますッ……!」

 

 そうして、僕達は通路に陣取った。

 この身は第二級なれば、上層のモンスター程度に遅れをとるはずもない。

 【アポロン・ファミリア】の首領に与えられる武装《太陽のフランベルジュ》をひたすらに振るい、一太刀で三体のモンスターを爆砕する。

 けたたましい爆砕音を伴って迸る、太陽の剣閃。

 Lv.3の【力】をもって体躯を打ち砕き、甲殻を弾き飛ばし、魔石を叩き壊す。

 対して、フリューちゃんの戦い方は静かだった。

 無銘の業物を手足のごとく操る湾刀使い。

 彼女は一切無駄な破壊を行わず、甲殻の間を縫って確実に首を落とし、あるいは魔石を───まるでそれがどこにあるか見えているかのように───両断する。

 戦士としての技量は、間違いなくフリューちゃんの方が上だ。

 それでも撃破数(スコア)はこちらに傾く辺り、恩恵というものの偉大さを体感する。

 

 「さて、そろそろどうだ……?」

 

 

 

 

 「止まってくださいっ!」

 

 そう、目の前の戦士達に立ち塞がる。

 先の大声によって勢いを削がれていた、全身を真っ赤に染めた戦士達は、一も二もなく停止した。

 その相貌に浮かぶのは、焦燥と、困惑。

 

 「なっ、なんなんだあんたら……!?」

 「怪我人が三人いて、()()()()()()()()()()()()()()()?」

 「───な」

 

 そして、それはヒュアキントスも同じだ。

 先程団長から語られた『作戦』通りに動いてはいるが、何がどうしてこうなるのか、そこまでは説明されていない。

 ただ、彼の言っていた通り、怪我人は三人いたし、どうやらもう一人、あの波の向こう側にいるらしかった。

 

 「負傷された方をこちらに寝かせて、とにかくポーションぶっかけてください! じゃんじゃん使っちゃっていいです! 負傷箇所もわからないし、服を脱がす時間もないので、とにかくたくさんお願いします!」

 

 彼に与えられた指示は簡潔だった。

 負傷者の治療と、後方の警戒。

 戦列に加われ、とは言われていない。

 それに、悔しさがないと言えば、嘘になる。

 一瞬だけ、パーティの仲間である小人族に目を向ける。

 自分と同じく、団長の指示に従っている新米冒険者。

 最前線でなんか格好いい武器を振るい、団長の隣で怪物共を鏖殺する彼。

 ───それが、仕方のないことだとも、適材適所の結果だとも、ヒュアキントスは思わない。

 状況はよくわからないし、前で戦えないことを悔しく思うし、無力なことが苦しくて、それでも、与えられた役割を全うする。

 

 「仲間を助けるために、動いてください……!」

 

 

 

 

 「……っ、来たぞ!」

 「よし、来たね」

 

 音が聞こえたので振り向けば、そこには負傷を回復された戦士が二人。

 放り捨てたらしい───()()()()()()()()()───武器の代わりに、僕が持ち込んでいた予備の武器を構えている。

 

 「……あんた、正気か? 見ず知らずの俺達のために、こんな真似を……」

 

 そう問いかけてくるのは、長身の戦士だ。装備からして先程の男が専業戦士なら、こちらは斥候も兼ねているのだろう。

 斥候の男は、短槍を構えながらも、冷や汗の垂れる顔を僕に向けていた。

 当然、こちらの返答は決まっている。

 

 「()()()()()()()()()()()

 

 まだ、という二文字はあえて外した。

 

 「まあ、戦闘音はけっこう小さくなってきてるけど、呼吸はしてるし、心臓は動いてる。本職は〝楽士〟だからね、こんなのは小技、大道芸さ。まあそれでも、冒険者を名乗らせてもらっている身だ。

 ()()()()()()()()

 

 大体、そうしない理由がわからない。

 助けられるヤツがいるらしい。

 そして、僕は冒険者だ。

 なら、助けるだろう。

 軍人でもなし、効率主義でも、大間抜け(マンチキン)でもない。冒険者なればこそ。

 

 「そんな訳だから、僕の仲間を任せる。代わりに君達の仲間を任されよう」

 

 最後に、彼女を見る。

 湾刀の絶技を操り、妖精を従え、文字通りの屍山血河を成している、新人冒険者とやらを。

 ここを任せるよ、と。

 そういう意図を込めた視線に、冒険者フリューガーは、完璧な回答をした。

 彼女は、いつものように、首を縦に振った。

 

 「……まあ、ポーション代は請求させてもらうけどね」

 

 ボソリと口にして、突っ込んだ。

 

 

 

 

 「しッ───!」

 

 団長の姿がモンスターの海に消える。

 先程までの役割が堅牢な城壁ならば、今は敵将を貫く(やじり)か。

 防衛の懸念を捨てた第二級冒険者が、進路上の、最低限の怪物だけを殺して、ひたすらに前へと進む。

 団長が直前に速弾きしたのは《星降る夜》。敏捷を微向上させ、()()()()の加護を与える楽曲。

 槍衾(やりぶすま)のように放たれるモンスターの攻撃を、ひらりと(かわ)し、疾走していく。

 まるで、囚われた姫を救いに駆ける勇者のようだ、というのは、大仰に過ぎるだろうか。

 

 ともあれ、やることはわかりきっている。

 (やじり)となった団長が抜けた以上、私一人で城壁を成さねばならない。

 彼が無銘戦士達の仲間を救いだすまで、この防衛線を死守する。

 後ろを見ることなく、背後を想う。

 負傷者の治療に専念する、若い戦士の姿を幻視する。

 やることはわかりきっている。

 ───死守する。

 

 「《私は月を奉ずる者》」

 

 星々の神秘に干渉する占星術をもって、魔力を観測する魔眼を変調させる。

 月の光が照らすのは、やはり魔力。

 されどこの魔術は通常の観測より視点をずらし、相手の急所を浮き彫りにする。

 

 「ふぅぅッ───!」

 「小人族(パルゥム)、一旦下がれッ!」

 「───助かります」

 

 巨漢の只人戦士の声に応じ、ほんの一瞬、戦列から退く。

 二人の戦士がモンスターの波をなんとか押し止めているのを見ながら、ずだ袋をつけたまま、回復薬(ポーション)を呷る。

 賦活(ふかつ)される心身。体力の回復を感じ取り、直ぐ様前へ。

 やや押し込まれ気味(ぎみ)の戦列に加わり、湾刀を一閃する。

 

 「うおッ!? もういいのかっ!?」

 「無理すんなっ、俺達だけでも、まだ……!」

 

 いや厳しいでしょう、という一言は押し留めた。

 気遣いは気遣いとして受け取るべきだ。

 

 「───ぁあああっ!」

 

 数秒拮抗し、そして、押し返す。

 魔術を併用した自分と、二人の戦士、人手も実力も足りていて、さらに団長殿の能力向上(バフ)があるのだから、負ける道理はない。

 短槍が振るわれ、長剣が唸り、それらを上回る勢いで湾刀が殺戮を行う。

 

 

 かくして、ありふれた戦場は終息した。

 そして、当然の結末に至った。

 

 「……血が、足りないな」

 

 そう告げるのは、無表情の団長だ。

 彼が救い出した女の戦士は、見るからに致命傷を負っていた。

 Lv.1の戦士がキラーアントに囲まれれば、こうなる。

 当然の結果だった。

 全身をずたずたにされ、右腕を切断されていた。

 いくら外傷のほとんどを高等回復薬(ハイ・ポーション)で治癒したとしても、失われた血液は補えない。

 

 「サレン……!」

 「そんな……!」

 

 二人の戦士がうめいた。

 治療の施された仲間の側に(ひざまず)き、嗚咽を漏らす。

 癒しの(すべ)を持たないフリューも、顔を(うつむ)かせていた。

 

 そして、第二級(Lv.3)にまで登り詰めた冒険者は。

 

 「じゃあ、やれ、ヒュアキントス」

 「はいっ……!」

 

 淡々と、それを口にした。

 

 今の今まで裏方に回されていた少年が、女戦士の側に跪き、その体に手を重ねる。

 全員の視線を集め、しかし、怖気つくことはない。

 ───アポロンさま。

 強く目を瞑り、彼の太陽を思い浮かべ、嘆願した。

 

 「《(あまね)くを照らす太陽よ、暖かなる木漏れ日にて、我等の傷をお包みください》……っ!」

 

 それは、敬虔なる神の使徒の〝奇跡〟だった。

 かつては天上におわした、今は地上に在る神々への直接嘆願。

 古代、魔法行使者が少数であった時代に、神に仕える者が行使していた、魂削る御業。

 ヒュアキントスが行使するのは《癒し》。

 肉体を回復させ、流れ出でた血液すら補完する奇跡。

 溢れ出でる陽光が、瀕死の戦士を包み込む。

 

 そうして。

 全身を汗まみれにしたヒュアキントスが、ぜえぜえと荒い息を吐いた頃。

 死にかけていた女戦士は、うっすらと瞳を開けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 後日。

 

 「まあ、よくある事だよ」

 「よくあること」

 「うん、よくある事」

 

 あっけらかんと口にする団長に、そうなのかと納得するフリュー、まともなのは僕だけかと戦慄するヒュアキントス。

 あの日、いつものように本拠に帰還した彼等は、数日後となる今日、(くだん)のパーティと会話をした。

 

 曰く、貴方(がた)は命の恩人だと。

 曰く、死にかけた女戦士が【ランクアップ】したと。

 曰く、困ったことがあったら言ってくれ、と。

 

 結局、ことの始まりは、どこぞのパーティがキラーアントを仕留め損なったことらしい。

 肥大した軍勢に、恐らくその一党は()()()、巨大蟻の群れは固まったまま移動を開始した。

 彼らの一党がそれに遭遇してしまったのは、運が悪かった、としか言いようがない。

 

 「強化種と打ち合ったんだから、そりゃLv.も上がるよね」

 

 群れを率いていたのは、キラーアントの強化種だったらしい。

 身体はもちろんのこと、統率力が強化された個体に、多くのキラーアントが追従し、擬似的かつ大規模な怪物の宴(モンスターパーティ)が発生してしまったのだとか。

 

 そんな強化種の末路は、

 

 「生かしておく理由はない」

 

 らしかった。

 キラーアントの海をかき分け、仲間のために勇気を振り絞った女性戦士を救い出し、太陽の剣にて首魁を討った、ということだ。

 ちょっとしたお話に出来そうですね、というヒュアキントスに、大したことではないと答えるオルフェ。

 いずれギルドから討伐の緊急指令(ミッション)が発令されていただろう災禍に、第二級冒険者が居合わせたのは、多くの下級冒険者にとって幸運に違いなかった。

 

 そして、【アポロン・ファミリア】にとっても幸運だったと、一団を率いる男は語る。

 

 「このご時世、腕があって、仲良くできる【ファミリア】は、多ければ多いほどいい」

 

 

 本来、彼等が活動しているのは『12階層』。

 技量も、装備も充実した一党であると、団長は太鼓判を押した。

 そんな彼等を、強化種というイレギュラーは呑み込もうとして、達成されなかったのだ。

 彼等の技量不足、という話でも───まあ、あると言えばあるのだが。

 それでも、下級冒険者の中では上位に入る者達だ。軍勢と化していなければ、キラーアント風情、彼等の敵ではない。

 そこに、戦士の一人がLv.2に至ったとなれば、その戦力はバカにならない。

 

 迷宮都市、暗黒期。

 闇派閥が台頭し、治安の悪くなる一方な現状、今回の事件は自派閥を守るための一助となったのだと。

 

 「まあ、【アポロン・ファミリア】は闇でもなければがっつり秩序という訳でもなし、ただ自衛してればいいんだから、気楽なものさ」

 

 

 

 これは日常の一幕。

 イベントには至らない、倍速で片付けられた一件。

 異常事態(イレギュラー)が発生し、ある一党が潰え、ある一党が救われたというだけの話。

 魔王を討った勇者にはなれず、与えられたモノは感謝と友誼。

 

 だからこそ。

 迷宮都市最高の楽士、小さな剣豪、未だ未熟な神官戦士、それに悪戯の妖精という、なんともちぐはぐな一党。

 彼等は今日も迷宮へ往く。

 

 

 




フリュー

 妖精の瞳を占星術で運営する魔眼保有者(カラットホルダー)
 臨時収入だ! やったぜ! と思っている。
 今日の分の稼ぎも含めて社にシュゥゥゥーッ、した。
 アポロン様もお手紙を出すらしい。月女神と太陽神が仲良くできるだろうか、と少し不安になっている。


ヒュアキントス

 今回のMVP。というより、彼の見せ場が欲しいがためにこの幕間は作成された。
 勇気ある戦士を救った神官戦士(見習い)にして、敬虔なるアポロンさますこすこの民。
 原作では、団長としての激務に追われたり、オルフェ団長の跡目として不甲斐ない自分への嫌悪感とかで信仰を失ってしまっている、という設定。
 この一件の後、フリューくんちゃんに弟子入りを申し出たが、『湾刀と剣はちょっと違うから……』とすっぱり断られている。悲しみ。

 《奇跡》の師匠はもちろんソラール。ヒュアキントスより文字通り格上の神官戦士の活躍は……けっこう遠い()

 《奇跡》や《魔術》など、本来の原作にはなさそうな代物を多く扱っていますが、雰囲気で楽しんでいただければいいなあ、と思っております。よろしくお願いします。


団長殿

 後衛系団長。歌っ(バフし)()れるイケメン。
 幾度もの遠征で鍛え上げた辣腕を振るい、今回の事件で最高の結果を残した。ヒューッ!
 楽士としては、原作の椿のような立ち位置。つまり迷宮都市最高。オルフェウスだから多少はね?


妖精パック

 愉快な悪戯者。
 自分の存在がかなりの規格外であることをよく理解しており、幹部勢と主以外に姿を晒さない妖精。
 単純な知性では団長を上回る。
 自立型の《妖精術使い》で、自分で燃料作って自分で燃焼する。仲間がひとり増えたようなもの。
 フリューを我が王と呼び、騎士のように、友人のように仕えている……のだが、その姿勢があまりにも平時の悪戯クソ野郎からかけ離れているので、色んな意味で警戒されている。


アポロン様

ア「住所とか知ってる?」
フ「(知ら)ないです」
ア「だよね!!!!!」

 という訳で(彼にとっては都合よく)、彼の知り合いの運び屋に手紙を運搬させた。
 さてどうなることやら、と神妙な顔をしている。



 書いてて楽しかった(小並感)。
 やっぱ……みんなが活躍してるのは……最高やな!
 私はワールドトリガーとゴブリンスレイヤーが大好きです(隙自語)。

 誤字脱字などありましたらご一報くださいませい!

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