まちがいだらけの修学旅行。   作:さわらのーふ

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はい、またお会いしました~。
第2話です。
ここでは県立地球防衛軍らしさを少しでも出せたら、と思っていますがいかがでしょうか?
こんなのは俺ガイルじゃない!という方がいらっしゃったら誠に申し訳ないのですがその通りです。
あらかじめ謝っておきます。

ごめんちゃい(人生幸朗)


千葉最大の侵略〜花も嵐も踏み倒せ!二分咲き

 土曜日の早朝、まだ薄暗い中、俺たちはマスク姿で千葉市内にある某桜の名所に立っていた。

 

 朝早いせいか、ジョギングのランナーが時々通りがかるくらいで殆ど人はいない。

 詳細な場所を記すのは勘弁してほしい。風評被害が発生する可能性があるからだ。

 

 とは言え、市内外の主要な桜の名所も、電柱組構成員ほかの手によって同じような事態に陥っているのだが……。

 

「なあ、原瀧……」

「おい、あまり口を開くな」

「でもなあ……」

「口を開くなと言っただろ?」

 

 確かに口を開くと辛い。しかし言わざるを得ない。

 

「クサいっ!!!」

 

 何が悲しゅうて休日の早朝に桜の名所に来てわざわざ馬糞なんかばら撒かなきゃならんのだ……。

 

「八幡、間違ってるぞ。あたしらが撒いてるのは牛糞だ」

「馬糞でも牛糞でも同じだわ! て言うか、地の文を読むなと言っただろ!!」

 

 原瀧の考えた作戦は、桜の名所で桜の樹に肥料を与えるという名目で馬糞「牛糞な」……牛糞を撒いて、同時にその臭いによって人々が桜の名所に近付こうとすることを防ぐというものだった。

 これと同じ事が各地で行われているのだ。

 人のことを言えた義理ではないが、どうしてこんな斜め下な方法を思いつくんだか……。

 

「ほら、ちゃっちゃと済ませて焼き肉を食べに行くぞーっ!」

 

 焼き肉って、これの排出元を食うのか? 特にこれが通った部位であるホルモンは食べたくねえなあ……とほほ……。

 


 

「ごの悪人ども! どうどう馬脚を表じだわね。ごれ以上の暴虐は、私だぢ千葉県立地球防衛軍が許ざない!」

 

 俺たちが牛糞を撒いている現場に、雪ノ下、由比ヶ浜、葉山の3人が現れた。

 

「今日はお前ら3人か。 相模はどうした?」

「相模ざんはゴンビ二のバイドでごれないわ。それにあなだだぢの相手なんてわだじだぢだけで十分よ」

 

 全く朝早くからご苦労なこった。しかし……。

 

「その鼻に付けた洗濯バサミは何だ。 3人ともせっかくの美少女が台無しだぞ」

 

「び、美少女……いいえ、ぞんな言葉なんがで誤魔化ざれだりじないわ。因みにごれは洗濯バザミじゃなぐで鼻ぐりっぶよ」

「ゆぎのん、顔が緩んでる……」

「じょじょ、じょんなごどがあるわげがないでじょう?」

 

「ヒキタニくんが俺を美少女……ふふ、ふふふ」

「隼人ぐん!? じゃなかっだはやごしゃん!? 鼻ぐりっぶ取っだらぐざいよ?」

「だってヒキタニくんが美少女って言ってくれたんだよ?結衣は嬉しくないのかい?」

「ぞれは嬉じぐないと言っだら嘘になるげど……どうぜなら二人ぎりの時に言ってほじいなーなんで……だはは」

 

 そんな3人の様子を見て原瀧が俺の耳元でボソッと囁く。

 

「あたしが言うのも何だけどさ、あの3人チョロすぎないか?」

 

 原瀧、言ってやるな。俺もちょっと心配なんだ。

 

「とにかく、そんなことはどうでもいいわ。その不法行為を一刻も早くやめなさい!」

 

「ゆぎのん、鼻ぐりっぶは!?」

「こんな匂い、どうという事ないわ。それは、ちょっとだけくっ、くさいかもしれないけど、悪の組織と対峙する私たち地球防衛軍がこれ以上みっともない姿を世間に晒すわけにはいかないもの」

「ゆぎのん……ぞうだよね!ビッギーの前で恥ずがじいの嫌だもんね。わたしも……」

 

 勢いに任せて鼻クリップを外した由比ヶ浜だったが……。

 

「臭い!臭いよぉー」

 

「由比ヶ浜さん……じゃなくて結衣、無理しなくてもいいのよ? それに葉山く、さいも」

「雪乃ちゃん!? 今、間違いなく葉山く、さいって言ったよね?」

「言ってません」

「いや、でも確かに……」

 

「失礼、噛みました」

「違う! わざとだ!!」

「噛みまみた」

「わざとじゃない!?」

 

 何だこの茶番。雪ノ下の声でやられると違和感半端ないな。

 

「と、僕はキメ顔でそう言った」

 

 それだよそれ! じゃなくてやめれーっ!!

 

「雪ノ下さん、そして葉山くさい?だっけ? あたしたちがどんな不法行為をしたって?」

「そんな、公共の場で馬糞を撒くなんて行為が許されるわけがないわ!」

「だからぁ~、これは馬糞じゃなくて牛糞」

「馬糞でも牛糞でもどっちでもいいわ! みんなこの臭いで迷惑してるのよ」

「都会の人間はコレだから……田舎へ行けば牛糞の臭いなんて当たり前なんだよ!」

「でも、でも、こんな臭かったらお花見に来た人とか迷惑するし……」

「この感染症蔓延下で、人々が密になって飲み食いするお花見をさせることがあんたらの言う正義なのか? 由比ヶ浜さんよぉ」

「そ、それは……」

「それにあんた達、なんでマスクしてないの? 感染症予防が叫ばれているのに、マスクをしない正義の味方ってどうなの?」

 

 原瀧の厭味ったらしい言い方に、少し相模を思い出したのはナイショ。

 

「原瀧さん、近所のドラッグストアや薬局薬店、スーパーにコンビニ、どこへ行ってもマスクは品切れで、今、手に入れることは容易じゃないんだよ」

「だったらこんなところ出歩いてないで、家でおとなしくしてなっての 」

「それでも悪を見逃すわけにはいかないわ!」

「だから、あたし達がどんな悪いことをしたって言うんだい、え? 雪ノ下サンよぉ」

 

 原瀧、お前のセリフはモブのチンピラそのものだぞ。

 

「あたしたちは蔓延防止のため人が集まったりしないように考えて行動してんだ。地球防衛軍だ、正義の味方だなんて言いながら、あんた達は何をしてるの?」

「俺たちだって、花見に来た人に一人一人訴えかけて……」

「葉山くさい、お前バカだろ」

「何を言うんだい、原瀧さん。それとくさいはやめて」

「そんな話だれが聞いてくれる? 高校生のお遊びにいちいち付き合ってくれるやつなんて誰もいやしないんだよ」

「私たちのやっていることがお遊びですって?」

 

 雪ノ下の言葉には明らかに怒気がこもっていた。

 

「お遊びだろ? 自己満足の」

「それは聞き捨てならないな、原瀧さん。俺たちは真剣にやっているんだ。 撤回してもらえないか」

 

 葉山も抑え気味ではあるが、端々に怒りが滲み出ている。

 

「真剣だから何だ? 花を見られるのは今だけなんだぞ? お前ら何の権限で花見を邪魔するんだ! ちょっとくらいいいじゃねーか。 みんなだって見てるだろ? 一年に一回の俺たちの楽しみを奪うな!……って言われてあんたら何て答える?」

「それは……皆さんの気持ちは分かります。 でも、今は我慢してもらえないでしょうか! 感染症の蔓延を抑えるために今だけでも……」

 

 実に葉山らしい答えだ。だが……。

 

「今だけって、今見なきゃ桜の花が散っちゃうだろうが!小娘どもがごちゃごちゃうるせーんだよ! それよりお前らベッピンさん揃いだな。よし、こっち来て酌をしろ、おらっ、パンツ見せろ! 乳揉ませろ!!」

 

 は、原瀧しゃん!? 実際にスカートめくりながら後ろから乳を揉みしだくのはいかがなものかと……。

 

「ゆ、雪乃ちゃん、助けて! きゃー、やめてー!!」

 

 ファミレスで酔っぱらった時のように、狼藉をはたらく原瀧。やられているのは葉山だが……。

 

 あの葉山がまるで女の子のような声を上げて……たしかに今は女の子だけど!

 

 レモンイエローの女性用のパンティ履いてるけど!

 

 やっ、ヤバい! このまま放っといたらまた雪ノ下の首トンが……。

 

「は、葉山君が私よりも大きいだなんていったいどういうことなの!? いえいえ違うわ。所詮あれは作り物、比企谷君だって絶対に私の方が……そうよ、比企谷くんは小さい胸が好きなのだから、これは負けじゃないわ。むしろ大勝利と言ってもいいわね。そもそも胸の大きさで女の価値が決まるわけではないのだし……」

 

 雪ノ下は一人で何かぶつぶつ言っていて、とりあえず葉山のことには関心がないらしい。

 

「おらおら! パンツの下はどうなってるんだ!? ほら脱げ! 脱がないならあたしがひん剥いて……」

 

「おい、いくらなんでもやりすぎだ!」

 

 葉山の下着に手をかけた原瀧の頭に勢いよくチョップを叩き込む。

 

「あいっつー、八幡、少しは手加減しろよ」

 

 頭を押さえながらしゃがみこみ、口を尖らせて俺への恨み言をこぼす原瀧。

 だって、ほっといたらどこまでエスカレートするか分らねーし?

 別に葉山のパンツの下なんか見たくねーし?

 

 ……見たくねーし?

 

「ハッキー、どうしてはやこさんにこんな酷いことするの?」

「酷いこと? あたしは、生半可な気持ちでやったって、酔っぱらった花見客にこんな目にあわされるぞっていうデモンストレーションをしたまでだ」

 

 いや原瀧、お前、本気で葉山の下着脱がしにかかってただろ!

 

「本物の酔っ払いはこんなもんじゃ済まないかもしれないんだぞ? 雪ノ下さんは武術の心得があるようだが、所詮は多勢に無勢。大勢で抑え込まれたりしたらどうするんだ? それに対する備えも覚悟も無しに説得? 笑わせるよなぁ、雪ノ下さん、そして葉山くさい」

 

 原瀧から挑発とも取れる言葉を投げかけられた雪ノ下と葉山だが、

 

「それでも比企谷くんに胸マッサージをしてもらったら少しは……となれば部長命令で由比ヶ浜さんが三浦さんたちと出かけている時に……いえ、それでは不十分ね。やはり私の家に呼んで、二人きりで……」

 

「はぁはぁ……ヒキタニ君以外の人にこんなことされるなんて嫌っ……今すぐヒキタニ君にこの胸を揉んでもらって上書きを……それにヒキタニ君にならパンツを脱がされても……」

 

 

 こいつらはもうだめかも知れない……。

 

 

「ほら! あたしたちはお遊び学生を相手にしている場合じゃないんだ。用が無いなら帰れ帰れ! 邪魔をするなら牛糞ぶっかけるぞ! 」

 

 言うが早いか防衛軍の面々の足元にひしゃくですくった牛糞をぶちまける原瀧。

 

「きゃあ!」

 

 ……葉山の黄色い悲鳴とか違和感しか……いや違う。違和感ないわ。

 

「こ、ここは戦略的撤退よ! 結衣! 葉山くさいも!」

「言った! 今言った! 雪乃ちゃん、くさいって言った!!」

 

「葉山、お前がすごく臭かろうとちょっとしか臭くなかろうとどうでもいいだろ?」

「ヒキタニ君……それじゃどっちにしても俺が臭いと言うことになっちゃうじゃない……ぐすっ」

 

 おいおい、美少女の泣き顔とか、ちょっとグッと来ちゃうだろ? 葉山だけど。

 

「ねえ、ヒキタニ君!俺、臭くないよね? 俺の潔白を示すためにもヒキタニ君に俺の全てを見てもらって……」

「分かった分かった! お前は臭くない、臭くないからその履いているホットパンツに手をかけるのはやめろ!!」

 

 いくら葉山でも今は美少女。

 目の前で公衆に裸を晒されるのは、やはり胸が痛い。

 

「本当に臭く……ない?」

 

 涙目で問いかける葉山を宥めるように俺は……。

 

「臭い!」

 

「あーん、やっぱり臭いんだー! やっぱり全部脱いでヒキタニ君に嗅いでもらうー」

 

「比企谷くん、やはり、あなた鬼畜ね。そんなに美少女の裸が見たいの?この悪魔!」

「雪ノ下、おいコラ待て。 元々はお前が葉山くさいと言ったのが事の発端だろうが。 大体、俺は何も言ってないぞ」

「チッ、だからアイツらを巻き込まないよう早く帰らそうとしたのに……遅かったか」

「原瀧、何を言って…… 」

 

「始まるんだよ、千葉最大の侵略がな……」

 

 

 

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