ナルトのチャクラとスタミナが十尾以上だったら   作:雲らり

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どの先生も約束は守らないってばよ

木の葉から少し離れた野原でナルトは大蛇丸の話を聞いていた。

 

「ナルト君……まずは影分身以外のあなたの術を全て見せて貰おうかしら」

 

「押忍っ! じゃあ……はいコレ」

 

大蛇丸の言葉にナルトは頷き、ポーチから縄を取り出して手渡す。

 

「……? これで私は何をすれば良いのかしら?」

 

「縄抜けの術をやるから縛って欲しいってばよ」

 

「あぁなるほど……全てと言ってもアカデミーで覚えた術は見せてくれなくて良いのよ」

 

「何でアカデミーが出て来るんだってばよ?」

 

「何でって……縄抜けの術はアカデミーで習う術でしょう?」

 

「縄抜けの術は中忍試験の時にサクラちゃんから教えて貰った俺の最新忍術だってばよ?」

 

「……」

 

大蛇丸は思わず額に手を当て、苦しそうに唸った。

 

◇ ◆ ◇

 

一時間程似たようなやり取りを繰り返し、ようやくナルトの現状を把握した大蛇丸はこう結論付けた。

 

「つまり、ナルト君は影分身の術しか使えないって事ね?」

 

「多重影分身も使えるってばよ」

 

「……そうね、それで同じ班のサスケ君に勝つために新術が欲しい……そうよね?」

 

「初めからずっとそう言ってるってばよ」

 

「……そうだったわね」

 

「しっかりしてくれってばよ……」

 

(この子に術……ね、どうしようかしら?)

 

◇ ◆ ◇

 

修行の方針を決める為に一日欲しいと言う大蛇丸の要求を渋々飲み込んだナルトは一旦木の葉に戻り、夕食を食べる為に一楽ラーメン店に立ち寄った。

 

「おっほぉー! 旨そうだってばよ!」

 

大好物の一楽ラーメンに目を輝かせるナルト、そんなナルトを見て店主のテウチは煮卵をナルトのラーメンに追加で盛り付ける。

 

「ん?」

 

「二次試験合格おめでとうナルト、煮卵はサービスだ」

 

「おおっ! ありがとうおっちゃん! やっぱ俺の事分かってくれるのはおっちゃんとイルカ先生と大蛇丸先生だけだってばよ……」

 

「大蛇丸先生?」

 

「新しい俺の先生だってばよ、今修行見て貰ってんの」

 

「カカシさんはどうしたんだ?」

 

「カカシ先生はエコヒイキばっかで全然術教えてくれないってばよ……」

 

「ふぅん……まぁ、そう落ち込むなよナルト、ちゃんと面倒見てくれる新しい先生が出来たんだろ?」

 

「おうっ! 見た目ちょっと変だけど、俺の為に一日掛けて修行の計画考えてくれるやる気満々の先生だってばよ!」

 

「ナルトが世話になってる礼に一杯御馳走してやるから明日店連れて来いよ」

 

「さっすがおっちゃん、太っ腹だってばよ!」

 

「いや、ナルトは自腹だぞ」

 

「そりゃねーってばよ、おっちゃん……」

 

◇ ◆ ◇

 

翌日、昨日と同じ野原に来たナルトと大蛇丸は軽い準備体操を済ませ、今後の方針について話し合った。

 

「まず始めに、ナルト君に呪印を施すわ」

 

「じゅいん……?」

 

「まぁ、強くなる為のおまじないみたいなものよ……首筋を大きく開きなさい」

 

「うーん……俺ってばあんまそういうの信じてないんだけど……」

 

文句を垂れながらも言われるままに服をずらし、首筋を大きく開けるナルト。

 

大蛇丸は口角を上げ、ナルトの首筋に噛み付いた。

 

「ちょ、な、何するんだってばよ!? 痛っ!」

 

ハンカチで大蛇丸の唾液をふき取りながら、自分の首筋に三つ巴の呪印が浮かび上がるのを不思議そうに見つめるナルト。

 

「くっくっ、無事に適合したみたいね……さぁナルト君! チャクラを練って見なさい……!」

 

「ちょっとオシャレだけど、こんなのに何の意味があるんだってばよ……」

 

今一つ大蛇丸の行動に意義が見出せず、文句を言いながらチャクラを練るナルト。

 

「……どうして呪印が廻らないの?」

 

「おまじないはもう良いから早く修行! 修行してくれってばよ!!」

 

「え、ええそうね……えっと、どうするのだったかしら?」

 

「俺がそれを聞いてるんだってばよ……」

 

あまりにも予想外の出来事に混乱し、言葉に詰まる大蛇丸。

 

そんな彼に向けるナルトの視線の温度は当初より若干冷えたものになっていた。

 

◇ ◆ ◇

 

混乱から立ち直った大蛇丸が紙や道具を駆使して理解しやすいようにナルトに説明する。

 

「つまり、あなたの弱点は本体の防御力が弱すぎる事よ」

 

「つまり……どういう事だってばよ?」

 

「……攻撃力が無くても死なないけど、防御力が足りないと直ぐに死ぬでしょう?」

 

「確かにそうだってばよ」

 

「つまり、今のナルトの課題は防御忍術を身に着ける事よ」

 

「防御……カカシ先生の壁とか?」

 

「そんなつまらない術じゃないわ……今から教えるのは私の知る限り最強の防御忍術……火影でさえも簡単には突破出来ないものよ」

 

「お、押忍……!」

 

「大丈夫、この術の会得に頭は使わなくて良いわ……印は一つだからあなたにも覚えられる筈よ」

 

◇ ◆ ◇

 

大蛇丸が追加で提案したのは影分身を利用した経験値倍増の修行法だった。

 

「えーっと、つまり、影分身を使うと経験値が倍増……? ん? んんん……??」

 

大蛇丸の説明を今一つ理解出来ないナルトが首を傾げていると、ナルトの肩に手を置いた大蛇丸がこう告げる。

 

「あなたは何も考えずに多重影分身をしながら修行をすれば良いのよ……大丈夫、頭を使う必要はないわ……」

 

「お、押忍っ!」

 

野原を地平線まで黄色で埋め尽くしたナルトは早速チャクラを練り上げ、新術の修行に入る。

 

(チャクラ量が多すぎて呪印で縛れないのは予想外だったけど、所詮は十二歳の子供……)

 

「術を会得したらご褒美にお昼ご飯奢ってあげる……励みなさい」

 

「大蛇丸先生は太っ腹だってばよ!」

 

(体は無理でも、心に入り込むなら容易い……)

 

(ふふふ……もうすぐ、もうすぐ"アレ"が私の手に……!!)

 

「くっくっくっ……!」

 

(良い先生なんだけど……時々キモイのが玉に傷だってばよ……)

 

◇ ◆ ◇

 

昼頃、ナルトにせがまれて一楽ラーメンにやってきたナルトと大蛇丸はのれんをくぐる。

 

(正直、転生で体が変わっているとはいえ、あまり里に降りたくはないのだけど……)

 

(この程度のリスクでナルト君を懐柔出来るなら安いものね)

 

「おっちゃん! 昨日言ってた……あ、カカシ先生!」

 

「ん?」

 

「!」

 

(あれは写輪眼のカカシ!? 何も対策していない今、流石に写輪眼持ちと顔を合わせるのは不味い……!)

 

「ナルト君、悪いけど緊急の用事が入ったから帰るわ!」

 

大蛇丸はすぐさま瞬身の術を発動し、全力でラーメン屋から逃げ去った。

 

「え? ちょ……え?」

 

「今の瞬身を使った忍者、相当の手練れだな……」

 

「あんなに完成度の高い瞬身、初めて見た……」

 

「あ、サスケとサクラちゃんも来てたのかってばよ」

 

「……ナルト、今のは誰だ?」

 

カカシが殺気を含んだ目でナルトに迫る。

 

「え、えっと……」

 

困惑しながら席に着くナルトにテウチが話しかける。

 

「おぉ、いらっしゃい、ナルト一人か? 何だ、新しい先生は都合付かなかったのか……」

 

「先生……! テウチさん、今の話詳しく教えてください!」

 

「えっ、い、いや別にナルトはあんたの悪口なんて言ってないぞ!?」

 

「ちょ、おっちゃん!?」

 

(カカシの陰口叩いてるのか……まぁ、気持ちは分かる……)

 

(ナルト……カカシ先生の事、ラーメン屋で愚痴ってるのね……)

 

「そっちじゃなくて、新しい先生の事です! いや、そっちも気になりますけど!」

 

「い、いや昨日ナルトが新しい先生が出来たーって喜んでいて、ナルトが世話になった礼に、新しい先生に一杯御馳走してやろうと……というか本人が後ろに居ますけど……」

 

「……ナルト」

 

「カカシ先生、今更大蛇丸先生に嫉妬なんて見苦しいってばよ……!」

 

「なっ、大蛇丸だと……!?」

 

カカシは数秒考え込み、顔を上げてサスケに声を掛ける。

 

「……サスケ」

 

「なんだ、カカシ?」

 

「会計は頼んだ」

 

「は?」

 

カカシは瞬身の術を使い、目にも留まらぬ速さでラーメン屋から逃亡した。

 

「……はぁ!?」

 

「やっぱカカシ先生は頼りにならないってばよ」

 

「……奢るって言ってくれたのに……カカシ先生……」

 

「……」

 

ポケットを二、三度さすり、心なしか顔色が悪くなったサスケがギギギとサクラの方へ振り返り。

 

「悪いサク……いや、ナルト……」

 

「ん?」

 

「その……か、会計は頼んだ」

 

「え?」

 

サスケは全速力でラーメン屋から立ち去った。

 

「え……え!? あのサスケが食い逃げ!? カカシ先生じゃなくて、あのサスケが……!?」

 

「う、嘘でしょサスケ君!?」

 

「まったく、どいつもこいつもラーメンに殆ど口付けずに残して行きやがって……」

 

ラーメンを下げようとするテウチにナルトがストップをかける。

 

「あ、サクラちゃん、おっちゃん、それ貰っても良いかってばよ?」

 

「おう、ゴミが減るなら大歓迎だ」

 

「サスケ君の食べかけ……あ、いや! べ、別に食べかけなんて要らないわよ!?」

 

「らっきー! へへっ、ただラーメンだってばよ……!」

 

「ラーメンぐらいで大げさねぇ……」

 

ナルトは勢い良くラーメンをかき込み、スープを飲み干す。

 

「ふぅー……あぁ、食った食ったぁ……いつもの二倍は意外とキツイってばよ……」

 

「もっとよく噛んで食べなさいよ、私なんてまだ半分も食べてないのよ?」

 

「まぁまぁ……」

 

ナルトは会計を済ませようとポーチに手を入れ、何かを思い出したかのようにぴたりと固まる。

 

「なぁ、サクラちゃん……」

 

珍しく神妙な顔でサクラを見つめるナルト。

 

「な、何よ、急に改まった顔して……」

 

「俺ってば今日は大蛇丸先生に奢って貰う約束で一楽に来たんだってばよ……」

 

「……え?」

 

「あ、あんたまさか……」

 

「……サクラちゃん、会計は任せたってばよ!」

 

「ちょっ、あんた待ちなさ」

 

思わず立ち上がり、ナルトを追いかけようとするサクラの腕をテウチが掴む。

 

「お会計」

 

「……ツケでお願いします」




サクラ「男なんてどいつもこいつも……しゃんなろーーーっ!!!!」
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