ナルトのチャクラとスタミナが十尾以上だったら   作:雲らり

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ハーレムの術だってばよ

波の国の任務以外にも幾つかの簡単な任務を無事に達成し、ある程度の実績を積み終えたある日。

 

ナルト達はカカシに呼び出され、里内の適当な場所に待機していた。

 

「おっせーってばよカカシ先生!」

 

「やぁごめんごめん、今日はちょっと道に迷ってね……」

 

「忍者が自分の里で迷ってどーすんだってばよ!」

 

「で、本題に入るけどお前ら中忍試験って知ってる?」

 

「無視すんなコラァ!!」

 

◇ ◆ ◇

 

忍者の階級は大きく分けて三段階、下忍、中忍、上忍とあり、下忍から中忍へと昇格する為には試験を受けなければならない、それが中忍試験と言う訳だ。

 

この試験の受験資格は担当上忍からの推薦だが、受けるか受けないかは任意であり、下忍本人の意思で拒絶する事も出来る。

 

と言うのも中忍試験は危険性が高く、命を落とす者や大怪我をする者もいるからだ。

 

故に確実な自信が無ければ受験を避けるのも忍者としての良い判断と言えるだろう。

 

しかし……。

 

「受験会場はここかぁ……結構人数多いわね……」

 

「ふっ、誰が相手だろうと負けるつもりは無い……!」

 

「おうっ! 全員ボコボコにしてやるってばよ!!」

 

「そもそも対戦形式なの?」

 

「……知らないってばよ」

 

「……まぁ、いかなる試験形式でも負けるつもりは無い」

 

今まで一度も挫折を味わった事の無いカカシ班は当然の様に中忍試験に顔を出した。

 

◇ ◆ ◇

 

アカデミーの同期と再会したり、試験にやたらと詳しい薬師カブトと知り合ったり、音忍達や木の葉の先輩と喧嘩する等色々あったが、無事にナルト達は第一次試験をパスし、第二次試験へと進んで行った。

 

第二次試験は事前に配布された天の巻物、地の巻物、この二つを巨大なサバイバル演習場、別名死の森で奪い合う、必然的に半数が脱落する過酷な試験だった。

 

「俺達は天の巻物か……つまり地の巻物を誰かから奪い、中央の塔にたどり着けば良い」

 

「ペアの巻物を誰が持っているか分からないところもこの試験の難易度を上げている重要な要素ね……」

 

「あぁ……厄介だな……」

 

「多重影分身で森を埋め尽くして全員から巻物を奪うから何も心配要らねーってばよ!」

 

「アホかウスラトンカチ、それだと目立ちすぎるだろ」

 

「変化すれば良いんじゃない? 変化を見抜く事は出来ても、それがナルトだと看破出来る下忍なんて殆ど居ないだろうし」

 

「んーと、誰にしようかな……」

 

「なら、火影を倒した実績を持つおいろけの術が最適だ」

 

「ん……えっ!? サスケ君本気で言ってるの!?」

 

「ああ、上手く行けば敵が油断してくれるかもしれないしな」

 

淀みなく真顔で返事をするサスケに若干引きながらサクラは渋々首を縦に振る。

 

「……まぁ、サスケ君がそう言うなら……」

 

「ナルト、頼んだぞ」

 

「一度に出し過ぎると変化する前にナルトの姿を見られてしまうから小刻みに分身しなさいよ」

 

「よしっ、分かったってばよ、多重影分身の術! 更に変化っ!」

 

十人程度に分身したナルトがナルコに変化し、死の森中に散らばる。

 

「最低な光景ね……でも十人は少なすぎるんじゃない?」

 

「影分身も多重影分身の術を使えるから心配要らねーってばよ」

 

「つくづく便利な術だな……」

 

ナルトの言葉通り、5分程して死の森各地で膨れ上がったナルコ達によって殆ど全ての受験生や猛獣が圧し潰され、巻物は影分身のナルトによって回収された。

 

死の森に潜入していた伝説の三忍の一人大蛇丸や側近の薬師カブト、砂の人柱力我愛羅や下忍トップの実力を持つガイ班等、巻物を守り切った者も居たが、無限に押し寄せるナルコが邪魔で中央の塔にたどり着く事もペアの巻物を揃える事も出来ず、結局カカシ班以外の全員が二次試験を突破する事が出来なかった。

 

◇ ◆ ◇

 

二次試験最終日、ナルト達は中央の塔付近で待機していた。

 

当初ナルト達は最短で試験を突破するつもりだったが「どうせ三次試験もあるだろうし今の内に受験者の数を減らした方が良いんじゃない?」というサクラの提案に乗り、期限ギリギリまで中央の塔付近で粘ったのだ。

 

「随分あっさりと行ったな、もっと苦戦するものだと思っていたが……」

 

「最後まで影分身で倒せなかった奴らも結構居たってばよ」

 

「五日間巻物を守り切ったのか……カカシより強いんじゃないのか? 戦わずに埋めるのが正解だったな」

 

「本当に酷い光景だったわ……でも無事に試験突破出来て良かった……ありがとナルト」

 

「サクラちゃんの作戦も見事だったってばよ!」

 

「じゃあ巻物を開けるぞ」

 

ずらりと並んだ巻物の中から天と地の二つを開き、地面に放り投げる。

 

巻物から白煙が上がり、中から現れたのはナルト達の担当上忍カカシだった。

 

「あ、カカシ先生!」

 

「なるほど……巻物の中は口寄せの術式が書かれていたのか」

 

「……お前ら……言いたい事は色々あるが……とりあえず二次試験突破おめでとう」

 

呆れながら拍手でナルト達を称えるカカシ。

 

「おうっ! 楽勝だったってばよ!」

 

「で……お前らにはこのまま本選に進むか、棄権するかの選択権が与えられる訳だが……」

 

「勿論、本選に進むってばよ!」

 

「ん、了解……本来なら火影様が直々に本選の説明をしてくれるんだが……火影様は今……その、ちょっと大変でな……」

 

視線をナルトに軽く向けるカカシ、それだけでサスケとサクラには意味が伝わり、二人は何とも言えない顔になる。

 

「本当に火影に効くんだな……」

 

「男って幾つに成っても最低ね……」

 

「何の話だってばよ?」




イルカ先生もちょっと体調が悪いみたいだってばよ。

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