小説版バンドリのヤンデレの様なそうでないような話集   作:現実逃避中

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旅行が中止になったので投稿します

※暴力描写があるので苦手な人は注意して閲覧してください


山吹沙綾

「ごめんね、ごめんね……」

 

 あなたは弱弱しく消え去りそうな声による謝罪と頬に当たる涙の感覚に暗闇に落ちていた意識を取り戻した。

 少し、意識が朦朧としている。あなたのぼんやりした視界には一人の少女が泣きながらこちらを見ていた。

 少しピンクがかった薄茶色の髪を後ろで結っている彼女は────―そう、山吹沙綾。あなたのかつてのバンド仲間で三刀流のライオンドラマーであり、今は────―

 そこまで考えたところで、あなたは不意に身体にかかる体重と暖かさを感じた。沙綾があなたに跨っている。

 そこまでわかったところで、あなたは自身の現状を思い出した。

 

 沙綾に呼ばれて彼女の部屋へ行き、部屋に入るなり彼女に押し倒されて、そして……

 

「ごめんね、ごめんね、ごめんね、ごめんね…………アは、ごめんね!!」

 

 沙綾は謝罪を繰り返す弱弱しく消え去りそうな声から一瞬で切り替えてドロドロと色々な感情が煮詰まった声を張り上げると、声に負けないぐらいに拳を振り上げて力いっぱいあなたに振り下ろした。

 あなたは抵抗せずその拳を受け入れた。ズガン! と衝撃の音がした……気がした。

 拳の衝撃で揺れる視界の中、あなたの見た沙綾は張り裂けそうな三日月の笑みを浮かべながらつぶらな瞳から涙を流していた。

 

 殴られたことの痛みよりも、彼女のそんな姿を見ることが痛い。

 けれど、本当に苦しんでいるのは彼女のはずである。

 何を間違えてしまったのだろうか、何が正しかったのか。

 

 再び拳を振り上げる沙綾の姿を視界に収めながら、あなたは過去を振り返る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あなたが山吹沙綾と出会ったのは中学生の時である。

 

 あなたは歌から離れてしまった香澄に気を使い、公園で寂しくギターを弾いていた。

 たった一月の友人との約束を忘れてはいなかった、しかし家の周辺でギターを弾くと香澄の目についてしまう可能性があり、少し家から離れた公園でギターを一人で引くのが習慣になっていた。

 自己満足だ、とあなたの中の誰かがあなたに言っていたが、あなたはその声を無視し続けた。

 

 誰もいない公園に寂しくギターの音色が響かせる日々。あなたは集中してギターを弾いていたので気が付かなかったが、変に見られていることもあるだろう。

 それでも構わなかった。誰かに聞かせるための音楽じゃない、あなたの中の誰かが言う通りただの自己満足だったから。

 ……しかし、あの日は違っていた。

 

『あはは、ごめんね? すっごくいい音だったから聴いちゃってたの』

 

 パチパチ、と演奏終わりのあなたを迎える音があった。

 あなたは、そこでようやくあなたを見つめている少女に気が付いた。

 拍手をしながら悪戯っ気のある笑みでこちらを見る少女────―それが、山吹沙綾との出会いだった。

 

 

 

 

 

 沙綾との交流の頻度は、幼馴染である香澄に比べれば劣るものの、あなたの中で彼女と話す時間は充実していた。

 聞けば沙綾は小学生のころからドラムにハマってしまい、ドラム練習パッドを自作して叩いているとの事だった。

 一度、彼女の自宅にお邪魔してその様子を見学させてもらったことがあるが、可憐な顔に反する烈火の如く熱い演奏を聴かせて貰った。

 

 

 

 あなたと彼女の関係に一度目の転機が訪れる。

 それはあなたが公園でギターを弾いていた時の事。

 あなたは沙綾という観客が出来た事でギターを弾くのにも熱が入るようになった。

 自己満足だ、という声がだいぶ聞こえなくなってきているある日、演奏終わりのあなたに突然かかる声があった。

 

『上を目指さない?』

 

 一瞬、こちらが竦みあがりそうになるほどの強い意志を持つ瞳。

 その瞳の持ち主があなたに手を差し伸べていた。

 

『バンドのメンバーを探している、頂点に行くために』

 

 強い言葉を吐き出すその姿は、まるで強大な敵に立ち向かう勇者の様だったとその時のあなたは感じていた。

 あなたはその勇者に中てられたのか、一も二も無くその手をつかみ取った。

 

 勇者が言うにはボーカル、ギター、キーボード、ベースは決まっているらしい。しかし、ドラムにピンとくるのがいないとの事。

 ……だから、あなたは沙綾を紹介した。烈火の如きライオンドラマーを知っていると。

 勇者は取りあえず音を聴いてから考えるといって、沙綾の演奏を聴きに行くことにした様だ。

 

 出会うなり、『ドラムを聴かせろ』という勇者に沙綾は目をぱちくりさせながらあなたの方を困惑した様子で見てきた。

 あなたはその様子に苦笑しながら、勇者がメンバーを探している事、自分もメンバーになった事、ドラマーを今探していることを説明した。

 

『もう……そう言うことならちゃんと先に説明してよね』

 

 あなたの頭へごちんとチョップを繰り出す沙綾だったが、その眼は燃えていた。

 彼女も念願のバンドを行う機会が来たことに喜んでいるのが見て取れた。

 そして、沙綾は勇者の前で烈火の如きライオンドラムを叩き──────―

 あなたと沙綾の関係は【バンドメンバー】へと変わった。

 

 

 勇者が集めた仲間(メンバー)は才も意欲も溢れていた。

 妥協をしない勇者の姿勢もあり、練習は厳しかったものの誰もへこたれずに付いていった。

 あなたにも願いと思いがあった。自分が本気で音楽をしている姿を見れば香澄はかつての星の少女を取り戻すのではないかという願い。かつて約束した少年との約束を果たせるという思い。いつしか、自己満足だ、という声は聞くことは無くなっていた。

 沙綾もまた、仲間たちと最高の音楽をするという思いを胸にドラムを叩いていた。

 5人は始まりも胸に秘めた物もバラバラだったが、それでも一つとなりて大きく星の様に輝いていた。

 

 そんな無敵の勇者の仲間たち(バンド)は快進撃を続け、気が付けば大きなバンドのコンクールに参加することになった。

 あなたの所属しているバンドは下馬評では優勝候補。そして、その実力も期待に違わぬほど。

 コンクールの決勝に進んだが、他のバンドとの実力差は大きく、誰もがあなたたちのバンドの優勝を疑わなかった。

 

 

 

 しかし、運命の神様は悪戯好きである。

 あなたと彼女の関係にニ度目の転機が訪れようとしていた。

 バンドコンクールの決勝の当日。沙綾から父親が倒れたとの連絡が入った。

『5人がそろってこそ最強のバンド』勇者は言った。その言葉に異を唱えるものは誰もいなかった。

 あなたたちは駅で沙綾を待ち続け……しかし、沙綾は駅には現れなかった。

 

 

 

 沙綾を責めるものは誰もいなかった。

 あれほど頂点を望んでいた勇者でさえ『誰のせいでもない』と沙綾に言葉をかけた。

 しかし、沙綾は『迷惑を掛けたからバンドを抜ける』と言ってきかなかった。

 沙綾はその日以降、バンドの練習に来ることは無かった。

 

 あなたは他のメンバーよりも沙綾との付き合いが長かった。その分、沙綾の目にある悲しみを他のメンバーよりも多く感じ取った。感じ取ってしまった。

 だから、他のメンバーが沙綾の事を諦める中、あなたは諦めきれずに何度も沙綾の元へ通い続け、話をした。

 自分が店を手伝う、弟たちの面倒を見るのを手伝う、バンドに復帰しなくてもいいからせめてドラムは続けてほしい……自分でもしつこいと感じながらも何度も訴えたが、沙綾は首を振ってその訴えを退け続けた。

 

 

 

 雨の降るある日。

 あなたが沙綾を説得しようと家に向かう途中、沙綾と出会った公園に沙綾が傘もささずに一人でいるのを見つけた。

 沙綾は雨と涙で濡れていた。

 あなたは慌てて駆け寄ると、自分の傘を差し出した。

 

『ありがとう』

 

 駆け寄ってきたあなたに一瞬驚いた後、無理をした笑みで沙綾はあなたに微笑んだ。やはりその瞳には悲しみがあるのをあなたは感じ取った。……悲しみしかあなたは感じ取れなかった。

 沙綾の泣いている顔が嫌だった。ドラムを続けていなくとも沙綾には笑ってほしかった。……どこかで香澄に重ねていたのかもしれない。

 だから、

 

 沙綾の為なら何でもするから言ってくれ

 

 あなたは沙綾にそう言った。

 その言葉を聞いた沙綾は、

 

『……あ、は…………あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっっっ!!! 

 

 降りしきる雨の音を消し去るくらいの大哄笑。

 あなたは、天を見上げて笑う沙綾のそんな姿を見るのは初めてだった。そして、同時に何かを間違えてしまった様な、踏んではいけないものを踏んでしまった様な嫌な予感があなたの全身を襲った。

 

『……じゃあ、ギター辞めてよ。私の為なら何でもできるんでしょ? 辞めてよ、さあ、辞めてよっ!! 

 

 笑いを止め、あなたを見つめて言葉を吐き捨てる沙綾の瞳に宿るのは先ほどまでの悲しみと違い、怒りと憎悪。

 あなたに詰め寄る沙綾の表情は、圧は本気そのもの。あなたに本気でギターを辞めろと迫っていた。

 あなたは、沙綾の雰囲気に飲みこまれた。自己満足だ、と久しく聞こえていなかったハズの声が再び聞こえて来た。それでも、それで沙綾の傷を癒せるなら──────────―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからあなたギターを辞め、バンドを引退した。

 仲間から詰問されたこともあったが理由は言わなかった。ただただ、仲間に頭を下げ続けた。

 

 

 

 あなたは沙綾の言う事を可能な限り聞き続けた。

 最初は手が離せないからアレを買ってきてほしい、疲れたから甘いものが食べたい程度の願いだったが、現在は沙綾にストレスが溜まると呼ばれて殴られているのが殆どだった。

 あなたは殴られることに関して一切抵抗しなかった。何が正しいのか、何を間違ってしまったのか、どうすればいいのか、あなたには何も分からなかった。そして、それ以上に「どうして私だけ」「苦しい、辛い」「お母さん、何で……」沙綾の吐き出す言葉が表情が、あなたから抵抗の意識を奪っていた。

 

 今の彼女との関係は何だろう? とあなたは思う。まともな友人関係でないのは分かっていた。

 

 湊、上原、白金……ごめん

 

 沙綾のことを考える度にいつも心の中で裏切ってしまったバンドメンバーを思い出し、詫び続けている。

 自分は何もできなかった、だれか沙綾を救ってほしい、とあなたは誰にでもなく願っている。

 

 

 

 

 

(ごめんね……)

 

 山吹沙綾は組み敷いている少年を見ていつもそう思う。

 二人の出会いは公園だった。

 一人寂しくギターを演奏している少年にたまたま声をかけたのがきっかけ。

 良く話すようになっているうちに、彼のギターに変化が訪れた。寂しさが薄まり、心地の良い音楽が奏でられるようになった。

 沙綾は彼のその音楽が大好きだった。いつも近くで聞いていたい、一緒に音を奏でたいと常々思っていた。

 だから彼にバンドメンバーへ紹介された時もチョップはしたけれど、ものすごく喜んでいたし、練習にも本気だった。

 

 

 

 いつも世界は沙綾の思い通りにはいかない。

 母が無くなった時も、父が酒浸りになった時もそうだった。

 父が倒れた。そのことを知った時、沙綾は目の前が真っ暗になった。

 泣き叫ぶ弟たちを宥め、病院へ付き添い、仲間に謝罪し……コンクールの決勝を逃した。

 仲間は誰も責めなかった。皆、沙綾の事を心配してくれた。それがありがたかったが、同時に申し訳なかった。

 だから、沙綾はバンドを抜けることにした。皆の夢を壊したくなかったから。せめて、彼の音楽を守りたかったから。

 

 なのに……世界は沙綾の思い通りにはならない。

 彼は足繁く沙綾の元へ通った。そのことは嬉しかったが、申し訳なさもあった。

 

『私の事は気にしなくていいから、君は君の音楽を続けて』

 

 沙綾は彼に何度もそう言ったが、彼は頑固だった。首を振り、何度も何度も沙綾の手助けをしようとやってきた。

 

 それが────────────────────たまらなく嫌だった。

 

 彼が自分の事に通ってきてくれることは嬉しい、彼が自分にかまうって音楽をしていないが嫌い、彼に心配をかけている自分が嫌い、彼が私の事を考えてくれるのが好き……様々な感情で沙綾の心の中は不安定だった。

 

 そして、朝早くからパン屋の手伝いをし、弟たちの面倒を見て、夜に勉強のルーチンを繰り返していると肉体の方にもストレスが掛かる。肉体が弱くなると精神も引きずられる。

 あの雨の日、弟たちを幼稚園に連れていった時の事、誰かが言った言葉が沙綾の胸を貫いた。

『陸くん達、時々他のお母さんを見てるのよね。やっぱりお姉ちゃんじゃ不足なのかしら』

 普段の沙綾なら、ちくりと感じることはあっても笑い流すことのできる言葉。しかし、疲れていた沙綾にとっては自分が責められているかのように感じてしまった。

 先生か他のお母さんか、誰が言ったのかは覚えてないが、傘もささずに幼稚園を飛び出して、彼と出会った公園で雨に打たれながら泣いていた。

 

 そこに彼が現れた。何てタイミング! と沙綾は運命の神を密かに呪っていた。彼には泣いている所を見られたくなかった。

 傘を差し出してくれた時に『ありがとう』と無理やり微笑んでみたが、やはり彼には通じなかったようだ。

 

 笑顔に惑わされずに私の事を考えてくれる彼が好き、笑顔に騙されないで心配する彼が嫌い

 

 疲れている肉体と精神が沙綾を不安定にさせる。

 嬉しいのか怒っているのか、自分でも感情の整理が付かない。

 

(お願い、優しくしないで……)

 

 世界は沙綾の思い通りにはならない。

 沙綾の姿を見た彼は意を決したようにこう告げた。

 

 沙綾の為なら何でもするから言ってくれ、と。

 

『……あ、は…………あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっっっ!!! 

 

 

 自分でもおかしなくらいの大哄笑。

 

 私の事を心配してくれる彼が好き、私の思い通りにならない彼が嫌い、嫌い、嫌い、好き、好き、嫌い、好き、嫌い、好き、好き、嫌い、嫌い、嫌い、好き、嫌い、好き、嫌い、好き好き好き好き好き嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い

 

 

 心がぐちゃぐちゃになる。自分でもどうしようもできない。精神に引きずられた肉体が勝手な言葉を紡ぎたす。

 

『……じゃあ、ギター辞めてよ。私の為なら何でもできるんでしょ? 辞めてよ、さあ、辞めてよっ!! 

(お願い、辞めないで。私の事なんか見捨てて。私の事を嫌いになって。私の好きな君の音楽を続けて、お願い!)

 

 世界は沙綾の思い通りにはならない。

 その言葉を受けた彼は、それ以降二度と沙綾の前でギターを弾くことは無かった。

 

 

 

 それ以来二人の関係は歪なものになってしまった。

 彼は沙綾のお願いや我儘は本当に可能な限り聞いてくれた。

 その事が嬉しいし嫌い。彼には離れてほしいし傍にいてほしい。

 矛盾した感情たちが沙綾の心を苛む。

 

 ある日、あの雨の日の様に限界を迎えた時、部屋に呼び寄せた彼を殴ってしまった。

 彼は驚いていたが、抵抗する様子なく沙綾の拳を受け入れた。

 馬乗りになり、彼を見下して言う。

 

『嫌いになった? 逃げるなら今のうちだよ』

(嫌わないで、逃げないで……)

 

 相反する思いが胸の中で渦巻く。

 彼は逃げなかった。ただただ静かな眼をして沙綾を見ていた。

 

 その眼が嫌い、逃げない彼が嫌い、彼が逃げないのが嬉しい、私の思い通りになる彼が嫌い、私の思い通りになる彼が好き、こんな私を嫌わないでくれる彼が好き、こんな私を嫌わない彼が嫌い

 

『……逃げないんだ? じゃあ、容赦しないからね……!』

 

 その時の自分が泣いていたのか、怒っていたのか、笑顔を浮かべていたのか、悲しんでいたのか沙綾は覚えていない。ただ、拳を振り上げた事だけは覚えている。

 

 

 

 

 

「ごめんね、ごめんね、ごめんね、ごめんね…………アは、ごめんね!!」

 

 今も沙綾は彼に向って拳を振り下ろしている。

 

 彼に嫌ってほしいと思う自分がいる、だから拳を振り上げる。

 彼に逃げないでほしいと思う自分がいる、だから拳を振り上げて彼を試す。

 彼が嫌いだと思う自分がいる、だから拳を振り上げる。

 彼を好きだと思う自分がいる、なのに拳を振り上げる。

 

 男の子が好きな女の子にワザと意地悪をするかのように沙綾は彼に拳を振り上げる。

 ごめんね、と彼に謝罪する気持ちに嘘は無い。けれど、もう沙綾自身が自分の行いを止められない。

 これもまた特別な関係と嘯く悪魔が沙綾の中にいる。違う、とそれを否定しつつも受け入れている沙綾がいる。

 

「最近、ギターを教えてるんだって? それ、辞めてよ。私の言うこと聞くんでしょ?」

 

 笑顔で友人を傷つける言葉を吐き出す。

 彼は、それだけは言う事を聞かなかった。

 首を振る彼に笑顔のまま、罰だといわんばかりに、彼へごちんと拳を見舞う。

 

 彼に嫌ってほしい見捨ててほしいと思う自分と彼に嫌われたくない離したくないと思う自分がいる。

 彼がギターを教えていることを知った時、怒りと恐怖と喜びと悲しみが一度に沙綾を襲った。

 それ以降、彼に拳を振り上げることが多くなったように思う。申し訳なく思いながらも沙綾は自分の心と身体を止めることが出来なかった。

 

(お願い、誰でもいいから彼を救ってあげて……私なんかどうでもいいから……)

 

 間違いも正しいことも沙綾にはわからない。

 再び、「ギター教えるの辞めてってば」と身体が勝手に言葉を紡ぐ。

 首を振る彼に再び拳を振り上げて────────────

 

 やっぱり世界()は沙綾の思い通りにはならなかった。

 




小説版の沙綾とアニメ・アプリ版の沙綾が入れ替わるという最高のSSがある
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