TSロリが逝くダンまちゲーRTA   作:原子番号16

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ヒュアキントスくん視点に苦心した挙げ句、掟やぶりの三視点全動員に手を出したので初投稿です。

佐藤東沙様から大量の誤字報告をいただきました。本当にありがとうございます。お恥ずかしい……
so-tak様から誤字報告をいただきました。ありがとうございます。

追記 2月19日(水)
【半端者】の内容を修正しました。申し訳ナス!

追記 2月21日(金)
《双頭竜の篭手》についての記述を消しました。重ね重ね申し訳ないです。

追記 3月23日(月)
【一意専心】の内容を修正しました。仏の顔も三度ってはっきりわかんだね(謝罪)


mp.4『邂逅/太陽の男神』

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 「髪を撫でてもいいかな?」

 

 ───貴方は彼の要望を手痛く突っぱねてもいいし、受け入れてもいい。

 

 

→【……どうぞ】

 

すみません、そういうのはちょっと……

 

 

 貴方は熟考の末、今日知り合ったばかりの、太陽の男神に頭を差し出した。

 隣に座る男神は、一瞬の逡巡(しゅんじゅん)を経て、おずおずと貴方へと手を伸ばす。

 そうして、壊れ物を扱うかのように、愛しい人の頬を愛撫するかのように、貴方の銀の髪を()いた。

 

 「あぁ^~……」

 

 男神の声帯から零れ落ちる、間の抜けた、感嘆の言葉。

 それはつまり、この世全ての女性を虜にしかねない魅惑のバリトンに違いなかった。

 タケミカヅチを始めとする【社】の男神達のそれが『硬い』と言うつもりはないが、しかしこの男神───アポロンの声は、そう、『甘い』のだ。

 愛を囁くことを日常とする神である。

 はたして今日に至るまで何人の女性の頬を朱に染めてきたのだろうかと、一応肉体的には女性である貴方は、ぼんやりと考えていた。

 ───ちなみにこれは全くの蛇足だが(マテリアルが解禁されました)、愛を囁いた割合で言えば女性より男性の方が高かったりする。

 

 「……すまない、正気を失っていた。君を迎え入れてから、どのくらい経ってしまっただろうか」

 

 腕利きの斥候の頭の中には方位磁石やら砂時計やらが詰め込まれているらしいが、少なくとも貴方には当てはまらない。

 なので、貴方は部屋に備え付けられた豪奢な時計を見て、撫でるという行為に費やされた時間を申し上げた。

 アポロンは「マジか」と神々特有のスラングを口走り、しかし、撫でるのは止めなかった。

 

 「あぁいい。とてもいい、素晴らしい、この手触りだけで詩を綴ってしまいそうだ。いや綴るべきか。ともかく素晴らしい。いかんな、詩歌の神にあるまじき語彙力だ、いやしかし」

 

 アポロンの顔はほにゃりと歪んでいた。

 美の女神を目撃したとしてもこうはならないだろう。

 その表情に、貴方には見覚えがある。

 目撃例はいくつかあるが、最も鮮明に覚えているのは、社に引き取られた赤子が、初めて言葉を発した時のことだ。

 いわながひめ、と口にしたのだ。

 はたしてその赤子を抱えていた母親代わりの女神(イワナガヒメ様)は驚天動地の狂喜乱舞、赤子を携えたまま社を三周し、疲労困憊の上で、現在アポロンが浮かべているような顔をした。

 とすると、彼から向けられているのは親愛の類いだろうか。決めつけるのは早計だが、そう思っておいて問題はなさそうだった。

 貴方は、目と目があった瞬間から異様に執着してくる男神が、この忌々しい身体を求めている訳ではなさそうなことに安堵した。

 

 「我が妹、月女神(アルテミス)の恩寵篤き月の子よ。君を迎え入れられた幸運と運命に感謝しよう」

 

 そう口にしてから、ぽんぽん、と二回。貴方の頭をやさしく叩いて、アポロンは貴方への愛玩行為を止めた。

 

 

この発言について追及する

 

→【行動しない】

 

 

 貴方はアルテミスという単語に頭の隅っこを刺激されたが、さして気にすることでもないだろうと放置した。

 

 「さて、予定より遅くなってしまったが、早速【恩恵(ファルナ)】を与えようと思う」

 

 お互いに、表情が引き締まった。

 

 「といっても、そう大層なものではないが……背中に、直に触れる必要がある。私は男神故、抵抗はあるだろうが……」

 

 アポロンが二の句を告げる前に、貴方は既に脱衣に入っていた。

 恩恵の取得に関する知識は既に仕入れているので驚きはしないし、むしろ女神には触れられたくない。男神に触られたい訳でもないが。

 貴方はあっさりと半裸になって椅子に座り、アポロンに背を向けた。

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 クレイジーサイコシスコンにロックオンされてやはりヤバいRTA、不味いですわよ!(令嬢)

 

 

 アポロン兄貴は『銀髪』や『銀眼』などのキャラクターに対し、『月→月女神→アルテミスっぽい』とかいう三段論法めいたナニかによって『第一印象判定』にプラスの補正がされる特性を持っています。

 そしてフリューガーちゃんは銀髪銀眼の超絶美少女……あっ、ふーん。

 妹さんを想わせる子供に執着するくらいなら、さっさと仲直りすればいいと思うんですけど(禁句)。

 アルテミスとアポロンの関係については、ウィキを見ようね! わしも調べたんだからさ(同調圧力土方)。

 

 しかしここまでの反応は珍しいです。想定外とも言えます。入団試験免除はタァイム的には嬉しいですが……アポロンを含む一部の神様が主神の場合、好感度高くしすぎると監禁される危険が危ないんですよね。好感度調整に苦心する未来が見える見える……。

 

 

 まま、ええわ(休暇課題を最終日まで引きずる気質)。

 

 

 でも今は、そんな事はどうでもいいんだ、重要なことじゃない。ダンまちの醍醐味にして序盤の盛り上がりどころさん、おまちかねの【恩恵】タイムがやって来ますわよ奥さま!

 イヤァーッ!!(蜥蜴人銀(僧侶杉田)の祝詞)。

 

 このレギュレーションのRTAは、他のレギュレーション以上に特定の【魔法】、【スキル】を引くことが重要です。

 成長系スキルなしの一般冒険者を5年でLv.5まで到達させるのですから、真面目にコツコツアビリティ上げて、なんてやってる暇はありません。

 活用すべきは事前に獲得しておいた『特記事項』と『魔法』、『スキル』、そしてねるねるねるねよろしく練り込みまくったガバガバチャート! 低レベル低アビリティでなんとか強敵を撃破することを強いられているンだ!

 

 このゲームにおける【魔法】と【スキル】の発生条件は、設定されたフラグの達成です。ただしそのうちの半分くらいは血筋由来だったり種族由来だったりするので、なんでも自由に獲得できる訳ではありません。

 有名かつ困難なのは王族(ハイエルフ)なことが条件のヤツですね。リヴェリア様とかいう前例のせいで里から出るのが、もう気が狂うほど、キツいんじゃ。レッサーレゴラス軍団の目を盗んでのスニーキングとか確実に【ランクアップ】案件なんだよなぁ……加減しろ馬鹿。

 さて、これまでのムーヴでいくつかのフラグは達成しているつもりですが、どうですかねぇ? 目当てのスキル出てくれよなー頼むよー(走者特有の懇願)

 

 

 ……お、出ました!

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

フリューガー・グッドフェロー

 

Lv.1

力:I 0

耐久:I 0

器用:I 0

敏捷:I 0

魔力:I 0

 

魔法

【】

【】

 

スキル

半端者(カイネウス・ヴェール)

・《耐久》に高域補正。

・水上歩行可能。

・《水上》条件時全アビリティ超域補正。

・受け入れる程に強化。

 

一意専心(コンセントレイト)

・超集中。

・行使判定の達成値は精神状態に依存。

・《器用》値によって基準値減少。

・連続発動困難。失敗(ファンブル)時、一定時間理性蒸発。

 

妖精虹石(グラムサイト)

魔眼保有者(カラットホルダー)

・発展アビリティ《魔眼》獲得。等級は《魔力》に依存。潜在値含む。現在ランク『I』

・《魔力》に成長補正。

・妖精・精霊と親しくなる。

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 やったぜ。 投稿者:変態糞走者 (1月14日05時14分1919秒)

 

 無事に狙っていた二つ、そしておまけにひとつ追加で【スキル】を取得できました。

 フリューガーちゃんが脱いだ衣服を着ている間に説明を入れさせていただきます。

 

 【一意専心(コンセントレイト)】は、皆様ご存じの通り、RTA勢御用達の定番スキルです。

 取得条件は『長期間同じ物事を継続し』、『その物事に一定時間を費やす』こと。フリューガーくんの場合、道場での鍛練と夜間の写生で余裕の習得だったと思われます。

 こいつが御用達と言われる所以(ゆえん)はなんといっても、有能技能と名高い『超集中(コンセントレイト)』です。判定に成功することで達成値を上げることが出来ます。つまりはベルくんのぶっ壊れスキル【英雄願望(アルゴノゥト)】の劣化縮小版です。アルゴノゥトが強すぎるだけってそれ一。

 強いてこちらにしかない利点を挙げるなら、戦闘以外でもそれなりに使えます。料理とか。編み物とか。家庭的だぁ……

 

 【妖精虹石(グラムサイト)】は、特記事項『資質:妖精眼』を所持するキャラクターに自動的に付与されるユニークスキルです。RTAでお呼びがかかるのは珍しいかも。

 妖精眼はいわゆる【魔眼】にカテゴライズされる技能なのですが、観たものを焼いたり石にしたりは出来ません。主な効果は『魔力を視る』こと。占星術とタッグを組んで暴れてもらいます。

 

 最後に【半端者(カイネウス・ヴェール)】ですが、これは『背景:性転換』持ちのキャラクターに確率で付与されるレアスキルです。そういえばあったなそんなの……(失言)。確か魅力値によって確率が決まってたような気がします。

 チャートに書いてはありませんでしたが、思いがけないプラススキルで棚からぼたもちですね。小人族(パルゥム)の紙耐久を補ってくれるのは素直に有り難いです。水上での効果もアンフィス・バエナ戦で活躍してくれそうでいいぞーこれ。

 最後の一文は……ナオキです(白目)。

 

 

 何はともあれ、収穫の多い恩恵お披露目会でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 【恩恵】〈まだ俺のバトルフェイズは終了してませんよぉおおおおおおおお!!

 

 

 プレイヤー走者〈なんだとぉ……!

 

 

 という茶番は置いておいて、まだ恩恵獲得に関わるイベントは終了していません。

 あんだけ壮絶な背景持ってて占星術も修めてるフリューガーくんが、なんの【魔法】も発現させないなんて、あり得ませんよね?

 

 というわけで、()てがわれた私室でお休みした瞬間、イベントスタートです。

 

 無尽蔵に習得できる【スキル】とは異なり、個数制限のある【魔法】は、取得する際に特別な手順が発生します。それがこのイベントです。

 画面にフリューガーくんが映っていますが、これは彼女本人ではありません。原作四巻の魔本イベントで出てきた『本の中の(ベル)』と同じ存在です。

 彼女は、今までにフリューガーくんが立ててきた【魔法】に関するフラグに沿って言葉を投げかけ、選択肢を提示してきます。ここでの選択肢によって、発現する【魔法】の方向性が定められるんですね。

 

 今回、魔法に関して立てたフラグは二つです。

 RTAらしからぬ長い『家名』と、妖精の視認を可能とする『妖精眼』。この二つを合わせて、【魔法】を発現させます。

 

 

 それじゃあバシバシと細心の注意をはらって選択していきましょう(三倍速)。

 

 

 終わりました。

 くぅ~疲れましたw。これでお目当ての効果を持つ【魔法】が発現するはずです。

 

 それじゃあ起床致しましょう。

 起きたら飯食って冒険者登録して装備整えてダンジョンです。新米冒険者としての初陣ですが、中堅以上の派閥の場合、基本的に引率の方がついてきます。チュートリアルのためですね。探索に慣れてる冒険者兄貴が付いてくれるので、はじめての探索では死にません。

 戦士や武道家などの前衛職の場合は前衛職、魔道士などの後衛職の場合は後衛職の先輩が、武器の購入方法とか、装備の仕方とか、戦い方の基本なんかを丁寧丁寧丁寧に教えてくれます。

 主神様からの好感度によって宛がわれる人材の力量が決まるので、主神様からの『第一印象』を測る機会として重宝しますぜ。

 さて……今回の《仲間になりたそうにこちらを見ている》は誰ですかね……?

 

 ───ファッ!?

 こいつ、現アポロン・ファミリア団長殿じゃないですかヤダー! 過保護か(困惑)。いや、これ……これは流石におかしいです。確かに栄養失調気味のフリューガーくんの体は鶏ガラ並みですけど、それを差し引いても……考えるまでもなく好感度最高……監禁エンド……主神(女神)とヒロイン達による手枷足枷とろとろ生活……ヴァアアッ(トラウマ再発)。

 流行らせコラ案件にならないことをお祈りしなきゃ(胃潰瘍)。

 

 

 まあいいや(よくない)。

 大丈夫だって! ヘイキヘイキ、平気だから!

 

 

 悪いところばっかり見てると気が滅入るので、良いところを見ていきましょう。

 お付きの方が団長となれば、軍資金はたんまりです。予定していたより早期に装備を整えられるのは幸運と言えるでしょう。特に占星術師は用意しないといけない触媒(カタリスト)が多いので素直に有り難いです。

 お代は胃の安寧ですかね(吐血)。

 

 団長殿と一緒にご飯を食べつつ、会話をこなしていきます。

 この男性、原作では故人なのがもったいないくらい神的にいい人です。小柄かつてるてる坊主なフリューガーくんにも物腰柔らかに対応してくれてます。

 二つ名が【悲恋の奏者(オルフェウス)】な辺り色々とお察しです。奥さんのことお好き? この時期はまだ結婚してなかったっけ? お前ノンケかよぉ!?(残念でもなければ当然)。お前の()がけっこう好きだったんだよ!(大胆な告白は少女の特権)。

 この世界線では生還させてやるからなぁ、見とけよ見とけよ~。

 

 冒険者登録は倍速だ(十倍速)。

 受付嬢と話すことなんてないので(やることが)ないのです。しょうがないね。団長殿諸々の手続きオナシャス! センセンシャル!

 もちろん詳細なデータは渡しません。出自も年齢も不明でなれる職業があるってマジ?

 

 それでは【ヘファイストス・ファミリア】のテナントまで倍速します。

 武具に関しては特に理由がなければヘファイストス姉貴のところにお世話になるのが安価で確実です。顔通しも兼ねて神塔(バベル)のテナントで諸々の装備を購入します。

 

 やって来ました。新人鍛冶士の方々の作品で賑わうフロアに到着です。

 ここでお買い上げするのは、《鉄刀》一振りに《ナイフ》を三本、防具は《革の帽子》でも買っときましょうか。防具も買えというLv.3の無言の圧力に屈した訳ではありません、これだけははっきりと真実を伝えたかった。

 【幸運】と団長殿の目利きのおかげでいい感じの品を揃えることができました。団長兄貴ありがとナス!

 ……その手に持ってるのはなんですか団長殿。

 

 あ、ちょっ───流行らせコラ! 流行らせコラ!

 

 ……《太陽のネックレス》をいただきました。過保護……あまりに過保護……この装飾品は第二等級の防具で炎熱防御と精神耐性持ちです。正直めっちゃ嬉しいけどやめてくれよ……(矛盾)

 

 

 ま、まままええわ気にするほどでもなし。RTA走者は狼狽えないッ!(ドイツ軍人並)

 

 

 気を取り直して、ダンジョン初探索にイクゾー!! ……といったところで今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『フリューガー・グッドフェロー、です』

 

 

 幼くも美しい声音が響く。

 

 

 『冒険者となる目的は、仕送りのためです』

 

 

 月明かりのような輝きを秘める瞳に射抜かれる。

 

 

 『はい、脱ぎます』

 

 

 月の化身としか言い様のない肢体が、脳裏に焼き付いている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「───無様だな」

 

 

 彼は自嘲する。

 静かな夜。月明かりのみを光源とする暗い部屋。

 テーブルには、栓の開けられた酒瓶がずらりと並んでいる。

 

 

 「───全く、無様だ」

 

 

 ぐしゃりと。

 太陽の光を凝縮したような黄金の髪を握り潰す。

 

 

 「───呪うぞ。ああ呪うとも。あの子をここまで導いた【幸運】と【運命】とやらにくれてやるのは感謝ではない。

 遠矢の神(アポロン)の名に(たが)うことなく、恐るべき病魔をくれてやろう。医神ですら蘇らせられぬほどに死滅させてくれよう───」

 

 

 彼女は、月のような瞳をしていた。

 彼女は、月のような髪をしていた。

 彼女は、月のような躯をしていた。

 

 

 

 彼女は。彼女は。

 

 

 

 彼女の瞳は落ち窪み、長い間満足な睡眠を取れていないことが見てとれた。

 彼女の髪は乱雑に纏められ、痛み、月光を束ねて織り込んだかのごとき様相をこれでもかと貶めていた。

 彼女の躯は痩せ細り、肉と皮、剣を振るう筋肉のみを残して多くのものを欠落させていた。

 

 

 何より───彼女は、アポロン(おとこ)に裸体を晒すことに()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 「───ッ」

 

 頭に浮かんだ光景を打ち払うように、酒を呷る。

 香りを楽しむ余裕などない。

 高価な葡萄酒(ワイン)破落戸(ごろつき)共を酩酊の夢へ誘う安酒(エール)に成り下がる。

 ───構うものか。

 

 

 仕送りのために金がほしい、この言葉に偽りはない。神としての権能がそう告げている。

 だが、それ以外のことは、致命的に、知らない。

 彼女は何も語らない。

 

 

 

 最悪の光景が思い浮かぶ。

 

 月のごとき少女の尊厳が貶められる様を幻視する。

 

 下卑た笑い声、情欲に塗れた瞳。

 

 鈴の音が嗚咽を紡ぎ、か細い四肢が汚濁に穢される様が浮かび上がる。

 

 

 

 

 「ッ───おええぇぇぇええッ……!!」

 

 

 耐えきれず、吐瀉(としゃ)物を撒き散らした。

 神室に設けられた、神が寝そべるに相応しい寝台が汚泥に冒涜(おか)される。

 ───構うものか。ぐい、と乱暴に口許を拭って彼は笑った。

 

 

 「フリュー」

 

 

 掠れた声で彼女の名を綴る。

 

 

 「……私は、お前を───いや……そうだな。少なくとも……お前を囲う【死相】から、守らなければ……」

 

 

 

 

 夜はふける。

 

 太陽が昇ったなら、彼は普段通り、愛多き神として、愛する子らの前に立つだろう。

 

 主神の『悪酔い』に気づけたのは───かの団長と、まだ名を持たぬ『光寵童』だけだった。

 

 

 

 

 




フリュー
 自らの心を映す【恩恵】に『半端者』と告げられた時の心境なんて書けるわけないだろいい加減にしろ。
 星に例えられて嬉しく思っているけれど、私が星なわけないだろとマイナスにも思っている。
 がんばっておかねかせぐよ!


アポロン
 本作のゲロイン枠。すまん。
 最愛の妹にクリソツな少女がレイプ目であまりにもひどい有り様だったから色々と考え込んで発狂しかけた。
 なんも言ってないから余計に拗らせてる。事情を全部話してもそれはそれで狂う。月の子なのが悪い。別の神話の月女神(ツクヨミ)と親密な関係にあるのも関係してそう。
 フリューの【死相】がただ囲って閉じ込めるだけじゃあ拭えないモノだと直感してるので冒険者としての活動は認めている。
 私が……私が守護らねばならぬ……!


団長兄貴
 ヒュアキントスの前任。彼の死後、長いこと代理が務めていた団長の席に光寵童が座った。
 本名はオルフェ。ダンまちの世界には英雄にあやかった名前の人が多く、彼もそのひとり。竪琴がくっそ上手い。
 名前の元ネタの英雄を尊敬はしてるが振り向くつもりはないしそもそも嫁さんは絶対守護る。
 原作では死んでる、という設定。たぶんお嫁さんも冥界に行ってる。死因はとあるイベント。経験値(エクスペリエンス)回収のついでに達成して真のリア充にして差し上げろ。




半端者(カイネウス・ヴェール)】について
 元ネタはギリシャ神話のTS兄貴姉貴。ポセイドンの加護を持つ英雄でアルゴー船にも乗ってるが大英雄には劣る。
 性転換による精神の変化に応じて名称が変わる。今は『中途半端』な状態なので半端者。
 水上バフはくっそ活躍する予定。


一意専心(コンセントレイト)】について
 い つ も の (DX並感)
 精神を研ぎ澄ませて鋭い一撃を放つ感じ。大体本文で語り尽くしてる。
 理性蒸発とかいう地雷には気をつけよう!
 サイレンの魔女を許すな


妖精虹石(グラムサイト)
 レンタルマギカはいいぞ(ダイマ)。
 内容としては型月寄り。魔力を視ることと、妖精を視ることができる。
 妖精≠エルフ。精霊でもない。どちらかというとピクシー的な感じ。
 本編で詳しく説明されるかもしれない。
 蛇足だが、【魔眼】には適合率が設定されており、名称に『金・黄金』、『玉・宝玉』、『虹』が入ってると高め。適合率はLv.やその他の要因で割りと上がるので【魔眼】由来のスキルは名称が変わりやすかったりする。


走者兄貴のトラウマについて
 正義の女神とその眷属に……ヴァッ(吐血)。


 誤字脱字、ご指摘などありましたらどうぞご一報くださいませ。

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