ナルトのチャクラとスタミナが十尾以上だったら   作:雲らり

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そんな事よりラーメンだってばよ

トラブルが懸念されていた中忍試験が無事に幕を閉じ、ほっと一息付く火影の元に、自来也が訪れた。

 

自来也とは木の葉伝説の三忍の一人であり、抜け忍大蛇丸や犯罪組織暁等、危険組織の監視を行っている人物でもある。

 

「Sランク犯罪組織暁が一夜にして完全消滅し、大蛇丸が外海に逃亡……か」

 

火影が自来也から手渡された資料に目を通し、深く唸る。

 

「あぁ、木の葉にとっては良い知らせだが、これは明らかにおかしい……恐らくワシでも調べきれない何かが動いている」

 

「ふむ……」

 

「木の葉は何か情報を掴んでいないのか?」

 

「四代目風影殿が暗殺され、音隠の影殿が行方不明……後はナルトに大蛇丸が接触したぐらいじゃな」

 

「前二つはワシも知っているが……そうか、ナルトに大蛇丸が……狙いは九尾か!」

 

「あぁ、じゃが結局九尾は奪われず、お主の情報が確かなら大蛇丸は外海へ逃げた……」

 

「……大蛇丸がターゲットからそう簡単に手を引くとは考えにくい、恐らく見えない何か……仮に黒幕と呼ぶが、黒幕とターゲットが被ったのかもしれないな」

 

「なるほどの……大蛇丸は黒幕と敵対する事を恐れ、尻尾を巻いて逃げ出したという事か」

 

「……とにかく木の葉も今は守りを固める時期だ、綱手を呼び戻しワシも含めて木の葉に三忍が戻った事を各国にアピールするべきだ」

 

「うむ、早速綱手の捜索隊を出し、更に各国各里に同様の警告文を送ろう」

 

「暁、大蛇丸、共に人柱力をターゲットにしていた……恐らくは黒幕も同様だ」

 

「狙いはナルトか……」

 

「ナルトにはワシが付くから心配はいらん」

 

「大蛇丸でさえ大人しく手を引く程の奴相手に守り切れるのか?」

 

「フカサク様に話を付ける……ナルトは妙木山に連れて行く、あそこならば人間は入れまい……万が一侵入されても仙蛙が無数にいる……」

 

「木の葉にいるよりは安全……という訳か……はぁ……無念じゃ……」

 

項垂れる三代目に自来也は畳み掛ける。

 

「更に隔離ついでにナルトに修行を積ませる、ナルト自身を強くさせ、黒幕に抵抗出来る戦力を作るのだ」

 

「……ナルトが狙われている以上、四の五の言っている状況ではないか……よし、ナルトの無期限外出を許可する!」

 

「ただし名目上は木の葉からの任務……未開の地への調査の為の外出とする」

 

「よし、直ぐにでもナルトに話を付けるとするか!」

 

火影に背を向ける自来也に三代目は声を掛ける。

 

「自来也、帰還の際にはお主に中身はどうあれ体裁を整えた報告書を提出してもらうからな」

 

「げっ! ……分かった、それっぽいものを用意しておく……」

 

事態は当人達の思いもよらない場所で斜め上の方向へ進んで行く……。

 

◇ ◆ ◇

 

後日、無事に中忍となったサスケとサクラを祝う為、カカシ班はカカシ以外の全員で一楽ラーメンに来ていた。

 

「簡単な対処法は常に護衛の影分身を付け、本体は死角に隠れる事ね、これだけでも奇襲される可能性はぐっと減るはずよ」

 

「ふんふん、成程……常に護衛の影分身を……」

 

サクラの講釈を熱心にメモ取るナルトと、興味なさ気な雰囲気で聞き耳を立てるサスケ。

 

「へい、日替わりラーメン三丁お待ち!」

 

「おほおおお、うまそー!!」

 

「今更だけど、何で私達のお祝いなのにナルトに合わせたお店チョイスなのかしら……?」

 

「……外食店に詳しいのはナルトぐらいだからな……俺は自炊派だ」

 

メモを放り出し、夢中でラーメンを啜るナルトを尻目に自分もラーメンに箸を付けようとして何かに気付き、動きを停止するサスケ。

 

「お前さんら、隣……良いかのう?」

 

ナルトの隣に体積がナルトの三倍はありそうな巨漢自来也が一言断り着席する。

 

「良いけど、もうちょっと向こう行って欲しいってばよ……」

 

「ははは、すまんすまん……それよりお前さんら、木の葉の額当てをしとるという事は忍者か?」

 

イタズラ心から軽く殺気を放ち、ナルト達に問いかける自来也。

 

「そういうアンタも忍だろ、ナルト程ではないがかなりのチャクラを感じる……気を付けろナルト! サクラ! 恐らくこいつはカカシ以上だ!!」

 

「気を付けて二人共! こいつ、見た事ない額当てをしてるわっ!」

 

初めて向けられる強い殺気に驚き席を飛び退き、警戒するサスケとサクラ、気にせずにラーメンを食べ続けるナルト。

 

「うーむ、良い反応だ木の葉の将来は安泰じゃのう……だが、お前さんは何故動じずに飯を食っておるのだ?」

 

「ラーメンより大事なものなんてないってばよ」

 

「はっはっは、こりゃ大物だな! お前さんっ!」

 

ナルトの背中をバシバシ叩きながら、ナルトを大物認定する自来也だが、別にナルトが大物という訳ではない。

 

暁全員から特濃の殺気を浴びていたナルトはこの程度の殺気は最早認識すら出来ず、そんなことよりラーメンで頭がいっぱいなだけだった。

 

「ワシの名は自来也! 木の葉隠れ伝説の三忍の一人にして妙木山の蝦蟇仙人、更には超人気小説イチャイチャシリーズの原作者でもある!!」

 

一楽の室内で蛙を口寄せし、大見得を切る自来也。

 

「……何にせよ、木の葉の忍なんだな? なら、その油文字の額当ては何だ? 木の葉の忍なら木の葉の額当てをするのがルールだろうが」

 

「これは妙木山の仙人の証だ、勿論火影の許可も貰っているぞ」

 

「仙人……?」

 

「おう、あまり人に見せるものじゃないが坊主には特別に見せてやろう!」

 

「こうやって自然エネルギーを集めて仙術チャクラを練るとだな……う、うおおおお!!!!??」

 

仙人モードに変身した自来也が悲鳴を上げながら腰を抜かして後ずさりする。

 

「おま、おまままま、お前!!! なんちゅうチャクラをしとるんじゃお前は、本当に人間か!? 妖怪、いや神様か何かじゃないのかのう!!?」

 

「いきなりなんだってばよこのおっさん……」

 

「はぁ……うるさい……」

 

(後付けでチャクラ感知力を上げる忍術……?)




マッチポンプの術だってばよ

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