満開で終わり、ではございませんぞ!
咲いた花なら散るのは覚悟、というわけで、散るところまでが桜なのでございます。
本日で今シーズンを完結と言ったが、今回で、とは言ってない!
散る桜、残る桜も散る桜。
花の最期を、どうぞご覧くださいまし。
「皆さん、今日採用になりました、木曽屋=チルソニアン=文左衛門=Jr.君です。シイタケの本場、大分県出身ということで即戦力として期待しています。木曽屋君、私は現場の取りまとめを任されている瀬波洲といいます。以後よろしく」
「いや、なんでワシがこんな辺ぴなところに連れてこられたんだ」
「そりゃ、人口47万人の大分市に比べれば多少は人口が少ないかもしれませんが、辺ぴ呼ばわりされる筋合いはありませんねえ。それにあなたは雪ノ下様に逆らったかどでここに売られてきたんですから。ちゃんと働いてもらわないと困りますよ」
「いや、大分県民がみんなしいたけ栽培に詳しいと思ったら間違いだからな! 誰が手伝いなどするものか」
「困りましたねー。そのような非協力的な態度を取られるということになると……」
「生きたまま椎茸の種駒を打ち込んで菌床にでもすればよいのではないかしら」
「そんなー、手っ取り早く肥やしにしてしまったほうが早いっすよ」
「ひっ、ひぇ〜〜〜!」
「イプシロンさん、ベータさん、お二人ともおやめなさい」
「はっ、瀬波洲様」
「それは最後の手段です。まだまだ教育が足りないようですから、恐怖公の部屋へお連れしてください」
「いっ、いやあぁぁぁぁ〜〜〜! もうあんなとこへは行きたくないっ‼︎ なんでもします!なんでもしますからアレだけは勘弁を〜〜〜あ〜〜〜!!!」(ズルズル)
「安心してください。このあと、眷属たちが美味しくいただきました」(はるの)「恐怖しかないわっ!」(八幡)
「陽乃さん、この焼き椎茸、肉厚で口に入れるとエキスがじゅわーっと溢れてきてすごく美味しいっすね」
「ほんと八幡の言うとおり、プリプリした食感は大分のどんこにも負けない味です。はぐはぐ」
「バラダギちゃんも気に入ってくれた? 今年、佐倉にあるきのこ園を雪ノ下建設の子会社にしたの。そこで栽培してる椎茸なのよ」
「へぇ〜。はぐはぐ」
「周りが落ち着いたらさ、今度みんなでバーベキューでもしに行こっか。優美子ちゃんや姫菜ちゃんも一緒にさ」
「あー、いいっすねー」
三浦もまもなく退院できそうだと、大分の下っぱから連絡が入っていた。
「八幡くん」
「 ん? 姫菜、どうした」
「店長にバレちゃった、てへ」
「比企谷~、店に私物を持ち込んで調理させるとか、なかなかいい度胸してるじゃないか~」
釘バットを持った店長が阿修羅のような顔をして仁王立ちしていたでござる。
「いや、これはですねー、アレがアレでアレでして……」
「どうした? 遺言はそれだけか?」
言うが早いか、後ろに回られてスリーパーホールドで首を締め上げられてしまった。
「くっ、くるっ……」
「バットだと店が汚れるからな。これで天国にご招待、だ」
これはもうだめだ。絶対死ぬやつだ。
陽乃さんも原瀧も店長の勢いに押されて手を出せず……原瀧、椎茸旨そうだな。
最期の食事が椎茸かあ……どうせならさんが焼きも食べたかったなあ……。
それにしても、頭の後ろにあたる店長のゲフンゲフンもなかなか立派な……こんなことを思ってしまうのは種の保存にかける男の本能だろうか。
そんな益体もないことをうつろな頭で考えていたら、姫菜の声が耳に響いた。
「てっ、店長! 店長の分は今、焼いていますので……」
「おおそうか! じゃあ後で私の部屋まで持ってきてくれ~♪」
店長の"わーい"という声とともに俺の意識は遠ざかっていった……。
「……くん、はちまんくん」
微かに姫菜の声が聴こえる。
頭には柔らかい感触。
誰かに膝枕されているようだ。
いや、誰か……じゃないな。
県立地球防衛軍のようなギャグマンガなら実は膝枕をしているのは材木座で、姫菜のお面を被ってたりするのだろうが、俺には分かる。
ゆっくりと頭を撫でる手の優しさ、微かに漂うコロンの香り、僅かに聞こえる息づかい。
「よぉ……」
「……気がついた?」
静かに目を開ければ、不安げな顔の姫菜がいた。
「ごめんね。わたしが店長の方を先に持って行ってたら……」
「ん」
小さく声を出してゆっくりと体を起こし、店のソファーだったことに気づく。
「どのくらい経った?」
「んー、15分くらい?」
「そっか。重くなかったか?」
「全然大丈夫だったよ。八幡くんはもう大丈夫なの?」
「まだ少しボーッとしてるかな……」
頭にかかったモヤのようなものを振り切るように、軽く頭を振ってみる。
「心配、したよ……?」
「すまなかったな、姫菜……」
徐々に近づいてくる顔、その桜色の唇に目を奪われ、そして……。
「いででで!」
なぜか頬っぺたを思いきりつねられたでござる。そして痛い。
「ひっ、姫菜しゃん、なにぅを……」
「ねぇ、店長のおっぱいは気持ちよかった?」
あれれ〜? おっかしいぞ〜、一気に笑顔が怖くなったぞ〜。
「そっ、そんなの分かる訳ないだろ。自分が殺されようとしているときに」
「あんなの本気な訳ないでしょ。あの女が本気で殺しにかかったら真っ先に首の骨を折りにいくわよ」
「陽乃さん、いたんすね……」
ため息交じりに背筋が凍るような話をしたすぐ後に、にニカッと悪い笑みを浮かべたと思ったら、
「おっぱいならここにもあるぞ〜うりうり♪」
「ちょっ、顔に押し付けるのやめ……」
「君はやっぱりおっきいおっぱいがいいんだね……やっぱりわたしじゃ……」
目を伏せて両の手を自らの手を置き、消え入りそうな声の姫菜。
だめだ。こいつを悲しませることだけは……。
俺は勢いよく立ち上がり、姫菜の肩に手を掛け、驚いたように上を向いた姫菜の目をしっかりと見つめ自らの思いを伝える。
「俺は……俺は、姫菜のおっぱいが好きなんだぁぁぁぁぁ!」
好きなんだぁー好きなんだぁー好きなんだぁぁぁ。
…………………………。
「あの……八幡くん……その言葉はうれしいんだけど、その……」
顔を真っ赤にして俯く姫菜。
「比企谷くん、さすがにそれは……」
「八幡、なかなか度胸あるなー。ここ、お前のバイト先だろ? 」
陽乃さんと原瀧の言葉に我にかえった俺があらためて周りを見ると、店内のすべての客が食事の手を止めて俺に視線を注いでいた。
さっきの俺……。
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーー!!!!
恥ずかしい!恥ずかしい!恥ずかしい!恥ずかしい!
自分の発言を思い出し、声を上げてそのまま床を転げまわろうとしたが、ぐいっと襟首を掴まれてそれを阻まれた。
「比企谷」
「かっ、川崎か」
今日は川崎もシフト入ってたんだっけ。それにしても、いつにも増して不愛想な気が……。
「今の騒ぎについて杏子さん……店長が話を聞きたいってさ」
「たたた頼む川崎! 見逃してくれ!!」
「諦めな。アンタを連れて行かないとあたしがどうかされちまう」
「はっ、陽乃さん、助けてくださいっ!」
「ちょっとあれは擁護できないかな……」
「原瀧っ!」
「大人しく2,3発殴られりゃ収まるだろ」
いやいや、あんな釘バットで殴られたら2発でも死ぬって!
「姫菜っ!」
「怪我したら私が看病してあげるね」
ちょっ、怪我するの前提なの!?
「ほら、行くよ」
とにかくこの場から逃げ出そうと最後の抵抗を試みてみたものの、
「せいっ!」
っと、首根っこ掴まれたまま仰向けに倒され、そのまま引きずられていく。
「くっ、 首っ!、首しまっ……自分で……歩ける……がはっ!!」
「うっさい。大人しく連行されな」
頭の中ではドナドナのメロディ、そしてズルズルという音とともに俺はバックヤードへと連れて行かれたのだった。
その後、俺が入ったすぐ後に、カチャリと鍵をかけられた店長室で何をされたかは、陽乃さんにも原瀧にも、もちろん姫菜にも内緒だ。
ただ言えることは、釘バットよりももっと凶悪な店長の武器により俺がノック・アウトされたということだけだった。
「安心してください。このあと、私と川崎で美味しくいただきました」(杏子) 「いただかれてないっ!」(八幡)「なんであたしまで……(赤面)」(沙紀)
「このままでは終われないのだけれど」
「ゆきのん……一応聞くけど、いったいどうしたの?」
「少し私の扱いが酷すぎると思うのよ」
「あははは……それは……少しかどうかは分からないけど……まあ……」
「いったい何なの!? どうして正ヒロインであるはずの私があんな汚れ役を引き受けなければならないのかしら!」
「ごめんね……代わってあげられるものなら代わってあげたかったけど」
「いいえ、葉山く……さんを責めているわけではないの。問題はねえさんよ!」
「雪乃ちゃ、雪ノ下さん、いいかげんやめてくれない? 葉山く……さんって言うの」
「あら? あなただって『雪乃ちゃ、雪ノ下さん』って言うじゃない。わざとではないの。つい口をついて出てしまうのよ」
「そうだよ、葉山くさん。うちもわざとじゃないからね」
「いや、相模さんは絶対わざとでしょ!?」
「ゆきのんもさがみんもはやこさんもやめようよ。このくだり、しつこくてみんな飽きてるよ」
「まさか結衣にこんな正論で諭されるとは思わなかったわ」
「ゆきのん!?」
「あの結衣ちゃんがこんなに成長するだなんて……うち……うち、うれしいよ」
「さがみんも馬鹿にしすぎだからぁ!」
「そっ、それで陽乃さんの話だったよねっ」
「そっ、そうだったわ。何よ、ねえさんのあの言い分!いくら事務所の先輩だからって何をしてもいいわけではないのよ?」
「ちょ、ゆきのん!? おねえさんだよね? 事務所の先輩って何??」
「由比ヶ浜さんだって相模さんだってみんな同じ年なのに私だけこんな目に合わなければならないの?」
「同じ学校の同じ学年だから当たり前だよね? そしてはやこさんも同じ年でしょ?」
「結衣ちゃん……」
「え、相模さん、なあに?」
「あ、違います。由衣さんじゃなくて由比ヶ浜結衣ちゃんの方です。すみません」
「なんで、はやこさんが反応したの? そしてなんでさがみんは敬語!?」
「あのね、今、この作品上であの人は(CV:堀江由衣)、大先輩なの。だからよ」
「もうゆきのんもさがみんも何を言ってるのか分からないよ!」
「そんなことより、もっと大変なことがあるわ。結衣」
「もう、何を言われてもツッコんだりしないからね」
「平塚先生がいなくなったからこの会話が落ちないの」
「雪ノ下さん! それ本当に大変じゃんね! どうしよう? うちが屋上とかに逃げたらいい? そしたら比企谷がやってきてなんとかしてくれるかも」
「さがみん……ヒッキーに助けられたっていう自覚あったんだ……」
「……そりゃ、うちだってそこまで馬鹿じゃないよ。時が過ぎて考えてみたら分かることだってあるよ」
「相模さん……あなたにとっても比企谷くんは大切な存在なのね。やはり比企谷くんをあの悪辣なねえさんから取り戻すためにもこれからも千葉県立地球防衛軍として頑張りましょう」
「ゆきのん……」
「雪乃ちゃん……」
「雪ノ下さん……」
「おっ、いいねー、お前ら青春してるじゃん!」
「黄泉川先生、いらっしゃったんですか!?」
「一応、平塚先生から頼まれた奉仕部と防衛軍?の顧問だからねー。いてもおかしくないじゃん?」
「それではこの後のことも……」
「おう、雪ノ下、まかせるじゃん。あの悪ガキどもを正すための私たちの闘いはこれからじゃん!」
(先生、それは打ち切り……♪)
【あとがきのような何か、人はそれを蛇足と言ふ】
本シリーズをご覧いただきありがとうございました。
今回のシーズンは、ほんと悩みに悩んだ挙句見切り発車という感じなのです。
一番最初の前書きにも書いた通り、ラストに向けて避けて通れない怪人がいる。
ただ、新型コロナウイルス感染症がまん延している中でのほほんと花見の話なんか書けるのか、と。
前シーズンで、感染症の禍中ということにしてしまったため、全く別の世界の話です~というのが使えませんで……。
やっぱり志村けんさんが亡くなられたのは衝撃でした。
なので、世の中の雰囲気を見て、そ~っと出してみたというのが本音です。
ただ、この時間の経過も多少影響していて、ジャガーさんが出てきたのはやはりジャガーさんがジャガー星に帰還された影響でしょう。
そして、キダ・タロー先生がいまでもお元気なのは何よりです。
もともとこんな話になる予定ではなかったんですが、いつも通り書き始めるとキャラが暴走してしまい収拾がつかなくなるので……。
そして、前回の前書きにも書きましたとおり全ての人を置いていくのが芸風です。
ですが、どこかで、あれはあのネタだ!と思ってくれる人がいたらちょっと喜びます。
さて、本来ならこのあと番外編を書くところ、最近、他の原作のストーリーそのままに登場人物だけ入れ替える二次ってどこが面白いんだろうと思ったりしてまして、もちろん書き手としてですが。
なので、お試しでそういう話を書いてみようと思い、番外編はお休みしてそっちに取り掛かろうかな、と。
で、3話くらい書いてみて、面白くないなーと思ったら打ち切ります。
その時のセリフは当然、
「俺たちの戦いはこれからだ!」
です。
予定では、県立地球防衛軍のような古くて誰も知らない作品ではなくて、アニメ化もされて累計発行部数130万部以上を誇る人気ラノベをベースにしようと思ってまして。
なので、似たような作品がもうあるぞ!と思っても見逃してください(原作ペースだと大体展開は同じになっちゃいますからね)。
本作もいよいよ次シーズンにて完結します。
次はこんなに長くなりません。
もうアイデアも気力もありません。
(以下、次回予告)
この物語では回避されたはずのあのイベントが……。
やはり世界線は収束するのか?
あの時間 あの場所で キミの"時"がもう一度始まる
修学旅行シリーズファイナルシーズン
「なのにあなたは京都へゆくの」(仮題)
乞うご期待!
……内容は予告なく変更になる場合があります。
それではまた、お会いしましょう。
サヨナラサヨナラ、サヨナラ。