子供は無軌道に、そして無造作に物を壊す。
白い壁の表面に絵を描き塗りつぶし、おもちゃを振り回してぶつけ破壊する。
アリを虫眼鏡で焼くことも、虫を羽をもいだ上で潰すこともある。
雑な破壊。雑な暴虐。雑な処分。
街の外壁を守る兵士達が見たのは、まさにそんな破壊だった。
「……なんなんです、これ」
大陸中央に存在する商業都市国家の連合体、カルディナ。
この街はそんなカルディナに属する都市の一つ。
特別名物もないが水資源が豊富で、立地も悪くないためそこそこの扱いを受けている。
特産物がなく、狩場としてもさして優れていないことから
しかしそのため逆に争いが少なく、過ごしやすいためカルディナ内での休暇時の穴場と知られているちょっとした場所だ。
とはいえ全く戦力が必要とされないわけでもない。
盗賊の来訪や、
そうした者達を排除するために外壁があり、また少数ながら兵士がいるのだ。
兵士は外壁に上り《遠視》で周囲を確認し、異常があれば上官に知らせ、増援を要請する。
何匹かモンスターが来た程度であれば上から攻撃をすれば逃げていく。
定時交代制とはいえ、延々と辺りを見渡し続ける暇な仕事。
砂漠らしく、外壁から見渡せる範囲には少々の木と砂丘のみ。
そんな風景が今や、
「ああ、お前は新入りだから知らんのか」
砂丘の形が大きく変わり、昨日までとはまるで違う位置に山と谷がある。
この付近は典型的な砂砂漠だ。強風が続けば地形が変わることもある。
しかしこれだけ大規模に、短時間で変わることはそうない。
また空気は普段より熱く、この砂漠に慣れた兵士にさえ喉の渇きを否応なしに感じさせる。
よく見れば地面には融けたような跡もある。
なにより、見渡す限り、動物が一匹たりとも存在しない。
配属されて数週間も経たない新米の兵士は、驚きと恐怖を隠せなかった。
「あの、噂の<超級>とか言うやつの仕業ですか?
それともどこかの<UBM>が流れてきたんでしょうか」
<超級>。現行
<マスター>ならば例外なく固有の能力、<エンブリオ>を持つが、彼らはそれを最高ランクにまで育てている。
どんな能力でも、最大限に強化すれば強い。そういう存在だ。
彼らの中には地形を変えるほどの火力を発揮する者も数多い。
街を出たことがない
そして<UBM>。ユニーク・ボス・モンスター。
強さは上から下までピンキリであり、ユニークの通りあらゆる点で個性的だが、「特異な能力を持つ」ことだけは共通している。
モンスターの<エンブリオ>保有者と言っても過言ではない彼らの一部もまた、時に大地を揺るがすほどの力を発揮する。
自ら探しに行かなければそうそう遭遇出来ない怪物達だが、その危険性は兵士であるなら口を酸っぱくして語られている。
しかし彼の相方、先輩の兵士はそのどちらでもないという。
「こりゃウチ所属の<マスター>の仕業だよ。
<超級>でもなけりゃ超級職にも就いてない、自称どこにでもいる一般<マスター>だそうだ」
「こんなことできるのがどこにでもいるんですか!?
……<マスター>って怖いですね」
「俺も数見たわけじゃないが、ありゃだいぶ変わり種だと思うがね」
先輩兵士は肩をすくめ、職務に戻る。
<マスター>の脅威を肌で感じた新米兵士はしばらく動揺していたが、やがて仕事に集中し出した。
警戒したとて、何かができるわけじゃない。
ましてただモンスターを倒しただけの人間を警戒しても仕方がない。
兵士達が見慣れない姿の砂丘を眺める中、手前の丘に隠れて、奥の砂丘がまた一つ形を変えていた。
大陸中央に広がる砂漠地帯、カルディナ大砂漠。
それは街を少し離れれば凶暴な怪物達が巣食っており、少ないリソースを奪い合い殺し合っている危険地域だ。
その中を一人、軽装の若者が歩いていた。
体を薄汚れたローブで覆い、更に傘までさしている。
傘の表面はいかなる加工か鏡のようになっており、また汚れ一つない。
砂漠の強い太陽光をも跳ね返し、キラキラと輝く傘。
空の獰猛な猛禽に居場所を知らせるようなものだが、何一つ寄って来ない。
地上の獣も、空中の鳥も、地中の怪物さえ集まらない。
その理由は二つあり、その原因は一つだった。
気温と日光、そして若者の<エンブリオ>である。
端的に言えば、彼の周囲は
元より強い日光が苛烈さを増し、かつそれどころではなく強化されている。
保有熱量が超増大し、大気内の減少量が減ったことで、周囲の空気は超高温。
まるですぐ近くに太陽があるかのような、物質が中に入れば即発火するような気温。
人体の発火点は一説によれば360℃程度であるという。
この
脂肪が詰まった生物はこの空間内では大炎上して死ぬだけだ。
強い日差しに慣れた大地の砂さえも一部溶け、半ば泥のようになっている場所さえある。
空気は大膨張し気流を起こし、直接日光強化が効く範囲外にまで影響を及ぼしている。
それはもはや、一つの災害であった。
それが彼の
【
あるところに、役人になったばかりの賢く志高い人がいた。
そんな彼を見込んだある人が、今を時めく宰相に紹介してあげようと持ち掛ける。
しかし彼はそれを断る。
曰く、「人は彼を泰山のように安泰と思うが、私からすれば氷山に見える。ある日、太陽が照ればすぐに融けてしまうだろう」と。
中国の五代十国時代の書、『開元天宝遺事』の一節である。
そしてその文の一部が『以吾所見乃氷山也』だ。
対象を自分からすれば日に照らされれば氷山の様に融ける存在であるとする一文。
転じて、範囲内ではあらゆる物が氷山のように融けるほど日光を強化する
範囲内ならば日光を僅かに反射した月光でさえ日中以上に世界を照らす。
最上の<超級>に満たない<上級エンブリオ>のスキルでありながら、ただ光のみを物理的に強化すること、一切の制御が存在しないことから広域殲滅を果たせる希少な能力。
本人も滅光が照らす範囲の例外ではなく、彼が生きているのは
まったく小回りが利かず、気軽な使用をすれば国際指名手配は免れない能力。
しかし案外、使用者本人は気に入っていた。
(視界の全てが光に包まれ、全てが融ける風景は良いものだ)
思い出す。
何も考えていない、バカな子供時代。
冷凍庫の氷を無意味に大量に持ち出し、流水や体温で次々溶かした時のことを。
(なつかしい)
最終的に最も気に入ったのは、暑さで僅かに融けたコンクリートの上に乗せ、日光と地熱で見る間に融かす光景だった。
輝かしい太陽と、融けていく氷。
結局、彼は親に全ての氷を無駄に融かしたことでひたすら叱られたが。
人生の中でやってよかったと思えることの上位に君臨する思い出だ。
(さて)
今回彼がこの<エンブリオ>を使ってまで何処かへと向かっていた理由は、単なる暇つぶしでも日課のモンスター駆逐のためでもない。
また、経験値を稼ぎ
彼はもう就ける職業のレベルを上げ終わっており、強化の余地がない。
職業を組み直し構築からやり直すほどの必要性も感じておらず、これ以上を求めるならば超級職に就くしかない。
しかし彼の<エンブリオ>は単体で完結している。
簡単に就ける超級職は既に席が埋まっており、逆にそれ以外のものに就くのは困難だ。
そんな彼が唯一求めているのが、<UBM>を倒した際に得られる固有の能力を持つ武具。
特典武具と呼ばれるそれである。
手に入れば己を手軽に強化できる道具。
多くの<UBM>は常に討伐依頼が出され、能力がいくらか分かっているものもいる。
その中から自分に合っていそうなものを選び、倒しに行く。
機動力が低い彼はしばしば獲物を逃したり、他の者に倒されるが、彼の持つ傘、【反光傘 ルミナール】は珍しく手に入った特典武具である。
固有
倒すのには苦労したものの、これまで光対策にも割いていたリソースを熱対策にのみ割くことで、比較的安定して長時間戦えるようになった。
そして今回の狙いもそんな<UBM>の一つ。
街に来る行商から情報を得た、倒せば都合がいい特典武具を
行方を追っていたところ、運良くこの付近に向かっているという。
彼も初めは喜んだが、情報を得るにつれ機嫌が悪くなっていった。
理由は一つ。原因も一つ。
理由は、どうやら<UBM>は彼の住む街を狙っているようであるということ。
そこにある水資源か、或いはそれ以外の何かか。
彼が倒せなかった場合、<UBM>はたいした戦力のない街を容易く滅ぼすだろう。
街に特別深く関係した人間がいるわけでもない。
時々おまけしてくれる飯屋のおばさんや屋台のおっちゃん、いつも世話になっている持ち家の家政婦、通りを歩いていると毎回挨拶してくれる老人。
どこまでが
関係が深くない彼にとっては、全て等しくただの人。
NPCの命やゲーム内の人間関係などどうでもいいと、理性ではわかっている。
ゲームを辞めて現実に戻ればすぐに忘れてしまうだろう。
だとしても、彼らが纏めて殺されることを想像すると、なんとなく気分が悪かった。
その感情を彼が自覚していれば、
彼らが死ねば嫌な気分になることを無意識のうちに理解している。
故に無意識に苛立ち、自覚のないままに決意は苛烈になっていた。
(必ず、潰す)
そして何時間か歩いた果て、遂に<UBM>と向かい合う。
「これはまた、随分と大きい」
殺意を持っていた彼が、思わず感嘆の声を上げてしまうような相手。
姿はどこかトカゲにも似た四足歩行。
顔は歪み、どこか滑稽にも見えるが、口から見える鋭い牙と目つきは凶悪さを表している。
全身の皮膚は鉱物のように硬く分厚く、
そして何より、全身から熱波を放ち、周辺の気温を格段に上げていた。
ここが砂漠で良かった。
ここがまともに草が生える場所であれば、荒野であっても焔が瞬く間に広がっただろう。
仮に森林であったなら、その全てをも焼き尽くしたかもしれない熱波。
頭の上に見える表示から、彼はそれが目当ての<UBM>であることを確信する。
【赫灼怪獣 ブロウザー】。
それが彼が倒すべき"敵"の名であった。
周囲の気流さえ変化させるほどの高熱と、それに耐える強靭な皮膚。
ある種、彼と同じタイプの戦闘スタイル。
彼と違うのは、高い
移動速度・行動速度こそ遅いが、その五体が秘める筋力は比べ物にならないだろう。
皮膚の強靭さも並大抵ではなく、【アマテラス】により強化された日光を喰らってもなお、一切のダメージを受けていない。
通常の生命とは思えない熱耐性と巨体。
しかしそれこそが空前絶後の
そして【アマテラス】の光が通じないということは、攻撃手段がないということでもある。
戦いにさえならない状況下、【ブロウザー】は彼を気にも留めずに直進する。
止められない、止まらない。
どうしようもない敵に、しかし彼は
(…………)
何も考えず、【ブロウザー】を【アマテラス】の範囲に捉えながら、道を譲る。
相乗効果により超上昇した熱量になんとか耐えながら、時折水やポーションを飲み回復。
数分、数十分、数時間を、そうして過ごす。
暇つぶしの手段もなく、ただ燃える空間を眺める。
(火だ)
【アマテラス】ではこうはいかない。
【アマテラス】は空間を区切り、全てを融かす。
【ブロウザー】は熱波を放ち続け、全てを燃やす。
方向性の違い。
彼が求めたのは光。なにもかもを融かし消す極光。
怪物が使うのは熱波。世界を燃やし広がる炎。
近くて遠い関係性。
「形が違えば友達になれたかも」とまでは、流石に彼も思わなかったが。
「こういったものもあるのだな」とは思った。
そして数時間経過し、怪獣がもう少し進めば街にまで影響が及ぶと思われたタイミングで。
彼は最後の切り札を切った。
「【アマテラス】―――《
それは彼の<エンブリオ>【輝耀煌晃 アマテラス】のスキル。
<エンブリオ>の名を冠した、
使用の宣言と共に、【アマテラス】の範囲内の光が全て消え、同時に
視界が暗闇に染まり、生命もまた暗闇に消える。
《光と共に消え去れ》とは天照大御神が逸話、岩戸隠れにまつわるスキル。
天照大御神が岩戸に隠れ、世界は暗闇に包まれた。
このスキルもまた同様。<エンブリオ>の自壊を代償に範囲内の光を全て消し、同時に熱をも消すスキルだ。
範囲内で光に当たった物質・生物から、1秒につき1℃分温度を下げる。
一分であれば60℃。一時間であれば3600℃。三時間であれば下がる温度は1万℃を越える。
生存に温度を必要とする生物であれば怪物であろうと死亡する、必殺の名に恥じぬ力。
範囲内に存在する生物である己自身もまた死亡する、諸刃の剣。
だが、彼はまだ動いていた。
死亡後も僅かな時間活動できる【死兵】のスキル、《ラスト・コマンド》。
《暗視》と《透視》の合わせ技で暗闇の中で【ブロウザー】の死を確認した後、ようやく満足して
特典武具を手に入れたこと、そしてそれ以外にも……どこか、気分の良さを感じながら。
【<UBM>【赫灼怪獣 ブロウザー】が討伐されました】
【MVPを選出します】
【【ライト】がMVPに選出されました】
【【ライト】にMVP特典【
よって彼が次にログインしたのは次の日だった。
どの道昨日は<UBM>を倒したらログアウトするつもりだったため、あまり意味はなかったが。
セーブポイントに設定されていた街の中央広場から離れ、足早に家へと向かう。
特典武具の確認をするには、物理的に遮断された場所が望ましい。
要するに自宅でゆっくり確認したかったのだ。
「おや、こんにちは」
「こんにちは」
いつものご老人に軽く会釈しながら挨拶を返し、歩き続ける。
大通りをしばらく歩くと、どこからかいい匂いが流れてきた。
なにかが適度に焼けている香り。
匂いの元を辿ると、これまたいつもの屋台がある。
客から金を受け取り商品を渡していた店主のおっちゃんが顔を上げ、彼に気付く。
「おお、あんちゃんか! 今日は良い肉が入ってるぞ~」
「じゃあ、ひとつだけ」
金を払い、商品を買う。
片手で持ち、そのままかぶりつけるような形状はこの辺の屋台の基本形だ。
量もそう多くないため、まず食べてみて、美味かったら追加で買うのが定番。
そして今日の肉は、十二分に美味かった。
気分よく追加で買い、アイテムボックスに収納する。
食べ終わった後のゴミもアイテムボックスに叩き込めばかさばらず、汚れずに済む。
現実にもあればいいのにと彼は思うも、ないのだから仕方がない。
腹がいくらか満たされたことで足取りは更に軽く、数分で家に着いた。
広域殲滅によりモンスターを倒しまくり、稼いだ金で買った家。
とてもじゃないが現実で一軒家を買えるとは思えない彼にとって、それなりに嬉しい財産だ。
ゲーム内の家が現実の家と等価なわけはないが、なんとなく気分が良い。
いつもなんとなく生きている彼にはそれで十分だった。
扉を開け、中に入る。鍵は閉まっていなかった。
玄関を通ってリビングに入ると、一人の少女がキッチンで料理をしているのが見えた。
「あ、ご主人様! おかえりなさい!」
「ただいま」
彼女は彼がノリで買った奴隷である。
奴隷買えるゲームだし買ってみるかぐらいのノリで買い、順当に扱いに困った末に家を買って家政婦を任せることにした。
本来奴隷とは求める役割ありきで買うもの。
見事なまでに本末転倒である。
具体的にはノリでやる気もないソフト買ったらハードも買わなきゃいけなくなった奴ぐらい愚かな行為だ。
幸い手先が器用で意欲もあり、自分よりは料理も上手い少女は家政婦にはピッタリだった。
彼はログイン時間も比較的短く、居ない間は好きに家を使っていいと言ってある。
掃除は細かい部分にまで行き届いており、話も上手い。
【契約書】により盗難の心配もない。
ノリで買ったゲームが思った以上に面白かった時ぐらいに、彼は満足していた。
少女も奴隷になったと思ったらそれなりの量の自由に使える金と家を貰えたため、そこそこ幸福に過ごしている。
実に平和的な関係であった。
「料理頼める? 何か美味いものが食べたい」
「わかりました。良いお野菜が手に入ったので、おいしいスープができますよ!」
「ありがとう」
屋台で買った肉を渡し、料理を頼む。
料理を待つ間に特典武具を取り出し、確認する。
やや暗い赤と黒の外套、【炎消套 ブロウザー】。
装備スキルは《炎熱遮断》と《炎熱放射》の二つ。
外套を着た存在を炎熱から守り、外套そのものが外界に向け熱を発する。
彼の狙い通り、適切なスキルが手に入った。
今後は炎熱耐性にリソースを割く必要がなくなる。
(次はENDと防御力を上げようか。呪術や妨害系の魔法を覚えるのも悪くない)
彼はできることがより楽になる感覚が好きだ。
その分他のことができるようになるのも好きだ。
だから今のところこの
なんとなく買って、なんとなくプレイして、なんとなく好きだった。
彼の<エンブリオ>があれば、気軽にプレイしなんとなくで世界を楽しめる。
感覚と気分でなんとなく人生を生きてきた彼にとって、このゲームもまたその一つ。
いずれはなんとなく詰まり、なんとなく飽き、なんとなく止めることもあるだろう。
それは数ヶ月後かもしれないし、数年後かもしれない。
案外サービス終了まで続くかもしれない。
それもまた、無限の可能性の一つだ。
そして。
彼が"なんとなく"を続けるとも限らない。
「そうだ、ご主人様。明日ちょっとお買い物付き合ってもらえませんか?」
「ん? 明日、か」
彼は今日は早くに寝る予定だった。
明日も予定がある。ゲームはあくまで娯楽の一つ。
できれば健康的に生きたいというのが彼のスタイルだ。
しかし。
「まあ、いいか。付き合うよ」
彼は彼女の要求に付き合う形で、夜更かしを決めた。
一見何気ない会話。
その意味に彼は気付いていない。
これまで彼がこの世界において、決めた予定を他人に言われて変えたことがないことを。
他人に合わせるような形で、己の意思を曲げたことがないことを。
それが初めて、彼女に合わせる形で曲げたのだということを。
あまり深く考えて行動するタイプではないために、彼は気付いていない。
人は影響を受けながら生きている。
暮らした場所、食べたもの、見た光景、接した人、遊んだ遊戯。
現実だとか仮想だとか関係なく、影響を受け変わりながら生きている。
環境によって無限に変わる可能性を持つ生物だ。
まして、或いは現実よりも可能性に満ちたこの世界でなら。
大きく生き方が変わることも、あり得るのかもしれない。
ここは<Infinite Dendrogram>。
英雄。魔王。王。奴隷。何にだってなれるし、何になっても良い。
善に徹しても悪を為しても、何かするのも何もしないのも。
<Infinite Dendrogram>に居ることも、<Infinite Dendrogram>を去ることさえも自由。
無限の可能性を秘めた
この
その果てに何が残るかも今はまだわからない。
無限の可能性を超え、未来に広がる無限の系統樹を越えた先。
多くの選択が重なり至る最果てで、その可能性もまた待っているのだろう。