ナルトのチャクラとスタミナが十尾以上だったら   作:雲らり

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特別な幻術空間での修行だってばよ

ナルトがラーメンを食べ終わった頃とほぼ同刻、大蛇丸と側近の薬師カブトは隠れ家のアジトで今後の方針を練っていた。

 

「だから辞めとけって言ったんですよ、僕は……」

 

「まだよ……! あと一日、あと一日でもナルト君を自由に操れれば全てを手に入れる事が出来るのよ……!!」

 

「と言っても、どうせ今頃木の葉の忍達がある事ない事ナルト君に吹き込んでいますよ……」

 

「……今からナルト君の家に行って最後の説得を試みるわ……カブト、あなたは……」

 

「この蛇のマークが一つ消えたら逆口寄せで大蛇丸様を口寄せ、二つ消えたら解邪法印で大蛇丸様を復活させる……ちゃんとやりますよ」

 

「……頼んだわよ」

 

大蛇丸は死の覚悟を決め、ナルトの元へと足を運んだ。

 

◇ ◆ ◇

 

日がすっかり沈んだ夜、ナルトが自宅で修行の疲れを癒していると、普段は鳴らない来客のベルが鳴り響いた。

 

「ん?」

 

まさか怒ったサクラちゃんが自宅に殴り込みに来たのだろうかと、戦々恐々としながらドアを少し開けると、見慣れた桜色の髪が見え、ナルトは慌ててドアを閉じた。

 

「さ、さささ、サクラちゃん!? お金はちゃんと返すから許して欲しいってばよ!!?」

 

「私よ、ナルト君……安心してドアを開けて頂戴……」

 

ドアの向こうから大蛇丸の声が聞こえ、安心したナルトはドアを開けて変化した大蛇丸を自宅に招き入れる。

 

「なんでサクラちゃんに変化してるんだってばよ……」

 

「ふふふっ、ちょっと驚いたかしら?」

 

「心臓が止まるかと思ったってばよ……」

 

(ナルト君のこの反応……木の葉はまだナルト君に私の事を話していないのかしら……?)

 

大蛇丸は心の中でほくそ笑み、ナルトに続ける。

 

「ナルト君、お昼ご飯の時はごめんなさい、どうしても抜けなきゃいけなかったのよ……」

 

「任務ならしょうがないってばよ……」

 

「……埋め合わせとしてはアレだけど、今からナルト君と特別な修行をしようと思ってね……」

 

「特別……?」

 

少し間を置き、大蛇丸が続ける。

 

「ナルト君、手裏剣を一度も投げた事のない忍者と百回投げた忍者、どっちが強いと思う?」

 

「なんだってばよいきなり……そりゃあ百回投げた忍者の方が強いってばよ」

 

「そうよね、誰でもそう答えるわ」

 

「んー……?」

 

「じゃあ人を一度も殺した事のない忍者と百人殺した忍者、どっちが強いと思う?」

 

「……百回の方だってばよ」

 

「そう、それだけでは決まらないけど……殺人経験の有る無しはいざという時の勝敗に大きく関わってくるわ」

 

「もしかして今からやる特別な修行って……」

 

「焦らないで……とは言っても殺人なんてそう簡単に出来るものじゃないでしょう?」

 

「当たり前だってばよ」

 

「そう、普通は百人の殺人を経験する事は困難、だから……」

 

「幻術空間内で殺人を経験するのよ」

 

◇ ◆ ◇

 

大蛇丸はナルトを連れて蛇の中に入り、土遁で作られた大洞窟の周辺に移動した。

 

「目標は洞窟中の人間全て……勿論全員幻術で出来た人間だから何しても良いわよ」

 

「本当にここは何もない砂漠なのかってばよ……どう見ても木とか草とか本物にしか見えないってばよ……」

 

「えぇ、私の幻術は特別製だから五感全てを騙す事が出来るのよ……幻術の人間と会話する事すら出来るわ……意味は無いけどね」

 

「へー……」

 

「さ、おしゃべりはここまでにして修行するわよ……ナルト君はまず、逃げられない様に結界をお願い」

 

「おうっ!」

 

「「「「結界・四赤陽陣の術!」」」」

 

洞窟を囲むように配置されたナルトから分厚く赤い半透明の結界が生み出される。

 

「ふふっ、呪印の仙術チャクラを混ぜ込んだ時空間忍術すら遮断する超高濃度の最強結界……上々ね……」

 

大蛇丸は舌なめずりをしながら次の指示を出す。

 

「結界内のナルト君は洞窟に影分身を四方向から絶え間なく送り込みなさい……接敵し次第、全身に仕込んだ特性起爆札で自爆するのよ」

 

「結界外のナルト君は四赤陽陣係のナルト君に背を向けてもう一枚結界を張って頂戴」

 

「ん? なんで?」

 

「結界係の背中ががら空きだからよ……自分の周りにも変形して結界を張れると一枚で済むのだけど、時間が無かったから応急処置よ」

 

「じゃあ今度結界の変形も練習しておくってばよ」

 

◇ ◆ ◇

 

その後、大蛇丸の指示で各地を転々としながら同時並行で同じ修行を繰り返し、ナルト達が木の葉に帰ったのは朝日が出る頃だった。

 

「お疲れ様ナルト君、良い修行になったでしょう?」

 

「ふああ、流石に徹夜で修行するのは眠いってばよ……それにいくら幻術人間でも化け物とか、人でなしとか言わせるのはやめて欲しいってばよ……」

 

「ごめんなさい、この術はまだ未完成なのよ」

 

「ふーん……ま! でも、珍しい術を使う忍者が結構いて中々面白かったってばよ!」

 

「ふふふ……それと、これから私は輪廻眼と写輪眼、その他諸々の研究で向こう百年ぐらいは忙しくなるからもう会えなくなるわ」

 

「え!?」

 

「ラーメンはごめんなさい、でもナルト君なら大丈夫、中忍試験程度なら楽々突破出来る筈よ」

 

「俺ってば正直、まだサスケに勝てるか不安だってばよ……」

 

「自信を持ちなさい、あなたは火影になるんでしょう?」

 

「で、でも……」

 

「安心しなさい、今回倒した連中はサスケ君よりも遥かに強かったわ、それを打ち破ったのだからサスケ君ぐらいなら訳ないわ」

 

「えー……本当にそんなに強かったかってばよ?」

 

「……もう少し分析力を身に着けた方が良いかもね」




暁終了
大蛇丸退場

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