ロックマンキラーズ纏め編   作:グルルre

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vol.10 望む物

エンカーとヤマトマンは東公園のある地区へとたどり着いたがカブキマンの姿はどこにも見えない。

「ムム・・・どこだ彼の者は・・・?」

「ここは・・・」

エンカーは何かを思い出すような目で周りを見渡す。

「そう言えば前にこのあたりでカブキマンの演技を見たんだよな・・・」

その時エンカーの頭の中で何かがつながったような気がした。

「もしかしたらカブキマンは恨みを晴らそうとしているのかも知れねえ・・!人間の頃の記憶があるんだろ?」

「・・・急ぐぞエンカー殿!」

二人はカブキの会場へと走り出す、今日は確か明日の準備の為にカブキの関係者が残っているはずである。

 

 

エンカー達がたどり着いたとき、現場は騒然としていた。

「やめるんだ!カブキマン・・・その人を放すんだ!」

カブキマンが一人の団員の胸倉をつかみ宙に浮かべていた、それを止めようと一人の少年・・・一足早く駆けつけたロックマンが説得している。

「ヒイィ!助けてくれ!この化け物を何とかしてくれ!」

カブキマンに拘束されている男が叫ぶ。

「誰のせいでこんな化け物になったと思うんだ!」

カブキマンは語気を荒げ言い放つ。

「貴様が俺の車に細工をして事故を起こさせたんだろう!お前のせいでで俺は俺は!」

「ひぃ・・俺が悪かった!まさか死ぬなんて思わなかったんだ許してくれ!」

その男の無責任な言葉にカブキマンはさらに男を締め上げる。

「やめるんだ大輔!・・・この者がした事も罪だが本当に悪いのはこのわしだ!わしがよからぬ事を考えたばかりに・・・」

そこへ着物を着た初老の男が現れカブキマンの前に立つ。

歌舞伎界の重鎮にして蛯名一族の長老、蛯名泰蔵である。

泰蔵の姿を確認するとカブキマンは拘束していた男を無造作に投げ、今度は泰蔵のほうへ向かう。

拘束されていた男は舞台の道具が並ぶ場所に投げ飛ばされたが幸いにして命に別状はないようだ。

「親父・・・・!よくもよくも俺をこんな人形の体に押し込めやがったなあぁぁぁーーーー!」

ここに来てカブキマンの感情は一気に爆発した。

「すまない・・・わしはお前になんとしても生きてほしかった・・・だがそれはわしの身勝手な考えだったのだな。大輔わしが憎いのならわしを殺せ」

「生きてほしかっただと・・ふざけるな!俺の電子頭脳はどうせ遅かれ早かれ回収され戦闘ロボット用に量産されるんだろうがぁ!」

カブキマンの頭脳を人間の頭脳を元に戦闘ロボットの電子頭脳を量産化する・・おぞましい計画。

しかし彼は本来思い出してはならない人間の記憶を思い出してしまった。

「動くでない!これはわしの業なのだ!」

動こうとしたエンカー達を制止するのは今にもカブキマンに殺されそうな泰蔵本人である。

「さあ大輔・・・!わしと共に・・・・」

泰蔵は覚悟を決めたように目を閉じる。

カブキマンは手を震わせていたがその手を泰蔵に振り下ろそうと振り上げる。

・・・・・その瞬間エンカー達は同時に動き出した。

ロックマンは泰蔵を持ち、転がるようにしてその場から退避させた。

エンカーはカブキマンの拳を槍で受け止め、ヤマトマンの槍はカブキマンの腕を切り落とす。

「ぐぬ・・・きさまら!」

カブキマンは前の戦いの傷は癒えていたもののこの一瞬の出来事でかなりの深手を負ってしまった。

カブキマンは獅子の頭部へと変形し迎え撃つが白兵戦にかけてはヤマトマンにかなわずそのまま一気に押し切られてしまう。

「あんたの目指していた物はなんだったんだ!こんな下らん復讐だったのか!あんたの演技を見て俺は希望を見出したんだぁ!」

エンカーは怒りをそのままに槍をカブキマンの頭部に突き刺した。

 

ぴきっ!ぴきっ・・!

 

カブキマンの頭部にひびが入り割れ始める・・・。

完全に電子頭脳が剥き出しになったその姿をみてエンカー達は驚愕する。

「これは・・・・悪のチップ!ワイリー博士のチップじゃねえか!」

その頭部にははっきりとWの文字が写ったチップが収められていた。

一陣の影が動きそのチップを頭部より引き抜く。

シャドーマンが一瞬の隙を突きチップを抜き取ったのである。

「ぐおぉぉぉーーー!」

カブキマンは悶えながら倒れるがすぐに意識を取り戻す・・・。

「俺は・・一体・・・?親父・・・いや親方!すまねえ!!無礼な事を働いてしまった」

呪縛から解けたのだろうか急に態度が変わり泰蔵に対し謝りだすカブキマン。

「いや・・・よいのだ。わしがいけなかったのだ・・・すまない大輔お前につらい思いをさせてしまった」

カブキマンに抱きつき許しを乞う泰蔵。そこには歌舞伎界の重鎮としてではなく一人の父としての姿が映しだされていた。

カブキマンはエンカーに向き直ると頭を下げながら話す。

「すまない・・俺のせいであんたに迷惑をかけた。あんたの言葉、俺の心に届いたぜ」

「あんたのせいじゃない、多分これのせいだ」

シャドーマンの持つチップを指差しながらエンカーは言う。

「・・・でシャドー、これはなんなんだ?博士の計画なのか?」

「いやこれは博士のものではござらぬ・・・これを見てみるがいい」

そういってチップを周りに見せ始めるシャドーマン。

よくよく見ればWの文字がワイリーの使う文字とは少し違うし色やその他の素材も微妙に違うようだ。

「模造品って奴かよ・・・・」

辟易としながらもエンカーは言い放つ。

「なんだなんだ?もう終わってるのか?」

そこへあの化け物刑事とはエンカーの談だがジョージが姿を現す。

ヤマトマンが事情を説明するが、やはり前と態度は変わらないようだ。

「そこのワイリーナンバーズはおいといて・・・・カブキマン!お前の起こした事は大罪だ・・・よって逮捕する!」

「待って!ジョージさん彼は悪のチップに・・・!」

ロックマンは慌ててジョージの間に入るがそれを制したのはカブキマンだった。

「いや良いんだロックマン、エンカー達。俺がした事はとてもじゃないが許される事じゃない・・・罪は罪として受けるつもりだ」

そう言いジョージに歩み寄るカブキマン。

「ちょっと待つんだ!」

しかしその場にエンカーの声が響きわたる。

「このカブキマンはこのワイリーチップに操られてやったんだよ!これもワイリー様の計画でな!カブキマンを秘密理に改造して暴れさせたんだよ!」

「・・・フッ、お主らロボットポリスが困惑する面がいい気味でござった」

エンカーとシャドーマンが続けて言う。無論嘘であり・・・・ハッタリである。

「だからこのカブキマンは自分の意思と関係の無い所で暴れてたんだよ!」

「その状態では責任は取れないでござろう?かつてのライトナンバーズやコサックナンバーズ同様に」

「エンカーにシャドーマン・・一体何を」

それを聞くロックマン、ヤマトマン、カブキマンの三人は困惑気味だ。

「・・・・そう言う事でいいんだな?」

ジョージがエンカー達に問う。エンカーは無言で頷いた。

「そういうわけじゃあ・・・多少は軽くなるかねえ・・・よろしいですかな?泰蔵殿」

ジョージは肩をすくませながら蛯名泰蔵に確認を取る。

「ジョージ殿・・・・まことに申し訳ない」

「いやいや・・・俺も今度娘と歌舞伎の公演を見る約束をしててね・・・まあ主役がいない舞台も見てもつまらんしね」

ジョージは笑いながらもエンカー達に歩み寄る。

「今日は見逃してやるワイリーのロボット共。だが次に悪事を働いていたら現行犯で逮捕してやるからな」

そう言いながら背を向けて現場を去るジョージ、意外にも理解がある刑事である。

「すまない・・・すまない・・・」

エンカーの手を取り何度も詫びるカブキマン。

彼ならできるもう一度やり直せる、目の前のカブキマンを見ながらエンカーはそう確信していた。

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