中忍試験本選、それは各国の大名や要人を招いて盛大に開かれる公開試合である。
形式はトーナメントバトルだが、優勝者が必ず中忍に昇格する訳ではない。
「本選で行う試合は自分が如何に中忍に相応しいかをアピールする場だと思ってくれて構わない、つまり一度も勝てなくても中忍昇格は可能だ」
「目指すは頂点! 優勝! 優勝しか無いってばよ!!!」
「勝ち残るのは俺だ、俺は誰にも負けるつもりは無い……!」
「ねぇお前ら人の話聞いてる?」
意気込むナルトとサスケの隣でサクラは青い顔をしていた。
「か、カカシ先生……!」
「まぁ……さっきも言ったけど勝つ必要は無い、だから三人全員が中忍に上がるかもしれないし、逆に下忍のままかもしれない……」
「本選まで後一ヶ月ある……どう行動すれば自分をアピール出来るかよく考えておけ」
◇ ◆ ◇
本選までの一ヶ月、カカシ班は任務から解放され、各自自由行動となる。
サスケは打倒ナルトを目標にカカシに弟子入りし、サクラもそれに便乗する形でカカシの元で修行に励んだ。
それを後から聞かされたナルトは大いに焦り、自分だけの師匠を見つける為に里中を駆け回っていた。
「つー訳でじいちゃん! 修行つけてくれってばよ!」
「そんな暇は無いっ!!」
カカシに弟子入りを断られた後で良く考え、どうせ弟子入りするなら最強の忍が良い、そう結論付けたナルトは三代目火影の元を訪れ修行を懇願した。
「じゃあさ、じゃあさ! 誰か修行つけてくれそうなすっげー忍者を紹介してくれってばよ!」
「お主が二次試験を無茶な方法で突破したせいで木の葉の忍は皆、後処理に奔走されておる!!」
「うぅ……じゃ、じゃあ俺が昔に盗んだ禁術の巻物! あれもう一回見せて欲しいってばよ!」
「禁術は禁止されておるから禁術なんじゃ! そう簡単に使い倒すものではない!」
「ちぇ、爺ちゃんのドケチ……」
「そもそも火影のワシが誰かに一方的に加担する事は許されておらん! ワシに出来る事は皆の成長を見守る事だけじゃ!!」
「くっ……もう良いってばよ!!」
踵を返し部屋が出ていくナルトを確認し、三代目火影はほっとしたように全身の力を抜く。
「ふぅ……なんてチャクラじゃ……生きた心地がせんかったわい……」
「ナルトの力、ますます強力になって来ましたね……」
ナルトが退室したタイミングを見計らってナルトの担当上忍カカシが姿を現す。
「……ナルトの事はわしも信頼したい、しかし現実として忍術をまともに身に着けたナルトが暴走した時、奴を止められる存在が何処にいるのか……」
火影の迷いを含んだ叫びに、カカシが一瞬躊躇い、縋る様に細い声をあげる。
「……火影様でも不可能……ですか?」
「……」
火影はゴミ箱を指さし、カカシに中を覗くように促す。
「こ、これは火影様の水晶玉!?」
「上忍が術や忍具を用いて遠眼鏡を破るならまだ理解出来る……しかしナルトは……」
「……」
「すまん、ミナトよ……」
◇ ◆ ◇
「カカシ先生もじいちゃんも意外と冷たいってばよ……」
弟子入りを断られ、落ち込みながら演習場で手裏剣術の修行をするナルト。
不安を払拭する様に一心不乱に手裏剣を投げるナルトに背後から影が忍び寄る。
「随分と探したわようずまきナルト君……ちょっと……良いかしら?」
「ん? 誰だってばよ?」
ナルトは振り返り、後ろに立っていた見慣れない顔の女に首を傾げる。
「中忍試験であなたの分身に随分お世話になったのに、つれないわねぇ……」
「ん、んー……あ! その顔は確か滅茶苦茶強かった風遁の女!」
「あなた、師匠を探しているんでしょ……? 私が修行を付けてあげるわ……」
「え……そりゃあありがてーけど、姉ちゃんは誰なんだってばよ?」
「私の名は大蛇丸、木の葉隠れ伝説の三忍の一人って言えば分かるかしら?」
「でんせつのさんにん……?」
「……聞いた事ないかしら……じゃあ猿飛先生の弟子と言えば分かるでしょう?」
「さるとび……誰だってばよ?」
「自分の里のトップの名前ぐらいちゃんと覚えておきなさい! ……三代目火影の事よ」
「あぁじいちゃんの……あれ、でも死の森に居たって事は姉ちゃん草隠れの下忍なんじゃ……?」
「極秘の目的があったから身分を偽ってあの場に居ただけよ……あなたに邪魔されてしまったけど」
「そ、それは悪かったってばよ……」
「それはもう済んだ事だから良いのよ……それより力が欲しいのでしょう? 私の元に来なさい、力なんて幾らでも授けてあげるわ……」
「おお! ……でも何でわざわざ他人の俺にそんな事してくれるんだってばよ?」
「他人だなんて冷たいわ、影分身相手だけどお互いに拳を交えた仲じゃない……その時にあなたの才能に惚れたのよ」
「お、おお!? やっぱ俺ってば才能ある!?」
「勿論よ……そうね、私の見立てだけどあなたは木の葉で一番大成する忍、私はそう確信しているわ」
「お、おおぅ……俺ってばそんな事言われたの初めてだってばよ……」
「あら、あなたの周りの人間は随分と見る目が無いわね」
「そう! そう! そうだってばよ! やっぱ遅刻ばっかする奴は目も濁ってるんだってばよ!」
「えぇ、濁ってる濁ってる……それで、いい加減、私の元に来てくれる気になったわよね?」
「おうっ!! これからよろしく頼むってばよ大蛇丸先生!!」
「えぇ、こちらこそ……ナルト君……」
ナルトが差し出した手を大蛇丸が握り返した。
大蛇丸「私の事は他人に話しちゃダメよ」
ナルト「なんで?」
大蛇丸「こっそり修行して強くなる方がカッコいいでしょう?」
ナルト「なるほど!」