まちがいだらけの修学旅行。   作:さわらのーふ

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はいまたお会いしました。
ようやく……ようやく満開を迎え、本日で今シーズンを完結することができました。
最後の最後で展開早すぎですかね?
この期に及んでのゲスト登場でほとんどの読者を置いてけぼりにします!
そういう芸風です!!これは仕様なんです!!!
……ほんとすみません。
今日のネタが全てわかる人は50歳以上かつ関西人かつ千葉県民です。
こんな駄作をご覧いただき本当にありがとうございました。
目指すところは駄作を超える超駄作です。
少しでもその頂きに近づけていたら幸いです。
爪も切ろうと思います。


千葉最大の侵略〜花も嵐も踏み倒せ!満開!

「13番、鉄の肝臓を持つ男、グリコーーーーーーゲン、エェーーーックス、推参!」

 

「グリコーゲンXさんと仰っしゃられるのですね。今日はどちらから?」

 

 目立ちたい素人の対応に慣れているのか、司会の安棚るみさんはグリコーゲンXの大仰な自己紹介をサラッと流して質問していた。

 

「あ、はい。桜前線とともにジェットスターに乗ってはるばる大分県からやってきました」

 

 チクショー! RO-RO船で運ばれた俺のときとずいぶん扱いが違うじゃねーか(怒)

 

「比企谷くん、司会者が時間を引き伸ばしている間に早くこれを!」

 

 陽乃さんに指示された雪ノ下家の黒服部隊、そして戦闘メイドの方々が手際よく対グリコ装備を関係者に配布していく。

 

「それではキングコング、聞いてください」

 

 全員が身構える中短い前奏が流れ、いよいよグリコーゲンXの歌が始まる。

 

 ♪ ウッホ ウホウホ ウッホッホー

 大きな山を ひとまたぎ キング~コングがやって来る~

 

「……普通だ」

 

 御世辞にも上手いと言えるものではないが、グリコーゲンXの歌は普通に聞けている。

 情報では、この歌を聴いて三浦が発狂寸前まで追い込まれたということだったのだが。

 

♪ こわくなんか ないんだよ~ キング~コングは 友だちさ

 

「そこはワシらに感謝したまえ」

 

 またもや出たな、マッドサイエンティスト軍団。

 

「そうね、グリコーゲンXの殺人怪音波をほぼ無効にするノイズキャンセリングイヤホンをわずか2日間で作り上げることができたのは、私の通う千葉大学工学部の技術力、それと猪上博士と真船先生のおかげ。そして、苦しみながらもこの音のサンプルを残してくれた優美子ちゃんのね……」

 

 三浦……。

 

「このイヤホンの優れているところは、その強力なアクティブノイズキャンセリング性能もさることながら、その操作性にもあるんじゃ。例えばこの左側のイヤホンの感圧センサー部分をタップすることによって……」

 

 猪上博士が横に立っていた雪ノ下の左耳のイヤホンを軽くタッチすると、

 

「国道40号ばばばばばえおうぃおい~べべべべべべべべべえべえええべえべべべえ」

 

「このように外音取り込みモードとなって周囲の音が聞こえるようになり……」

 

 おっ、おいっ! 雪ノ下が訳の分からない音を出しながら転げまわってるぞ!!

 

「もう一度タッチするとノイズキャンセリングモードに戻るんじゃ」

 

「雪ノ下、お前大丈夫か? 今、お前から断末魔的な声が聞こえてたぞ」

「ぜーぜー、何を、はーはー、言ってるのかしら、ぜーぜー、そんなこと、はーはー、あるわけ」

 

「ここをタッチするとモードが変わるのね」

 

 ぜいぜいと肩で息をしながらようやく立ち上がった雪ノ下の左耳に再び陽乃さんが手を触れる。

 

「ぐべべべべべ、くぁwせdrftgyふじこlp」 ちーん……。

 

 雪ノ下雪乃、沈黙。

 


 

「はっ、陽乃さん! 何てことを!! 」

 

「比企谷くん……これは仕方がないことなの」

「何が仕方ないんですかっ! 雪ノ下が死んじゃってるじゃないですか!!」

「私だってかわいい妹の雪乃ちゃんにこんなことをするのは気が引けたわよ。今までならこれは隼人の役割だったんだけど、今の隼人は(CV:堀江由衣)、日ナレの先輩なんだからこんな汚れ役をやってもらうわけにはいかないわ」

 

「雪ノ下ならいいって言うんですかっ」

「雪乃ちゃんはまあ、事務所の後輩だから」

「いや、俺、陽乃さんの言ってることが何一つ分からないんですが……」

 

 それよりも、学校一の美少女で文武両道完璧超人、清楚にして凛とした雪ノ下のこんな姿は見たくなかった……。

 

 すると陽乃さんはステージ上のグリコーゲンXを指さし、

 

「私のかわいい妹をこんな目に合わせるなんて、絶対に許さないわ、グリコーゲンX!」

 

 いや、半分はあなたのせいですからね!?

 

「むう、きさまらはそこの女のように私の歌に酔いしれんっ!!」

「聞くに堪えんで気絶しただけじゃっ!!」

 

 おっと、つい声を荒げちまったぜー。

 

「そんな馬鹿なっ! それならもう一曲……」

 

「はい、ありがとうございましたー、特別審査員のキダ・タロー先生いかがでしたでしょー?」

 

 さらに歌おうとするグリコーゲンXを遮り、司会の女性がいつの間にか陣取っていた審査員に話を振る。

 

「そうですね。声量があるのは認めますが、音程悪い、リズム感悪い、発音悪い、表現悪い、顔悪い、大きく見積もっても少なめに見積もっても0点です」

 

「な、なにぃ~~~! お前のようなヅ……」

 

「は、はい、ありがとうございました~~~!」

 

 あ、あやうく放送事故になるところだったぜ~~~司会のお姉さんGJ!

 

「それでは、はぐれチルソニア軍団と電柱組の対決の結果につきましては、審査員の点数の合計で決定しますぅ」

 

 あ、そういえば元々そういう企画でしたね。すっかり忘れてたわ。

 

「おい貴様っ! はぐれチルソニア軍団とはなんだァ! ワシらこそが真の電柱組だ!! 人をラッシャー木村みたいに言うなっ!!」

 

 コノヤロー、チル公! ラッシャー木村みたいで何が悪いっていうんだ!? ブルドッキング・ヘッドロックで首根っこへし折るぞ!!

 

 ぴーぽーぴーぽー

 

「あっ、ちなみに司会の諸出いぼぢろうアナはうっかりさっきの歌が耳に入り病院送りになってしまったため、司会は私、安棚るみが単独でお送りしますぅ」

 

 アナウンサーさん……合掌。

 

 そして、雪ノ下まだ倒れたままだけど、誰か助けてやれよ……。

 


 

「それでは、先攻、比企谷さんの点数はっ」

 

 ずだだだただだだだだだーででん!

 

「キダ・タロー先生8点、高木東六先生9点、大久保怜先生8点、古関裕而先生9点、淡谷のり子先生10点、合計44てーん!」

 

 き、基準がないのでこれがいい点数かどうかは分からないが、とりあえずはまあまあの点がもらえた……と思いたい。

 

「そして、後攻のグリコーゲンXさんの点数は」

 

「キダ・タロー先生0点、高木東六先生0点、大久保怜先生0点、古関裕而先生3点、淡谷のり子先生0点、合計3てーん、比企谷さんが歌った電柱組の勝利ーぃ!!」

 

 かっ、勝ったぁー。三浦、お前の仇は取ったぞ……。

 

「納得いかーーーん!」

 

 当然のことながらグリコさん大激怒である。

 

「私の時だけなぜドラムロールが無いのだ!!」

 

 怒るとこそこ!?

 

「そしてなぜあんなチャラチャラしたボッチソングに私の魂の歌唱が負けるのだ!」

 

 いや、チャラチャラしたボッチソングって何? それって二律背反じゃない!?

 

「こんなのは八百長だ! さっき淡谷先生の点のボタンを横に座った生田悦子さんが押してるのを見たぞ!!」

 

 いやいや、生田悦子さんいないでしょ!? ……いなかったよね?

 

「そうだそうだ! グリコの旦那が負けるわけがないっ!! 雪ノ下陽乃っ、お前、審査員を買収したな!!」

 

 チルソニア、お前さっきまで耳栓しててグリコさんの歌聞いてなかっただろうが!

 

「私がそんなことするわけないでしょ。負け犬の遠吠えとはこのことね。フフン」

「うくぐっ……」

 

 いやいやいや、なんかモーレツに悔しがってるが、指摘するべきはそこじゃないんだよなあ……。

 

「まてーーーーい! この審査員は全員偽物だっ! 本物は全部とっくの昔に死んでるじゃないかー!

 

 そうそう、この審査員って全部鬼籍に入られた方……ってキダ・タロー先生はご存命じゃあー!!

 

「ちっ、バレたか」

 

 陽乃さん! どうしてこれがバレないと思ってた!?

 

「とは言えキダ先生だけは本物よ。そうなると、去年の5月30日の日ハムVSロッテ戦と同じく8対0であなたの負けね」

 

 陽乃さん、それ、マリーンズが負けた試合じゃないですかっ !せめて勝った試合で例えてください!!

 

「うぬぬ……どうせあのキダ・タローも偽物だろ!」

「何を言ってるの。偽物なのは頭の上の……」

 

「ストーーーーーーップ!! 陽乃さん、それ以上言ってはいけない……」

 

「とにかくこんなのは八百長だ! 負けなんか認めないぞ!! グリコの旦那、こいつら全部満開バスターで桜に変えちゃってください!!」

 

 なんだかんだ言いながら、他力本願のチルソニア。うう、カッコ悪い。

 

 だが、この期に及んでグリコーゲンXを止められる存在があるのか?

 なんとか俺だけの犠牲でみんなを守る方法があるだろうか。

 ここには姫菜に原瀧、陽乃さんや雪ノ下、由比ヶ浜に一色もいる。

 自己犠牲と言われようか何だろうが、こいつらを守るために俺ができる方法を……。

 

「はあ、この判定に納得いかないなら、審査委員長においでいただくしかないわね」

 

 審査委員長!? 委員長キダ先生じゃないの? 今の日本にキダ先生を差し置いて審査委員長に相応しい人間がいるのか?

 


 

「ミナサァ~~ン♪コンニチハ~~! 元気かぁ~~い♪」

 

「あっ、あなたは……!」

 

「誰なんだ? このド派手なじーさんは」

 

 《b》ボグォォォ!ズドドド! ズベシャッ!ドッコン! ベクッ! ゴキッ! グワシャ! バゴーーーーーーン!!《/b》

 

「チルソニアっ、てめーっ! この方に失礼なことをぬかすとぼてくりこかすぞ!!」

 

「比企谷くん……もうぼてくりこかしちゃってるじゃない……」

 

 陽乃さんの、心配、ではなく心底呆れましたという声にふと我に返る。

 

「はっ! つい、自分を見失ってしまった!?」

 

「そこのキミ、暴力はヨクナイヨォ~~♪」

 

 なん……と、尊いお言葉……心からの反省を貴方様に捧げます……。

 

「で、いったいこの人は誰なのだ」

「ちっ、正義の味方を自称するわりにこのお方を存じあげないとは、グリコーゲンX、さてはお前モグリだな」

「グゥワーーーーン!! このお方はそんなにも有名な方なのか!?」

「当たり前だ! ちなみにこの方はヒトではない。この方は、悪魔を倒すためにJAGUAR星からこの地球に降臨された千葉の英雄・ジャガーさんなのだっ!!」

 

「……」

 

「ジャガーさんなのだっ!!」

 

「それは分かったのだが、だから何だというのだ」

「いや、ジャガーさん知らないとか、お前千葉の人間じゃないだろ」

「もともと千葉の人間ではないわっ!」

「そんな気持ちで千葉を侵略しようとしていたのか? あまりにもかたはら痛すぎてへそで茶が沸きそうだわ」

「むむむ、こっちだって酒を飲んで私のアイアンレバーを全開にすれば茶くらい余裕で沸かせるわい!」

 

「ちょっとそこっ! 二人で盛り上がってないで審査委員長のお話を聞くよ!」

 

 そっ、そうだった! ジャガーさんの前でなんと不敬な……。

 

 俺はその場に正座してジャガーさんのお話しを聞くことにした。

 その勢いにつられたか、グリコーゲンXまで一緒に正座している。

 チルソニアは先ほどの失礼な言動を反省したのか地面に突っ伏してジャガーさんのありがたいお言葉を賜ろうとしているようだ。

 

「みなさ~ん、 争いはヨクナイヨォ~~♪ 歌で競うのはいいけどォ~、それを争いの道具にするのはダメだヨォ~♪」

 

 ジャガーさん……俺が、俺が間違ってましたぁぁぁぁぁ~!

 

「ワタシはね~、地球での仮の姿で1歳の時、東京大空襲の焼夷弾の炎に巻かれて火だるまになったの。両親が必死に火を消してくれてナントカ助かったよぉ~♪ だからと言ってネ、LOVE&Peaceを声高に叫ぼうなんてのは思ってナイの。だけどネ、音楽は好きだから、それ以外のことを音楽の優劣で決めようとするのはダメだヨ~♪だから、今回の判定は、ノーゲーム・ノーサイドだヨォ~~♪」

 

 ああ……尊きお言葉……今日こそ千葉に生まれて良かったと思う日はありません!!

 

 そして横を見ると、グリコーゲンXが号泣していた。

 

「あああああ! 私が、私が間違ってましたぁ~~~!!」

 

 ようやくグリコーゲンXもジャガーさんの尊さに目覚めたようだった。

 

「それじゃ~ミナサァ~~ン 安全にお過ごしくださいネ~。アリガトサァ~~ン♪」

 

 そしてジャガーさんは去っていった。ありがとうジャガーさん! 千葉県民はあなたの雄姿を決して忘れません!!

 


 

「少年よ、ここの桜ももう終わる。私は桜前線とともにこの地を去る。花見の宴はできなくとも花は変わらず咲き続ける。この感染症を人類が克服する日が来たら、心ゆくまで花見を楽しもうじゃないか」

 

「グリコさん……」

 

「少年……」

 

 そして俺たちはひしと抱き合うのであった。肌寒い季節とは言え暑苦しい暑苦しい。そして酒臭い。

 

「ん~~、ぐりはちは海老名的にポイント低いかな~」

 

 ひ、姫菜~~~そっちじゃないんだー!!

 

「で、この落とし前はどうつけてくれるのかしら? ち・る・そ・に・あ」

 

 ドサクサに紛れてソォーっと立ち去ろうとするチルソニアだったが、陽乃さんの目をごまかすことなどできるはずもなかった。

 

「ふっふっふっ……今日のところはジャガーさんに免じて引き分けにしといてやる……さらばっ!!」

 

 と、脱兎のごとくこの場から離れようとするものの、当然のように確保されてしまう。

 

「戦闘メイドの皆さん、連行」

 

「オイコラ、やめい! チクショー、コノヤロー、鬼! 悪魔! 雪ノ下陽乃~~~っ!! ほんとにやめて……あっ」

 

 哀れ陽乃さんの号令一下、断末魔の叫びを残しながら6人の戦闘メイドたちにずるずると引きずられていくチルソニア。

 でもやっぱあのうちの赤髪と金髪の二人は戸塚と一色だよねえ?

 

「まったく往生際が悪いったら。それに雪ノ下陽乃は悪口じゃないっての。ねえ、比・企・谷・く・ん」

 

「いっ、イエス、ユア・マジェスティ!」

 

 ひゃ~~~、今の陽乃さんの顔、ちびるかと思うくらい怖かったわー。魔王様の面目躍如だわー。

 

「私、そんなに怖くないよ? それと、ベータさんとイプシロンさんだからねっ」

 

「陽乃さんまで地の文読むのやめてください‼︎」

 

 ちなみに、この後、チルソニアが大分の地を踏むことは二度となかったという……。

 

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