大蛇丸が側近のカブト等、主要メンバーを連れて大陸を立ち去り、忍界から大蛇丸一派が完全に消え、頭を失った音隠れと砂隠れの里は混乱の渦中に陥った。
音隠れは忍の離散が相次ぎ事実上の壊滅、残留した僅かな忍と大名達も木の葉隠れの庇護下に入り、火影主導の下、五年を目安に木の葉と同化が行われる予定となった。
砂隠れは四代目風影が死体となって発見された旨を木の葉に報告し、警戒の為に砂隠れと木の葉隠れの軍事同盟が強化され、両里厳戒態勢の元で中忍試験本選は行われた。
「30……40……流石に今年は暗部の数が多いな」
「大蛇丸の侵入も確認されたからな……だからといって唯一の担当上忍である俺まで警戒任務に充てるのはやめて欲しかったが……」
そう愚痴りながらカカシは大好きなエロ本も読まずに真面目に辺りを警戒する。
「二次試験でカカシの班に全員やられたからね……上忍衆全員で火影様にカカシを警戒任務に加えるように上奏したのよ」
「あのねぇ……文句なら俺じゃなくてナルトに言ってやってくんない? 誰が担当上忍でもあいつは同じ事してたと思うよ?」
「ま、何にしてもナルトには早く中忍になって貰わないとな……来年また同じ事されたら堪らんし」
「ナルトの初戦は……春野サクラか……座学は優れているが実戦は平均以下だったと記憶しているが……」
「あんなの誰が相手でもどうしようもないだろ……上忍でも勝てないぞ」
「うーむ……」
◇ ◆ ◇
「し、勝者、春野サクラ!」
ナルト対サクラの試合は一瞬で終わった、試合開始と同時にサクラが一瞬で間合いを詰め、ナルトの喉元にクナイを突きつけて終了した。
「は、はぁぁ!? 何やってんだウスラトンカチ!?」
「な、何が起きたんだってばよ……!?」
狼狽するナルトに向かって、チャクラ回復用の兵糧丸を食べながらサクラは得意気に解説を始める。
「ナルト、あんたの弱点は術を発動するスピードと反射行動のとろくささ、それからチャクラを練る時に目を閉じる癖よ」
「……なるほど、考えたなサクラ」
サスケは納得した様に頷き、対するナルトはまだ納得が行かない顔で文句を垂れる。
「俺ってば、せっかくすっげー新術まで覚えて来たってのに……」
そこにカカシが割って入り、ナルトに更にかみ砕いた説明を行う。
「サクラはこの一ヶ月、ずっと直線移動の瞬身に限定して修行をしていたんだよ、自分がナルトに勝てる唯一の道は何もさせずに瞬殺する事だ……って自分で分析してな」
「俺ってばサスケの事しか考えてなかったってばよ……」
「ちょっ、カカシ先生っ!? 私まだサスケ君と戦ってないのに手の内晒さないでよ!?」
「あ……ごめんサスケ……聞かなかった事にしてくれる?」
「……アホが」
上忍A「いやぁぁぁぁ、ナルトの下忍残留が確定したぁぁぁ!!!」
上忍B「来年も埋められるぅぅぅぅぅ!!!」
上忍C「うーむ、唯一の勝ち筋は速攻か……」
上忍D「いやぁ、なんかー……ごめんね?」